こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

爆誕!ウルトラマンNO.6「ウルトラマンタロウ」

ウルトラマンタロウ」は、1973年4月から1974年4月まで放送された全53話の特撮テレビドラマ。

 

 おおっ!もうちょっとで放送開始から50年を迎える作品ではないか。めでたい。

 今じゃそのタロウにもタイガという息子がいるからな。50年戦士は伊達じゃない。

 

 先日視聴したキカイダー01とも同期の作品だ。良い時代だったのだな。

 

 ジャンボーグA、ファイヤーマンと並び、円谷プロ創立10周年記念番組として制作された。このメンツとも同期とは記念の要素が強すぎる。

 キカイダー01以外にもこのような強い同期メンツがいたとは、この時代にキッズをやっていた連中は幸せだなぁ。そんなあの日のキッズも現在だと全員じいさんばあさんになっているのか。

 

 ジャンボーグとファイヤーマンは先に視聴済み。今回タロウを見たことで、このプロジェクトで誕生したトリロジーを無事コンプ出来た。嬉しい。

 

 ウルトラマンのテレビシリーズとしては5作品目。ウルトラ兄弟では6番目の戦士でもある。なかなかメモリアルな要素ありまくりなのがタロウという光の巨人だった。

 

 ウルトラマンのシリーズなら初代マンからAまでは見ている。その前のウルトラQも見た。でもタロウはまだ見たことがなかった。

 

 昔見た「ウルトラマンVS仮面ライダー」というSPビデオに、紹介程度でタロウの映像が出て来た。知っているのはそこに映る短い部分だけ。

 あのビデオでは有名なモチゴンで餅をつくシーンがあった。エレジアが翼で車を集めて道路の下に全部落として爆発させるシーンが怖いという思い出も残った。ウルトラダイナマイトにはこんなのアリなのかと衝撃を受けた。

 それくらいの情報のみ知った状態で今年50歳の番組を全話視聴した。

 

 親戚に大昔の人間がいて、タロウをリアタイしていたという。当時は中学校の英語の課題学習でウルトラマンタロウの内容を英訳して発表したという。それを思い出すと心が震えて涙が出ると言っていた。

 誰の心にもリアタイしたヒーローの思い出は朽ちずに輝いて残ることが分かるお話だった。いいよね、そういうの。

 親戚からそんなインタビューも取った所で本編を見始めることにした。

 

 ではウルトラ第6の男の戦いを振り返り、思った事を書き殴って行こう。

 

ウルトラマンタロウ Blu-ray BOX

 

内容

 22歳の青年 東光太郎は、世界のあちこちを旅した末、客船で日本に帰ってくる。

 光太郎は船の船長の家に下宿し、新たな仕事先として怪獣退治のプロ集団ZAT部隊に入隊する。

 

 任務中、光太郎の搭乗する戦闘機が撃墜されてしまう。

 炎に包まれる彼を助けたのは、ウルトラの母と5人のウルトラ兄弟だった。

 ウルトラの奇跡によって、光太郎と光の戦士タロウが合体し、第6の男ウルトラマンタロウ爆誕した。

 

 東光太郎はウルトラマンタロウに変身して怪獣と戦い、地球の平和を守るのだ。

 

感想

 前々から思っていたがタロウは超イケメン。ボディも引き締まってスタイルが良い。

 去年NHKを盛り上げたウルトラマン投票企画では、タロウに集まる女性票がとても多かったというデータが出ている。これが何を意味するかお分かりだろうか。やっぱりイケメンだったということである。

 

 まずタロウが文句無しに格好良い。角が三本生えていれば大体格好良い。

 この作品にゲストでウルトラマンジャックが登場した際には、まだジャックの名が浸透しておらず、作中や劇中歌の歌詞でも「新マン」と呼ばれている。

 で、このジャックのネーミングは、タロウの企画段階で上がったものの一つだという。もしかするとタロウがジャックという名前になる可能性もちょっとはあったということになる。だったらその時ジャックの名前は何になったのだろう。そんなイフな未来を想像するのも、最高に素敵な無駄時間となって良いだろう。

 

 そして人間態の東光太郎にも注目。大昔のお兄さんだが、今見ても綺麗な顔で清々しくイケメンではないか。

 これまでのシリーズの主人公だって男前を集めてはいたが、今回は毛色が違い、爽やかさのあるアイドル顔になっていた。

 普段は髪をセットしているけど、風呂のシーンで濡れて前髪が降りた無造作ヘアーになると、それはそれで別感覚のイケメン感がある。

 

