こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

令和時代になってもこの名作にエレパスだ!「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」

「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」は、1976年7月から1977年3月まで放送された全38話のテレビアニメ。

 

 本作は日本アニメーション初のオリジナルロボットアニメである。それが何を意味するのかお分かりだろうか。つまりは凄い一作ということである。

 

まず最初に

 日々クソ暑い。もう夏休みも終わり、そろそろ秋の足音が聞こえてきてもよさそうなものだが、聴力逞しいこの私の耳に未だその音は届かず。がっかりである。

 太陽が昇っている時間だけは確かに減っているのだが、未だに気温、湿度共に高くて困る。日本の夏ってホント嫌。

 

 そうして暑い中でも、日々コーヒーを飲む習慣は継続したい。だって美味しいもの。アイスコーヒーを作れる環境もあるのだが、やっぱりコーヒーはホットな方が良い。そっちの方が美味しい。というわけで、よせばいいものを元々暑い時に体を熱くするホット状態でガブガブ飲んでしまう。

 全然関係ない話だけど、こんな感じで暑い時に敢えてもっと暑くなってしまう事をやっちゃうのも人間の性だよね。

 

 そんな困った暑さの中、今日も楽しくアニメを見て気楽にブログを書き殴る。

  

名作との馴れ初め

 先日、最寄りの古本屋で伝説のロボ図鑑を手に入れた。それも100円で。

      

    それがコレ   

      ↓ 

廉価)全日本アニメロボ大全集

            

 この図鑑なのだが、ざっくりと感想を言えば素晴らしき一冊になっていた。好評につき、これ以降にも90年代篇、00年代篇と続刊が出た。

 古本屋になかった続き2巻はAmazonでゲット出来た。これにて無事各年代のロボの歴史をしゃぶり尽くす事が叶った。通販ってやっぱり凄い!そして日本のロボ達最高!

 

 そんな素晴らしき図鑑に収められていたロボ情報の中でかなり気になる目を引く一作が「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」だった。なんか存在感がすごい。

 

 どうしてそこまで気になったのかが分かるショットがコレだ。

   ↓

 

 すごい!

 

 登場する4体のロボがこのような陣形を組み、円月廻転で突っ込むことで敵を撃破する。発想が神がかって素晴らしい。

 図鑑の説明には「シルク・ドゥ・ソレイユもびっくり」な大技とあった。確かにそうだな。といってもシルク・ドゥ・ソレイユという物がなんなのかよく分かっていないのだけれど。

 

 この図鑑で知った太古の素晴らしきアクションロボアニメとの出会いをここから広げない手はない。時代を遡って本日でも大昔の歴史を確認出来るDVDという発明があるじゃないか。こんなに素晴らしいサーカスロボアニメならきっと映像化しているはず。で、調べるとやはりパッケージ化していたのでこいつをしっかりチェックした。

 

 では感想とかその他関係ない話を書き殴るようにエレパスするぜ。

 

内容

 約2億年前。火星と木星の間には、異星人の住む惑星があった。だがその惑星は消滅してしまった。

 母星の消滅前に脱出した者達は地球に逃れ、それからは海底でひっそり生活していた。そんな彼らをモグール人と呼び、モグールで構成された地下帝国をモグール帝国と呼ぶ。

 

 暗き海底で生きる中でモグール人は、太陽光線の下で生きていけない体になった。しかしある時、モグールの科学者が太陽の下でも活動が可能なマスクを発明してしまう。これにより太陽の下でも活動可能になったモグールは、地上に出て人間世界の侵略を開始するのだった。

 

 そんなモグールに対抗して由利博士率いる「ブロッカー軍団」が立ち上がる。

 生まれつき人に備わる「エレパス」という強い超能力を持つ4人の戦士達が集められ、エレパス能力で起動できる4体のロボ「マシーンブラスター」に各員が乗り込む。

 ロボクレス、ブルシーザー、サンダイオー、ボスパルダーの4体のマシーンブラスターは、チームワークが産む合体技を駆使してモグールが放つ巨大ロボを打ち倒すのだ。

 

 ロボクレス       ブルシーザー    サンダイオー   ボスパルダー

 

感想

 

 素晴らしい作品じゃないか。なんでもっと有名になっていないんだ。

 多分スパロボとかにも出ていないのかな。マジで今まで知る機会がなかった。

 

 OP曲から既に格好良い。小林亜星作曲の名曲だった。

 ED曲は爽やか歌謡曲で油断していると一瞬新沼謙治の「嫁に来ないか」を聴いているような気分になる。

 

 メインで登場する4体のロボがどれも格好良い。超良いじゃないか。ビジュアルが最高だ。どれも推せる。4体セットのフィギュアをゲットしたいくらいだ。

 

 マジンガーみたいに頭部に飛行ユニットが合体することで各機が起動する仕組みになっている。それぞれが「そう合体するのか」というバリエーションを見せているのが良い。

 

