こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

天才バスケットマンここにあり!「スラムダンク」その2

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 個人的に花道は坊主の方が好きかな。

 髪が長い時だって格好良かったのに、なぜ連続で50人に振られる可哀想な目にあったのだろうか。

 

みっちゃんの青春

 スラムダンクを最初から見始めてここが刺激的で面白いと思えたのが、みっちゃんこと三井寿がバスケ部を襲撃してくるエピソード。

 

 本作は今以上に不良が元気だった時代の作品だという。私よりもその時代と親しい私のお兄ちゃんが言うには「あの時代はまだまだ不良が元気だった」ということだ。こうして証拠がある。

 

 清いバスケ漫画であると共に、もうひとつ輝く要素が不良漫画であること。

 みっちゃんが鉄男、竜、堀田のノリちゃんらを引き連れてバスケ部を潰しに来るエピソードは、現代で見ると結構過激。リアルにありそうと言えばそんな感じもする不良ならではのシンプルなカチコミだった。

 

 東京リベンジャーズとかもそうだけど、不良抗争って何か好きなんだよな。

 不良まではいかないが、パンピーの同級生複数が集まっての抗争くらいなら、私も傍観者として、時にはプレイヤーとしても楽しんだ経験がある。なので、アニメでもその要素があれば何か燃える。

 文武両道アニメ上等な私は、アニメに限らず楽しい事なら何でもやって来たんだよな。

 

 このエピソードでは、バスケットマンモードを封印して流川、宮城、花道が不良相手に大立ち回りするからバトルものになって楽しかった。

 不良軍団に抵抗したら暴力事件で部活は潰れる。だから手は出せないだろうと見越した上のセコい作戦で三井軍団は攻めて来る。それに対して花道と流川が「殴っても後で揉み消すから大丈夫」と意見を合わせて手を出すのが豪快で面白い。

 穏便に事を済ませようと思っていた宮城も、愛しの彩ちゃんに手を出されたら愛の力でブチ切れるから乱闘がもっと面白くなって来る。

 最近のアニメと比較すると結構過激な喧嘩で、流血など当たりまえ。モップで人の頭を殴るとかマジで痛そう。流川が一番血まみれになっている。

 

 三井が連れてきた鉄男がおっさんすぎる。コイツだけ北斗の拳のキャラみたくなっている。もちろん強い。

 それを上回ってまだ強いのが花道である。狂戦士の鉄男をもボッコボコにしてしまうからすごい。この戦闘力だから、青田が初期から最後まで柔道部に引っ張り込もうとしたのも分かる。あの柔道バカも面白かったな。

 

 いつもおバカな桜木軍団がここではちょっと格好良い。バスケ部を助けてくれる。

 花道が最強だが、残りの4人も実は強い。中でも水戸が頭一つ抜けて強いと分かるのが意外。意外と言えば、森川智之が水戸を演じていたんだな。この時はまだ若い。それが今では社長だからな。海南の清田も同じ声だったな。

 桜木軍団のデブの高宮も愛せるキャラで良い。塩屋浩三が演じているので、宮城役の塩屋翼と合わせて塩屋ブラザーズの共演が見れる。これはありがたい。

 

 ここで三井が小暮をビンタしたらメガネが飛び、初めて小暮のイケメン素顔が本編で拝める。大人しそうなメガネだけど外した時にはイケメンな流れってここからあったのか。

 元仲間ということもあってか、小暮に対する三井の攻撃は他と比べて弱めだった気がする。善良な小暮とヤスを殴ったことは許せんと思ったが、後にみっちゃんは良いやつになるからまぁ忘れよう。ヤスはここで意外にも男を出したよな。

 

 このエピソードの上手い配置は、ゴリを騒ぎの中心に置いていないこと。ゴリが課外学習で部活への合流が遅れたことで事件は難化した。そして安西先生がいないこともそう。

 考えてみれば、ゴリが最初からいたら皆殺しにして簡単に事件が収まっていただろう。実際にゴリ合流時には、このメンバーにゴリが加われば皆殺しにあうと堀田のノリちゃんが判断し、早々に降参してくる。みっちゃんを助けるためならゴリにすぐ降参するノリちゃんの想いが見えるのがちょっと良い。「赤木」呼びが途中で「くん」付けになる辺り、堀田のビビりぶりもマジだと分かる。もしかすると作中最強キャラはゴリなのかもしれない。

 そしてみっちゃんを黙らせる一番の材料の安西先生が最初からいたら、みっちゃんも即浄化された髪を切っていたことだろう。

 

 スラムダンクなんて知らんという人の中にも、それだけは知っているという者がいるくらい有名なシーンがここでぶっ込まれる。

安西先生、バスケがしたいです」という三井が魂から絞り出した叫びが聴ける。ちょっと泣くよなぁ。これが名シーンである。令和時代に入って再びコレが見れて良かった。

 あれだけダークサイドに行っても、やっぱりみっちゃんはバスケと安西先生が好きだったんだなぁ。先生と三井の深い絆にも泣ける。

 

