こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

銀座に響く愛のメロディー「銀座の恋の物語」

 「銀座の恋の物語」は1962年公開の日本映画。

 古き良き時代の銀座を舞台に、売れない画家男とお針子娘のラブを描いた物語である。

 

 石原裕次郎と牧村旬子による同名のデュエット曲を発売した翌年に公開した映画である。通称「銀恋」という。

 私はその昔、高齢介護施設のカラオケ大会でレーザーカラオケのディスクを入れ替える仕事をしていた。その時に「銀恋」はお年寄りからたくさんリクエストが入る一曲であった。あとは芦屋雁之助の「娘よ」とかが多かったと記憶している。ちなみに私は裕次郎の曲なら「嵐を呼ぶ男」が好き。

 それにしてもレーザーのようなでかいディスクは扱いに不便であった。我が家には古いカセットカラオケがあるが、最新のカラオケでは楽曲は全部データ化してディスク取替えなんてしなくて良いんだろうな。カラオケ屋にも出入りしないから現在のカラオケがどうなっているのか気になった。この映画から発したことだが、映画と全然関係ないことを考えてしまった。

 

 銀座には一度も行ったことがないが大昔の「銀座屋」、ネオンの街、都電などを見ると、どうゆうわけか郷愁にかられる。あとはどうしようもなく古臭いたこ焼きと焼き芋の手押しの屋台店などもそうである。ああいう屋台で食ってみたいものだ。

 タイムスリップグリコをコレクションしていた過去があるので、昭和のレトロな風景がどうやら私の感覚として気持ちの良いものらしい。

 

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 主演は皆大好き石原裕次郎浅丘ルリ子

 ドラマ「西部警察」のせいでヤバイ奴のイメージが強い裕次郎が、この頃は小僧のような顔をしていて可愛いらしい。

 浅丘ルリ子は「男はつらいよ」のリリー役のイメージが強いため、この作品で可愛らしいウブなねんねの役であったのが意外すぎる。「男はつらいよ」では「あたし達根無し草は泡(あぶく)みたいなもんよ。あってもなくてもなくてもいいもの」みたいな擦れた感じのことを言ってたのに「銀恋」では、男に愛してるって言ってよと迫る女らしさを見せている。というか「男はつらいよ」の時と顔が違ってる。この時は随分若いな。一瞬誰かと想った。

 

 裕次郎演じる若い画家は、人に使われたくないと言って己の腕を磨き夢みる青年。ああいう青臭い感じは嫌いではない。夢破れる厳しさも描かれている。

 裕次郎が仕事で儲けたら、彼女にハンドバックを買う約束をしてるのだが、浅丘ルリ子演じる彼女は壊れて蓋がしまらないハンドバッグを使ってやり過ごしている。これがなんだか健気でちょっと泣ける。

 

 浅丘ルリ子がスタジオで強いライトを浴びた時に、戦争時代の空襲を思い出して怯えるシーンが感慨深い。60年代の青年なら戦争も経験している訳で、華やかな銀座で暮らす中でも痛ましい記憶に苦しめられているのだと分かる。

 

 おしゃれで良いと想ったシーンは、主人公次郎の友人の宮本とその彼女の会話。女がどこかの小説家が言ったという「全ての人間を愛することは誰も愛していないことだ」を口にするととジェリー藤尾演じる宮本は「俺はあいのこだから日本人の言うことは通用しない」と返すやり取りがウィットに富んでいて印象的だった。

 

 ヒロインが車にぶつかって記憶喪失になり姿をくらますのだが、ラブストーリーに記憶喪失症を持ち込むという、ありがちな要素はこんなに昔からあったのだと分かった。

 

 主人公の近所に住んでいるトランペット吹き男の演奏シーンが、序盤、中盤、ラストにまで見られたのが記憶に残った。

 

 銀座の街の景色も手伝ってメロウな雰囲気の素敵な一本となっていた。

 

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 行ったことない街だけど、何だか良い雰囲気に酔いしれた。

どうしたすばる「さよならの渋谷すばる」

 

 昨日、関ジャニ∞渋谷すばる君がグループ脱退&事務所からも退所することを発表したので、それによって受けた悲しみと怒りを文字にしてここに書き殴ろうと想います。

 

 ことの始まりは確か先週の木曜日か金曜日のである。

 私が趣味として楽しんでいるYahoo!ニュースを見ていたら、すばる脱退という記事が見つかった。

 Yahoo!ニュースと言えば、有益であり、読んで楽しい記事がほとんどなのだが、中にはこんなこと書く?こんなの書いてお金もらえるの?ってくらいに下らない内容の物の他に、ヨタ、デマなどの内容もあるので、その記事も信用にあたらないものだと想ってスルーしておいた。

