こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

娘の結婚式はとにかく大変だ「花嫁のパパ」

「花嫁のパパ」は、1991年に公開されたアメリカ映画。

 1950年に公開された「花嫁の父」のリメイク作品である。

 

 白黒映画だったオリジナルの方は結構前に見たことがある。その時からほっこりする良い映画だなとかなり好感が持てた。

 その40年後に公開されたリメイクのからだって既に30年が経過してしまった。歴史を辿ればどんだけ古いんだよって話。

 そんな段階になってリメイク版を初めて視聴した。で、これがとても楽しい。良い作品だ。

 なので感想を書き殴って行こう。

 

花嫁のパパ [DVD]

 

 花嫁となって旅立つ娘を送り出す父の心境がたっぷり語られる内容となっている。描き方はハートフルなもので時にはほっこりし感動もする。他部分ではコミカル性も目立って結構笑える。

 

 結婚式パーティーが終わった時点から父目線でそれまでの回想を行っていくスタイルで物語は進んで行く。

 

 留学先から帰ってきた22歳の娘アニーは、向こうでちゃっかり男を作り結婚の約束まで結んでいた。娘大好きな父ジョージはその真実を受けけブレインにショックを受ける。

 母も同じくらいの歳で結婚していたのだから認めてよと娘に言われてすぐに「そんなの嘘だ」とショックから普通に嘘で返すジョージが面白い。すぐに妻から本当の事だと突っ込まれていた。

 母のニーナは結婚に前向きだが、ジョージはとにかく取り乱し、隙あらば破綻に持っていこうと計画している。夫婦でこの落ち着きの差よ。ニーナは弁えた良い女だな。

 

 結婚は冒頭からの決定事項で、物語の大部分として描かれるのはその準備期間にある。自宅で行う結婚式パーティーの準備と共に、娘を送り出す父の心の準備が完了する段階までがしっかり描かれる。

 

 アニーと恋人のブライアンの決断は早く、序盤からすぐにも両親への挨拶をしに来るシーンに入っていく。

 ここでブライアントが絶妙なタイミング、絶妙なタッチ感でアニーの腿をさすっているのが面白くていやらしい。新郎の結婚挨拶よりも、娘の足をすりすりされる事が気になって仕方ないジョージの心中が描かれる。

 

 ジョージは運動靴の会社の社長をしている。だからこそ気にして婿の足元を見る。するとライバル会社「NIKE」の靴を履いているので気に食わないとなるのだ。そこはオフであっても商売人目線になるよな。

 その昔、知人からこんな話を聞いたことがある。とある携帯電話会社に就職した人が勤め先とは違うよその会社の携帯電話を使っていたら、社長に怒られて首にされたことがあったとか。

 自分の会社と違う所が出した靴を履く婿に文句を垂れるジョージを見てそんな昔話を思い出した。

 

 次には逆にジョージとニーナの夫婦が婿の両親宅へ挨拶に行く。

 ここで起きるトラブルがユニークで笑える。トイレを借りようと移動した先で人の家の事が色々気になったジョージは、書斎のガサ入れをし始める。それからなんだかんだの末、犬に追われてプールにダイブするとんでもない事件が起きる。

 後にこの事件の話はブライアンから娘にチクられる事になり、そちらでも笑える展開になる。

 

 結婚式コーディネ―ターに依頼して結婚式の世話をしてもらう事なる。ここで登場する事務所のスタッフがどうにも詐欺師臭かったりオネエ臭かったりでクセが強い。スタッフのフランクのキャラがかなり立っていて笑える。

 結婚式に入用な金がバカ高くて驚く。1200ドルの高額なケーキ、庭に白鳥を呼ぶ費用、花壇も作るなどやることが大げさすぎる。とにかく金が飛ぶことで目を回すジョージの悲哀が見える。

 

