こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

こしのり本

ブラックユーモア渦巻く三角関係「ご遺体」

「ご遺体」はイーヴリン・ウォーの中編小説。 ペット葬儀社で働く青年デニス、大きな霊園で働く女性エイメ、その上司ジョイボーイの三角関係を主軸にしながら、商業的に大きくなって行く葬儀業界や当時の社会、宗教などを皮肉的に風刺した意欲作。 ブラック…

重要なことは二度起きる「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は、1934年に出版されたジェームズ・M・ケイン作の中編小説である。 本作を実写映画化したものがBSで何度も放送されていることは知っていたし、印象的なタイトルに興味も持って記憶もしていた。しかし色々と都合がつかず、気…

世界の闇を見る船旅「闇の奥」

コンラッド作の中編小説「闇の奥」を読んだ。 映画「地獄の黙示録」の原作となった作品である。ちょっと前にBSでやっていたなと思い出す。 本編は船乗りマーロウによる昔語りとして展開する。マーロウの達者な語りには引き込まれるものがあった。しかしよく…

荒んだ青春の最後に希望を見る「限りなく透明に近いブルー」

「限りなく透明に近いブルー」は、1976年に発表された村上龍の小説。 村上龍の小説なら数年前に「69 sixty nine」という作品を読んだことがあるだけだった。今回手に取った気になるタイトルのコレの方がずっと前に発表されたもので、なんとデビュー作だった…

勘違いが起こす恋愛喜劇「から騒ぎ」

「から騒ぎ」は、我が人生の友ウィリアム・シェイクスピアによって作られた喜劇である。 色々と見る番組が多くて忙しい年明け一発目に読破したのがこの物語。セリフメインで展開する戯曲なら、内容が頭に入りやすく、何よりもスピードをつけて読みやすい。と…

じゃじゃ馬娘が従順な婦人に変わる「じゃじゃ馬ならし」

夜が長くなったこんな時期には戯曲を、それも楽しくてライトなものが読みたい。そう思った私は、我が生涯の友の一人であるシェイクスピアの本を手にとった。それが今回読んだ「じゃじゃ馬ならし」である。 「じゃじゃ馬」という「馬」が入っていながらも元来…

美に魅せられ美に死す「ヴェニスに死す」

「ヴェニスに死す」はトーマス・マンによる中編小説。 タイトルのヴェニスは、ヒーリングアニメ「ARIA」の舞台モデルになったところだな。ARIAのようにこちらの小説にもゴンドラが出てくる。 読みやすい良い感じの長さである。しかし、それは長さだけの話で…

良いも悪いも含めてが人生「女の一生」

最近はすっかり涼しくなり、本を読むにはもってこいの秋の夜長が楽しめるようになった。そんな読書好きにはウェルカムな時期になったのに私生活が色々と忙しい。腰を据えて落ち着いて本読みが出来ないことにはストレスを感じる。 音楽を聴く、動画を見るとい…

怪人の悲しい恋「オペラ座の怪人」

「オペラ座の怪人」はガストン・ルルー作の長編小説である。 過去に愛読した「虚無への供物」という名作(であり迷作)の中で、登場人物の会話にガストン・ルルー作の「黄色い部屋の秘密」のタイトル名が出てくる。この作品をヒットさせた作家として記憶して…

大冒険の中に人生教訓もあり「ロビンソン・クルーソー」

「ロビンソン・クルーソー」はダニエル・デフォー作の長編小説。 主人公の本名はロビンソン・クロイツナエル。これのイギリス訛りがロビンソン・クルーソーの発音になる。 ロビンソン・クルーソーと言えば、無人島でサバイバルライフを送る逞しい男のお話で…

二つの都市で錯綜する愛の物語「二都物語」

「二都物語」はチャールズ・ディケンズの長編小説。 ディケンズ作品といえば、その昔「大いなる遺産」にはまって読み込んだことがある。あれ以来久しぶりに読む同氏による作品となった。 1700年代後半のフランスのパリ、イギリスのロンドンの二箇所を主な舞…

たまには短編を読もう「アッシャー家の崩壊/黄金虫」

エドガー・アラン・ポー作の短編「アッシャー家の崩壊」と「黄金虫」を読んだ。 大きくなって落ち着きを得た最近の私は、長編をじっくり読むのを好むようになったが、サクッと読めてなおかつ中身が濃厚なものは忙しい日々の中で楽しむには打って付け。最近色…

この謎感が心地よい「ねじの回転」

「ねじの回転」は1898年に発表されたヘンリー・ジェイムズ作の中編小説。 両親を亡くし、英国エセックスにある伯父の屋敷で暮らす二人の幼い兄妹がいる。主人公女性「わたし」は二人の家庭教師として屋敷に住むことになる。その屋敷には幼い兄妹を狙うとされ…

ヌーヴォー・ロマン台頭「消しゴム」

「消しゴム」は作家ロブ・グリエによる長編小説。 その当時、フランス文学界に新しい風を吹かせた作品群を「ヌーヴォー・ロマン」と言い、この「消しゴム」という作品はその内でも代表的な作品とのこと。 秘密捜査官ヴァラスがとある殺人事件を追うのだが、…

大切なことは目には見えない「星の王子さま」

「星の王子さま」はフランスの作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作の小説。 1943年に出版され、今日でも世界中のあちこちで読まれているロングセラー作品である。聖書の次くらいにたくさん読まれていると言われる有名作品だが、その聖書に私はまった…

人生の転落を招く愛「マノン・レスコー」

「マノン・レスコー」はフランスの作家アベ・プレヴォーの長編小説。1731年に発表された。 過去に読んだ何かの本にこれのタイトルが登場したことがあった。よその作家も口にし筆にしたこの作品の名前だけは覚えていて、知っていた。というわけで読んでみたら…

美しくも残酷な少女「サロメ」

「サロメ」はオスカー・ワイルド作の戯曲。1981年、フランスで発表された。 サロメといえば思い出すのが「バトルフィーバーJ」に出てくる敵の女幹部。女レスラーのマキ上田が扮するかなりインパクトに残るキャラだったな。そんなことを思い出しながら手にと…

戦争中でも止まらない男女の恋「武器よさらば」

「武器よさらば」はアーネスト・ヘミングウェイ作の長編小説。 第一次世界大戦の時代に燃え上がった男女の恋を描いている。 内容 主人公青年フレデリック・ヘンリーは負傷兵運搬の任務でイタリア戦線に参加している。彼は看護婦のキャサリン・バークリと出会…

エマの青春「エマ」

「エマ」はジェーン・オースティン作の長編小説。1814年に発表された作品である。岩波文庫の上下巻を読んだが確かに長かった。忙しい生活の合間を縫って上下二冊を読むのに約一ヶ月かかった。ジェーン・オースティンの作品ならかなり前に「高慢と偏見」とい…

悲痛な純愛「狭き門」

フランスの小説家ジッド作「狭き門」を読んだ。 昨今の小説というか、ラノベというのを見ると、大体こういう話ですっていう内容がそのままタイトルになっているパターンが多く見られる。あれは長ったらしいタイトル明記がダサかったり、バカっぽかったりもす…

水の精の悲哀「オンディーヌ」

「オンディーヌ」は1939年にフランスの作家ジャン・ジロドゥによって書かれた戯曲。 先に世に出たドイツ作家フーケの作品「ウンディーネ」を下敷きにした作品である。 「ウンディーネ」をフランス的に言うと「オンディーヌ」らしい。 内容 遍歴の騎士ハンス…

悩ましい大佐の人生「ひとさらい」

「ひとさらい」は1926年に刊行されたフランス人作家ジュール・シュペルヴィエルによる小説。 妻がいても子供が出来ないビグア大佐は、子供を欲しく思っていた。そんな彼は捨て子や、人から譲り受けた子、さらには誘拐までして子供を我が家に集める。こうして…

芸術を突き詰めたその先の世界「知られざる傑作」

「知られざる傑作」は1831年に発表されたバルザックの短編小説。 タイトルがすごい格好良いと想って手に取った。 図書館には昭和27年に入荷したと記載される古いものしか無かった。一昔前の表紙がついていない岩波書店の文庫本だった。全く飾らない地味でレ…

男女の愛欲を紡ぎし二編「だまされた女 / すげかえられた首」

トーマス・マン作の二編の中編小説を読んだ。 「だまされた女」は1953年、「すげかえられた首」は1940年に発行された。 二作共に男女の愛欲、肉欲をディープに掘っている。ライトな読み物ではない。 ・だまされた女 「だまされた女」では初老の未亡人テュム…

世界が病んでも人は優しく美しい「ヒューマン・コメディ」

「ヒューマン・コメディ」は1943年に発表されたウィリアム・サローヤンによる小説。 物語の舞台は第二次世界大戦下のカリフォルニア州イサカという田舎。そこで電報配達をしているホーマー・マコーリー少年の青春が描かれる。 父を亡くし、兄が戦争の兵隊に…

破壊の限りを尽くす逃走劇「愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える」

「愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える」は1972に出版されたジャン=パトリック マンシェットによる小説。 作者マンシェットは、ランボー作「地獄の季節」作中のセリフからヒントを得て、このタイトルに決めたとか。 「愚者~」よりも先に訳され…

ハードな少年時代「にんじん」

「にんじん」は1894年に出版されたジュール・ルナールの小説である。 主人公少年は、赤茶けた髪とそばかす顔の二つの特徴から「にんじん」とあだ名されている。 そんなにんじんは家族からもあだ名で呼ばれ、不当な扱いを受けている。 彼の母ルピック夫人はか…

異世界冒険ヒロイン「鏡の国のアリス」

「鏡の国のアリス」は1871年に発表されたルイス・キャロル作の児童小説。 「不思議の国のアリス」の続編である。 前作と共通して主人公少女アリスが摩訶不思議な世界を冒険する物語である。 作者のルイス・キャロルは、知り合いの幼女アリス・リデルに面白い…

ファンタジックヒロイン「不思議の国のアリス」

汚れなきあの日(ティーンエイジ)の心に帰ってみたい。そう想った私は、1865年に発刊されたルイス・キャロルの代表作「不思議の国のアリス」を手に取り、この秋の夜長を楽しむことにした。 昨今の色んなアニメを見ても、この作品の名前が出たりパロネタにな…

なかなか進まない離婚話「蓼喰ふ虫」

「蓼喰ふ虫」は谷崎潤一郎の書いた小説。 1928年12月~1929年6月まで新聞連載された作品である。 谷崎文学らしくテーマは男と女のラブについて、この作品でも男女愛の奥の深さ、同時に面倒臭さを解いている。これだから人は恋愛をせずにはいられない。 内容 …