 そして合体技の爽快感よ。デカいロボでこの運動性は素晴らしい。

 4人小隊ということで、ロボでお届けする「ジャッカー電撃隊」的な良さがあった。

 

 円月廻転が一番の看板技だけど、他にも外側を向いて円陣を組んで廻転して敵をぶっ飛ばす「不動組み」という技も良い。アイデアに富んでいるな。

 ジャッカーコバックの外向きバージョンみたいでコレもお気に入り技。

     ↓  

 

 

 敵のロボも格好良かった。それぞれのロボは動物をモチーフにした物が多く、たまに人型のも出てくる。モグールの連中もずっと海の底にいた割には、地上の生物をよく知っているんだと思えた。

 

 この時代にしてはアクション作画を頑張っているのではないだろうか。ダイナミックで見ていて気持ち良いロボアクションが楽しめる。普通にロボが良いし、お話としても退屈なく見ることが出来た。

 

 ロボといえば、戦闘向けではないけど、主人公達をサポートしてくれるピコットというロボも登場する。アトムとチャージマンを合わせたような小僧型マスコットロボだった。

 

 メイン4人のキャラも好きだったな。

 メンバーの内リーダーの石田厳介は最初からいるけど、その後にはレーサーのビリー剣城、少年院から飛鳥天平、早見仁太を連れてくる。

 1話の段階で敵の進行はかなり進んでいて、こちらはそれに対抗する準備が出来ていない状態になっている。厳しいスタートだった。

 それだけに遅れて合流した3人を連れて来た方法は結構手荒で、推理小説でよくあるクロロホルムを染み込ませたハンカチで眠らせて強制連行という形が取られた。普段は冷静で情に厚い由利博士が手段を問わずの招集をかけた第1話冒頭の緊張感はなかなかのものだった。いくらなんでもあんまりだと後で天平は文句を言っていた。それは分かる。

 

 後で分かるけどビリーは世話になったエンジニアと組んでレースに挑んでいた途中での連行だった。神隠し状態だからビリーの関係者が困っただろう。

 メンバーの半分を少年院から連れて来ているというのも珍しい。どちらも服役期間が残っている状態だけど本人の許可なく引っ張ってくる。

 

 少年院から来た天平はやはり気性が荒く、メンバーの岩田と喧嘩したり命令無視を行ったりと軍団内で揉める事が多かった。でもこの豪快さの中に男らしさや優しさがあり、乱暴だけど冷静に頭を使うことも出来る良さもった。

 こういう豪快で芯の強い主人公も最近では珍しいのか。なんだか久しぶりなキャラ性に普通に良いなと思えた。現実離れしていると視聴者が共感出来ないということから、最近の主人公には敢えて無個性に設定されたヤツが多く存在する。薄味な人間性には現代人にマッチしたリアリティも確かに見えるが、ガッツリ濃い口なキャラ性もやはり良い。

 

 天平が実は人間とモグール人のハーフという事が判明し、その事実に悩み葛藤するドラマ性が見えるのも印象的だった。実はこっちにつきながらも、向こうの出だったということで苦しむ主人公の物語は他にも結構あって、そういうのに見る深いドラマ性が好きだったりする。なのでこの設定も結構好きだった。

 

 内容も面白かった。プロジェクトとしては成功であり、本来は半年放送の予定だったのが、好評につき3クールに伸びたという。そりゃそうだろうな。だって素晴らしかったもの。次代に残したい一作だ。いや、よろしければ先代の教えを受けず、己の足で発見まで到達して欲しい一作でもある。私も誰に教えられることなく自然とこの名作にたどり着いて感動したのだ。

 

 敵との合戦はかなり厳しく、中盤では基地が半壊状態に追い込まれ、こちら側のボスの由利博士が下半身不随となり、以後は車いす生活になる。この点から戦いの激しさが分かる。家族、友人など、主人公たちの周囲の人間が敵に殺されることも結構多めだった。岩田の母が亡くなるとことは可哀想。モブに厳しく、モブ達は何人と逝ってしまっている。

 

 好評につき二度登場したゲストキャラのカミソリのヤスが好きだった。やり手のエージェントで、その手の業界では「007かヤスか」とまで言われているという。格好良い逸話。007と肩を並べるおっさんとかすげぇな。

 老けすぎているしハゲだから最初は天平から「じいさん」呼びされていたけど、実は45歳だった。意外に若い。初見だと悪者のジジイと思ってしまったことはゴメン。

 気づけばそこにいて、また気づけば去っているという神出鬼没の勇姿だった。いいキャラをしている。

 ヤスのエピソードではヤスの渋格好良さがしっかり見えて痺れた。

 

 天平が悪者ヤクザと戦って倒すだけでロボット出撃が無いという変わった回もあった。基本1話完結のロボ物でこれはイレギュラーなので記憶に残る。「あれ、今回はロボ出たっけ?」となって巻き戻して確認してしまう回だった。

