「影技 SHADOW SKILL」は、1990年代中盤から後半にかけて日本バトルアニメシーンを牽引した楽しい作品である。といってもちょっと前に聞きかじったのを最近になってやっと見ただけで、リアタイの盛り上がりが如何ほどだったのかはまるで知らない。
現在放送中のアニメもばっちり視聴しているが、ぶっちゃけ変なアニメも結構あって「つまんない」と思うこともしばしば。情けない最新作で残念な想いをしたカバーとして、大昔のいい感じの作品を発掘しようというプロジェクトを勝手に発動させた私が今回手に取ったのがこの「影技」だった。どんな縁で時を越えた出会いがあるのか分からない。
一目見ればなんか格好良くて渋くて自然と記憶に残る。そんなセンスあるタイトルが魅力な「影技」を一目みたのは数年前のことだった。いつか見ようと思って先送りしていたその「いつか」に該当する未来が遂にやってきたぜ。というわけで、影技の極意習得のためにその歴史を辿っていこう。もちろん見やすいアニメで。
影技のアニメ化展開は割りと活発になされていて、まずは1995年に50分の単発OVAがリリースされた。好評だったらしく、次には96年に一話30分のOVA第二弾が全3巻でリリースされた。
OVAで下地をバッチリ作ったことで次にはテレビシリーズに進出だ。テレビアニメは、1998年7月から12月にかけて全26話が放送された。
そんなわけで割りとたくさんアニメがあってバッチリ楽しめそうだ。
なお上記アニメ郡は、どれも国内でDVD化されていないとのこと。北米にまで足を運べばDVDがあるのかもしれない。
国内では当時主流だったVHS、LDでのリリースとなっている。画質的にはまだマシなLD版をチェックしていくぜ。
LDは100年持つという触れ込みが当時流行ったらしいが、きっと先にプレーヤーとユーザーが死んじまうぜ。ちゃんと100年後にも見れたのかどうかは、その時まで生き残ったユーチューバーに是非検討して欲しい。というわけでLDに馳せる想いを綴るのはここで終わりにするぜ。
そういえばちょっと前には、「闇芝居」ぽい雰囲気の「影鰐」というアニメがあったなと思い出す。なんとなく幽白の「飛影(ひえい)」、または経験値強奪ロボの「飛影(とびかげ)」の感じもあるタイトルだな。
そんなマジでどうでも良いことを想いながらも視聴スタートだ。
発表順に見ていくことにし、まずは一番最初にリリースした1995年発売のOVAを見よう。
その感想とかを今回ばかりは両手を封じて蹴り書いていこう。
内容
女格闘家のエレ・ラグは、クルダ流交殺法の使い手である。その中でも手技を封印して足さばきで相手を圧倒する技を「影技」と呼ぶ。格闘大会を征したエレは、影技の二つ名を持つ凄い女ファイターなのだ。
そんな彼女が拾ってきた運命の少年がガウ・バンだった。エレは盗賊に両親を殺された孤児のガウを弟として迎え入れ戦士として育てていく。
とある日、二人はガウの両親の墓参りに訪れる。その旅の中でガウは、自分が強さを磨く真の理由はどこにあるのかを求め葛藤する。
真の強さは愛する者を守るために発揮される。旅の中でガウはその答えに辿り着く。
守りたい対象は姉のエレであり、それより弱いなら自分の求める自分の強さは手に入らない。
ならば越えよう、姉を。そうなったガウは、心を決めて姉に挑戦するのである。
墓参りの旅の終わりには、闘技場にて姉弟の魂のぶつかり合いが展開するのだった。
感想
思った以上にハイカロリーなバトルアニメになっていた。作画はいい感じでキャラが良く動く。
「影技」なんていうものだから、もっと闇に紛れての静かなる殺しの流儀が見れると思ったらそんなことはない。破茶滅茶にぶっ壊す勢いで仕掛ける技だった。結構意外な内容。
エレが極めた影技は、手技を禁じた足技オンリー合戦となっている。
現代アニメに登場するファイターの中なら、ワンピースのサンジくんあたりが影技マスターと狙えるかもしれない。というわけで、サンジくんよりも前からいたアニメ界の足技の達人のお話が楽しめる。
傭兵が闘技場でガチバトルする要素から、バキの地下闘技場や「セスタス」の感じもある作風だった。
戦う前に互いに血の盟約を交わしてから「我は無敵なり~」から続きを唱える戦闘前の儀式もカッチョいい。
スカーフェイス、シャドースキルといった中2脳が好んで飛びつきそうな戦士の2つ名も格好良くて好きな要素だった。
ガウとエレの間には、師弟関係と同時に、血を越えて愛し合う姉弟愛が見えた。男女ツイン主役それぞれの愛が見える点が清い作品だった。この二人の過激ながらも真心に包まれた関係性が良い。
ガウの故郷がかなり田舎なので、旅の風景は癒やしの田舎風景となる。そこは癒える。がしかし、獣人の化け物連中に襲われたりと緩急をつけてのスリルも味わえた。
両親にガウの成長を見せてあげようと思って、墓の近くにある木に一年ごとに丈比べの傷を作るのになんかジーンと来る。一年ごとに更新される木の傷の高さが、ガウが少しずつ成長している事を物語っていてジワる。亡き両親を思っての優しい習慣が見えた。
私もチビの頃には祖父母にああして印をつけてもらって成長の記録としていたものだ。
両親の墓参りエピソードは、お盆シーズンの今見るのに丁度良いものだった。
おさげの格闘家のエレを林原めぐみが演じていることから女らんま感がした。この点はありがたい。らんまで培った荒い女の芝居がここに生きている。
時期的にエヴァンゲリオンの綾波レイを演じていた時と近かったはず。他には荒くれ者のリナ・インバースとかも演じていたはず。色んなキャラを演じる林原氏の芝居の対応力が良く見えるというもの。我が青春の想い出の女優の一人である。
というわけで荒くも愛の深い姉ちゃんのエレに結構惚れちまう作品だった。
ラストのガウ、エレの姉弟バトルはめっちゃ激しい。
打撃オンリーなのに、皮膚をえぐって普通に出血するレベルでやりあっている。これが影技か、激しくて恐ろしいぜ。
優しく抱きしめ合うのみが愛ではなく、互いの体を赤き血に染めてまで破茶滅茶にやりあうのもまた愛なのだ。この姉弟のやり口はソレ。
最後のシーンを見るに、姉には一歩届かずガウが敗北した模様。しかし戦士のスランプを脱して真の道を見つけたガウは、晴れやかな顔つきで勝負の最後を迎えていた。すげぇ激しい青春だけど、姉弟が爽やかに手を取り合う良きオチとなっていた。
50分で起承転結がいい感じにまとまっていて、これなら続きを知るために漫画を買おうとなるのも納得な良い作品ナビゲートになっていた。
この姉弟がどうなっていくのかもっと知りたいので続きのシリーズも見ていこう。
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