こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

2020年の良かった曲(1月~3月)その1

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 新世紀が明けたと新鮮な気持ちに浸っていた人類の記憶ももはや遠いもので、あれからはや20年が経過した。時はついに20年代に突入したが、それでも変わらず世間にあるのは心地よい音楽。今年もやっぱり音楽三昧な日々を送っている。

 

 新年が明けてもう3ヶ月が経過した。だいたい1クール毎に人生の振り返りとして自分の聴いていた曲も振り返るのだが、いつコレを行っても感じるのは時間の経過の速さである。1クールが終わって、時間の経過がダラダラ遅かったなんて感じることはない。人生のどこを切り取ってもやっぱり出てくるのは「早かったなぁ」という感想。

 

 最近はJポップがやや退屈になったと感じる一方で、アニソンがどんどん進化していると感じる。

 最近はアニソンが楽しく、そしてジャニースの曲も変わらず楽しんでいる。

 

 そんな感じで速く駆け抜けた2020年の、または20年代最初期となる個人的に良かった曲を上げていこう。

 

 

チューリングラブ feat.Sou / ナナヲアカリ 

 テレビアニメ「理系が恋に落ちたので証明してみた。」ED曲。

 

 ナナヲアカリ、Sou共に何者だ?と思ったが、アニメで聴いたら一発で気に入り、気づくとハマっていた。

 YouTubeで公開されているPVも思わずチェックしてしまい、可愛さと楽しさにハマった。この曲、めちゃめちゃ良い。20年代最初期の名曲だ。

 

 理系のアニメだけに、「エビデンス」「クエスチョン」、最終定理で有名な学者「フェルマー」などの理系ワードを散りばめた歌詞も印象的。

 

チューリングラブ feat.Sou

チューリングラブ feat.Sou

  • ナナヲアカリ
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

PARADOX / 雨宮天

 テレビアニメ「理系が恋に落ちたので証明してみた。」OP曲。

 

七つの大罪」「アカメが斬る」などでも彼女が主題歌を担当していたのは知っていたし、所属グループのTrySailの方ではフルを聴いたこともあった。しかし雨宮天単品名義でフルを聴きたいと思った曲はこれが初めて。

 

 アニメではクールでツンとした面倒くさい女を低い声で演じた彼女が、主題歌では柔らかく可愛い感じで歌うのが良い。

 

「グラフの右肩」などの理系ワードが入った歌詞が印象的なものとして記憶に残る。

 

 PV見たけど、顔面が益々整っていやがる、という感想が第一に出てきた。

 

PARADOX

PARADOX

  • provided courtesy of iTunes

 

 

final phase / fripSide

 テレビアニメ「とある科学の超電磁砲T」OP曲。

 

 グループのライフワークがレールガン楽曲に命をかけることだろうってくらいにレールガンソングといえばこの人達と言えるのがfripSideである。

 

 いつもそうだけど、イントロからぞくぞく来る。この疾走感と南條愛乃の他に類を見ない高音ボーカルが心地よい。

 

 楽曲を更に盛り上げたアニメOP映像もすごく格好良かった。

 


TVアニメ『とある科学の超電磁砲T』OP映像(fripSide/final phase)

 

 

歩いていこう! / 東山奈央

 テレビアニメ「恋する小惑星」OP曲。

 

 女性シンガーソングライター川嶋あいが作詞作曲を担当している。

 ゆったりとした曲調を優しく歌いあげるのが良い。アニメ第一話を見て一発で良い曲だと思った。

 

 東山奈央ちゃんはヒロインの桜先輩役としてアニメにも出演している。彼女の女優と歌手、それぞれの面が見れてお得な作品だった。

 

 

夜空 / 鈴木みのり

 テレビアニメ「恋する小惑星」ED曲。

 こちらの曲も初めて聴いた時に良い曲と思った。

 ゆったりと始まってサビで一気に盛り上がる感じが良い。

 

 

宝石の生まれるとき / やなぎなぎ

 テレビアニメ「宝石商リチャード氏の謎鑑定」OP曲。

 

 とにかく聴けば絶対に良い曲と思ってしまう。

 宝石を題材にしたアニメの主題歌だけに、人の綺麗な心を宝石に例えた歌詞内容が特徴的だった。「ジオード」「ルース」といった石の名前も歌詞に含まれているのが印象的。

 イントロと間奏で存在感を見せるピアノ演奏もお耳に心地よい。

 