 私はその記事を読んで「すばるが辞めるわけないだろう。デマもいいところだ。こんな嘘を書いて金をもらっている物書きがこの世のどこかにいると想うだけでも嘆かわしく、そしておぞましい。こんな嘘をついて金がもらえるなら私などは今頃帝国を作って、そこの主にでもなっている」とまで想った。思いつく限りの言葉で書いた奴をディスった。

 

 しかし、昨日のお昼。

 グループメンバー(安以外)が揃って記者会見をし、その場で公式に脱退発表をしたと分かった。

 絶対嘘と思っていたあの記事は本当だった。始めて記事を見た時には激しく否定しまったので、書いた人にはとりあえずごめんなさいを言いたい。

 すばるが脱退とか全く予想してなかったので、これこそまさに(KAT-TUNの曲だけど)「青天の霹靂」だった。

 

 この発表には「え、ウソやん」としか想えなかった。もうすぐベスト盤出すし、それを引っさげてツアーもするのに、メインボーカルが抜けるとかウソやん。

 内君が抜けて行ったことを思い出してしまった。彼に続いて二人目の脱退。しかもすばるはないわ~。あの独特な声質と歌唱法が私にどはまりして、ジュニアの時からお気に入りのメンバーだった。関ジャニの中では一番好きだったのに、カラオケですばるの真似をよくしたのにと色々思い返してしまった。

 

 デビューの前から知っていて、シングル曲も出せば全部聴いていた。その中ですばるの声の存在は大きいかった。

 エイターの方々はどう想うか分からないが、正直すばる抜きとか無理やって、もう関ジャニ終わったろと直感した。今は、すばるが抜けたショックで6人での活動を応援する気になれない。

 

 山Pと錦戸君がNEWSを抜けた2011年くらいから、ジャニーズはコンスタントに悲しい発表をしている。KAT-TUNメンバーが次々退所したり、SMAPが解散したのがその例だ。

 私の青春を彩ってくれたジャニーズ達も歳を取り、活動を辞める。そんな時期になったんだなと今回のすばる君を見て思った。現グループメンバー最年少の大倉君がもう30才を越えているとか、ちょっと信じられない。時間が過ぎるのは早い。

 なんか、すばる脱退で一気に元気をなくした。偉大だった平成デビュージャニーズの上の方から順に少しずつ退所者が出ているのを見て、これはもしかするとアイドル帝国ジャニーズの落ち目と言うか、崩壊の始まり的なものなのかもしれないと思ってしまった。

 

 とにかくすばるが抜けるのは痛いなぁ……

 

 昨日の記者会見で横山君が泣いてるのを見て、もらい泣きしてしまった。あんな状況で不謹慎かもしれないが、会見の時の錦戸君のばっちりきまった髪形を見て男前やなぁとも想ってしまった。あと安は早く怪我を治してほしい。

 

 

 私がすばるの美声に完全にはまった楽曲が「大阪ロマネスク」である。すばる君脱退ということで、今朝から懐かしく想ってこの曲を聴いている。歌いだしからすばるソロで綺麗な声が聴ける。お祭りソング、コミックソングのイメージも強いグループだが、この曲はしっとり目で哀愁漂う一曲に仕上がっている。多分グループで一番好きな曲かもしれない。

 

∞SAKAおばちゃんROCK/大阪ロマネスク

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 これのCD買ってよく聴いたな~

 

 マイナスなことを多目に書いたが、私はすばるを応援しています。頑張れ。 

あいつは井戸からがきっと来る「リング」

 「リング」は1998年に公開された日本のホラー映画。

 

 世紀末の頃、日本映画史にその名を刻んだヒット作で、作品を象徴する人物貞子は国境を越えて有名キャラになった。恐ろしい女である。

 

 映画なら長い物と短い物、良質な物とクソな物、アニメと実写問わず8000本くらいは見てきたが、中でもこの「リング」は色々想い出深い。そして衝撃を受けた一本である。

 

 原作小説がよく売れて、読んでる奴をがくさんいたし、古本屋にもたくさん並んでいたと記憶している。

 今となってはジャパニーズホラーと言えばコレっていう作品群に名を連ねる名作になっている。

 当時この映画については、「呪いのテープ」そして井戸から這い出る奇人「貞子」の存在が大変話題になり、見たことないけどこの二つのキーワードは知っているという奴が多くいて、私もその一人であった。公開から結構遅れた見たのだ。

 

 私は本なら水木しげる楳図かずおを読み、映像なら「オーメン」や「エクソシスト」「怪奇大作戦」あとは「妖怪人間ベム」など見て育った。そのためざっくりホラーというくくりには耐性がつき、何よりこの上なくスリルある非現実世界に陶酔できるから好きだった。