 ロン毛で歯が無い時代の三井は清潔感に欠けるが、脱不良後には小綺麗なスポーツマンになる。鉄男が似合っていると褒めるのも分かるというもの。

 あの流れでこんな不良の三井が仲間になるとは、初見では見抜けない。だって堀田の仲間だぞ。

 中学MVPとはいえ、あそこまでのことをされてよくバスケ部の皆は許してくれたな。ヤスは心が広いから殴ったことはすぐに許していた。

 

 三井の不良仲間が後で良いヤツと分かるのも良い。

 怖い不良なのに堀田はノリちゃん、三井はみっちゃんと呼ばれているのがちょっと可愛い。

 あんだけ怖かった鉄男も後でいいヤツになる回があるし、一応表番を張っている堀田もみっちゃんラブないいヤツだった。

 みっちゃん×鉄男、みっちゃん×のりちゃん、この2つの組み合わせは好き。

 

「炎の男 みっちゃん」と書いた旗を持って試合の応援に来る後の堀田も愛せる。いつしか応援団になっていた。

 俺たちの友達だったみっちゃんがバスケで活躍するのが嬉しいと堀田が言った時に、三井が「今でも友達」と返したシーンにはグッとくるものがあって泣けた。ただ暇人が集まっての付き合いではなく、そこには確かに友愛があったのだ。これだから不良の友情は熱くて燃える。まぁ本当を言えば最初から善良でヤレやとは思うけども。

 

 堀田と仙道の声はどちらも大塚芳忠というのも注目ポイント。大塚芳忠が学生役で出るのもレアだな。仙道ももちろん好きだが、堀田が意外にも良い。

 いつしか堀田がドスの効いた声で言う「みっちゃん!」を待っている自分がいることに気づく。コイツかなり好きになる。

 それから全話通して見ればどうしても気づくけど、兼役の出演者が多い。違うキャラなのにあちこちから同じ人間の声がする。これは私のお兄ちゃんも気づいていた。

 今はガヤ、モブにも専用要員を用意する時代だが、この時分にはたくさん役者を呼べない都合があったのか、主要メンバーが脇役も兼役で演じることがザラにあった。

 

 三井というキャラにはドラマがあって良かった。

 バスケ部合流後のお気に入りのエピソードは、陵南戦後半で三井が倒れて戦えなくなってしまうところ。

 疲労と脱水で全身に力が入らない状態になり、ジュースの缶だってまともに開けることができなくなる。そこでみっちゃんが悔し泣きするところが可哀想で胸が締め付けられる想いになる。ここに泣ける。

 グレて2年間バスケをサボったペナルティが下ったシーンがココになる。厳しいけど、原作者は三井を簡単に許さなかった。

 なんて無駄なことを2年間もやっていたんだと猛省する三井を描くこのシーンには胸が痛んで涙が出る。己の未熟と過去の罪を悔いる少年を描くリアルなシーンには人間ドラマを感じた。堀田と共に頑張れみっちゃんと応援したくなるシーンだった。

 でもこの試合で安西先生の遺影(まだ死んでいない)を持って来てベンチに置くみっちゃんは面白かった。

 

 楽しい不良要素と言えば、桜木軍団がバイクの4人乗りをすること。今でも昔でもアウトだろう。4人で乗るとかバカすぎる。花道を入れて5人の時もあった。

 高校生なのに桜木軍団が休日にパチンコに行っているシーンもあった。こんな感じで不良の青春を辿る目的で見てもそこそこ楽しめる。青春はなにもバスケだけが全てではない。

 

ゴリが最高

 赤髪の高校生という強いアイコンがある中、若い学生なのにおっさんみたいなゴリ顔がいるという要素も同じくらい目立つ。ゴリも花道に次ぐ作品の看板キャラだ。

 作中における赤木、おまけに魚住の顔の存在感はすごい。デカくておっさんすぎ。

 

 全キャラでの中でだと、ゴリこと赤木剛憲が一番好きかもしれない。秀逸なキャラ性だな。

 コイツすげぇ格好良くて熱いヤツじゃないか。バスケが大好きで誰にも負けたくない闘志があり、皆を支えるチームの柱にもなっている。あんな顔して優等生で成績も優秀、クラスの人気者で妹にも慕われている。バスケだけでなく喧嘩とメンタルも強い。

 

 今思えば、問題児キャラが多い本作においてゴリ、小暮はめっちゃまとも。二人がいなかったら湘北チームは終わっている。

 アニメ後半回では、テストで赤点を取ったら全国大会には出場できない問題が浮上する。ゴリと小暮は突破するが、花道、流川、宮城、三井は赤点地獄にはまってしまう。レギュラー4人とよその部の青田まで赤点を取っている事に笑った。ゴリとメガネくんは勉強も出来るスポーツマンで偉い。