宝石の生まれるとき

宝石の生まれるとき

  • provided courtesy of iTunes

 

 

Easy Breezy / chelmico

 テレビアニメ「映像研には手を出すな!」OP曲。

 

 レゲエポップといった感じで、アニメ主題歌としては意外性があるものだった。とにかくおしゃれで格好よくて乗れる。

 

 Mステにも来て歌ったのがすごい。

 約一年前に放送した「四月一日さん家の」の主題歌を歌っていたのもこの人達だったのかと今更になって知った。初めてこのグループの曲を聴いたと思ったら実は一年前にも知っていたのか。これからはちょっと気にかけてchelmicoの活動を追っていこう。

 

Easy Breezy

Easy Breezy

  • provided courtesy of iTunes

 

 

フレンズ / wacci

 テレビアニメ「うちタマ?! ~うちのタマ知りませんか?~」OP曲。

 

 簡単な言葉で構成された歌詞がスッと頭に入る。

「どこにでもあるようでどこにもない物語」という歌詞はタマ達の物語を歌ったようでもある。ここは好きな歌詞だ。

 

 明るくて元気をもらえるすごく良い歌だと思う。あとはボーカルの声も元気。

 

フレンズ

フレンズ

  • wacci
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

Birthday / Mr.Children

 劇場版アニメ「映画ドラえもん のび太の新恐竜」主題歌。

 

 忌々しいコロナのために映画公開は延期したものの、楽曲は予定通りリリース。

 久しぶりの新曲なのでありがたく視聴した。そういえば毎日が誰かのバースデーなのだと気づかせてくれる歌詞に共感。

 

 

Clover wish / ChamJam

 テレビアニメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」OP曲。

 

 変なタイトルのアニメに出てくる三流アイドルだろうが、と思いながら初見を迎えたら直ちにハマってしまった可愛い7人組アイドルグループだった。

 五十嵐れおを演じる本渡楓は「ゾンビランドサガ」でアイドル力をつけただけあって歌声が素晴らしい。

 そしてゆめ莉を演じる石原夏織は、アニメを飛び越えて既に武道館の地を踏んだ経験のある武道館プレイヤーなのでやはり歌声が素晴らしい。「ゆいかおり」ではかおり推しだったので、ここで彼女の歌声がまた聴けたのは嬉しい。

 

 クローバーにでもつい願ってしまいそうな一途でピュアな想いが込められたキュンとする萌えソング。

 一番歌詞では「神様に届けClover wish」と歌われ、二番歌詞では「神様も知らないClover wish」になっている。これは神様にも見つけられない小さな願いということだろうか。なんにせよ萌える。

 

Clover wish

Clover wish

  • ChamJam
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

ずっと ChamJam / ChamJam

 地下アイドル「ChamJam」のメンバー紹介ソングにして、グループの持つキラーソングでもある。聴けば分かる、めっちゃ可愛い。

 YouTubeにあがっている本曲のMVが良すぎて30回くらい見てしまった。えりぴよが推すのも納得のアイドルグループ。

 

 えりぴよにとっての永遠のヒロインはあくまでも舞菜だが、こうしてCDとして曲を出すと、人気順でドベの舞菜のパートが圧倒的に少なく、短い。アイドルグループのそこの事情はリアル。

 しかし鮭を持って「サーモンピンクの舞菜」はウケる。

 


【ChamJam】『ずっと ChamJam』Special Music Video【推しが武道館いってくれたら死ぬ】

 

 

D.D. / Snow Man

 衝撃のダンスナンバーがデビュー曲にあてられた。すごく格好良い曲でパフォーマンスと合わせてハマる。

 

「淘汰の先にある未来へ」の歌詞は、長い下積みの中で消えていったグループ、去って行った仲間をたくさん見てきた彼らが歌うからこそ胸に響くものがある。 Snow Manは淘汰されずに生き残って良かった。

 

 

Crazy F-R-E-S-H Beat / Snow Man

 色々な要素と仕掛けが詰まっているちょっと変でとても格好良い曲。カップリング曲にしては勿体ないくらい完成度が高く、これまた完成度の高いダンスが映えるPVも楽しい。これが2ndシングルでも良かったくらい。とにかく中毒性がやばい曲だ。

 

 グループの核(コア)でもある筋肉お兄さん岩本照が考案した振り付けも良い。やっぱり岩本って天才的にすごかったんだと分かるものになっている。一糸乱れぬ9人のダンスパフォーマンスも素晴らしかった。

 序盤でラウールが力強く歌う「This that CRAZY BEAT」のパートが好き。

 


Snow Man「Crazy F-R-E-S-H Beat」Dance Video (YouTube Ver.)