 さおりさんを見て普通に「綺麗だなぁ」の一言が溢れるのはイケメンならではの言動。ブスな男が言ったら警戒される。

 女性に対しての接し方が意外とスマートで何だか都会的。ここにも好感が持てる。

 

 一方で野宿をするくらいの図太さと生命力があり、ZATに所属しながらプロボクサーの試験を受けにいくなど熱血漢な所もある。減量してテストを受けて怪獣退治も行うというカロリーをいくらでも消費する青春を送っていた。

 

 ヒロインのさおりさんの家に下宿している設定には、ラブコメ脳が反応してしまう。さおりさんの弟の健一くんがお邪魔だけど。健一くんもガキの割には男前だったな。

 さおりさんがめっちゃ健全な乙女に見える。俳優降板で途中で二代目さおりさんに変更するが、どちらも清潔感があって良かった。

 

 ヒロインなら森山隊員にもときめくものがある。一般人女性、戦う女のツータイプのヒロインが楽しめた。

 森山隊員が意外にも強いんだけど。基地で情報処理とかを専門にやるお姉さんかと思いきや、後には現場にも普通に出てきて戦闘機で戦っている。彼女は撃墜されないのだ。

 

 意外な発見だったが、ZATでは女性隊員の制服がミニスカになっている。そういえばフジ隊員やアンヌ隊員にスカートのイメージがないなと思っていたが、昔のシリーズは皆ズボンを穿いていたんだな。時代に合わせて女子ならではのファッションを組織に取り入れたのも良き変化。

 スカート丈がベストな長さで良い。隊服デザインは格好良いし、女子なら可愛いもプラスされて良かった。

 

 さおりさんの留守中に森山隊員が家に来て家事をする回があり、ここは何か漠然と良いなと思った。

 さおりさん、森山隊員共に光太郎にラブっぽいのだけど、光太郎はどっちを取るねん?というラブコメ脳で見ても楽しめた。

 最近放送したアニメのウルトラマンだと森山隊員が真のヒロインになっているぽい。

 

 ZAT隊員は割りと入れ替わりが激しかった。朝日奈隊長はたまにしか出てこないし、上野隊員はいつの間にかどこかに行ったな。

 朝日奈隊長と荒垣隊員のベストなおっさん感に安心感を得る。面倒見がよさそうなおじだん隊員達だった。

 昨日食った飯がカレーかどうかで、作戦における部下の配属を決定するという一癖ある朝日奈隊長の判断が印象的。

 荒垣隊員は長い間口ひげを生やしていたイメージが強い。早く剃れよとツッコんで見ていたらある回からひげが消えていた。最終回まであと3話の段階で転属して出てこなくなるから寂しかった。

 荒垣と入れ替わりに入って来た二谷隊員は3話しかいない割には活躍したと思う。タロウでなく彼の戦闘機が怪人にとどめたをさしたのはスゴイ。

 

 南原、北島コンビは最後まで残ったな。

 北島隊員の幼馴染みが少女誘拐されるところはトラウマ要素で怖い。その幼馴染が逝ってしまうのは印象的だった。

 

 南原隊員はおふくろと仲良しなので好感が持てる。良い息子だな。

 ZAT隊員はいつ死んでもおかしくないからまともに婚活も出来ない。南原隊員の青春を通してその都合が分かる。その彼が終盤では許嫁と結婚したのも印象的。隊の中ではコメディ要員だったな。

 

 OP映像から存在感を光らせるメカニックの要素も素晴らしい。

 ZATが持つマシンは格好良いし、基地が近未来的でセットの作りも何かスゴイ。タロウの戦いはもちろんだが、メカ関係の特撮も妥協せずに力を入れている。

 個人的には空のマシンより陸を飛ばす車のデザインが画期的で印象に残る。隊が持つ車のウルフスリーセブン、ラビットパンダの2台はデコ車として完成度が高い。

 ウルフの尖り具合は格好良いし、逆にラビットは戦闘車両なのに可愛い。隊の車なのに可愛く見えるというマジックがすごい。これは女子が乗りたくなる良さがあるのではなかろうか。

 