 学力がかなり危ないチームだったんだな。単位が取れないと部活が出来なくなるから高校のルールも割りと厳しい。

 

 可愛い妹の晴子から好かれる良き兄貴である点も良い。高校生のお兄ちゃんともなれば、口を利かないという妹も多くいることだろう。でもこの兄妹は仲良し。ゴリが夜間に部屋で筋トレをしているところに、晴子が遊びに来て仲良く会話をしているなんてシーンもあった。あそこはとても微笑ましいシーンだった。

 

 というか暑苦しい野郎まみれの中で晴子と彩子の存在はマジで貴重な清涼剤。花道の人生のヒロインである晴子の事は徹底して可愛く爽やかな存在に描いている。やっぱり可愛いヒロインって要るよな。野郎まみれは嫌だもの。晴子は推せる可愛いヒロイン。

 それから赤木兄妹はマジで顔が似ていない。兄貴がおっさんゴリラで妹が可愛い美少女というキャラ設定も面白い。そういえば自分の親は元々他人同士だったんだなという真実に改めて気づく事案。

 

 ゴリの青春サクセスもなかなかのものだった。

 一人だけデカくて強くとも先輩や同級生はたるんでいるから上まで行けなかった。

 高校一年生の時に小暮と一緒にバスケの試合を観に行くと、既に同期の牧、藤間はエースとして試合に出ていた。二人が戦う所に参戦できないのが悔しいゴリの想いがよく見えるこのエピソードも熱くて好きだった。

 それから2年後にはライバル達としっかり肩を並べて戦えて本当に良かった。

 

 原作でもそうなのか、たまにゴリや魚住がデフォルメされたゴリラタッチで描かれることがある。あれも愛らしい演出で良い。

 陵南戦後には、ゴリと魚住が抱き合うシーンがある。そこでも二人がゴリラタッチになっているのが可愛い。

 

 素人の主人公とは違って生え抜きのバスケットマンであるゴリや小暮が大成する青春物語として見ても泣ける。

 

ラスト展開

 テレビアニメは、湘北が全国を行きを決めて会場に向かうところで終わる。大会は広島で行うらしい。神奈川からだとかなりの遠出になるなぁ。この続きが無いのが残念。

 その前には全国にはこういう凄い奴らがいるというキャラ紹介のみが行われる。後は漫画を買えってことね。

 今度新作アニメをやってくれるということなので、それなら是非全国を描いて欲しい。

 

 肝心な全国が見れない代わりに、アニメラストの盛り上がりとして、陵南と翔陽の合同チームと湘北が戦う熱いエピソードがあった。

 試合のために釣り好きの仙道を引っ張ってきたり、板前修業に入ったビッグ・ジュンが舞い戻ってきたりと最後まで熱かった。

 ここでは魚住が良い。バスケットマンの他に追いかけたもう一つの夢の板前の道を歩み出した時になって再びコートに帰って来る。ここでビッグ・ジュンの青春に一つの決着がつく。ゴリとのラストバトルも熱かった。

 

 魚住も推せるんだよな。あんなにデカいおっさんなのに、一年生の時には吐くほどキツイ練習に参って泣いてしまう過去も描かれた。ビッグ・ジュンが随分スモールに見える若き日々があったのだな。そう思えば、あのジュンでも可愛らしく見えてくる。

 田岡監督が、選手のことはいくらでも強く出来るがデカくは出来ない、だからデカいだけだって十分才能だと言ってくれる所には泣ける。ここでは亡き石塚運昇の芝居が光っていた。

 

 翔陽の藤間もイケメンで良かった。監督とプレイヤーを同時に行う器用な選手だった。野球なら古田がこういう事をやっているらしいとお兄ちゃんから聞いた。

 こちらも今は亡き懐かしいお声となってしまった。辻谷耕史のイケボが大変良かったぜ。

 

 仙道も主役級に扱いが良いすごい選手だったな。彦一の姉ちゃんの激推し枠だったし。

 彦一の「要チェックや!」のセリフは名台詞の一つだな。つうわけで、今後の新作アニメも要チェックや!

 

 

 テレビアニメの他に劇場版が4つもあるが、それぞれがテレビエピソードの間の話であり、テレビ放送に還元出来る良い出来だった。単品で見てそれぞれが面白い。

 4作目では流川とその後輩との心が温まって熱くなるエピソードが見れた。4作目のヤツが一番良かったな。普段は無口な流川の熱いパーソナルな部分が見えるのが良い。

 

 というわけで映像化した分は全部面白かった。101話+αの長いアニメだったが、面白かったので全然退屈しなかった。スラダンが好きだと叫びたくなる素晴らしい出来だ。名作よフォーエバー。新作にも期待する。 

 

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