こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

恐ろしき性「殺し屋1 THE ANIMATION EPISODE.0」

殺し屋1 THE ANIMATION EPISODE.0」は、2002年9月27日に発売されたOVA

 約50分のバイオレンスでスリリングな物語が楽しめる。

 

 今から20年前に発売されたものだ。こんな作品が20年前にあったとはまるで知らなかった。教えてくれる人もいなかった。

 調べると、まず原作の漫画があると分かる。こちらはかなりバイオレンスな内容らしく、とても一般向けとはいえない会心の出来になっているとのこと。そんな原作では描かれていない原作1話よりも一歩前の世界を描いたのがこのOVAなのである。

 なるほど、そもそも知らない漫画本編のもっと前の世界とか完全なるブランニューワールド。新しい世界を見る楽しみを持って本作を視聴。

 で、これがとんでもないアニメであり、なかなか類を見ないショッキングな内容になっていた。マジですげぇな。OVAでないと出せないわけだ。テレビでは無理な激しくイレギュラーな世界を覗くことが出来た。

 

 タイトルが既に物騒だが、内容も当然それに同じくである。イチという名の殺し屋を主人公にした物語であり、テーマには当然「殺し」が含まれている。そこに加えて過度な被虐心と加虐心というインパクトの強い要素が並ぶ。すごくカオスなミックスジュース状態になっている。

 殺しというタブー、そして人がきっと持っているであろう性癖のとびっきり歪んだ部分を抉る。これは怖い。が、こういうのも一つの真実なので私としては楽しめた。

 

殺し屋1 THE ANIMATION EPISODE 0 [VHS]

 

 物語が始まっていきなりのシーンでもうデンジャラス。

 特殊なバトルスーツに身を包む冴えない青年、その前にはバリバリの殺し屋面のおっさん。ミスマッチな二人がマンションの部屋の前で落ち合う。

 冴えない青年がイチこと城石 一。おっさんに針で鼻を刺されたイチは泣きながらおっさんに迎撃をかまし腕を吹っ飛ばす。そこからは泣きながらおっさんを追いかけてブーツに仕込んでいたカッターで攻撃。カッターでおっさんの服が裂けるとなぜかその下はロープで体を縛った状態。

 

 もうわけが分からん。コイツらは何をやっているんだ。最初から怖いしキモイしグロい。

 でもこの二人が出会ってこうなるのが漫画の方ではハイライトシーンらしい。

 

 そこからは時間が過去に巻き戻ってイチの学生時代の物語になる。

 イチは少年院に入っていて、謎のおっさんがそれを引き取りに来る。では、なぜ少年院送りになったのかというイチのとんでもない学生時代を追う展開に入っていく。

 現在は強い殺し屋のイチは学生時代に酷い虐めを受けていたと判明。クラスメイトからはプロレスごっこにかこつけた打撃でのいじめを受けている。

 

 クラスでイジられる流れから、理科の実験でカエルの腹を割く役がイチに回ってくる。この時、命を奪うという事に対して、イチは過度な興奮を覚え、股間をエレクトロさせてしまう。カエルの前でそれまで知らなかった自分が覚醒し、イチはそれに激しく興奮する。この性の目覚めのシーンが色々すごい。

 いじめられっ子だったイチの中には、暴力で相手を傷つけることで興奮するS気質があったのだ。何がどうなってこういう事になるのか分からないものだ。実は両親もSとMに別れて夜のお楽しみをしていたことから、イチにも遺伝子的にその素養があったのかもしれない。

 

 ここからイチがどんどんおかしくなっていく。カエルで目覚めた次には、野良猫、次には学校で飼っているうさぎをキルしてしまう。気の弱い少年なのに、それとは別に性的欲求を満たすための暴力衝動は止められない。異常性癖がしっかりと目覚めている。

 同級生の一人にうさぎを殺した事がバレてしまい、そこからは口止め料を求められる暴力とは別の攻撃を受けることになる。散々だな。親の金を盗んでまで口止め料を払うことになる。

 ここからまたおかしいことになる。口止め料を払った同級生と少し揉めて鼻を殴られた時、イチは鼻血を吹き、そこから精神がおかしくなって泣きながら同級生をボコボコにしてしまう。

 次には、金を取ったことを問い詰めてきた両親をバットでキルしてしまう。こうして晴れて少年院送りになる。

 

 イチは記憶に蓋をして事件を覚えていない状態で少年院から出てくる。怖いのが、描かれる内容の一部はイチが勝手に付け足した記憶であり、実は現実には無かったシーンも含まれているということ。良く分からないが精神が乱れていると暗黙の内に記憶の消去、付け足しを行ってしまいがちらしい。

 

 少年院を出た次には、柔道道場で知り合ったドがつくマゾ女から暴力を強請られることになり、女を蹴って逃亡。その後には絡んできたチンピラを泣きながら惨殺してしまう。マジで酷い話なんだけど。マゾの女もおかしい。

 

 少年院からイチを連れ出したおっさんには、殺し屋としてイチを覚醒させて仲間にする算段があったと分かる。この先の本格的に殺し屋稼業を行う世界は漫画で描かれることになる。

 

 いじめられた記憶がトリガーとなってバイオレンス衝動がこみあげ、イチは泣きながら過度な迎撃をかますことになる。この泣きながらすごい暴力を振るってくるのが気味が悪い。チンピラをすごく雑かつスマートに始末してしまうシーンはグロいので要注意だ。

 泣いている状態で殺しを行い、それによって股間はエレクトロしている。これが性の解放を迎える行為になっている。真正のサディストとして極めて歪な形で描かれるイチのキャラ性はヤバい。

 

 映像特典に関係者座談会が収録されている。一般的な人間心理から大きく外れるこんなキャラの言及を行う役目として、ゲストには精神科医を招いている。何だか本格的。

 実際の犯罪者の中にも、性の解放を目当てに事を起こす者がいるだろう。怖いけど納得出来る点もあるから仕方ない。

 

 異常性癖を反映した殺しの過程をリアルに描いたもので、第一印象としてはイカれたアニメと思えてしまう。しかし、これも一つの人間心理の真実として見れる資料ビデオ的役割も果たしているのかもしれない。

 

 人が持つ闇の深淵を覗いた気になる変わった一作だった。濃密な内容であり、心理描写には全くの嘘とは思えないリアリティがあることから、見た分の時間は充実したものとなった。決して人には勧められないが、結構好きな世界観と熱量の作品だと思う。

 漫画と実写映画もあるという。そっちもちょっと気になるな。

 

 というわけで珍しい殺し屋の話だった。

 

 

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