「ウルトラQ」は、1966年1月2日から7月3日まで放送された全28話の特撮テレビドラマ。
本放送では27話までの放送となり、最後となる28話目は再放送時に解禁された。再放送がただの復習の時間にはならない追加エピソードの用意とかシャレていてナイス。
私がこんな時代に生まれているわけもなく、これはずっと後になって親に見せてもらった。なんなら親の腹の中にいた頃にもビデオで見ていたそうな。さすがにその頃の記憶はない。
Qは特撮教育を受けた人間ならマストで通るはず。ウルトラマンよりも先に学習しておくやつだからな。我が家では3世帯に渡って自宅で所有しているライブラリ映像が活躍している。それくらい長く愛せる優秀なコンテンツがウルトラQなのだ。誕生してから地球が亡くなるまで現役でイケる色褪せない傑作の詰め合わせ28発だったと思う。素晴らしいぜ。
微妙に湿気も出て暑いこの5月にこいつを楽しんだ。多分これで人生3周目か4周目くらい見ている。
今回はほんのり色がついた「総天然色」の冠がついた現代版エディションで見る。BDでとても綺麗だし色付きで怪獣が見れる。この技術、発明がすごい。ていうかこんなこと出来たのか。まぁそりゃ白黒アニメは色塗りなしでやっているのかもしれないが、実写なら人間が白黒なわけがない。色付きの世界に対してカメラを回しているはず。だからこんな素晴らしき形で復活出来たのか。
こんなのが出来るなら月光仮面やナショナルキッドとかハリマオあたりも全部カラーで復活出来ないのかな。ハリマオは初回4、5話くらいは張り切ってカラーだったのに、後は白黒でやったからな。なんで全部カラーで頑張る体力がなかったの?
ガラモンが、ゴメスが、ラゴンが、皆色付きで見れるのは普通に感動。カネゴンやケムールって色があるとこんな感じなのかぁと印象も変わってくる。図鑑とかフィギュアなら色はあるけど、動画で動く分は白黒だったからな。その点から一度見た物なのでまるでお初の新世界のようにして楽しめた。
メインで登場する仲良し3人組もそうだ。ジュンちゃんはより男前に、ゆりちゃんはよりキュートに見え、そして一平ちゃんは何か可愛い。やはり役者だって色付きで自分を見せた方がメリットが大きいはず。
この色付きのQの存在を知ったのは多分10年くらい前のはず。そんなのがあるんだ~と知った段階でそれの用意が叶わずまた白黒版を見たんだよな。そんなわけで今回のQ視聴は約10年ぶり。
こちらの総天然色バージョンなのだが、なんと2011年に出ていたという。私が存在を知ったのがそれから2、3年過ぎてからのことだったと思う。まさかそんな昔から出ていたのか。それを今更色付きに感動~とか言ってる私の感覚はなんとも間抜け。
だが良いものは良いのだ。
久しぶりに見たがこれはやはり素晴らしい。別に怪獣に頼らずともSF怪奇ものとして各シナリオが粒立っている。これと初代マン、セブンあたりは、微妙に子供には小難しい大人向けメッセージが含まれるので、大人になるほど見た時に心に刺さるものがある。
すっきり平和に完結するものもあれば、なにか含みを持たせて気持ち悪い感じに落とすものもあり。他には風刺がかった頷けるエピソードにちょっとホラーな感じのもあって各話とても面白い。
28話あったけど、それぞれ内容もテンションも違って普通に楽しい。連続で見ても疲れない良さがあった。
では、そんな秀逸な古典的日本特撮のあれこれを振り返って色々と書き殴って行こう。
内容
飛行機パイロットの万城目淳、その後輩の戸川一平、女性新聞記者の江戸川由利子の3人がメインの登場人物。
彼ら3人が毎度とんでもない怪奇事件に遭遇し、巻き込まれたり、己から突っ込んでいったりして楽しく怪しく青春していくものである。
簡単に言えば上記の通りの内容。たまにはゲストキャラが騒ぎの中心になって3人が脇に周る回もあり。
各話独立して展開する28のエピソードに、我々視聴者の目は我々の体を離れて世にも奇妙なアンバランスゾーンに入っていくのです。