 クラスの奴が「リング」のビデオを借りたけど怖くて一人で見るのは無理と言って私の自宅に数人を集めて見ようと提案されたことがあった。なんせ私の祖父は神社の管理人をしていたから呪いとかに強いと思ったのであろう。私はジャンルが何であろうが映画は一人で見たい主義である。この時には「一人で見ろハゲ」としか想わなかった。

 

 セガっ子の私はドリームキャストが大好き。この「リング」ドリームキャストでゲームが出たので購入したのだが、結構クソだったと記憶している。いつか中古屋に行った時に100円で売られていた。セガハードのゲームは良いのとクソのふり幅がすごいからジャケ買いはかなりの博打である。このゲーム版のリングは、今も押入れの中に閉まってある。

 

 こんな感じで「リング」一つ取っても色んな思い出が溢れてくる。

 

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 そんな映画「リング」を見た感想をつらつらと書いていこう。

 

 見たら一週間で呪い殺されるという物騒極まりないビデオテープの謎を追って行く、ミステリーの要素も含めつつタップリと貞子にビビらされる作品だった。

 

 まず、キーアイテムの呪いのビデオについて。この内容については、一回見たら脳に刻まれて忘れられない不思議な仕掛けがされている。古臭く、荒い画質でとにかく不気味で気持ち悪い。デジタル放送になった今では、砂嵐とかビリビリノイズとか見なくなったからあの映像も懐かしい。

 物語のラストでこのテープの呪いをやっつける方法はテープをダビングして他の人に見せることと判明する。

 当時、私の周りでは家庭でダビングが行える環境を整えている人は少なかったと記憶している。まぁ普通なら必要ないしな。私はビデオ大好きっ子で当然デッキを二台持っていたので同級生からダビングを頼まれたこともあった。知らずにやってたけど、あれって扱う映像によっては著作権の違反とかになるっぽいな。

 人によっては、方法が分かったところでダビング出来ないってパターンもありえるかも。そういえば当時は500円くらいで利用できるダビング屋ってのもあったな。

 とにかく物語のキーアイテムが、現代ではそろそろ忘れられつつある記録メディアVHSテープだったのには懐かしいとしか言えない。

 

 主演の松嶋菜々子がこの時にはやっぱり若い。可愛い。そしてエロい。この女優さんは本当に美人だと想った。真田広之も渋くて男前だな~と想った。ずっと不気味な映画だけどメインの男女はすこぶる顔面が整っているので、そういう意味では華がある映画だった。

 

 即殺されるけど、竹内結子が出ている。若いというかこの時子供じゃん。この女優も好きなのでこんな幼い時から出ていたのかと後になって分かった。竹内結子の友人役で佐藤仁美も出ていた。出ていたとは知らなかったが、今ではすっかり有名な人のかなり若い頃の顔が見れた。

 

 何と言っても怖いのが貞子。髪長すぎ。

 この作品がヒットして井戸から何かが出てくるっていうパロディネタが色んな作品で見られるようになった。パッと思いつくので「銀魂」で銀さんがブルーレイレコーダーを買った回でこれのパロディあったな。個人的には井戸って言えば、ドラクエの確か6で出てくるモンスターの「井戸魔人」のイメージが強い。こいつのが貞子よりも先輩。

 

 最後にテレビから貞子が飛び出して来るのは、衝撃だった。この時に貞子の顔の全部は見えないけど片目だけドアップで写るのも怖い。

 しかし、ダビングしなかったらといって真田広之がラストで殺されるのは可哀想だろうが。貞子を井戸から引き上げるのは彼がいないと無理だったのに、恩知らずな化け物女と想った。

 松嶋菜々子真田広之が井戸に入ったのを見て「あんな狭くて気味が悪い所、マジ無理~」と想った。 

 

 

 松嶋菜々子が事件を追っていく上で呪いのテープの犠牲者グループが泊まった施設を訪問するのだが、そこの受付に貸し出し用の映画ビデオの棚がある。懐かしいセルビデオの背ラベルをちょっと興奮気味に見ていたら、そのラインナップが豪華すぎと気づく。覚えているタイトルだけでも「シェーン」「愛と青春の旅たち」「スティング」「第十七捕虜収容所」「鳥」などがあり、そして中でも「ローマの休日」「麗しのサブリナ」「シャレード」「ティファニーで朝食を」のヘップバーン主演作品が充実していたことが印象的であった。映画好きなので、「リング」の内容と関係ない小道具を見て興奮してしまった。正直この名作映画ビデオがタップリ並んだ棚の存在が一番記憶に残っている。

