こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ギュッとしたくなる「天使になるもんっ!」

天使になるもんっ!」は、1999年4月から9月まで放送された全26話のテレビアニメ。

 

 先日、親戚の赤ちゃんを抱っこすることがあった。それが恐ろしく可愛いからびっくり&ほっこり。さすがちょっとは私と同じ血が流れているだけのことはある。

 ちっこくてモフモフした愛しき命を抱き上げ私はこう想うのだった。まるで天使やんけ。

 

 というわけで、天使を強く意識する春がやって来た。だったら天使系アニメって何かあったっけ?となるのが良く出来たオタク回路。

 で、出会ったのがコレ。その名も「天使になるもんっ!

 

 うわぁ~見事に知らねえわ。

 こんな作品があったのか。過去を振り返るライブラリーが豊富な現代日本だから良かったものの、そうでなかったら絶対令和時代になって出会うような作品ではなかったはず。気になった過去作をすぐにでも掘り返すことが簡単な現代の映像コンテンツ環境に感謝。

 

 タイトルが良いな。バンッと印象に残るパンチが効いている。響きが何か可愛い。そういう事なら応援したくなる。ノエルがお気楽に「なるもん、なるもん」言ってるのも萌えた。

 

 放送時期がノストラダムスの大予言の時らへんだな。いよいよ世紀末も佳境に入るぜってくらい古い作品だ。

 ノストラダムスについて親に聞くと、終わる終わる言ってる前に目の前の今日を作るのに精一杯だったからそんな物を信じる信じないの前に気にして思い出すこともなかったと言っていた。うむ、これは青春直行していたってことだろう。多分それで充実人生で良かったのだと想う。親にも感謝。

 

 結局外れたけど、時の偉人の予定では世界終末期真っ盛りの放送だったわけだ。仮にもそんな時期の放送だった割には緊張感のうっすいアニメだった。終末期に放送する作品とは思えぬほんわりかつドタバタした不思議ラブコメディ作品だった。でも後半はちょっとシリアスで真面目テンション。

 

 そんな訳で訳で楽しい天使アニメを見た感想を殴り書いて行こう。活字で殴る、それは平和的かつ楽しい心のデトックス

 

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内容

 男子高校生 鴨下祐介は、ひとり暮らしデビューを果たした。

 その日の朝、学校に行く途中で彼は裸の天使っぽい少女に遭遇する。

 頭の上に輪っかを冠する彼女は、祐介の天使になると言って天使を目指すのだ。謎である。

 

 学校から帰ってくると、祐介の家は派手に魔改造されていた。魔界からやって来たノエルの家族達が勝手に改造し、家族揃って強引に居候まで決め込む。

 魔界のおかしなファミリーに翻弄されながら、祐介はドタバタとした騒がしい青春を送ることになる。

 

感想

 まず一発目の感想として絵が良い。

 この時代にしてはかなりキャラデザが綺麗で作画安定率も高い。

 ちょっとウテナっぽい感じの絵柄かも。加えて微妙に謎な物語の設定やテンションにもウテナ感があったような気がする。そういやウテナもノエルも川上とも子で声が一緒。

 川上とも子の元気いっぱいな芝居も良かった。声、めっちゃカワイイな。今は亡きやり手声優の実力が知れるのも過去作を漁る楽しみである。

 OPでノエルのツルツルほっぺがぷるんぷるんしている作画も良い。

 

 一話目で祐介が通学のため家を出発したら、出発時は街って感じだったのに即めっちゃ田舎道に突入する。この振り幅は印象的だった。

 通学路にノエルの靴、服、パンティが順に脱ぎ捨てられているのを見た祐介が順に拾って行く心理はよく分かる。開始早々ドキドキお色気パートに入るこのエンジンのかけ方は良い。

 天使ヒロインのノエルが天から落っこちてくる系のヒロインかと思いきや、最初は祐介の方が崖から落ちてノエルに覆いかぶさる形になる。天使でなく人間の方から落っこちて乗っかるのか。それはそれで珍しい。

