こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

俺たちは熱血最強なんだ!「熱血最強ゴウザウラー」

 「熱血最強ゴウザウラー」は1993年3月~1994年2月まで放送された全51話のテレビアニメ。

 「エルドランシリーズ三部作」のラストを飾った作品である。最終回は間違いなくシリーズの有終の美を飾る作品となった、と思える作りになっている。

 

熱血最強ゴウザウラー DVD-BOX

 

・エルドランと子供達 

 今作でも光の勇者エルドランが「子供たちよ……」と言ってまた子供達にロボットを預けて行く。春風小学校6年2組の皆は「ザウラーズ」を結成し、悪の機械化帝国と戦うことになる。

 機械化帝国の侵略スタイルは惑星を機械化してしまうこと。山や川に人間までもを機械にしてしまう。分かりやすくぶっ殺すよりもかえって怖いかもしれない。

 

 シリーズを通して見られるエルドランの子供に丸投げている感が清々しいのだが、本作ではエルドランが登場するシーンが一番多く、何気にちょいちょい子供達をサポートしてくれている。ちょっと出てきてはすぐにどっかに行くんだけどね。

 

 エルドランと共に防衛隊の武田長官もやっぱり出てくるのでこの二人は三作皆勤賞となった。エルドラン役の島田敏は三作全てに子供役でも出ている。多くの女性声優が小学生の子供達を演じる中、おっさんの島田敏も負けじと声のアンチエイジングを行って小学生を演じていたのが素晴らしかったと想う。エルドランシリーズと言えば島田敏の声が思い出される。

 

・ロボットについて

 ゴウザウラーに合体するロボは恐竜をモチーフにしている。当時の世の流行りだったんだろうな。近い時期に「恐竜戦隊ジュウレンジャー」を放送していたし、この時期にはウチのお兄ちゃんも恐竜の本やおもちゃにやたらにハマっていたと思い出す。

 

 前作ガンバルガーでは、ロボットのパイロットは皆に正体を内緒にして頑張っていたのだが、今作ではライジンオーと同じく学校のクラスメイト全員で戦う路線に戻った。やはり皆で手を取りあって勝利を勝ち取るのが見ていて気持ちいいぜ。

 プテラノドントリケラトプスブラキオサウルスの形をしたロボット三体は学校と一体化してしまい、三体が出撃する時は学校の校舎ごとが変形してしまう。ライジンオーの時以上に校舎が改造されてしまっているのでこれには校長先生も困ったことであろうと思った。

 過去シリーズ通りロボットに乗り込むのは3人。男子の拳一、浩見、そして女子のしのぶが乗り込む。シリーズで女子がパイロットを担当したのは初めてだった。追加ロボでマグナザウラーとグランザウラーが登場し、その際には金太と洋二がパイロットに追加された。過去二作はパイロット三人だったのに本作では五人になったので戦隊もの感が出てきたと思った。

 過去シリーズ同様にロボットアクションの作画がマジで、特に発進、変形、合体、必殺技などの繰り返し使うカットは神っていた。迫力がすごい。

 

・6年2組の皆が個性的 

 6年2組またはザウラーズのメンバーはなかなか個性的で良いキャラをしていた。

 個人的にお気に入りは金太君。皆が金太と呼ぶのだが、実は白金太郎と本名で金太はタダのあだ名であった。金太の当番回エピソードが中々熱い展開だった。金太が参加した小学校最後の柔道大会中にも機械化帝国が攻めてきて、ザウラーズの皆は金太のためを思って金太抜きで出撃する。しかし、一人足りない分パワーが不足して押し負けてしまう。金太はライバルと戦える最後のチャンスであった決勝戦を蹴って仲間を助けに向かうという流れなのだが、これを見ると歳を取ったせいか、金太の男気に泣けてくる。

 皆のまとめ役の委員長なのに、やたらとキレるし、そうなったら手がつけられない五郎君も面白かった。

 戦術を組み立てるクラスのブレインとなった教授も良いキャラであった。

 メインヒロインのしのぶを押しのけてグイグイ前に来るエリーも存在感が強かった。

 女性教員のやよい先生に恋をする洋二も好きだった。初期の洋二は自主性がなく、何をするにも「先生に聞かないと」と言って周りの大人に依存しまくりだった。激しい戦いの中でグランザウラーを操るようになってからはそれを言わなくなる。全篇を通して洋二の心の成長も見られた。

 

・シリーズで一番大人な年齢  

 ライジンオーは5年生、ガンバルガーは4年生、そしてゴウザウラーではメインキャラの子供達が小学6年生と一番高い年齢に設定されている。それゆえに子供向け作品ながら前シリーズよりもやや大人びたなエピソードも用意されたのが印象的だった。

 小学校最後の一年ということで、ザウラーズの皆が学校生活でのあれこれに対して「これで最後」という卒業を視野に入れたおセンチな気分に浸る描写も多々あった。

 いつもはガサツな悪ガキをしている拳一が、小学校最後の夏休みになると学校で友達に会えないのを寂しく思って学校に遊びにいく。拳一達が低学年の頃に作った秘密基地に、受験やその他の用事で忙しい皆が遊びにこなくなったことを一番暇な拳一が懐かしくも寂しく回顧するシーンなどがそうであった。