 

 ラストが印象的であった。呪いのテープについて取材を受けた少女Aがテープをダビングして次の人に見せるを繰り返してどこまでも終わらない呪いのリレーが続くことに関して「でもそうするしかないならするでしょ」と言ったのが、後味の悪い最後のセリフだなと思えた。確かに必要に迫られたら誰かを犠牲にしてもダビングするだろうな。ビデオデッキ二台持っているからすぐに出来るしな。

 

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 やっぱり、ゾクリと来るホラーはたまに見ると良い味である。

 平和ボケできる幸せの中に「恐怖」という異質な要素を放り込むのは、マゾっぽい感じもするが、どうゆうわけかホラーはイケる。

 

 映画バンザイ!

世界一マヌケで最高な奴「フォレスト・ガンプ/一期一会」

 「フォレスト・ガンプ/一期一会」は1994年公開のアメリカ映画。

 

 バブルと呼ばれたうたかたの時代が過ぎ、日本の人々がそろそろ浮かれるのも終わりにして腰に力を入れ直そうとしていた頃の映画である。

 

 本作のキャッチコピーはフォレストのママが言った「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」である。グッドなキャッチコピーだね。

 このキャッチコピーは「アメリカ映画の名セリフベスト100]」において第40位となっている。私が映画名セリフでさっと思いつくのは「狼たちの午後」のセリフ「アッティカアッティカ」である。ちなみにこっちのセリフは同ランキング86位であった。

 

 フォレスト・ガンプと言えば、「元」をつけるのが悲しいが事実なので仕方ない元KAT-TUNの田口君主演で舞台化したのが記憶に新しいところである。想いだすのが、バラエティ番組でメンバーからフォレスト田口といじられていたこと。彼がグループにいた頃が懐かしいぜと想いながら、これを書いています。

 

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 映画の内容と感想を同時に振り返っていこうと想う。

 

 この作品は簡単に言うと、変人フォレストのとっても素敵にして数奇な人生の物語である。痛ましいベトナム戦争、度重なる大統領への襲撃、ジョン・レノンの死など激動のアメリカ史の中でフォレストは素直にまっすぐ生きていく。

 

 上記のジャケットにあるように、内容の大半はバス待ちのベンチの上でフォレストが自分の昔語りをするというものである。この話がとっても面白い。

 

 幼少期のフォレストは、人よりも知能指数が劣る子供で、背骨矯正のためにギプスをはめていた。こういうハンデはいじめっ子の格好の餌食になる。友人のジェニーといるところを、いじめっ子共にチャリでおっかけ回され、車でおっかけ回されるのを逃げる日々が続く中で、フォレストはとんでもない脚力を身に着けていた。ギプスが取れて、誰よりも早く走れるようになった。速い上に体力もついて長距離もいける。

 足の速さを買われてアメフトの強い大学に入り、アメフトの試合で走りまくっている内に卒業してしまった。

 

 その後は、軍隊に入る。何かと器用なフォレストは銃の組み立てが異常に速く、軍の最高記録をたたき出すなどして、意外にも軍での生活が肌に合う性質の男であった。

 軍に入ってから友達になる黒人のババという奴がかなり面白い。家は代々海老を取り扱った仕事をしており、フォレストにずっと海老のうんちくを語っている。こいつ海老が好きすぎるだろと想った。フォレストを気に入って、除隊したら二人で海老漁をしようと約束するのだが、激しい戦闘の中で死んでしまう。

 軍でのフォレストの上司ダン隊長も良い味をしたキャラだった。

 

 フォレストはケツに弾を喰らって傷痍軍人の入院施設でしばらく過すのだが、そこで暇つぶしに遊んでいた卓球との出会いが、彼を次の人生のステージへ連れて行くことになる。フォレストの卓球のセンスが覚醒し、遂にはプロになって、外国に行って試合まで行う国民的ヒーローになってしまう。

 

 次には、亡き友人ババとの約束を果たすため、ダン隊長を誘って本当に海老漁を始める。ダン隊長は、戦場で負傷したのをフォレストに助けられたが、結果的には両足を失ってしまった。最初は、こんな姿になるなら助けられずに死んだ方が良かったと言って、フォレストや過酷な運命を与えた神に怒りを向けていたたダン隊長が、フォレストとの海老漁を通じて人生に生きがいを見つけるようになる。

 運命を受け入れたダン隊長が、ここに来て初めて命を救ってくれたフォレストに礼を言うシーンは印象的だった。フォレストの「彼は口にしないが神と仲直りしたようだ」の語りも良かった。

 