 お話としては、大人向けな小難しいテーマ性を薄めたファミリー層向けのマイルドなものになっていた。

 ウルトラファミリーの定義がしっかり成された点でもそう言えるだろう。

 ここからウルトラの母も合流した。そういえば父はエースを助けにきたけど、母はまだ見ていなかった。

 人間態の光太郎も亡き母を慕っていることから、タロウでは「母は尊く偉大」ということもテーマにしているのだと感じ取ることが出来た。

 どこの母だって強い。それがウルトラのともなればもっと偉大。ウルトラの母も印象に残る。

 

 ウルトラファミリーの要素として、5人のアニキが地球にやって来た点は嬉しい。ちゃんと人間態の俳優も全員集合した。歴代主役6人揃い踏みは嬉しい光景。

 地球にやってきたアニキ達にBBQをご馳走する光太郎主催パーティが始まるのは楽しそうで良かった。

 それからエースで途中離脱した主役キャラの南夕子も月からわざわざ客演を果たしてくれる。彼女も元気そうで良かった。

 

 ウルトラ兄弟で揃って戦う展開は少年心として燃えるものがあった。

 アニキ達が末っ子のタロウにちょっとスパルタな事を言ったりやったりして鍛えるシーンもあった。

 北斗が一番最初に光太郎を助けに行こうとする点から、一番弟に甘いというか優しいんだなぁと思えた。この点に癒やされる。

 

 タロウが実家に帰省するシーンもあった。

 まだまだ謎の多かった光の国の風景が、このシリーズだと結構見えてくる。

 タロウが実家で飼っているラビドックという謎の毛むくじゃらがいるのだが、全53話見ても未だに謎しか残らない生物だった。

 ウルトラマンが通う学校、プールとかも出てくる。次回予告のミニコーナーでは、こんなのもあるよと光の国のスクールバスの写真が出てくる。これがとんでもデザインの乗り物で新発見すぎた。

 光の国がだいぶ平和で面白いことになっていることが分かった。

 

 余計な事をしなければ無害なキングトータス、クイーントータスら大人しい怪獣も登場した。人間が危害を加えたことで怪獣と余計な戦争が起きる内容がいくつかあったことも印象的だった。

 

 健一くんやその周囲の子供達の生活が描かれ、その中に怪獣が飛び入り参加して皆の青春が荒れる展開も多く見られた。子供目線から未知との遭遇を描くことで、子供向け作品として楽しめる要素が強い。

 印象的なのは、健一くんと光太郎が夏休みにセミ取りに行くが、自然が減ってセミがまともに取れず、結果スーパーで買うという内容のもの。

 こんなに前の段階からも、日本の自然が減っていると言っていたのかと驚く。50年経った今ならもっと地球の自然が減っているのではないだろうか。

 健一くんがスーパーで買ったセミを自室に野放しにしてめっちゃうるさいのは笑う。そんなに自由な飼育スタイルなのか。さおりさんがキレて殺虫剤を撒きに来るのもまぁ分かる。

 この回では、キングゼミラというめっちゃデカいセミが出てきて、近所の皆さんがうるさいからどこかにやれとキレる。結構笑える回だった。

 

 シナリオのテイストを良い意味で変えてくるのも良い。微妙にコミカルな要素がちょくちょく入る。特に終盤になると謎にふざけた要素が集中していた。タロウの終盤はネタ的意味で面白い。

 餅つき、豆まき、塩漬け、水拭きなど、聴いただけだと「なにそれ?」となる科学の要素が薄い作戦もあったのは笑える。塩漬けで倒された怪獣もいるとか笑う。

 モチゴンで餅をつくのは特に記憶に残る。食った分の餅はお前で生成しろというウルトラの父の正当性しかない罪の償わせ方はナイス。

 

 後半の怪獣は間抜けだし顔がブサイクなのも多かった。 

 怪獣ガラキングとお姉さんがバレーボール対決するのは笑える。

 

 怪獣のデザインなら一話目のアストロモンスはビオランテ感があって結構良い感じだった。

 中盤からはエレキング、メフィラス、ベムスターヤプールら懐かしの連中の新型が登場する。ここら辺の復活登場の流れはまるで同窓会のようで楽しい。

 宇宙から来た連中もいれば、地球産の怪獣もいた。強く記憶に残る思い出の怪獣は、土地を掘り返したことで怒って出てくるエンマーゴというやつ。これは怪獣というか閻魔大王だから、どういう区分になるのだろうか。ユニーク要素が目立つ怪獣もいて楽しかった。

 

