「あじむ 〜海岸物語〜」は、2001年にWEB配信された全4話のアニメ。
20年以上前からも配信アニメってあったんだ。つい先日、Netflix独占アニメを見て、配信アニメも強いなぁ~とか思っていたが、21世紀初頭からもマイナーながらいくつか存在していたようだ。それを知れただけでも勉強になった。
そしてこのアニメ、マジで知らない。20年前の作品だがマジで聞いたことがない。当時は話題になったのだろうか。
2001年だと土地によっては学校にだってネット環境がなかったのではないか。パソコンを持っていない世帯もたくさんあっただろうから、リアルタイムで見れた人間は一握り+ちょっとくらいしかいないだろう。
マイナー作品かどうかを認定するだけの知識がないのだが、まずメジャータイトルではないだろう。業界の端っこに実はあったんですよ~という見つけにくい歴史を探して掘り起こすのは楽しい。
というわけで、よく知りもしないこの爽やかアニメをサクッと楽しんだ。
感想
とある雪の日から物語はスタートする。その日、冴えない主人公少年の仲井戸尋祐は、通学中の駅で電車待ちをしている美少女 安心院保奈をロックオンする。
尋祐で「ゆうすけ」、安心院で「あじむ」と読む。多分人生お初の字と読みだった。初手では読みにくい名前。
よその学校の彼女とお近づきになるにはここで話しかけるしかない。でも奥手の彼にはそれが出来ない。それからは片思いが夏まで続く。
序盤半年は、毎朝彼女を遠目に見るだけの日々が続く。この点はちょっとストーカー臭い。ゆっくりじっくりと片恋を熟成させる主人公少年の悩ましい青春が見えた。
冬に始まった恋も夏には動きが出る。夏の朝に思い切って電車の中で彼女に話しかけると、不幸な偶然が重なって尻を触った痴漢扱いを受ける。加えて事故で彼女の唇を奪ってしまい、怒りのビンタを食らう。マイナスから始まるラブコメ展開だった。
これは可哀想。ラブひなの導入もこんな感じだったよな。
痴漢扱いを受けて振られた気分を晴らすため、尋祐は友人の和樹と一緒に、ギャルが働くライブハウスにハッスルしに行く。ここで出てくるギャル達も可愛い。
ここでびっくり。なんとステージでウクレレを弾くあじむの姿が!
というわけで尋祐は誤解を解くためにまたコンタクトを取るのだが、逃げられる。
後日、なんだかんだあって告白をしてからは誤解が解けて二人はちょっといい感じになってくる。
ウクレレを弾く美少女のあじむは良い。程よくエロくて可愛らしい。演じたのは懐かしの千葉紗子で、ウクレレを弾きながらの歌唱パートも担当している。千葉紗子のちょっと低めの声は好きだったな~。
たった4話しかない割にはお話が入り組んでいて、尋祐とあじむの恋模様のみならず、他の人間も介入しての複雑な人間関係が描かれる。
あじむの同級生の竹元涼愛は、実は尋祐と昔会っていて、その関係から運命を感じて尋祐を好きになる。尋祐の友人の和樹は涼愛の事が好きなる。4人が絡む恋になっている。
涼愛もセクシーで可愛い。宮村優子の声も良かった。
そして厄介なのは、あじむには外国に飛んだ元恋人がいたということ。それを忘れるために心のリハビリ中状態なのだが、途中でその恋人が帰って来る。こうなると荒れないわけがない。
昔と今の気になる男子が一度に登場してあじむの青春はごたつくのだ。なかなか運命深い。
一方で男子二人は、老人会のゲートボールにヘルプで入って戦い、思いの外ハマってめっちゃ楽しんで仲良しになっていた。この関係性はちょっと楽しくて可愛い。
ゲートボールに尋祐を誘ったのは尋祐の祖母で、このおばあちゃんが結構良いキャラをしていた。おばあちゃんとは仲良しで、二人で多分プレステ2?で遊んでいた。仲良し家族で良い。
3話の最後の夏祭りのシーンでは、厄介で楽しい恋のコミュニティに参加する皆々が一堂に会して終わる。おまけで和樹の妹もやんわり絡んで来る。これも健康的で可愛い美少女。
この状態から残り1話で落とすとなると相当急ぎ足でいかなければならない。
最終回はもちろんあじむと二人の男子で三角形の恋模様が展開。三角形でもそれ以上角があってもこの手の揉めがちな関係のドラマは大好物である。
終盤では、赤信号に突っ込むばあさんを助けるために、尋祐が車に跳ねられて死にかける。読めないなコレは。こんな大事になるとは。
意識が戻らない彼の横であじむがウクレレを弾き、逝ってしまいそうな魂を引き戻す。愛の演奏だったな。
それから時が過ぎの演出が入り、あじむと尋祐が仲良くいつもの駅を経由して登校するシーンが描かれる。端折るしかなかったけど、なんだかんだあってこの二人がくっつくことになった模様。めでたしで良かった。
海岸沿いで展開する淡い恋模様を爽やかに描く良い作品で、テーマ性やキャラも好きだった。キャラデザは一昔前感があるが、色っぽい感じで好みだった。
そして声優も良い。有名人ばかり出ている。
尋祐は石田彰が演じている。ガンダムSEEDのアスランのキャラがそうだったし、声質から言ってもエリートのモテ男声だから、彼が冴えない童貞臭い男子を演じるのがなんだか新鮮だった。
それとなく主人公達の恋をアシストしてくれたライブハウスのマスターを納谷六朗が演じている。お亡くなりになってもう聴けない懐かしい声だもの。その点からありがたい。
普通に見れる楽しさがあって退屈なことはなかった。しかし4話はやはり短い。
ちょいちょい出てくるデブ女の存在、尋祐の父親が映画関係者であること、涼愛が親と揉めていること、そこら辺の掘り下げが深く出来ればもっと面白くなったと思う。なによりもメインの三角関係をもっと時間をかけて楽しみたかった。
キャラも良かったし、とりあえずオチにしましたの急ぎ足は勿体なかったかもしれない。本数を増やして12話構成でやればもっと面白く出来る余地は残っていた。
と、こんな昔の作品を結構気に入って語ってしまう私はなかなかのオタッキー。
あと、マジで関係ないけど「ナジカ電撃作戦」と並べて読むと、なんだか語感が似ていると思えるニ作だった。ナジカはパンツアニメだったな。ちなみにどちらも2001年作品。
そんなわけで17の年には色々ある。その都合が楽しめる夏にぴったりな作品だった。
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