 海老漁で一旗上げた時にフォレストのママが癌で死んでしまう。このフォレストのママが幼い頃からずっとフォレストを愛し、信じる様が私には泣けるものとなっている。フォレストが「最高のママだ」と言ったのは分かる。死の淵にママが言う「死は人生の一部」という深いセリフも印象的だった。

 

 ママが死んでからは、海老漁で稼ぎまくった金を寄付し、病院や教会を建てた。ダン隊長がアップル社に投資してめちゃめちゃ儲けて、フォレストは一生金に困らなくなる。

 

 恋人のジェニーと同棲していたが、ある日ジェニーが出て行ってしまう。それからフォレストはとにかく走る日々を続け、気づけば走る彼を神のごとく崇める人々が後ろについてくるようになっていた。フォレストのカリスマ性がすごかった。

 

 生き別れたジェニーに会いに行くというところからやっと、ベンチの上での昔語りが終わって物語の時間が進みだす。ジェニーには子供がいて、実はその子供は前に会った時にフォレストとの間に出来た子供であった。二人は結婚して一緒に暮らすがジェニーは病で倒れて若くして死んでしまう。

 

 最後のシーンでは、フォレストが子供時代に乗ったスクールバスにフォレストの子供が乗る。フォレストが子供を見送って終わる。

 

 フォレストのどこまでも素直で明るくてお人よしな所が大好きになり、映画の内容も飽きずにずっと見れる楽しいものであった。これはすばらしい映画だ。悲しい出来事もあったが、コミカルタッチで描く物語なので良い。最初と最後の街を舞う羽の演出は神秘的であった。

 

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 人生って素敵でいっぱい! 

 

シェーン、カムバック「シェーン」

 「シェーン」は1953年にアメリカで公開された映画。西部劇の中では有名すぎるので見たことない奴でも名前くらいは知ってそうなもの。

 著作権が50年持つというが、この作品なんてとっくに50年以上前のものとなっている。キャストの方々も大方亡くなっているだろう。本作に登場する可愛い少年ジョーイだって生きていてもとっくにジジイだな。

 ノストラダムスがどうこう言ってた世紀末が既に懐かしいのに、そこからまだ50年も前の、私が生まれもしない遠い世界に想いを馳せてこれを見たのである。

 もともと古いけど私が始めて見たのは確か15年くらい前。そして今になってもう一度見てみた。

 

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 舞台は南北戦争が終わって、土地を開墾していこうという時期にあたる、とっても古き時代のアメリカの地ワイオミング州ということである。地理については知識も興味もないので、アメリカってだけで広くてよく分からないのに、その中で何とか州って言われても全然しっくりこない。

 古き時代と言っても、この段階で十分おしゃれなアメリカのカウボーイ達に対して、同時期の日本はおちょんまげをするのを止めかけていた時代だと考えると、日本って遅れている。

 

 話の内容に触れるよりも前にまずすばらしいのは、本作の舞台であるどこまであるんだってくらいに雄大広原である。世界広しと言えど、古今東西にこれほど素晴らしい景色があったのかと思わずにはいられない。

 

 この話は広原の地を耕して暮らす農民の方々と、そこの悪徳なる地主とのいがみ合いを描いたものである。

 悪徳地主のライカーは、広原に住まう人々を色んな嫌がらせで脅して追い出そうとする。家の柵を壊す、豚を殺す、家に火をつけることまでやるのでマジで意地悪な連中だと思った。私なぞは町内会でこのような悪事を働く者がいれば迷わずクロスチョップを食らわすであろう。

 そんな脅しに屈さずに闘うナイスガイのジョーの家に、これまたナイスガイな流れのガンマンシェーンがやって来て、皆で力を合わせてライカー一味をやっつけるというお話。

 その中でシェーンとジョーの息子ジョーイとの男の友情も描いている。

 どうなんだろうって思うのは、ジョーの嫁とシェーンはやっぱり両想いで惹かれていたのであろうかという点。そういう設定ぽいけど、全くそうなのかと捕らえるには濁している感もあった。危うく不倫ものになりかけそうだったのでヒヤッとしたぜ。

 あとはジョーの家の食卓に並ぶパイがとっても美味そう。

 

 ジョーの家の庭にすごいでかい切り株がある。序盤のシーンでジョーはそれを斧で打っているのだが、シェーンが合流してからやっと切り株の始末を終える。 

 ジョーは深く根付いた切り株と2年も格闘したと言う。嫁が馬に引かせて引っこ抜けばと提案するが、ここまで来たら人力でやり通すと答える。このジョーのアナログ魂が私的にぐっと来た。格好良いではないか。私はあの切り株と比べたら、まだまた弱い庭のドクダミの始末でひいひい言っているので見習わなければと思った。