 依頼の話を進める内に全部嫌になって現実逃避したくなったジョージは、気晴らしの買い物でスーパーに向かう。その先でも頭がイッてしまった事からなんとパンを盗むことになり、一時的に豚箱に打ち込まれる。娘の結婚式を開くだけですごいドラマ性が敷かれるんだな。

 12本入りのパンの内8本しか要らないからと言って売り場で袋を開けて要らない分は置いていくというクレージーなアクションが見られた。そりゃ警察を呼ばれて捕まるわな。

 

 妻に助けられて無事出所した父の次なる問題は、式を控えて喧嘩を始める娘夫婦の問題。

 プレゼントにミキサーを贈られた事でキレて喧嘩を始める娘の言い分が被害妄想すぎるし下らねぇ。

 アニーは建築関連の仕事をして社会に出たいと思っている。そこにミキサーを渡すブライアンは、家庭のキッチンに縛り付ける思いでこのプレゼントを選んだのか。そんな事を言ってアニーは切れている。邪推が過ぎるだろう。

 この喧嘩をきっかけに破綻に持っていってやろうとジョージは画策するが、ブライアンと酒を飲んで話を聞いている内に仲を取り持つ役になる。なんだかんだで面倒見の良い優しいおじさんだから、最初は嫌っていたブライアンにも味方してやることになっている。ここにジョージの良さが出ているではないか。

 仲直りをした二人が、ジョージの目の前で深いキスをやりまくって二人の世界から戻ってこない描写が面白い。いつまでイチャつくねんって思った。

 

 結婚前夜には父も娘も寝付けず、深夜にバスケットボ―ルを行うことになる。複数回バスケで遊ぶシーンが挟まれるのも作品の特徴。親子揃ってシュート成功率がやけに高い。

 親子の絆が見える結婚前夜のシーンにもキュンと来る良さがあった。ジョージが本当に娘が大好きと分かって泣ける。アニーも甘やかされたバカ娘ではなく、父の優しさを理解して気遣える良い子なんだよな。二人の関係性が良い。

 

 結婚が間近に迫ったタイミングで、ジョージがアニーが赤ちゃんだった頃から今日までを振り返る回想シーンも良い。これはこの時こそ感じる父の寂しさかなのだと理解出来る。

 

 そして向かえた結婚式で娘が見せるウェディングドレス姿に感動するジョージのリアクションが印象的。ここで更に良いのが、靴屋の父を気遣ってドレスにウェディング仕様の運動靴を合わるアニーのアイデア。運動靴を見せるこのシーンがとても好き。

 

 結婚式で盛り上がっている最中に二度目の警察登場シーンが来る。

 呼びすぎた客達の車が揃って駐車違反だから退かせろと注意を受ける。公道の扱いには注意だな。

 ここで暇な子供が運転して交通整備をしてくれる。これって法的に良いのか。

 

 自宅にめっちゃ人が集まっていて終わったらすごいゴミが落ちているから後片付けが大変そう。台風一過の後には、残った夫婦でダンスをするシーンで終わる。良い落ちだな。

 

 家族には小さな弟も登場するがこの子も小さいおまけでなく、ちょっと良い味を出していた。4人家族が一人減ってこれからは3人になるから不思議とこの子が言い出す。それを聞いて寂しくてジーンときている父。小さいから分かっていないようでも弟にはなんとなくの周囲の変化が分かっている。そんなことが窺える弟のシーンも良い。

 そういえばオリジナル版では娘に兄が二人いたはず。家族構成がリメイク版だとちょっと違っている。

 

 娘を送り出す父の複雑な心境をハートフルかつコミカルに描いた良き作品だった。これはファミリーで見るにおすすめできる。

 今ならジューンブライドまであとちょっとなので、時期的にも楽しめるだろう。

 

 しかしこれを見ると式の準備と金の用意がとにかく大変だからやりたくないって思ったな。日本ならもっと地味で安く出来るのだと思うけど。

 オリジナルもリメイクもどちらも名作だったぜ。

 

 

 

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