2023年が華麗に明けた。見事に明けた新年の開幕ともなれば、よっぽど無気力な者でもない限りは、素晴らしいスタートを決めたいと望んで当然だ。無論私もそうだ。
いつだって去年を越えて盛り上がりたい。なんならもっと刻んで昨日を越える今日であれ。または昨日の自分を倒せる今日の自分であれ。そのくらいの事を思い、日々魂の灯火を火力【強】に設定している。
がしかし、そうして人生というトラックを元気に駆け抜けたい孤独のランナーの私のガソリンとなる今のアニメが何か色々やばい。
まだ確信には至らないが……いや、実は至っているのを認めたくない私の精神が最後の抵抗を見せているのかもしれない(←本人以外には謎すぎる)。
というのが、ざっくり言ってしまえば、多分ここ数年で最底辺クールを迎えたかもしれないということなのだ。
転生、召喚、なんかの属性で最強、安易なハーレム、魔法、スローライフ、追放、農民、悪役令嬢、ゲームの中、ガバガバな愛しき世界観などなど、狭義のジャンル分けをすれば様々あるが、広義でざっくりまとめて「いつものヤツ」で済む有象無象がマジですごい。同じ有象無象でも膨らみが前期を遥かに凌ぐ。
もう毎日異世界系アニメを放送している。この状況を私は心配している。
この手のジャンルが豊作状態にあるのは、イコールして日本アニメ全体が不作であるというなんだか矛盾した状態にあると判断する。豊作が不作に感じるとは、何とも不思議ロジック。そんなロジックの破綻を呼び込んでくれた異世界ものの群衆に困る。
本日の段階で、1月スタート作品も大方が出揃った。異世界系のものを全部チェックした。10以上なんて余裕である。
ネットで放送スタート作品一覧を見れば、もうタイトルだけでヤバいと当たりがつくものも多くある。まぁこれらは内容がのヤバさが見る前から分かることからある意味では親切設計だと評価する。
ヤバいなぁ。まだそれぞれ1話を見た段階だが、多分9割を越えた作品がココで終わっている。つまりピークポイントとなる出オチ要素が登場する第一話以降は、失速というか蛇足の世界になって行きそうなのだ。
たくさんある中、多分今期で一番危険なのは、氷剣を持つ剣士のやつだと思う。今のところは内容、絵共にザコい。
怖いことに、個人的には去年の異世界枠の中でも最低空飛行の部類に入る怪作「陰の実力者」の2クール目も新年へと頭を突っ込んで行くことになる。新しいのがこれだけある中、去年の敗戦処理も残っている。これは疲れる。
まじで手を変え品を変えの類似ネタの応酬がすごい。これって与えられたアイテムが全く同じという条件下で、数多の芸人がモノボケ合戦をやるような物なんだよな。
いくら作戦を変えても、扱う武器とそのスペックは一緒だから、アイデアを集めてもいつかは既視感が常となり、例え新しい物を見ても新鮮味がなくなってくる。そうなった時が人の心に「飽き」が産まれたときなのだ。今がそうなのだろう。
ここではないどこかへ、ここでは出来ない何かを、それでいてとにかく楽しい。
私はそれが可能な世界を夢想する事が昔から好きだ。というか大体の人はそれをやって快楽に浸っている。暇潰しにもなって良い。
だから全く現実的でない異世界でファンタジーする物語が展開するものだって本来は大好物なのだ。しかしなぁ~、やはり好きなものでも胃に押し込みすぎると不調を来す。食傷気味になったり、それも行き過ぎると致死量摂取となる。これも今がその時なのかもしれない。
だが同時に、自分を育ててくれた世界観でもある。どのファンタジーも根っこはある程度繋がっている。最近のはそうだ。
大体の作品が「しょうもなっ!」の感想が早い段階で出てくる内容なのだが、そこまで文句を言っても最後まで見てあげようとなる。結局はアニメが好きだし、私は付き合いがよく辛抱強い。そんな事情からしょうもない類似した色んな世界を見るのだ。
新顔がたくさんある中、人気作の続編も目立つ。新旧合わせてもっとヤバい数になるからやっぱりその結果はしっかりヤバい。
というか、今期は全体数を見てもかなり多い。多分前期より作品が多いのではなかろうか。今年を一週間生きて来て想うのは、この数を捌くのは例えニートであってもきつい。会社員ならもっとやばくない?