 

 カウボーイとかガンマンとかいう連中って荒くれ者ですぐに銃を抜くイメージがあるが、この時には明確な法律で縛られていて、敵のライカー達も殺しには出ずに脅している。ラストの銃撃戦以外では、酒場で殴り合いの決闘をしていた。

 

 悪者共の行いを静める保安官を呼ぼうという話になっても、保安官は遠くの街にいてこんな田舎にはすぐに呼べないという状態であった。こうなると悲しいことだが、あらゆる地域で犯罪は起こると仮定し、間隔を詰めて各所に交番を置くその必要性が理解できた。今の日本は、割りと間を置かずに交番が色んなところに設置されているので安心だなと思えた。警察組織の発展も未熟な時代だったのだと思って見ていた。

 

 ライカーは確かに悪者だが、自分達だって頑張って土地を開墾し、その過程で大半の仲間は死んだと苦労話を打ち明けるから、悪者でもそういうこと言ったら憎めないじゃないかと思った。後から来た入植者が甘い汁を啜っているようで許せないというライカーの言い分も全く理解できないわけではなかった。

 

 やっぱりシェーンは格好良い。酒場での殴り合いでも強さを発揮したが、ジョーイに銃の撃ち方をレクチャーする時に始めてお披露目したあの早撃ちは度肝を抜かれる格好良さであった。

 ライカーの所に一人で乗り込もうとしたジョーを想い、殴り倒しでも止めて、一人で敵地に乗り組んだという友情に厚い所も良い。

 

 最後のシェーンとジョーイの問答は心に染みた。

 人に銃を向けることを一度は止めたシェーンが結果的には、銃を抜いて悪人共を殺してしまう。それをジョーイに英雄的に見るなんてことをさせず「一人でも殺せば、一生人殺しの汚名がついてまわる」と自分の行いが褒めたものではないことを子供にちゃんと教えている点は道徳的で良い。シェーンの「頑張ったけど、生き方は変えられなかった」のセリフが切なかった。やさしい男なのに、戦地に身を置かずにはいられない運命を呪っての悲痛な一言であった。

 

 で、ラストは言わずと知れた名場面、名セリフを楽しめた。

 殺しを行ってこの地に留まれなくなったシェーンはまた旅立って行く。それを見送りながらジョーイが「シェーン、カムバック!」と叫ぶ。この終わりは印象的だった。

 流れ者のシェーンが、辿り付いた地で落ちついたと思ったら結局また流れていく。これを見て「るろうに剣心」で主人公剣心が言った「拙者は流浪人 また…流れるでござる」のセリフを思い出した。

 あと「シェーン」のラストシーンと言えば、映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」の予告CMで、みさえが「しんのすけ~かむば~く」と叫ぶあのパロディが世代的に馴染みがある。

 

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 やっぱり男の子はチャンバラと銃でドンパチが好き。

 

白き破壊兵器を砕け「白鯨伝説」

  「白鯨伝説」は1997年4月~1999年5月にかけて放送された全26話のアニメ。

 

 26話の放送に2年もかけているのは、制作が間に合わなかったり、途中で制作会社が倒産して一旦打ち切りになるなどの困難に見舞われたからである。時間がかかってもよくぞ最後までやりきったと言いたい。

 まだNHKが今よりも元気だった時代に存在したBS-2というチャンネルで放送していた。

 

 メルヴィルの有名な長編小説「白鯨」を下敷きにしてSF要素たっぷりのオリジナルものに仕上げている。

 有名な「白鯨」は、多くのアニメやゲームのアイデアとして取り入れられている。最近では「バケモノの子」や「Re:ゼロから始める異世界生活」にも白鯨が登場している。名作だし皆大好きなんだな。

  

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内容

 人類の宇宙進出が確立した時代、人々は次々と宇宙へ出て行ったわけである。そんな文明の発展による困ったことが、宇宙に漂う廃宇宙船が増えたこと。

 廃宇宙船は「鯨」と呼ばれ、それの回収業を行う者を「鯨取り」と呼ぶ。主人公エイハブ船長率いる「エイハブ鯨捕りカンパニー」は業界で有名な会社である。

 この設定から、地球でも宇宙でも人がたくさんいればゴミ問題が浮き上がるのだなと思った。

 

 エイハブの会社で働かせてほしいとやって来た少年ラッキーは、実は少年ではなく少女であった。男しか採らないという社の方針を前にして、性別を偽ってまでやってきたラッキーの目的は、破壊兵器「白鯨」の魔の手から故郷の惑星モアドを守るため助けを呼ぶことであった。

 エイハブはラッキーの依頼を受け、途中でアンドロイドのデュウを仲間にしてモアドで白鯨と闘う。

 

