「仮面ライダーアマゾン」は、1974年10月から1975年3月まで放送された全24話の特撮ドラマ。
初見の人にはそうは見えないかもしれないが、仮面ライダーシリーズの一作であり、ライダー6号にあたる。
しかし50年くらい前の作品だとは思わないじゃないか。マジで古いんだな。半世紀前の作品だけど今日見てもイケるぞ!
このちょっとディープにマニアックなシリーズがYouTubeでドドンと配信された。じゃあ見るしかねぇ。私の人生の指針がそちらに向いてブレないから仕方ない。
いや~楽しかったっす。アマゾンは人生で2周目。
通販サイト「Amazon」の台頭により今となっては広く皆さんに耳馴染みのこの音だが、私はAmazonと出会うよりもずっと前のチビの頃からアマゾンライダーに触れていた。私にとってアマゾンといえば仮面ライダーです。
つい先日Xライダーの配信が終わって、寂しくも満足な視聴後余韻を味わっていたのがさっきみたいなんだけど。続くアマゾンももう終わりかよ。感覚的に超速いっす!
1週間に2話配信だから、アマゾンが1クールで全部見れたわけだ。満足感のデカい1クールだったなぁ。どこぞの深夜クソアニメの1クール分とは大違いだ。やはりライダーシリーズは優秀。
とか言いつつも、根っこには問答無用で昭和特撮をヨイショ!する懐古主義の心が働いているのでは?と自分のことを冷静かつ冷徹に見たいとは思うが、やはり昭和特撮とか至高でしかないのでそっちをヨイショするっきゃない。←意味の無い一文でした。
そういえば先日の「アニゲー☆イレブン!」に声優の佐藤拓也がゲスト出演した際、アマゾンが好きだと熱弁していた事を思い出す。他にもアマゾン好きがいたことは嬉しい。アマゾンは広く色んな人に愛されています。
さてさて、改めて見たアマゾンライダー、こいつはやはり異質なシリーズ枠だった。はっきり言って素人向けではないかもしれない。
まず主人公アマゾンこと山本大介の設定がすごい。アマゾン奥地のジャングルで育った野生児である。それが悪の軍団ゲドンと構えたあれこれの騒ぎの末、日本に来ることになり大戦闘となる。
地の利を得ることは叶わず、日本の言葉から文化までも分からない。単身で来たからそりゃ孤軍奮闘は当然だが、加えてカルチャーの障壁があることで心理的にもっと孤独になっていくアマゾン。可哀想。応援したい。
身の孤独はなんとかなっても精神の孤独の打倒はキツい。そんな人間心理の真を見る孤高の戦士の生き様がここにある。アマゾンライダーここにありってわけだ。
一生懸命平和のために戦っているのに、最初の方だと普通に不審者扱いで住民からひどい目にあうし、警察から追われることにもなる。まぁ半裸みたいな薄着だし、言葉を話せないのは不利過ぎる。職質警官も湧くわな。
他者が分からないし、自分の事だって分かってもらえない。こんなシンプルな孤独のシチュエーションの中、アマゾンは落ち込んだり怒ったりで葛藤の中なのである。青春してやがる。
ここら辺の苦しみが見える序盤展開は今見てみると結構キツい。心にキツいんです。最近の子供番組には見ない戦士側の不都合があるな。珍しい生い立ちの野生児ってことで研究者からは研究対象としてとっ捕まえることもあったし。やっぱり可哀想。
そこで友人のマサヒコ少年、皆のサポート役の立花のおっさんに助けられて戦士としての心のコンディションを保っていくのだ。後にはモグラ獣人も仲良しの仲間になる。
マサヒコくんの姉のリツコさんには割と長い間受け入れられず、アマゾンもつらい思いをしたなぁ。ガキとおっさんとモグラの化け物を味方につけても、イケてるギャルに嫌がられると大ダメージだからな。まぁ心のバランスを保つ人間関係なら「同性 < ギャル」この方程式で正解だよな。それにしてもリツコさんはイケてたなぁ。昭和トップギャルですわ~。
シンプルな変身ポーズに掛け声も「ア~マゾ~~ン!」と短い。これはチビスケの時に真似したものだ。でも同級生は誰も知らなかった。
変身した改造人間の姿も私は超好みなんだけど。ライダーの冠を外した別の企画でもいけるくらい前作のXとは雰囲気の異なるデザインだった。
ライダーはバッタ人間のイメージが固定だったのが、アマゾンはマダラオオトカゲという一生会ったことがない爬虫類を模したデザインになっている。トカゲってだけでも意外だけどマダラ種なのかよ。昆虫から爬虫類に変えて来たのは挑戦的変更点。じゃあ寒さに弱いのかな。冬場が迫った段階でアマゾンがちょっと暖かさそうな衣装にチェンジしていたな。
アマゾンも当然作品の看板だが、なんといってもコイツといえるもうひとつの看板が敵の十面鬼ゴルゴスだろう。これと類似するシルエットのキャラなんていないんじゃないのかってくらい見てくれが異質。マジで十面鬼の見た目はひっくり返るほどの衝撃的でした。
寺の鐘から人が生えたような異質なシルエットはすごい。下の岩には悪党の顔が10あり、その上には赤鬼のゴルゴス。絶対重量がすごいのだろうけど、あれで空を飛んでくるからもうやりたい放題なキャラ設定だな。どうなってんねん。
この振り切った歪さが逆に心地良いことから、我が家の住人にも十面鬼は大ウケです。
ホント、マジすげぇキャラクターだよな。単純にビジュから10面の歪なキャラ設定までよく考えついたものだ。
作中で一番評価するのは、十面鬼という傑作モンスターを生んだことだな。
たった24話の内、前半クールのみの登場なので、ヤツが大日本テレビ史において顔出した期間は1クールくらいなのだ。たったそれだけの実働期間で人々の記憶に深く刻まれている。これについては「すげぇ」としか言いようがない。
彗星みたいなものかな。急に出てきてあっという間にどこかへ行く。一瞬のきらめきがあるモンスターだった。十面鬼が好きです。
それとよく見たら顔面岩の中にヨロイ元帥がいるのも思い出。
十面鬼も次に出てくるガランダーのゼロ大帝もだけど、任務の失敗者にむけてめちゃ厳しい。ブラックな企業だな。失敗者に明日はなく、簡単に「消去」の決定が下される。怖っ!
