「装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル」は、1986年7月5日に発売したOVA。
テレビシリーズ最終回では、クエント編の事件終了から急に一年後の世界に飛び、そこでキリコとフィアナがコールドスリープに入って終わった。
今作では、その割愛した一年間の部分が描かれる。これからコールドスリープを迎えるキリコ最後の戦いかと思うと、より一掃集中して見てしまう。
今回のOVAでは、いつものキリコの仲間達が全員揃っている。ゴウト、ココナ、バニラの三人がいる事で賑やかなのが良い。フィアナももちろんいる。
テレビシリーズ後半からまさかの再登場を果たしたシャッコも今作ではレギュラーとして登場し活躍する。テレビシリーズ最終回ラストシーンにシャッコがいてくれた事がちょっと嬉しかったなと思い出す。テレビシリーズの時からずっと思っていたが、シャッコの乗るAT「ベルゼルガ イミテイト」は格好良い。ガンダムでいうとグフとかギャンぽい感じで良い。
ウド編でキリコが臨んだ恐怖のバトリングに、ここへ来て再チャレンジする流れが印象的。ゴウトが性懲りもなくキリコをけしかけるのだ。危険な事ほど金になるというのは、いつの世にも通ずる鉄則である。
スコープドッグの腕のパーツを取って軽量化している特殊な調整が見られる。スコープドッグの肩に赤いスプレーをぶっかけ、再びレッドショルダーの精神を宿すキリコの覚悟が見て取れるのも熱いぜ。
頭に機械を入れたより改造人間感の強い新たなパーフェクトソルジャーのニーバが登場する。今回のボスはコイツ。普通にヤバ気な感じがする怖い戦士。フィアナに暴力を振るうのは良くない。そうでなくとも、今作でのフィアナは、ジジリウム不足により常に弱った素振りを見せていた。この点は痛々しい。
100年戦争の負の遺産である巨大な移動要塞と戦うまさにビッグバトルが描かれるのが今回最大の見所となっている。
難攻不落の要塞に潜入するキリコの動向を描く点には、スパイアクションの要素も見えた。迷いなくどんどん上を目指して無事侵入を果たすキリコの動きがすごい。運動能力も高い戦士なんだなと分かる。
巨大な移動要塞のアクションシーンは派手。中に入ればニーバの乗り込むATとの戦闘が展開する。中と外、それぞれで派手な戦闘が見える面白さがあった。
キリコとシャッコが連携して戦う点も良い。
最後は派手に爆発してなにもかもおじゃんだった。
キリコ達とニーバが戦うのを喧しく見ている外野連中の存在も印象的。人が生死を賭けて戦うのに、この外野達は金の賭け試合だからということで、儲けのことに一生懸命。賭け試合に一枚噛んでいるチェロキーの腹黒さと図太さは、ちょっと面白くて憎めない。
全てが終わった時、キリコはレッドショルダーの呪いの楔でもあったレッドショルダーの隊員証を首から引きちぎる。そして荒野に捨てることで、過去の因縁との決別を行うのだった。コールドスリープまでの未練はここで断ち切った感じになるのか。この先を知っている状態だと、感慨深いものがあるシーンだった。
そんなわけで、派手なビッグバトルが楽しめる良作OVAだった。シナリオなんて度外視に、とにかくデカい敵と派手にバンバンやってるのを見るだけでも楽しめるという人には向く作品だぜ。
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