こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

太陽電池のゼロワンボディを見よ「キカイダー01」その1

キカイダー01」は、1973年5月から1974年3月まで放送された全46話の特撮ドラマ。


 なんとびっくり、50年前のヒーローなのだ。

 すごいなぁ。日本特撮史も極まりに極まったものだ。


 この作品は以前レンタルビデオで見たことがある。でもそれだと全部借りても全体の半分くらいしか揃わない傑作選みたいなヤツだった。今回は全話ぶっ通しで見た。

 

 先日キカイダーを見た流れで続編のこちらも見たわけだが、やはりキカイダーシリーズは優秀だと分かる。とても楽しかった。アニキの01の方もしっかり格好良い。


 そんな素晴らしき人造人間メモリーを書き殴って行こう。

 

キカイダー01 VOL.1 [DVD]


内容

 キカイダーがダーク基地をぶっ飛ばして3年の月日が流れた。

 この期間を待って実は生き残っていたプロフェッサー・ギルの進撃が開始する。今度はギルの脳でハカイダーが復活。おまけにダーク時代からの腕利きの科学者3人の脳も使い、レッド、ブルー、シルバーそれぞれのカラーのハカイダーが新たに誕生した。驚異のハカイダー4人衆からなるハカイダー部隊が世界征服のために動き出す。

 

 時を同じくしてキカイダー01のプログラムが作動する。巨悪が動く時、仁王像の中に封印されたキカイダー01が起動することになっていた。これは光明寺博士のナイスな采配。

 

 かくしてハカイダー部隊とキカイダー01の戦いが始まるのだった。

 

 後には、ハカイダー部隊を凌ぐ大規模組織シャドウが爆誕し、世界を混沌へと導く事となる。

 

 キカイダー01は、弟のキカイダー、女性型アンドロイドのビジンダーとも手を取り合い巨悪の打倒を目指す。

 


感想
キカイダー01イチロー

 まずは新たな戦士ゼロワンが格好良い。キカイダーよりもスケルトンなボディで内蔵メカがもっと見えるようになっている。このスケ感が良いな。オタクは大体スケルトン好き。

 太陽電池で動くという仕掛けも新しい。ライダーRX以前にもいた太陽の子だった。ジローのような良心回路のトラブルはないが、夜だとパワーが10分の1になるという弱点がある。

 人造人間といえば「人間」の要素を強く出すためにいい感じで弱点が目立つのだな。


 改めて見るまで気づかなかったが、キカイダーキカイダー01は同じくツートンカラーでも左右の色が反転している。そしてダブルマシーンの助手席も逆に設置されている。兄弟並ぶとシンメトリーで良い。兄弟揃ってイカすデザインだな。

 人間態のファッションを見ても色が逆転している。ジローは青ジャケットで中に赤シャツを着ているが、イチローはジャケットが赤で下が青だった。こうして色々考えて設定しているのだな。

 

 音楽を愛した光明寺博士の設計として光るのは、イチローが持つトランペットの存在。昔からザックリまとめてラッパと呼ばれる楽器の音が好きなんだよな。

 ジローのギターの音も美しいが、勇ましさを感じるトランペットの音もイカす。ラッパといえば金色だけど、イチローが持参する物は真っ白。このカラーリングはおしゃれだし可愛い。思えばここ以外で真っ白なタイプは見たことがない。


 バカと煙と人造人間は高い所が好き。イチローの登場を待ってその検証が取れた。ジローの登場時と同様に、イチローも高い所でトランペットを吹いて登場する。

 楽器の音がすれば敵が「どこだどこだ?」と探し出し、発見したらそこから戦闘シーンに入っていく。水戸黄門のごとく定番なこの流れが前作からも続くことになる。この要素が段々クセになってくる。良き形式美だった。

 

驚異のハカイダー部隊

 前作の人気者のハカイダーを復活登場させたのは良かった。ビジュが強いので悪役ながらも作品を彩る華となった。

 このクオリティでキカイダーの後半1クールに満たない出番しかないのは勿体ない。そう思った者は当初多くいたことだろう。続編でも出番があって良かった。

 