 最近新作を発表した「わたてん」とは違い、祐介の方が舞い降りる形になったんだな。ていうかわたてんよりもずっと先行してこんな素敵な天使アニメがあったんだな。日本アニメ史の勉強になった。

 

 ノエルは天使枠ヒロインだから純粋無垢なちんちくりん枠。可愛いけどエロさは感じない。

 メインヒロインのノエルも良かったけど、巨乳猫娘のミルル、美しき透明人間のサーラ、全編通してキーパーソンとなったシルキーが特に良い。皆可愛いく色っぽく美しい。

 このようにノエルのちんちくりん要素をカバーする色っぽいお姉様方もいるので安心。それからノエルのママも侮れない可愛さがあるママで良かった。

 

 ミルルのウザバカい~軽いノリが良い。飯塚雅弓の緩い声がすごくマッチしている。この人の声はすごく可愛くて特徴があるな。ミルルめっちゃ可愛い。

 

 一番ハマったキャラがサーラ姉ちゃん。めっちゃ良いな。可愛い。

 川澄綾子の声が綺麗すぎる。この人の声はすごく好き。変なアニメだけど全体的に声優陣がすごく優秀だった。

 序盤は透明人間の透明化能力を解除できなくてサーラの容姿が解禁されない。途中で透明化オフモードになって美しい姿を確認出来るようになった。

 途中からはOPにサーラも出てくるようになった。OPでサーラが見れた時にはドキッとした。知らんだけでこんなに推せるヒロインがまだいたのか。ノエルよりもこっちの姉様が好きだった。

 祐介に微妙にちょっかいを出してくることでちょっと姉ドキッ!なシーンもあった。姉様ヒロインにおちょくられる青春も楽しい。

 

 序盤はノエルの家族がとにかくやかましい。学校のターンよりも家庭で異種族共が騒いで祐介を巻き込んでいくコメディターンが目立っていた。ノエル達ファミリーも皆良いキャラをしていた。

 祐介は強くNOを言えない日本人で、面倒事にもなんだかんだで巻き込まれていく。典型的な巻き込まれ系男子だった。

 

 フランケンシュタイン、魔女、透明人間、エルフに吸血鬼と、家族なのに縛りなく実に色んなジョブの連中がいる。各員属性も違えば見た目も全然似ていない。夫婦は元々他人だが、実は他も他人で、後半には寄せ集めの疑似ファミリーだと分かった。

 血の繋がりは無くともハートで結ばる強固なファミリー像があるというハートフルファミリー劇も見えてほっこりした。

 

 暗躍するシルキーらの一派、それとは別にいるミカエルやラファエルら後半まで謎の多いキャラや設定も魅力的。

 一番太い筋は天使にまつわるノエルの秘密を追うことにあるが、もうひとつの見方をすれば愛を求めて苦悩するシルキーの物語でもあった。彼女のキャラ性は一貫したものではなく、途中で意図的なキャラ変が行われる。不思議なヒロインで目が離せない。

 ディスペルが親玉でなくシルキーが主だったのは意外なミスリード。それまでおふざけ要員だと思ったエロスやミューズが、シルキーに真の愛を解いて最後を迎えたのとかも結構良かった。

 シルキーがとにかくミステリアスで出方の読めないヒロインだったこと、そしてとても美しいことも大きく印象に残る。

 

 それからまた違った見方をすれば、ミカエルとラファエルのファンタスティックBLアニメとしても見れたわけだ。

 可愛いくて美しいヒロインも多く登場し、BL要素もありだから男女共に楽しめる良き作品だったなと振り返ることが出来る。

 ミカラファカップルは最終回でハッピーエンドコースだったな。

 