 ロボ無しなのは別にサボりではなく、天平のキャラが良いからロボなど無くともそこを活かして一本ドラマを書けたというキャラの成功例なのだろう。

 天平もこれはこれでヤスばりのカミソリだから、この危うさが見ていてスリルがあって良い。そんな若さ弾ける男だった。

 

 一度酷い回があり、その回ではあくまでフリだったけど、モグールが侵略を諦めて地上から撤退する流れになる。敵がいなくなればブロッカー軍団は解散となり、そうなると天平は少年院に戻ってもらうことになる。仁太はブロッカー軍団での活動期間にお勤め期間が終わっていたのでセーフだった。

 訳もわからない間に誘拐されてロボに乗せられ、命がけの戦いを行って地球を守った勇者に、いくらなんでも再び少年院送りは酷い。

 実際にはまずこんな事はありえないが、これが実際にあったらどうなるのだろうか。特例で期間を無視して少年院の外に出て、特例が解けたら直ちに通常ルールで少年院に戻るのか。納得出来る部分もあるけど、特例に振り回される当人が可哀想。

 天平を少年院に戻す処置をした上層部の人間はモグールに買収されていたと分かり、モグールも悪いけど、それに乗っかる人も怖いと分かる回だった。

 

 敵の軍団は諸々良い感じの女ボスが統率し、幹部には大柄の間抜け男のゴロスキー、痩せた小悪党のザンギャックと、どこかで見たような布陣が見える。すぐに気づくがタイムボカンシリーズの3悪人だな。

 クレジットにタツノコの名は見えないけど、そこから独立した会社がアニメ製作に関わっているとのことである。なのでこのようにどうしようもなくタツノコ臭がする仕上がりになったようだ。香って不快無き懐かしのタツノコ感も良い。

 

 女ボスは序盤2クールはヘルクイーン5世が務め、彼女が亡くなった後は妹のヘルサンドラが後任する。どちらも顔の上半分を覆うマスクをして口元は出ている。ライダーマンスタイルなわけだが、なんでだろうか、女がコレをすれば絶妙にエロく見える。二人共下の顔はオープンにされないけど、絶対イケてる女なのだと思う。

 

 ヘルサンドラの方はかなりのじゃじゃ馬ギャルで、ボスなのに基地でどっかり構えるのではなく自分で前線に乗り込んでくる。荒い女だが、この活発な攻めまくりスタイルは悪くない。

 後半の気になる展開は、性格的にもマッチするものがあってか、ヘルサンドラと天平との間で敵同士ではあってもなにやら浅くはない絆が見えてくる点。

 どちらのボスも天平の事は高く買っており、モグールの血が流れていることから組織に勧誘してくることがあった。ヘルサンドラの方が特に天平を欲しがっていて、もしやその想いはラブだったのかもしれない。

 最後には人間ではなく天平に負けたのだと深い意味にとれる言葉を吐いて逝ってしまう。敵も結構魅力的だったな。

 

 ラストのちょっと変わった仕掛けは、人間サイドよりも敵サイドからモグールの滅びる瞬間を描いていること。こうして敵の内情も見えることで、戦争全体の空気感を掴むことが出来る。

 戦況不利な状態で人類から和平交渉があったのに、それでもなお話を蹴り、あくまで武人として戦うのみを貫いたヘルサンドラは結構好きになれるヒロインだった。平和の道を見ない愚かさも見えるが、最後まで戦いに生きた姿には強い女を見ること出来てちょっと萌えだった。無念の涙を流して逝くヘルサンドラの最後は心に残る。

 

 ヘルサンドラ達の視点から描く悲しい最後は、見世物としてはスッキリしないオチで、なんともモヤるものだった。勝った方がヤッターを叫んでめでたしな単純構造ではなく、生き残った天平は敵を倒したことで訪れる平和と共にたっぷりの悲しみを感じることになる。

 実際のところ、戦争のオチってこれなんだと思う。殺されてしまえば当然悲しいが、殺し尽くして生き残った方もそれでスッキリ気持ち良いわけではなく、やはり悲しいのだ。オチにはなんともいえない気持ち悪さがあるが、それが戦いの真実なのだろう。

 こうして子供向けではなく、大人向けに戦いの終わりの真実を描いた点は胸に刺さる良さがあって好ましい。

 

「戦いは正義も悪も区別なくすべてを奪い去る」という深く刺さるナレーションを津嘉山正種が読み上げて物語は終わる。ビリー役も兼ねたこの人ってカイジの兵藤会長の人だったのか。あのクソジジイと同じとは思えないイケボだった。

 

 派手なアクションで魅せる娯楽性に富んだロボアニメであり、一方では戦う者の心理をシリアスに描いた快作だった。

 

 君もこの名作「ブロッカー軍団IVマシーンブラスター」にエレパスしてくれよな。

 

 

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