 しかし今回のハカイダーは、ガワが同じでも中身は別物。オタク達は光明寺ハカイダーとギルハカイダーと呼び分けているとか。

 光明寺ハカイダーは騎士道精神があり汚い事を嫌っていた。しかしギルハカイダーはスマートに悪い。戦いに綺麗も汚いもないとはっきり言っている。あのハカイダーが汚い手を使うのに微塵も待ったをかけないことで、高潔なハカイダーブランドが放送開始早々にも汚れる事となる。これに続くレッド、ブルー、シルバーも小悪党が持つ小狡さを臆面もなく出してくるから酷い。

 生身の人間相手でも容赦なくシバく悪党共だから怖い。婆さんが相手でも容赦がなく、美しきヒロインのリエコさんだって普通にシバかれている。ハカイダー共が乱暴すぎるのも印象的。


 ハカイダーはショットガン。レッドは弓、ブルーは鞭、シルバーはライドルスティック的な棒を振り回す。各員が持つ武器も特徴的だった。

 シルバーがXライダーよりも先に空中で大車輪を披露しているのは印象的。もしかするとコイツきっかけでXライダーの鉄棒アクションが生まれたのかな。


 4人衆それぞれが怪人ロボットの姿に変身する設定も良かった。

 シルバーが変身する銀エビのデザインが一番好きだったな。青ワニはまだ見れるとしても、赤ムカデはキモいしブサイクだったな。ブラックドラゴンは普通に格好良かった。

 4人が合体してガッタイダーになるのにもワクワクした。

 

 最初10話分くらいはハカイダー部隊の進撃が描かれる。格好良いのが4人もいるだけで華やかだし、変身に合体までするからずっと楽しかった。

 

 あのハカイダーが4人もいれば当然強い。ゼロワンが一人で相手取るのだって一苦労だ。放送開始早々にゼロワンがピンチに追い込まれる。そこで弟キカイダーがかけつける展開も格好良い。

 

 最初は勢いがあった4人衆だけど、ダブルキカイダーが揃ったら割と簡単にぶっ飛ばされている。ていうかゼロワンって強いな。集団に対して有効なゼロワンドライバーは一番優秀な技だったかもしれない。

 ギルが残した基地があちこちにあったようだが、ダブルキカイダーが次々とぶっ壊して回っているのも印象的だった。

 

 

 ハカイダーといえばこの点にも触れておこう。丁度これを見ている時に、ハカイダーのお声を担当した飯塚昭三が亡くなったとニュースで知った。

 2月、3月は勝手にキカイダー祭りを始めてその中でハカイダーの活躍もしっかりと楽しんだ。良い声で悪のカリスマを演じた飯塚昭三の芝居にグッジョブと言いたい。

 ここに限らず、特に特撮、その他アニメ、ゲームにも多く参戦した俳優なので、彼の声はガキの頃からずっと聴いている。長く特撮好きをやっていれば、飯塚ボイスはまさに不可避だといえよう。どこかで聴いて必ず覚える声だった。そんな素晴らしき名優よ永遠なれ。

 

思った以上に大組織だったシャドウ

 レッド、ブルー、シルバーの3人が撃破され、ギルハカイダーのみが生き残ったところで新たに登場した新組織がシャドウだ。ハカイダーもここに飲まれ、以後は最終回まで共に活動する。

 すごい戦士だったハカイダーに小物感が見えるようになってきたが、いてくれることでビジュ的には点数アップなので良いか。

 

 最初に顔出ししたシャドウナイトは、一つ目タイタンのヨロイ騎士バージョンみたいで結構格好良い。


 次に出てくる幹部クラスは双子悪魔のザダム。なんかすごいデザインだな。人間二人が真横に合体している。ウルトラマンペスターみたい。デビルマンにでも出てきそう。実際にスーツアクターも二人入っていたという。大掛かりな敵だったな。

 ゼロワンにとっては味方の太陽光線が、ザダムにとっては弱点になっている。あまり目立つ事はなかったがそういう設定もあった。ザダムは基本的には暗い基地の中から指示しているからな。