 気になる要素のノエルが「天使になる」事を目指す内容についてはかなり謎。このアニメを見て強く想うのが、これはなんとも不思議なアニメだということ。特にオチについてはざっくりこういう作品ですと説明しづらいかも。考察の余地を割りと残す異質さもあった。

 だいたい魔界から来たファミリーの娘が頭に輪っかを乗っけて天使になるとか言ってる段階で謎アニメだったし。

 

 これを見ると、そういえば天使って何?と考えさせられる。地上にいない者だから普段考えないが、こうして考えるきっかけがあれば不思議な存在だ~と漠然に思えたりもする。

 

 後半数話はそれまでのドタバタとした学園ラブコメやホームコメディ感も薄れてシリアス展開に入る。緩急をつけて魅せる後半展開は、ちょっと不思議でよく分からん感じもあるけど結構好きな流れ。

 

 面白いのはノエルの天使の輪が暴走して大変なことになる流れ。クリリンくんが使う気円斬みたく高速回転して切れ味抜群のとんでも兵器になる。回転しすぎて草刈り機のモーター音みたいな音も聞こえてくる。 

 安心感を覚える天使という存在の象徴たる輪っかに気円斬的機能があるという設定は面白い。笑った。

 輪っかを取ったらノエルの体が重くなって地に沈む、かと思えば今度は勝手に浮いて地上に戻れないという困ったハプニングも連続する。天使の生態が謎過ぎる。

 

 だいたいノエルも天使が何か分かっておらず、羽があって飛ぶとしか理解がない。最初はセミを見ても飛んでるから天使の仲間くらいに思っていた。ノエルが可愛いけど能天気おバカヒロイン過ぎた。

 

 この手の異種族の可愛い子ちゃんがやって来て主人公の事をスキスキ言ってくるのってラムちゃんの時代から安定して楽しいよな。

 

 序盤だと祐介はノエルをうざがってクラスメイトの鈴原さんラブだけど、最後はノエルとラブラブになって良し。

 最初らへんで鈴原さんにかなり手酷く振られる祐介は結構可愛そう。

 祐介と鈴原さんの中の人が「あずきちゃん」の勇之助くんとあずきちゃんだから、オタク的にこの組み合わせには反応してしまう。

 

 すったもんだの末、祐介とノエルが結ばれ、最終回は二人の美しきキスシーンがハイライトになる。ええやんけ。

 毎度の次回予告でノエルが祐介に向けて「ギュッとして」と言うのが可愛すぎる。言い方が良い。これは思わずギュッとしたくなるじゃないか。

 

 最終回のオチは、シルキーが人間界の学校に転校を決め込むところで終わる。最後にまさかの展開で美味しいな。シルキーの制服姿に萌えた。

 それから独身を気にしている学校の女の先生もエロくて可愛かった。

 

 萌え全盛期より先行して萌えラブコメをプッシュし、要素として今のオタクにも受けそうな謎を扱っていた。今思えば当時やるには早すぎた作品だったのかもしれない。

 作品の一般認知度が如何ほどのものかまるで検討がつかないが、多分マイナー寄りなのだと想う。今やれば当時とはまた違った新鮮な反応がオタクから返ってくるかも。

 結構謎な変なアニメだったけど、個人的にはとても楽しめるお気に入り枠になった。とにかく出会えてよかった作品。

 

 OP曲「だって、大好き!」はセンスが良い。

 微妙にローテンションだけどくせになる曲だ。演奏に何か珍しい音が聞こえて耳に残る。すっと耳に入って心地よくなる良曲だな。

「ワカメと油揚げのお味噌汁のように カタツムリと緑の葉のように心地良い関係を目指す」の歌詞は例えとして地味なのに派手に共感出来る。他では見ない珍しい歌詞で、このパートにインパトがある。ここが一番好き。

 NHKみんなのうたで流しても問題ない優しいピースフルソングで良い。この春のお気に入りソングにOP曲「だって、大好き!」

 

 というわけで私は可愛い天使が大好きなんだもんっ!

 

 

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