 

 

Imitation Rain / SixTONES

 静かめなロックバラードをデビュー曲に持ってきたのは景気づけにはどうなの?と思ったが、聴けば聴くほどにハマる。スト用の、ストにこそ歌える格好良い曲だった。

 まさかのYOSHIKIプロデュースということで話題を呼んだ。

 

 歌い始めのジェシーの「Imitation Rain」の囁きパート、京本大我の美しい高音パート、田中樹の囁きラップと、聞き所は様々。

 

 

Burn it up / ARP

 テレビアニメ「ARP Backstage Pass」OP曲。

 

 謎のアニメ、それに出て来る謎のアイドル、何も分からないままに視聴している内にハマってしまった曲。4人共歌が上手く、曲も格好良い。男のアイドルアニメの歌をフルで聴きたくなるのもそうそうないことで、自分でもハマったことに驚いている。

 

 振り付けはDA PUMPメンバーのKENZOが担当している。サビパートの振り付けが、どこかダサ格好良くてキャッチーなのはそういうことか。

「バニラ、バニラ」に聞こえるサビパートがハマる。

 ダイヤのラップパートも良い。

 


ARP / Burn it up MV (TV Size version)

 

 

Celebrate Good Time / ARP 

 テレビアニメ「ARP Backstage Pass」ED曲。

  

 こちらはOPと違ってキラキラしたパーティーチューンといった感じで楽しい。そして格好よくてハマる。

 

Celebrate Good Time

Celebrate Good Time

  • ARP
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 イニシャル / Poppin'party

 シリーズ三周年にしてやっとバンドリの魅力が分かってきた。ポピパに限らず、シリーズ通して初めてフル視聴した曲がこれである。まさかのオリコン一位をかっさらった記念すべき名曲となった。

 

 アニメは一期も二期も見てきたが、楽曲にはあまり興味がなかった。これまでポピパが担当したアニメ主題歌にはないロックで格好良い感じの曲だったのが意外だった。5、6話くらいを見たあたりからハマったきてフルを聴きたくなった。

 

 演奏も格好よく、テレビでは流れない後半の間奏でキーボードの音が前面に出てくるのが好き。

 アニメOP動画がそのままMVになっていて、それと合わせて楽しむと一層良い。

 

イニシャル

イニシャル

  • Poppin'Party
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

PHOENIXBURNOUT SYNDROMES 

 テレビアニメ「ハイキュー!! TO THE TOP」OP曲。

 

 グループがこれまでもハイキューの主題歌を担当していたたのは知っていたし、「Dr.STONE」の「おはようグッモーニンワールド」の歌がちょっと面白かったことももちろん覚えていた。

 しかし、フルで聴いたのはこれが初めて。これまでは声がかなり特徴的、という点が好みに合わなかったのだが、今回の曲ばかりはさすがに良い。このちょっと変わった声にもやっと愛着が持ててきた。

 

 かなり上がる曲調で、サビの「鳥肌が止まらない」の歌詞通りにこちらも聴けば鳥肌がたった。

 アニメを見ていくと、「オレンジの光」の歌詞は、日向達が挑戦した大会の試合会場のことを指していたのだと分かる。

 

 

koshinori.hatenablog.com

 

 

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どこに行ったの?A.B.C-Zのトッツー消息不明問題について

 忙しく過ぎる今週も週末となった今ならやっと一息つける。そこでこの一週間を振り返って世間を賑わせたネタといえば、一つがやはりコロナ問題だった。そしてもう一つが、3月16日月曜日に起きたA.B.C-Zのトッツーこと戸塚祥太が消息不明になったことだった。

 この情報社会にそんなことがあるのだろうか。しかもそこらを歩いている者と違い、もっと人から注目される芸能人の行方が知れないなんてなかなかの問題である。

 