 あんななりをしてをまともに戦えるわけがないとゼロワンが言うのには納得。そんな事を言われたものだから、最終回では分離して二人になって戦っていた。でも瞬殺だった。


 ボスのビックシャドウは序盤だとシルエットのみの登場。後に顔出しするが、その時には随分普通に登場しこれといって目立つお披露目イベントも無しだった。放送時にはスーツの用意が間に合っていなかったとかなのかな。

 声も見た目もすごい悪そうなボスだったな。最終回で光明寺博士にお目当ての装置を作らせたら「もう用はない 殺せ」と部下に命じてスパッと始末する判断に出る。考えと態度が悪すぎる。

 

 シャドウは規模がデカい組織らしく、空や海からの作戦をはじめ、月面基地からも攻めてくる。月にまで勢力が伸びているのがスゴい。


 悪者なのでやはりやる事も超悪い。

 シャドウの作戦の中には印象的な物がいくつかあった。

 若くて健康な女子の血からコウモリ怪人を作るという作戦のため、とある女子寮を襲う回がある。この回では、夜な夜な女子を襲って服をひん剥くシーンが印象的だった。上着を破って下着姿にするまで追い詰める。今のコンプライアンスだと、浅い時間の実写作品でここまでの表現は無理だろう。僅かながら性的にビビッと来る回なので記憶に残る。

 

 人間を怠け者にして社会を狂わす作戦も展開した。その際にはただ怠け者にするのでなく、動物のナマケモノ状態にまでなってしまい、人間が木にぶら下がって仕事をしないというシーンが描かれた。ちょっとおバカで好き。女子がナマケモノ状態になると、下から見ればパンツが丸見えのシーンもあった。

 実現すれば確実に人間社会が駄目になるヤバい侵略作戦ではある。一方でアホ臭いところが好きになる。

 

 後半にビッグゴリラ、ミニゴリラの親子ロボットが登場する。前作のブラックハリモグラ親子枠だった。このゴリラロボがなかなかにブスだった。

 これを使っての作戦も汚い。親ゴリは元々捨て枠でゼロワンにわざと破壊させる。敵とはいえど親を奪ったことから残った子ゴリに対してゼロワンは激しく罪悪感を抱く。残った子ゴリはビジンダーに育成させ、しっかり育ったところで裏切って反逆させるように設定していた。

 女子供に弱いゼロワンの優しさとビジンダーの母性を利用したハイレベルな道徳無視が目立つ作戦になっていた。育てた子ゴリラを破壊するしかなかったビジンダーの悲哀を思うと、飯を通す喉も狭まるといういうもの。 


 調べると、放送時期が石油危機の最中にあったという。そんなわけでシャドウ組織のオイルタンクも空になりつつあり、ロボットを作ったり作戦を展開するのに困っているとザダムがボスに報告するシーンがあった。その回では、用意が簡単な海水をエネルギーにした恐ろしい発明を行うという内容が描かれた。なんだか世相も見えてくる作品だった。そしてワルのくせに代替エネルギー案を考えていてちょっとエコ。


 こうしてザダムの口から世界情勢のヤバさを知れば、作品全体の感想としても気づくものがある。そう、シャドウはダーク部隊と比べて作られるロボットの面々が弱い。何がって見た目が明らかに弱いのだ。

 しっかりロボットいうよりは、全身タイツに細工を施した改造人間のようなヤツも多く登場した。完全なロボットだってダサくてブサイクなヤツが多かった。これは金の用意が微妙に間に合っていないことでそうなったのだな。

 明らかにダーク部隊のロボットを流用したヤツもいたし、爆破シーンも前作から流用した物で見せていた。ロボットは作るにも爆破にも金がかかるから大変だ。制作側が色々と工夫をしていたのが見えた点も記憶に残る。

 見た目的にはしょぼくなっても、なんだかんだで面白く作られた作品として高く評価する。

 

 それから鳩時計をテーマにしたロボの「キチガイバト」というのが出てきたが、令和時代だと色々あってテレビで使えない名前だなぁ。なんちゅうネーミングセンスやねん。

 

 

 

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