 6年にもなると恋心も芽生えるもので、洋二が先生に恋をしたり、他には金太とユカの間でも小さな恋が芽生えるのが描かれた。浩美がクーコの優しい心に触れてときめく回は「分かるそれ」と思った。クーコのいつ誰が怪我をしても対処できるように絆創膏を携帯するという気の利く所は確かに良いと思った。

 

 この時期には体の発達も著しいらしいといこうことで、皆で温泉に遊びに行った回では、しのぶがブラジャーをつけていることが発覚する。それを拳一が「男女(おとこおんな)が乳パットをつけている」とからかうシーンがあり、その後は流れで拳一が乳パットをつけたままゴウザウラーに乗って戦う。そういやブラジャーっていつからするものだろうかと思わせる印象的な回であった。

 

 地球防衛を行うザウラーズと学生という二足の草鞋を履く生活はなかなか大変なもので、機械化帝国が現れて出撃したことで中断になった授業は日曜日に補習になったりした。小学校最後の運動会中にも出撃となってちょっと可哀想だった。風邪が流行って学級閉鎖になった際でも、家で寝ている者は起き上がって出撃するという回もあった。風邪でも休めないのが正義の戦士なので、これはシリーズで一番キツイ展開だと思った。

 

・敵側にも熱いドラマがある

 機械化帝国には4人の幹部がいて、その内3人目の幹部エンジン王と部下のギルターボは「人の心」とは何なのかを追求する。ザウラーズの担任教師の中嶋先生を捕られることで人の心に迫っていく。

 ボスにただ操れるだけでなく、敵側にも自我に目覚めることでドラマを持つキャラがいたのは印象的だった。

 人の心に目覚めたエンジン王が、自らを犠牲にしてゴウザウラーを助けてくれるシーンで言う「急げ!私のエンジンが止まってしまう前に!」は名セリフだったと想う。オーディオコメンタリーでは制作側の方もこのシーンに感動していた。

 大人だからロボットに乗って戦うことは出来ないけれど、中嶋先生がかなり体を張って頑張っていた。子供達の精神的支柱の役割を担っていた好きなキャラだった。

 

・後半からの怒涛の展開

 基本は一話完結のストーリーが続くのだが、物語後半からは話が連続して、かなり面白くなった。

  エンジン王が死んでから後に地球が一旦征服されて機械惑星になり、そこからは恐竜時代にタイムスリップして歴史を変えるための戦いがはじまる。歴史の修正をして普通の地球に戻った現代に帰ってきたところで、またすぐに機械神からの襲撃を受ける。次には拳一が機械化光線を受けてほぼ機械人間化してしまうというシリアスな展開がなされる。何とか拳一を人間に戻してそれから機械神との最終決戦となる。第3クール終わりから第4クール終わりまでが怒涛の展開で面白かった。

 見どころは機械化が少しずつ進行していく恐怖に耐えきれず拳一が涙するシーンで、しのぶが拳一の心の支えとなってあげるところである。ここの描き方は良かった。

 

 最終決戦ではロボットの基地が学校であることがバレて、敵が学校や街にまで乗り込んでくる。そこでどんどん機械化侵略が進行してしまう。敵が攻め込んで来て街の人は避難するのだが、その中でスポーツ店である拳一の両親の姿が気になった。母親は売り物であるバットと、食料である大根などを詰めた風呂敷を抱えているのだが、父親はエキスパンダーのみを持って逃走していた。父親の荷物にウケた。

 

・シリーズの卒業式

 全51話だが、戦い自体は50話で終わる。ゴウザウラーでは主人公達が6年生でシリーズも最後ということで、最終回は丸々一話使って平和な小学校の卒業式回が描かれた。これはちょっと泣いちゃった。ゴウザウラーは学校と同化しているから、卒業しても敵が攻めてくる以上は毎日小学校にいないといけないということがザウラーズの間で話合われていたので、一年以内に敵を全滅できて良かった。ゴウザウラーでは最後にエルドランがロボットを取りに来ることで気になる戦いのその後もきっちり描かれた。他のシリーズではロボットを返さずに終わるんだよな。

 

 

 

 エルドランシリーズ三作全て見たが、ヒロインのことをいうと、ライジンオーのまりあとかガンバルガーの桂さんや亜衣子先生が好きだったが。でも話自体でいうとゴウザウラーが一番熱くて面白かった。

 BD特典のオーディオコメンタリーでメインキャストの高乃麗林原めぐみ天野由梨島田敏の4人の話が聞けるのは貴重だった。ここらへんの声優は懐かしすぎて何か声を聞くだけでも泣きそうになる。高乃麗の少年声とかすごい懐かしい気分になるからたまらなかった。

 

 

  熱血最強やで!

 

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