 男と思ったら実は女だったってパターンは一つの萌え。

 

 ラッキーが仲間を連れて故郷へ帰って強敵を倒すという話の流れは「ガンバの冒険」と設定が似ていると思った。

 

感想

 鯨取りの設定は面白い。ガンダムにみたいに宇宙服を着るでもなく、服を特殊なガスでコーティングして宇宙でも楽々動けるようになるシステムもすごい。息をする時は小さなカプセルを口に噛んで宇宙に出ている。しかし、鯨取りの仕事をするのは序盤わずかで後は、モアドに下りて敵とドンパチやるみたいな流れである。

 こちら側の使う武器もビームソードとか電子ムチとかSFぽいアイテムが揃っている。

 

 エイハブ鯨取りカンパニーの仲間達が相当に愉快な連中で、急に歌って踊りだす。中盤から後半にかけてはコミカルな会話劇が目立つ。これがちょっとやりすぎていて、特にホワイトハットが寒かったり意味のわからない洒落やギャグを飛ばしすぎている。序盤と比べると皆キャラ崩壊しているような気がした。ホワイトハットは最初はエイハブの仇敵だったのに、気づくとしれっと仲間になっているし、エイハブのことが大好きになっていた。

 

 エイハブ船長がたまに見る、世界観を損なうような野球の夢がちょっと面白い。バッターボックスの左右に3人ずつ立って、バッター計6人でピッチャーと対決する夢が記憶に残る。

 

 モアドに到着してからコバじいさんというじいさんが登場する。コバじいさんはキヨシという名前の「平成イヌ物語バウ」にしか見えない犬を飼っている。このコバじいさんと犬のキヨシの名前ってコバじいさん役の小林清志から採ってきているのではないかと推測できる。

 

 巨漢のババがムラトとの戦闘で死んだ時には、今までのコミカル調から一気に寂しくなってちょっと泣きそうになった。スピードキングがババと麻雀を楽しんでいたのを想いだして泣いている所が可哀想と思って見ていた。しかし、実は仮死状態であっただけでババは死んでなかったので嬉しいようで拍子抜けな感じもした。

 

 敵の女幹部のオハラがSっぽくてセクシーで良かった。こっち側のヒロインの歌姫セイラも可愛いくて良かった。 

 

 この監督特有の演出である止め絵の多さが記憶に残る。 

 

 メインキャラのエイハブは大塚明夫、ラッキーは水谷優子が演じた。二人は「ブラックジャック」のブラックジャックピノコのコンビを演じているので、こっちでもこのコンビの芝居が見れて良かった。 

 鯨取り会社のメンバーが皆おっさんなので、渋いおっさん声に定評がある男性声優が大集合であった。おまけに敵側の強敵アンドロイドムラトは玄田哲章が演じていた。

 ラッキー役の水谷優子、アトレ役の新山志保、オハラ役の鶴ひろみと出演声優には既に亡くなられた方が多く、生きていた頃の芝居を懐かしく思って見ていた。

 

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「赤と黒」けしからんが魅力的な青年の心理を描く大作

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 スタンダール作の長編小説「赤と黒」を読んだ。上下二巻に分かれ、とにかく長いお話だった。

 

 七月革命を挟んで執筆された1830年代のお話で、実際に起こった事件や実在した人物をモデルにしたキャラを取り入れた大作となっている。

 

 ナポレオンが倒されてからの政治の流れの変化、上流階級、下層の人々の精神に深くスポットを当てた当時の歴史と人の価値観が分かる作品としても仕上げられている。

 

 本作は激動の時代を生きる主人公ジュリヤン青年の人生を綴った物語である。

 

 ジュリヤンは材木屋の三男坊という卑しい生まれながらも、その類まれなる記憶力と知識力を買われて、名門レナール家の家庭教師になる。そこでレナール夫人と不貞の仲になり、次には聖職者育成の神学校に入り、学校を出てからはラ・モール家の秘書の職に就く。そこでも性懲りもなくラ・モール家の娘マチルドに手を出して今度は子供も作ってしまう。

 表面は聖職者を目指すことにしているが、その実なかなかの悪事を働くジュリヤンの正体をレナール夫人がラ・モール家にばらすと、何を思ってかジュリヤンはレナール夫人を訪ね、ミサの場でピストルの弾を2発喰らわす。そして、捕まってギロチン刑にされて終わるという内容。

 

 話の筋自体にハラハラドキドキな劇的展開があるわけではないのだが、物語を読んで、このジュリヤンという稀有な青年のパワフルな生命力、あるいは精神力を感じるのが楽しいポイントであった。