感想
そもそも特撮が、その中の怪獣が今みたくお茶の間に浸透してない時分に一度に二体、以後もだいたい毎週、そうなれば子供も大人もカルチャーショック、またはヤック・デカルチャーだったはず。
それまでだとテレビでデカい怪獣に親しむ機会なら月光仮面のマンモスコング、ナショナルキッドのギャプラくらいしかなかったはず。そこへ来て怪獣常駐の番組を持って来たのは挑戦的過ぎる。
そんな挑戦の記念すべき1発目に大怪獣ダブルパンチの仕掛けをぶちこんだのは景気が良過ぎる。ゴメス、リトラの2大怪獣揃い踏みの1話目をお茶の間でリアタイした勢はどれだけ湧いたのだろう。
テレビ的、またはオタク的新たなる潮流を産んだこの第一回放送で、日本のそっち界隈の未来は変わったはず。
トンネルの中で光るゴメスのデカい目が早々に映る最初らへんはチビの頃に見たらドキリとしてちょっと怖かった。同時にワクワクもした。当時も皆がそう思ったはず。
リトラはカラーで見ると色合いが良い。生まれたてのリトラはなんとも眠そうな感じのちょっと間抜け面だけど、後にはしっかり活躍した。怪獣に詳しい近所のチビが、まだ赤ちゃん状態でもリトラはリトラだからそこそこ出来る、つまりゴメスに勝てると微妙な根拠を一平ちゃんに説いているのも印象に残る。
2話目の「五郎とゴロー」では、キングコングばりの大猿が登場。これもビジュ的に景気が良い。
一話目のゴメスはゴジラのスーツを改造したモンスターなので、まぁ遠目に見ればやはりゴジラなわけで。次にはこちらも怪獣界のスターのキングコングっぽいヤツに会える。これは子供たち的には面白い。
内容もちょっと切なげなボーイミーツ猿の怪物を扱っていて、子供心に結構キュンと響くものになっていた。
気になるシーンは、ミルクタンク輸送車からミルクを拝借してゴローが飲むシーン。飲むの下手くそでミルクがめっちゃ漏れている。ここは勿体なくて笑う。
ユリちゃんやデスクらがやりあう会話回しも結構面白い。セリフ作りも割も秀逸。特にナレーション部分にその腕が出ている。
このゴロー回では、デスク自らが取材に出るのかとジュンちゃんが問うと、「新聞記者が取材するにの自らも湯からもない」とデスクが答えるのが印象的。一瞬「うん?」となるが、「自ら」と「水から」をかけて、次に逆の要素の湯を持ってきてウィットに富んだ言い回しを完成させている。これ、メジャーな文言なのかな。この作品で初めて聴く言い回し。似たところだと「でも~」よ文句を言うと「デモもストもねぇ!」と返す流れが思い浮かぶ。あんな感じのおしゃれな言い回しも色々知れると楽しい。
序盤から早々に路線が違っていると思える異色な一作が「育てよ! カメ」。
これ、小さい頃に見たけどすごい覚えている。
少年が大亀に乗ってどこか分からん世界を冒険し、すごいチビの乙姫が出てきて何かずっと変な感じで終わる。乙姫がいたずらで茶目っ気もあって少年を翻弄するのがなんかムカつくと所見で思ったやつ。乙姫の不気味かつちょっと面白い笑い声も印象的。
このお話はどう考察するのだろう。オチがなんとも言えない感じだった。子供に嘘はつくなと大人サイドからメッセージを贈る目的も少々はあるのだろうが、かといって本当の事を言ったタロウ少年は信用を得られないわけで。大人は不条理みたいな事も言いたいのかな。それから授業中には亀をいじらず勉強しろって事も言ってるのかも。
気になる昔ながらの表現の「キチガイ」が数回出てくるのも印象的。ゴローに夢中な五郎は人から猿キチガイ、亀に夢中のタロウ少年は亀キチガイと大人から言われていた。他では聞かないキチガイの種類だった。
ここに出てくる大亀の背中にスピードメータが仕込まれているのはユニークで笑う。
一瞬出てくる怪竜が完全にマンダやないか。もうネタが上がっているから怪が取れたただの獣やないか。
こんな感じで他で作った懐かし怪獣のスーツがこちらで流用されていることもしばしばあり。優秀なスーツだから、一発仕事で引退は惜しいと思ったのだろうな。