待ってましたのダンまちⅣ後半戦はかなり優秀。異世界作品にだってまともなヤツがある。そんな感じの威厳を放っている。
久しぶりの新作となった「防振り」も可愛いし楽しい。昨今は女子が主役の異世界ファンタジーも増えたものだが、これの一期の時には割と新鮮だったよな。
ここら辺は見逃しても良いが、異世界洗濯屋の2は駄目だ。あれの1期も全部見たけど虚無すぎた。あの段階でやり尽くして試合の本編よりもロスタイムが長い暇な状態だったのに、2までやって内容としてやる事があるのか?
まぁそれが無いと映像化は無いのだが、内容が「あるのに無い」というのが昨今の異世界ものの定石だからな。恐ろしい虚無時代がやってきたものだ。
そして放送はまだだが、すぐそこに迫っている恐怖が「進化の実」の新作。
恐怖の駄世界ファンタジー再び。この負の売り込みで私の中のトレンドを取ったのはすごい。
私は覚えている。1期放送が終了した時点で、ココに続編があるなら笑えると記した。まさかまさかの笑ってしまう未来がやって来た。新年の笑う門に訪れた福がコレか。望まぬお年玉だな。まぁこれも慎重に見るかぁ。花澤香菜がいてくれるのがせめてもの救いだぜ。このアニメは花澤香菜にマジで感謝しないとな。
というわけで、過去作の続編枠にもなんかやばいのが潜んでいる。
もう異世界で日本アニメ全体の質の底上げは難しいというか、無いのではなかろうか。と言っても私個人の意見だが。
逆に日本で泥臭くもがくリアルヒューマンストーリーにこそ吐き気がするという異世界に侵食されたオタクもいるのかもしれない。であれば異世界は人の救いにもなるだろう。
昨今こういったファンタジーが増えすぎたことに、ちょっと寂しさや退屈を感じることもある。
私はアニメもファンタジーも好きだが、現実世界での暮らしも好きだ。だからこそ、日本でもっと頑張れ、異世界を逃げの文学にするなとツッコミを入れてしまう。
異世界は娯楽として気軽に楽しむ物くらいに思っている。
現実に幻滅したり疲れて逃げたい人間が、ここにたっぷりな救いを求めてたくさん集まるのだと思うと寂しいじゃあないか。コレをほんのちょっとの癒やしにするなら良いが、ガチの劇薬としてべったりになっている人間がいると思うとがっかりもする。
異世界も良いが、もっと開かれた外の世界というか、まぁそれが日本なんだけども。というわけでリアル路線の話も多く見たいなぁ。
21世紀に入って異世界に行った人物は一体何人いたのだろう。それをまとめて辞典にできるくらい、異世界を冒険した主人公はたくさんいた。
こういうのに需要が集まる世の中になるとは全く読めないから、現状がとても不思議。
私は疲れていないからきっと幸福なのだろう。少なくとも不幸を感じることがない。
というわけで、増えすぎた異世界の現状から、これはコンテンツの内容の充実ではなく、もしかするとヤバい侵食が始まっているのでは?そのように見えないこともなくないか?という気づきを得た。
とにかくオタクも含めた現代日本人よ、皆心身共に元気であれ。
というか、どうせこんなにやっても来期には忘れられる運命だし、同じ物を同じ時期にぶちこめば意図せず食い合う結果になるだろう。余計に記憶されづらくなるじゃないか。
こうなると、1つをしっかり光らせることを重視し、各会社同士が示し合わせた上で、1クールに何作までというルールを設ければ良いと思う。これが作り手には平和協定になるだろうし、見る分にも混乱とストレスが減って良い。
こんな具合なので、恐らく今期の異世界も総すってんころりんの顛末を辿ると想う。
そんなこんなでやばい作品もたくさんあるけど、他の分野を見れば、期待の東リベ2があったりと、楽しいターンもちゃんとある模様。
お兄ちゃんがお兄ちゃんをおしまいにして妹になる(←意味分からんと想うけどマジでそうなっている)ような所謂女体化枠があったり、あれから約10年を記念し、ハサミ枠(ハサミ成分を抜きにして)が復活したりと、話題にして楽しそうなものも多数ある。
スパイファミリーと入れ替わりに始まった美少女たっぷりな「スパイ教室」とかも楽しそう。
何にせよ2023年もアニメが楽しみ。
良作、クソを織り混ぜた様々な作品が生まれることだろう。何れにせよ出会った事で人生の刺激になる作品が多く生まれると良いと願うばかりだ。
アニメが元気なら、日本はまだ大丈夫。
病気や不景気に負けるな。燃えろアニメ大国。
では、おやすみ。
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