 朝の生番組にグループ5人で出演のはずがトッツーの姿がない。マネージャーにも長らく行方が知れなかったとのこと。私はその番組を見ていなかったのだが、ふと見たヤフーニュースでトッツーが消息不明という記事が上がっていたのでビックリしてしまった。しかもヤフーの注目検索ワードの上位にも彼の名前が上がっていた。

 

 これが結構長い間真相が分からないままで、昼間を過ぎてもまだ情報が知れなかったと思う。昼も過ぎて上がったヤフーニュース記事で「寝坊」だと分かった時には安心した。自分で仕込んだ特製カレーを番組で紹介する予定で、夜通し作業をしていたために朝が遅れたとのことだった。

 

 遅刻すれば学校だろうが会社だろうがとにかくどこでもお叱りを受ける。これは駄目なことだけど生きて帰ったなら全てを許そう。本当に良かった。安心した。

 

 だが、齢30も過ぎた大人のお兄さんが連絡無しに姿をくらますとなると、嫌な妄想の数個も巡るものだ。

 病んだ悪質なファンによって拉致監禁でもされたか、家の中で転んで頭を打って死んだのか、車にひかれたのかなどなど、正式に「寝坊」と発表されるまでの間には様々な悪い未来を妄想してしまった。

 

 最悪の場合、グループは4人になるのか、彼のあのハスキーでややねっとりしたボーカルが聴けなくなるのかとエビファンの私は大変心配してしまった。

 

 ここでトッツーの良さが出ている曲の例えを上げるのなら、まずは「Crazy Accel」が登場するだろう。この曲は彼の「クレイズィ~アクセ~~ル♪」のパートから始まるので彼を欠いては成立しない。

 そしてグループ一発目のシングルCDとなった「Moonlight walker」で、彼と相棒のフミきゅんこと河合郁人がそれぞれ担当する「What's your name?」のパートも聴けなくなるではないかと思った。

 

 結果として無事だったから良かったが、もしかしたら彼を失ったかもしれない未来を考えると、今一度エビにおける戸塚祥太の大切さが分かった。

 

 今回の騒動について、もしかするとタッキーとか会社の人とか、あとは五関くんからオコ(怒)が入ったかもしれない。しかし、生きて帰れば償いは出来る。カレーなら私も固形ルー無しでオリジナルのを作るくらいにはちょっとした拘りを持っているので、同じくカレー作りに拘るトッツーには好感をもつ。でもちゃんと寝て起きてねとも思った。

 

 そういえば先日放送した「えびチャンズー」の占い回で、トッツーは今年の仕事運がちょっと悪い的なことを占い師に言われていた。今回の事件は占いの的中を証明するものだったのだろうか。今後もトッツーには気を引き締めて頑張って欲しい。

 

 これからもトッツーを応援しよう。

 今回の失敗を受け、トッツーの人生はそうではないと分かったところで、彼らの新曲「チートタイム」も聴こう。

 

 これだけトッツーのことを書いておいてなんだが、最後に私は五関担であることを明らかにしておこう。

 

チートタイム(初回限定盤A)(特典なし)

チートタイム(初回限定盤A)(特典なし)

  • アーティスト:A.B.C-Z
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: CD
 

 

 人生にチートはない。ただ努力してチート並に力をつけるだけ。

 

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重要なことは二度起きる「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

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郵便配達は二度ベルを鳴らす」は、1934年に出版されたジェームズ・M・ケイン作の中編小説である。

 

 本作を実写映画化したものがBSで何度も放送されていることは知っていたし、印象的なタイトルに興味も持って記憶もしていた。しかし色々と都合がつかず、気にはなってもチェック出来ていない作品だった。というわけで、コロナウイルスのために外出を控えた方が良いこの機に家に引っ込んで楽しむならコイツだ!と思って手にしたのがこの作品である。

 感想を率直に言うと、なかなか面白いクライムものだった。令和時代にはすっかり古くなった作品だが、「おもしろい」は時を超えるというわけで、古くとも面白い作品だった。

 

 