十面鬼はビジュとしては最高最強だったけど、中身はマジで悪いクソ野郎だったな。
アマゾンを見ていると、敵サイドの罰則や処刑がサクサクと進むのがなんか怖いなぁという記憶が濃い目に残った。
アマゾンの遺産ということで、アマゾンライダーはギギの腕輪、十面鬼はガガの腕輪を持っている。両方が揃うと世界をひっくり返すくらいのすげぇ力が手に入るとかなんとかで、とにかく世界征服に役立つそうな。というわけでゲドンもガランダーもアマゾンのギギの腕輪を狙ってくる。
伝説のアイテムが二つ揃うともっとすごい伝説の開幕となる。この展開はオタクならワクワクします。腕輪争奪戦という形も面白い。
アマゾンといえば戦闘も野性的で、アマゾンの蹴る殴るは先代ライダーのそれと違ってもっと荒々しい。必殺の大切断なんて物理任せの一刀両断技だから、テクニックよりもバカ力で攻める荒々しい戦闘スタイルとして記憶に濃く残る。これが子供にはちょっと怖いと感じる要素になったりするのか?
子供受けとしてどうだろうって要素なら敵の獣人共のデザインもそう。グロい、キモい、怖い要素なら確かに感じる。でも私ってばそっち系が好きなので、改めて獣人のデザインがめちゃ良い!と興奮した。
スーツがデカいし形状も異質ってことで多分スーツアクター泣かせだったろうヘビ獣人、ワニ獣人なんて最高じゃんか。モグラを殺ったキノコ獣人は許せんが、私はキノコ愛好家だし、ヤツのデザインもキショさはあれどあれはあれで悪くなかった。
一度は敵対したモグラ獣人が仲間になってコメディリリーフに回る要素も良かった。モグラのスーツデザも良いな。
これからは人間社会にも馴染まないと、ということからラジオを聴いて社会勉強しているモグラが可愛い。モグラとラジオが映ったカットが何かのカードになっていたような。それも持っていたような。
キノコ獣人戦では体を張ってキノコ毒の解毒のために時尽力し、その末逝ってしまった。あの回はさすがにシュンとなってテンションも落ちた。
モグラの墓には「勇気の士」と刻まれていた。アマゾンや立花のオヤジからこの言葉が送られるなんて名誉なことだぜ。モグラバンザイ!
でもモグラって田舎で死体を一度見たことがあるだけで、以降は生死問わずリアルを見たことはゼロです。あれってそこらにいるのかな。
前半はゲドン、後半はガランダー帝国と悪者組織が二部構成で来るのは厄介。
ゼロ大帝って結局何者だったのか?と言ってるヤツが結構いる。だよね。ヤツは謎。
不死身が売りなので一回は死んだのかと思わせるシーンがあるが、その後また出てくる。こいつも血も涙もない怖いボスだったなぁ。
最後はギギ、ガガ、二つの腕輪の力を宿したアマゾンの超必殺「スーパー大切断」で始末した。爽快なゼロ大帝討伐で良かったっす。腕輪が揃った状態で使える最終回のみの大技だったのが熱い。
戦いが終わった最終回は、綺麗なスーツ姿のアマゾンがフェリーに乗って故郷に帰るシーンで締める。あの白いスーツとデカい船はかなり印象的だったので初見からもよく記憶している。アマゾンといえば十面鬼と珍しいスーツアマゾンが見れる最後がすぐに思い浮かぶ。
マサヒコくんとアマゾンの別れ、ちょっと悲しい。
これまでのシリーズなら、戦士の孤独を埋める相棒として一番近い場所に立花のおやっさんがボジション取っていた。でもアマゾンにとってはマサヒコくんの方が先に出会ったもっと近い相棒だった。子供のマサヒコくんがサポート役として一番近い位置にいるのも印象的だった。
見ている者の大半はマサヒコみたいな子供のはずだから、その点では視聴者からの共感を得ることが出来たのかも。そういや今YouTubeで配信している「仮面ライダー響鬼」もライダーのかなり近い場所にいる明日夢くんが重要キャラに描かれているし。2作のちょっとの共通点かな。
アマゾン良かったぜ。始まったと思ったらもう終わりだから寂しいけど、無駄に長くない分楽しく見やすい作りで良かった。令和に入ってまた十面鬼が見れたのも良かった。ウチのお兄ちゃんもあいつのことは大変気に入っています。
というわけでたまにはイレギュラー作風で見る異形の仮面も悪くない。
令和になってもアマゾンライダーここにあり!ここってのは、我々のハートのことである。
次に配信の仮面ライダーストロンガーもばっちり見よう!
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