 48話のベロンとの戦いもかなり記憶に残る。なんかカオスな回だったな。ひな祭り回だけど、最初に男子が女子の着物姿で出てきてひな祭りぽくない踊りを踊っていた。

 この回に登場するベロンは酒飲みで歌と踊りが好き。そして宴もたけなわなところで文字通り「ドロン」して消えてしまう。ご機嫌酒飲みオヤジを怪獣キャラ化したカオスな一匹になっている。

 子供達が色んな曲を踊ってベロンを惹き付ける作戦を取るが、その選曲が当時のホットなヒット曲で今日の懐メロになっている。山本リンダの「狙いうち」、フィンガー5の「恋のダイヤル6700」、金井克子の「他人の関係」で踊っていた。他人の関係の振り付けは独特過ぎて好き。これらの点からなるほどそりゃ50年前の古い番組だと納得。じいさんの代の歌じゃないか。

 

 50年前という古い時代だからこそのジョブも印象的だった。

 一つが「みどりのおばさん」というもの。ペギー葉山の姿を借りて地球に降臨したウルトラの母の人間態は、みどりのおばさんというジョブに就いている。

 これって今でも通じる呼び方なのかな。最近の人間の私には初耳のワードだった。学校の先生とは別だけど、学童保育とかで子供の面倒を見るありがたいポジの人だという。学童保育が何かもよく分かっていないのだけど、昔はそういうこともあったのか。

 

 次に寺子屋というものが出てくる回がある。歴史の教科書にも載っていて、大昔の塾的役割を果たしたものだったはず。70年代でもまだ現役だったようだ。

 この寺子屋の先生をしている海野さんというお兄さんが作品に強烈な爪痕を残している。ZATとは無関係の一般市民のこのお兄さんが、なんと単身怪獣に挑んで深手を追わせるまでの活躍を果たすのだ。

 好評につき過去シリーズから復活出演を果たしたベムスターの2代目の腹の中にダイブしてダイナマイトを御見舞してくる。ヤベえ、南原隊員とかよりも強いんじゃないのか。これがウルトラ市民か。部隊に入ってこないだけのことで、そこらにも強者はいると分かる回だった。

 海野さんにの言動には、無鉄砲さを見る一方で、強く正しく真っ直ぐ生きる好ましき人間性も見ることが出来た。思い出の一般人である。ベムスター相手ならビビって逃げるのが普通の反応だ。

 

 最終回も結構特殊な仕掛けで意外性があった。

 さおり、健一の親父である白鳥船長の訃報が届く入りはシリアスだった。それを受けて落ち込むのは当然、加えて精神が荒れる健一くんを見ると心が痛んだ。

 荒れる健一くんを正すため、ここで初めて光太郎は自分がタロウだと明かす。だが超能力に頼らずとも戦える地球人の心身の強さを少年に示すため、光太郎は バルキー星人との最終戦前に変身バッジを母に返す。

 初代マンは負けたし、セブンだってボロボロだった。そこを末っ子は変身無しで行くという驚異の縛りプレイに出た。すげぇ度胸。

 変身能力を封じた状態でラスボスに挑むという予想外の展開で切り込んだ最終回は思い出に残るものだった。

 

 しかもそれで殺されずにちゃんと勝利して生還した。これもすげぇ。

 オイルタンクが密集する地帯に敵を誘き寄せ、自分もふっ飛ばされるかもしれないのに大爆発を起こす。最終回だから派手に行けという気概が見えるくらい激しくボンボン燃やして爆発シーンを盛り上げていた。

 光太郎も爆発に巻き込まれ、隊服が燃えて火だるまになりながらなんとか脱出する。服が燃えているのとか怖い。

 思えば一話目からもそうだったし、他の回でも単身怪獣に取り付いたりしてかなり体を張った戦いが多い隊員だったな。熱血漢な光太郎の戦いが良いではないか。

 

 タロウの戦いの最初にも最後にも母の姿があった。

 誰の人生にも最初は母の姿あり。そして育って行く過程でもまた母を経て行く。母から始まり、母を通過点にし、最後はなんだかんだで立ち返って母の偉大さを痛感することになる。一つの命が育っていくサイクルを正直に捉えたのがタロウの物語だった。

 これを見て改めて思う。私も母に感謝したい。こうして面白おかしく名作を見てオタクライフを満喫出来るのは、ものすごく丈夫で健康に産んでくれた母のおかげだ。それから父もね。

 

 というわけで、ウルトラの血筋に人生観を見つつも、普通に格好良い特撮としてめっちゃ楽しんだ。

 ありがとうタロウ。輝けウルトラマンNo.6。50周年おめでとう。

 

 

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