 流れ者の主人公青年フランクは、旅先で働くことになったレストラン店主の嫁のコーラを気に入る。二人はすぐに惹かれ合って男女の関係になり、邪魔になった店主のニックを自動車事故に見せかけて殺害しようと計画する。計画通りニックを始末した後には二人の平和な生活が待っていると思いきや、今度はコーラが本当に自動車事故で死んでしまう。生き残ったフランクが全ての首謀者だという判決が出て、フランクは迫る死刑を待つことになる。

 

 作品内容は男女の不倫関係から邪魔となった夫殺しに始まり、最後は殺した方も死を迎えてお陀仏という「人を呪わば穴二つ」の言葉通りに締めくくられるものになっている。それを主人公フランクの一人称視点で追っていくスタイルが取られている。淡々と殺しの記憶を綴るこの手口が、かつて読んだカミュの「異邦人」のようだと思ったら、そのカミュも本作に影響を受けて作家活動を行っていたという。

 

 フランクの視点で語られる割には彼の心理描写が薄い。他の人間についてもそうだ。余計な説明文がなく、会話文も多いイメージだったので内容は入ってきやすい。しかし、登場人物の心理がやや分からない部分も確かにある。

 

 フランクは自他共に認める流れ者である。性分として一つどころに留まることが向かない人間なのに、コーラには執着し、一度は街を後にしてもまた結びつくことになる。恋だ愛だというのは青天の霹靂とも言い、放浪癖がある者でも、ある日急に一生の愛のありかを見つけてそこを生涯のねぐらとすることもあるだろう。でも、こんなにも急に流れ者のフランクが、一人の女との関係にこだわるなんてことがありえるのだろうか。しかも殺しを犯してまでだ。男女のあれこれは令和になった今でもやはりラビリンスというわけで、フランクの心理の是非をしっかり問うことは不可能なのかもしれない。

 

 危険に手を染めてまでものにしたコーラとの未来なのに、後半ではピューマブリーダーの行きずりの女と関係を持ったこともあった。フランクからコーラへの愛の真実性がどういうものなのかと疑ってしまうこともあったが、終盤の牢屋で書かれた彼の手記によれば、コーラに対する彼の愛は真実のものと納得もできる。ふらふらしている悪漢のようで、彼は愛に生きた男とも取れるっちゃ取れる。このフランクという男の心理が読めそうで読めないから曲者なのだ。しかし愛だ恋だってのは芯がしっかりしていそうな感情なようで、その実中身はへにゃへにゃということもまた真実、なような気がする。結局男と女のあれこれの全部は現代になっても解明が追いついていない。どちらにせよ、死に迫るくらい危険な男女の駆け引きにはスリルと興味を感じたのは事実である。

 

 巧妙なトリックを用いてフランクとコーラがニックを死に追いやるサスペンス要素も見所で、その後二人が弁護士にあれこれと聴取を受ける展開もリアルで興味深かった。

 二人の弁護士が登場して弁舌さわやかにフランクの心をかき乱す。やはり頭はぐるぐる、舌はべらべら回すのが得意なのが弁護士だと分かる。裁判のシーンもなかなかの迫力だった。

 

 フランクとコーラとのラブシーンで一つ印象的なプレイがあった。二人がキスするシーンで、コーラの方から唇を噛んでとおねだりが入り、フランクはキス時にコーラの唇を噛む。コーラの唇は出血し、流れた血はやがて首筋を伝うという描写がある。男女の交わりの方法には、互いの趣味や相性によって様々種類があるが、私の知るところではこれは初めてのプレイだった。コーラの方から「噛んで、噛んで」と言って激しく求めていたので、痛みを快楽に変えていく殊勝な性癖の持ち主だったのかもしれない。一つ勉強になったラブシーンであった。

 

 本作の最大のインパクトは、結局のところこのタイトルだと思う。本の中身を知らずに手にとっても「なんか名作っぽいタイトル」と思えるだろう。個人的には好きな良いタイトルだと思う。

 しかしこれが謎で、作中に郵便配達員が出てくるわけではなく、家のベルが2回鳴らされるシーンがあるわけでもない。タイトルになっているシーンがないのだ。謎だ……。タイトルと中身が一致していないこの妙なバランス感もまた印象的な作品だった。読み進める都度にタイトルとなったシーンがいつ出てくるのかと期待していたが、結局そのシーンが来ないで終わった時にはすぐにタイトル設定の謎を調べた。なんでこんなタイトルになったのかはググれば詳しいことが分かる。

 

 

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