最初のゴメスはゴジラだし、パゴスはバラゴン、トドラはマグマ、改造していたり割りと丸出しだったりでまぁすぐに気づかれると想う。トドの怪物のトドラ、マグマはすげぇ好きだからまた会えて良かった。出典元の「妖星ゴラス」も非常にハイクオリティな秀作だった。
しかし27話の飛行機が不思議空間に消えたところで特に関係なくトドラを出して来たのは「うん?」ってなったけど。
印象的なタイトルや内容、怪獣が多くいすぎるな。それぞれ長めに考察とか出来て良さそう。
昔ガチャポンフィギュアでゲットしたナメゴン登場回はちょっと不気味なオチで記憶に残る。タイトルが「宇宙からの贈りもの」という何か良いものをもらえそうな回なのに、やって来たのがナメクジのバケモノ2体という困った感じになっていた。微妙に間抜け顔なのだけど、こいつと夜中に出会った怖いだろうな。
この回の教訓は、拾ったアクセを女にあげるなってことだな。一平ちゃんが悪い。
間抜けな感じがするけど、夜中にコレと出会ったら怖いと思ったのならラゴンもそう。これが田舎道をペタペタ歩いているとか笑えるけど冷静になると怖いよなぁ。
夜中に来る怪獣だと白黒映像では見えにくい。夜のシーン、炎が上がるシーンなんかは、やはりカラー版で見る方が臨場感があって良かった。
ラゴンのジャズが好きという点は興味深い。ラジオから音楽がする内は熱心に聞き入り、それが終わってニュースの時間になると切れてツッコミを入れてくる。1話内に2回この演出があるからなんか間抜けで可愛い感じになる。
ラゴンの赤ちゃんもブスといえばそうだけどキュートとも取れるから面白い。ラゴンも好きだな。
タイムスリップグリコガチ集め勢としては、おまけフィギュア化したカネゴン、ケムール、ペギラ、そしてシークレットだったパゴスにどうしても注目してしまう。こいつらマジ好き。
カネゴンは教養を含んだ昔話みたいなお話として楽しめる。業突張りは何かと損して酷い目にもあいがち、そんな舌切り雀的要素があった。改めて見るとカネゴンって可愛さと間抜けさが黄金比で超親しめる傑作怪獣だな。
ペギラって二回来たのか。こいつとガラモンは逆襲系モンスターで二度人間達をピンチに追い込んだ。
ペギラは苔を嫌うのか。ウチには苔がめちゃ生えているし、あと犬もいるから安心だな。
可愛らしくもあるが、ちゃんと見たら結構老け顔という点からペギラとミニラって何か似ているよな。
ガラモンも名物キャラだな。これとM-1号あたりもそうなんだけど、パッと見可愛い雰囲気を出しているけど、よく見るとタラコ唇のブスっていう作りのヤツ多くないか?
ガラモンは普通に宇宙のお友達が放った地球侵略兵器だった。しかも2回来るし。ガラモンのバックにいたセミ人間もグロテスクかつショッキングなデザインで記憶に残る。あの不気味さも好き。
ガラモンが死ぬ時の表情、そして怖い液体を吐くのがずっと記憶に残っている。調子良く侵略しているところから死が急に来るからこっちがビックリ。これって当時見ていたちびっ子達のトラウマになっていないのかな。死に際のガラモンの動きの芝居がかなりグッド。
死ぬシーンならセミ人間もショッキング。作戦に失敗したら容赦なく燃やされるという怖い種族だった。
こうして考えてみると、ウルトラマン上陸よりも前に宇宙から何か色々入り込んでいたのだな。それを除いても地球産の怪物も結構いるし。超人の手助けなく等身大の人間達で何とかやっていた時代もあったと今のちびっ子に見せて学習させてあげたいぜ。
分かりやすく暴れる怪獣もあれば、マンモスフラワーこと巨大植物ジュラン、空に浮く物言わぬ悪魔のバルンガなんてのがいたのも印象的。二足歩行でやってくる恐怖でなく、この手の喋らず動きが少ないけど確実に人間に害なす静かなる恐怖の運び屋こそマジに怖いのかも。
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