 まず、この少年は表面は人あたりがよく、容姿端麗で学問も積んでいるというハイスペック男に描かれているが、その内面はかなり複雑というか、ダークな構成となっている。

 幼い頃から粗暴なオヤジと兄弟に暴力を受けていた暗い過去がそうさせるのか、人に対して猜疑心を抱きすぎる男として描かれている。ジュリヤンが安心して話せる友人はフーケという男のみであった。

 ナポレオンが倒れた今になってナポレオン崇拝をするのは非国民として扱われるのだが、ジュリヤンは幼き頃からずっとナポレオンを崇拝している。ここに既にジュリヤンの社会批判的態度が見られる。

 聖職者としての立身出世を目指しながらも信仰心がなく、先輩の聖職者をディスっている。出世のためにやむなく行う上流階級の人々との付き合いの中でも、彼らの精神がいかに卑しいかを嘲りながらまたディスっている。

 プライドが強いようで、時には迎合しているようでもあるし、基本は冷淡な素振りをするが、時には熱情に駆られるなど心の動きが一貫せず、色々と矛盾した男にも見える。しかし、相反する様々な感情をそれぞれわずかずつ揃えているその矛盾している状態もまたリアルな人間性だと思う。ジュリヤンが一貫してこういう人物だと言い切れぬその部分が面白いと思った。魅力的であり、不気味でおぞましい人物でもあったと言えよう。

 

 

 そんなちっぽけな青年と思えるジュリヤンに人生を掻き回されたのがレナール夫人とマチルドの二人のヒロインである。この二人のヒロインに対しても個人的に複雑な想い入れがある。どちらも魅力的と言えばそうなのだが、どちらも面倒臭い女だと言えばそれも納得だからである。

 若くして結婚し、家庭に入ったレナール夫人は多くの男を知らない。そんな時に息子達の家庭教師として美青年が家に住み込めば、女としての感情が活発に動くのも分かる。レナールの旦那の方は、傲慢なクソ男でレナール夫人が裏切りを起こすのもまあ納得できる。

 ジュリヤンは卑しい生まれの自分でも、身分の高い女をものに出来るという虚栄心を満たすためにあれこれと手を打つ。ジュリヤンもさすがに頭が良く、かなり理論を練って女を落としにかかる。レナール夫人も最初は嫌々言ってたが、ジュリヤンに攻略されてしまう。好きにさせるだけさせといてジュリヤンはレナール家を去る。

 

 次の女がラ・モール家の娘マチルド。このマチルドとジュリヤンの恋愛のやり取りがまぁ面倒臭くて、時にはバカらしいと思えるやり取りもある。思い切った策略や、無駄に練られた心理合戦が繰り広げられ、恋愛と言うより男女の一つの闘いのようにも思える。

 ジュリヤンがマチルドの心を自分に向けるためにどうすれば良いかを知人に相談すると、そいつは全然興味がないとある夫人にお手本どおりの手紙を書いて送って仲良くなれとか言い出し、ジュリヤンはそれに従う。結果的には自分以外の女に目が行くジュリヤンが気になって、マチルドはジュリヤンを放っておけなくなり二人はくっつく。

 作者の方ではこのふたりの面倒臭さ極まりない恋のやり取りを「頭脳の恋愛」と名づけている。納得である。

 マチルドは恋愛ゲームなら攻略難易度高めのヒロインキャラに位置するであろう。この二人の面白いのは、一方が一方に熱を上げたらもう一方は冷める、というのを互いに繰り返して中々くっつかない点。どちらもあちこちへと心を向けてスムーズな恋愛にならない。バカップルの喧嘩みたいだった。

 ジュリヤンは梯子を登って両ヒロインの寝室に窓から侵入することを経験している。

 

 

 ジュリヤンが牢に捕まってから、二人のヒロインがとにかくジュリヤンに世話を焼いてくれるのも印象的であった。しかもレナール夫人はジュリヤンに撃たれて死にかけたのにも拘わらず死刑にしないでくれと頼む。マチルドも高貴な身分にはあるまじき方法で死刑にならないように奔走する。ジュリヤンとの出会いで著しく自我が目覚めたこのヒロイン達の行動力も見所であった。

 

 最後の方では、ギロチン刑で落とされたジュリヤンの生首にマチルドがキスをするという怖い描写があったのが印象的。なんだかアニメ「スクールデイズ」のラストを思い出してしまった。

 

 上流階級の人間の心の卑しさを、ジュリヤンを介して読み手に伝えていたのが一番印象的な物語であった。

 

赤と黒(上) (光文社古典新訳文庫)

赤と黒(上) (光文社古典新訳文庫)

 
赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫)

赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫)