こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

良いも悪いも含めてが人生「女の一生」

 

 

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最近はすっかり涼しくなり、本を読むにはもってこいの秋の夜長が楽しめるようになった。そんな読書好きにはウェルカムな時期になったのに私生活が色々と忙しい。腰を据えて落ち着いて本読みが出来ないことにはストレスを感じる。

 

 音楽を聴く、動画を見るといった他の趣味は「ながら」でもなんとか出来るが、読書ばかりは本だけに集中しないと楽しめない。ながらを封印して専用の時間を設けないといけない読書という趣味は忙しい社会生活でやるにはなかなか難しい。でも読みたいので必ずやりたい趣味でもある。

 

 そんなわけで、忙しい合間を縫って最近読んだ本がモーパッサン作の長編小説「女の一生」である。

 

 モーパッサンの本といえば、3年くらい前に「脂肪の塊」という短編を読んだことがあったのを思い出した。あの話は主人公女性が理不尽で可哀想な目にあい、読後には「なんか腹が立つ」という感想が吐けるものであった。

 今回読んだ「女の一生」も主人公女性ジャンヌがその長い人生の中でなかなか可哀想な目に合う物語だった。しかしこの物語は長いけどドラマチックで退屈しない面白い本だった。

 

 物語の最初は、ヒロインのジャンヌがまだ恋に恋するウブなねんねという段階から始まる。痛い目に全くあっていない初期のジャンヌは人生に希望を抱くピュアな少女として描かれる。この出だしからあんな未来になるとは想像出来なかった。

 

 修道院を出てからジャンヌはジュリアンを夫に迎え結婚生活を始める。相手のことを大して知らない内に結婚し、その後は結婚生活や「男」を知るということに躊躇し苦悩もする。夫婦でのベッドのやり取りでジャンヌがジュリアンに不快感を示すシーンは印象的だった。ジャンヌとジュリアンの夫婦愛が冷めていく展開も描かれる。

 

 誰だって希望の未来が待っていると信じて結婚するのだろうが、この二人はそうはいかない。ジャンヌが夢見がちで世間知らずのお嬢様だったからこうなったのだろうと想う。私は夫のジュリアンがすごく嫌いだった。

 

 夫婦の「愛の結晶」と比喩される息子のポールを儲けるが、ジュリアンは息子を毛嫌いして可愛がらない。その一方でジャンヌは息子こそ惜しみなく己の愛全部を捧げることが出来るものとして大事にする。

 ジャンヌが息子をたっぷり愛す間に、ジュリアンはよそに女をつくっていた。まずジャンヌよりも先にジャンヌの乳姉妹にして家の使用人であるロザリを妊娠させ、その後はよその伯爵夫人ともデキていた。

  

 ここまででもジュリアンがクソ野郎ということはよく分かるが、よその家庭でもよくあるように結婚後にはそれまでと大きく態度を変え、威張りくさってうざい男となる。ジャンヌの両親にも口答えするし、使用人の少年マリウスをボコボコに殴ったりとクレイジーぶりも発揮する。そしてまだ良くないことがすごくケチであるということ。

 身分の高い者に上手いこと取り入ろうとする一方で下にも見ているというコンプレッスある男の一面も描かれた。嫁だって常に下に見ている。なかなか根性の悪いクソ男だった。

 

 だからこそあんな最後が待っている。ジュリアンはよその伯爵の嫁と不倫していて、それを知った夫は、二人が逢引していた小屋を怪力で倒した。そのまま小屋ごと二人は坂道を転げ落ちて死ぬ。自然の事故と処理されるが真実はしっかり復讐劇となっている。ジュリアンの素行がとても悪かったからここはスッキリした。

 

 しかし悪い夫がいなくなってもジャンヌの人生は失速を止めない。せっかく大きくした息子のポールがグレて学校は落第でダブりまくって二十歳でまだ高校生をやっている始末。そんな出来の悪い息子もいつしか家に寄り付かなくなり、後半は女の家にしけ込んで登場しない。ジャンヌにはちょいちょい手紙を送ってよこすが本人は全然家に帰ってこない。

 

 ジュリアンもそうだったけど、この息子もなかなかのクソ息子だ。よそで女を作り、ギャンブルで負けて借金を作り、会社を作ったけどダメになってまた借金をする。そんな具合で家族に迷惑しかかけない。最後には作った女が死んで、儲けた女の子の赤ちゃんだけを家に送ってよこす。ポールの女の葬式が終わればポールもジャンヌの下に帰るという流れまで来て終わる。

 

 最後にロザリが「人生は皆が想うほど良いものでも悪いものでもない」というセリフを言って終劇となる。

 ロザリは、ジュリアンの子供を身ごもってからよその男と結婚させられ、長らくジャンヌの住む屋敷には帰らなかった。ジャンヌもだが、ロザリも人生のあれやこれやの切苦労を経験している。そんな彼女が最後に口にした人生観はなかなか胸に響くものだった。

 

 ジャンヌの家族には明るい父と肥満体型で気分が沈みがちな母、そして空気のような叔母がいた。これらが次々と死に、夫も死に、息子が出ていって一時は一人になるが、最後にはロザリが戻って来て助けてくれる。

 まだそんな歳ではないのに、人生に絶望して神経衰弱になったことでロザリから早くも介護されるようになったジャンヌがかなり可愛そうだった。

 

 ジャンヌを追い込む可哀想な出来事といえば、母が死んだ後に発見した手紙のことがある。ジャンヌの母はこれまでもらった古い手紙を保存していて、なにかとそれを引っ張り出しては感傷に浸りがちだった。母の死後、その手紙をジャンヌが読むと、それは母がよその男と不倫している内容だと分かりジャンヌは激しいショックを受ける。尊敬して愛した母がジュリアンと同じく不倫していたと知ってさぞショックだったろうと可哀想になった。

 

 一人の女が身を持ち崩すまでを描く一方で、爵位のある者達との関係が面倒ということ、宗教的あれこれの面倒があるということも感じた。

 教会の神父が登場するが、途中で登場する二人目の神父が飛んだ不良神父で、犬を蹴り殺したりする。宗教者も荒いことをするから信用ならないと思えた。あのシーンは酷かった。

 

 破滅を辿る物語とも言えるけど、最後に孫娘を抱いたジャンヌは人生に希望的何かを感じたとも思える。

 

 一人の女が身を持ち崩す過程を描いた点では、以前にも読んだ「ボヴァリー夫人」と近いものがあるとも思った。あとがきを読めば「ボヴァリー夫人」の作者フローベールモーパッサンは親しい仲だったと分かる。

 

 こんな絶望へと向かう人生の物語を書いた時にモーパッサンがまだ30代だったことに驚いた。30代の若さならもっと元気な作品を書くだろうと想うところだが、こんな話を書く辺り、彼も早熟で絶望を知る人生を歩んだのだろう。

 

 最後にロザリーが言ったセリフのように人生はそれほど良いものでも悪いものでもない。色々あって丁度良いバランスのはず。そんな感じで今後も肩の力を抜いて生きていこうと思った。

 

女の一生 (光文社古典新訳文庫)

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なんでもありのスポーツもの「ダッシュ勝平」

ダッシュ勝平」は、 1981年10月から1982年12月まで放送した全65話のテレビアニメ。

 

 おバカでチビでスケベな主人公 坂本勝平がバスケをはじめとした様々なスポーツに挑戦していく姿を面白おかしく描いた物語である。ジャンルとしては弱めにスポーツ、あとはギャグとラブコメといった感じである。

 かなり楽しい作品で65話もあったが頭を空っぽにして楽しめた。

 

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 全話通しての安定の流れが、女の子と純白のパンティーが大好きな勝平のスケベ心が巻き起こすギャグ展開。バスケ部の美人コーチの夏先生、勝平の本命のお相手のあかねちゃんへの様々なセクハラがアホすぎるもので安心する。

 勝平が試合中にバテたり弱ったりしても純白のパンティを見れば元気になる。パンティが原動力のおもしろキャラだった。こんなにパンティに執着するのなんてドラゴンボールのウーロンとコイツくらいじゃないかなと思えた。

 

 パンティネタと言えば、パンティと同じく下半身を守るトランクスを全面にプッシュした名キャラが出てくる。それが犬の誠一郎。メインヒロインのあかねちゃん宅で飼われているこの犬がなぜかトランクスを穿いている。

 勝平は上手いことやりこんであかねちゃんちの子になり、序盤からラストまであかねちゃんの両親に世話になって一緒に暮らすことになる。犬の誠一郎はあかねちゃんが大好きだから、それに近づく勝平を毛嫌いしている。で、一人と一匹はずっと仲良く喧嘩する関係になる。犬の誠一郎の言葉が勝平には普通に分かってめっちゃ喧嘩しているのが面白かった。

 誠一郎は視聴者に向けて様々なスポーツのルールを説明する役も務めた。かなり好きなキャラだった。

 

 スケベな少年勝平を全話に渡って演じた田中真弓の怪演が光る。

 勝平の決めセリフが勝負に勝った時に言う「勝利のポーズ、決めっ!」である。このセリフは後に田中真弓が桐島カンナ出役で演した「サクラ大戦」でも言うセリフなので、勝平役で鍛えてからの桐島カンナがあるのか!とか思えた。

 

 お話の中盤までの筋は、勝平が高校のバスケ部に入って頂点を極めるというもの。その間は練習から試合まで含めてなかなかのおふざ展開がなされる。

 ギャグものだからということで、理屈と常識を無視した勝平の秘技が炸裂し、大戦相手のバスケ選手も面白おかしいネタ技を繰り出してくる。

 あれだけフザけたことをやっても、なんだかんだで勝平達は全国優勝する。

 

 それ以降からかなり方向性を変えてくるのが印象的。もともとなんでもありのギャグだから、バスケを離れて何をやっても成立したのかもしれない。そのくらいに勝平という主人公が規格外の人物だった。

 

 バスケでテッペンを取った後は、勝平がいろんなスポーツを極めていく流れになる。相撲、ゴルフ、アイスホッケー、長編となった卓球とフェンシングのシリーズも楽しかった。他にはトライアスロンのもっと進化したやつに挑戦し、ラストはなんでもありのデスマッチまで行った。

 加えて勝平が懸賞でアメリカ旅行を当てたことでアメリカ編にも突入する。アメリカ編ではどこへ行ってもジョー・コッカーという謎の冒険家のおっさんがいて、そいつに合うと必ず騒ぎに巻き込まれる展開となる。

 どのシリーズも面白おかしくて楽しめた。

 

 ギャグ作品らしく様々なパロディが見られた。ヒット映画の小ネタ、タツノコプロ作品ということでガッチャマンボヤッキーが映ることもあった。

 

 ここまで振り切ったギャグものも最近では珍しいかもしれない。当時はラブコメやギャグとかの流れが強めにきていたようなので、その辺の時代背景も見られる。

 

 勝平の周りにいるキャラや、シリーズごとに出てくるゲストキャラの声優達がなかなか有名人揃いだった。声優好きの観点からもかなり楽しめた。お亡くなりになった名優達の芝居がまた見れるのでありがたい。

 

 これの次回作が「未来警察ウラシマン」だったため、最終回の劇中でもウラシマンのCMが流れていた。予告編とは別の本編でも新作を紹介している演出がおしゃれだと思った。

 

 予想外に気に入った作品となった。こんなに好きになるギャグアニメがその昔にはあったのかという新しい気づきがあった。

 

 

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リニューアルしたMステの感想

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 10月といえば改編期ということで、テレビ業界では何かと忙しくあれこれのテコ入れをしがち。

 私個人として10月の大きな変化だったのが、しんちゃんとアイカツが土曜日に移ったこと。そして長年見続けている長寿音楽番組のMステが金曜20時から21時放送に移ったこと。

 リニューアルした10月一発目のMステは、19時からスタートの3時間SP放送だった。次からはマジで21時スタートだという。

 もちろん変更は時間のみでなく、番組構成も色々勉強するとかなんとか意気込んでいた(はず)。

 

 ここで20時時台後半のMステについての感想を上げていこう。その中身はまぁまぁの悪口かもだけど……。

 20時台後半のMステといえば、パッと浮かぶイメージが無駄とまでは言わずとも「余計」が多いこと。生番組という番組最大の武器を殺して放送の3分の1(を越えていたかな?)くらいは収録VTRを流していた。

 良い点を上げろと言うなら評価の難しい素人インタビューを含めた何かしらのランキングが前半に入るのがいつしか定番となり、20時放送時代の後半も後半に差し掛かった時にはとうとう再放送ということで、このランキングに加えて大昔のスーパーライブ総集編を流したりもした。

 これらの苦肉の策(だったのかな?)で繋ぐ一時間枠を見ると、個人としては「Mステ、苦しそうだなぁ……」という感想が吐けたのだから困りもの。

 素人インタビューのランキングは蛇足と言って問題ないが、スーパーライブの映像はまぁ楽しめたって感じ。それにしても、90年代のゲストと披露された楽曲を去年の平成ラストの内容と比べると去年のが色々とザコだなとはどうしても感じてしまう。まぁ私が懐古主義な上に、確実に平成初期が強かったということも手伝ってこの意見である。

 

 そんな迷走を抜けられない苦しいMステがリニューアルで帰って来た。

 で、文句もたくさん言ったが結局ファンだから時間が移ってもやっぱり見るわな。その感想を言おう。

 

 セットが大幅にリニューアルしていた。これだけきっちり新しいものを作ってくるのだから、一時は「もうMステもダメかぁ……」とか私が思ったのを跳ね除けてしばらくは元気に放送するはず。

 時間変更に合わせてより多くの層に楽しんでもらうようにとかいうことも新たな番組作りの意気込みだったと想う。

 そんな訳でゲストを見るとバラエティ豊かで新旧アーティストが混ざり、どこかの層には引っかかるかなって感じのメンツだった。

 

 やっぱりジャニーズは来るわな。ジャニーズWESTSexy Zone、そして遅刻してやって来たキンプリの3組が出演。

 他のアイドルは秋本先生のところの者とKの者が来ていた。それからパプリカの子供たち。

 ヒゲダン、イエモンいきものがかりスピッツの新旧人気バンド。マッキー、宮本浩次の力を持つ男性ソロシンガー。女性シンガーは久しぶりのCocco、ラストには飛び入りで一青窈が登場。

 ゲストはまぁまぁってところ。懐かしいアーティストもいてけっこう楽しかった。

 

 リニューアルの面白い試みは、いきものがかり水野が放送3時間の間に一曲作り、ラスト5分で一青窈をボーカルに迎えて披露するというなかなか攻めたことをしていた。

 ジャニーズWESTの振り付け、マッキーの歌って欲しい曲を生で投票して決めるというデータ放送ならではの仕掛けも新しい試みだった。WESTのパフォーマンスでは淳太君を面白くいじったのが良かった。

 

 今回も少々だけど素人インタビューが入った。まぁ長すぎでもなかったと想う。全体的に見れば楽しめて良いスタートだったと想う。だがしかし、スーパーでパプリカを流すとと子供達は踊るのかという検証VTRについては「これはいらんだろう」って感じだった。

 

 ジャニーズウォッチャーなのでそこら辺の感想も少々上げておこう。

 ヒゲダンのメンバーが意外にもジャニーズウォッチャーだったのは好印象だった。彼も言っていたが、皆で淳太君をいじるというジャニーズWESTが掴んだ成功の流れがやはり良い。

 

 セクゾの四人体制初のシングル曲「麒麟の子」は格好良かった。なかなか攻めた歌詞もロックな感じで良かった。麒麟の爪やたてがみをイメージした振り付けも印象的で良かった。

 

 一番気になったのはキンプリのパフォーマンス。

 歌唱直前のCM開けに岸君がソロダンスをしたのが面白格好良かった。

 前にも歌いに来た「koi-wazurai」を披露。同じ曲なの?と思ったらまさかの二番から入りおった。これが世に言う「エモい」っていうやつか。

 少クラ披露時にも気になったのが、永瀬君が二番サビの「完全無欠」を「難攻不落」と歌っていたこと。「あれ、なんだこれ?」となった。二番組で連続でミスってことはマジうっかりなのか、敢えての狙いなのか、そこの所は謎。まぁ良いパフォーマンスだったよ。

 

 イエモンが二曲も披露し、一曲はかなり懐かしい「パール」だったのが良かった。誰だか分かんない男優がVTRに出てきてリクエストしていた。彼が何だったのか分からないけど良いリクエストをしてくれてありがとう。

 

 そんな訳でリニューアル一発目のMステは健闘したのではないかと言える出来だった。

 

 今後もタモさんには元気を出して頑張って欲しい。令和もMステを楽しもう。

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