「透明ドリちゃん」は、1978年1月から7月まで放送され全25話の特撮テレビドラマ。
おぉ!遂にドリちゃんを全部見れたぞ。東映特撮YouTubeにて週2本ずつ配信されていたのを全話楽しく視聴した。予想以上に面白かった。
この作品は名前だけを前々から知っていた。その昔、親から与えられた本に「全怪獣怪人」という特撮作品の図鑑があった。確かあれにドリちゃんの情報も載っていて、それきっかけで知ったはず。
変身ヒーローではない実写で見る魔法少女ものだけど、原作はあの石ノ森章太郎とあることで前々から興味はしっかり湧いていた。石ノ森章太郎作品なら何でも見たくなるじゃないか。
ものすごく古いけど今見てもしっかり楽しめる良きホームドラマの一面を持つ特撮ものだった。結構気に入ったので感想とか色々書いて行きたい。
内容
ある日、小学5年生の青山ミドリは、妖精の国 フェアリー王国の大王様の行方不明になった娘 ゼリアン王女と間違われてしまう。間違えたまま妖精の国に連れて来られたドリちゃんだが、日本に両親がいるので大王の娘にはならないときっぱり断る。でも厄介な大王は娘にする気満々でしつこい。
ドリちゃんは元の世界に帰ることになるが、その条件として人々に希望を与える魔法活動をすることになる。
透明になれる魔法のアイテムのドリームボール、お供の妖精を呼び出せるフェアリーベルを与えられたドリちゃんは、日々の暮らしの中で人々をこっそり助ける忙しい青春を送ることになるのだった。
感想
導入は分かりやすく普通に楽しく見ていたが、今振り返ればドリちゃん的に結構迷惑案件だったかも。
まず物語の仕掛け人になったカンバス大王なのだが、国の大人物でありながら結構抜けていて迷惑ジジイになることが多い。よくよく考えればこいつがほとんど悪い。大王様の割には精神的に幼稚だしね。そこも愛嬌だが、ドリちゃんの本物のパパ比べると駄目親父に思える。
フェアリー王国から与えられたドリちゃんのミッションは、言ってしまえばご近所の揉め事解決。透明になれる力と妖精召喚を用いてあれこれやってくれます。
この魔法要素に特撮技術を用いていて、ドリちゃんが透明になって見えなくなるシーンなんかはよく工夫して上手に見せている。
召喚する妖精達も妖精にしては間抜けでちょっとおバカ系で楽しく可愛らしい。妖精達は子供番組然とした人形劇スタイルでの出演なので、そこもなんかレトロ感があって良い。登場回数が多い妖精のドンパの声が永井一郎なのは懐かしい要素。
妖精ってもっと賢く子供にとって良心となるイメージがあるのだけど、ここの妖精はそうでもない。ドンパが念力を使って、ドリちゃんが望みもしない石投げ攻撃を人間に対して使うのは危ない。上司のカンバス大王があんな感じだから配下の妖精も割と抜けている。
ドリちゃんが小学生のガキにしては賢明な娘で、見た目もちょっと大人っぽい。聞いた話によると、子役の方は小5より年上のお姉さんだったからそう見えて当然だったみたい。
弟の虎男くんもセットでフェアリー王国に連れて行かれたので、彼も魔法の力が使えるようになっている。虎男くんの見た目があの頃の元気な悪ガキって感じで実に子供らしい。虎男の小僧感が良いな。清々しく小僧な弟の見た目だ。たまに虎男が余計なことに魔法の力を使い、かえって事態を面倒にすることもある。でもそこは愛嬌として笑って見ていく。
話も良かったけどキャラも人間味やユニークさがあって愛せたな~。
厳格な獣医さんのドリちゃんパパに、母の鑑みたいなイケてるママがいるのは理想の家庭を表現したものだな。パパ・ママのターンも多いホームドラマの一面が強かった。
ママはいつだって家庭を思って家の仕事をし、一体いつ休んでいるのかとドリちゃんが強く思う回はなんか泣けた。ウチの母も面倒臭いだろうにガキの守りに始まって家族のために何でもしてくれた。その上会社仕事もサボらずやっていたので偉くて立派だったなぁ~。ドリママを見て我が母の事も振り返って感心したわ。
パパが何かあればガキを頭ごなしに怒鳴りつける雷親父スタイルではなく、落ち着いて子供の意見を聞き気持ちに寄り添う賢明な態度に出るのも高感度が高い。それで男前だからご近所の白川さんちのおばあちゃんが激推しするのも分かる。
メイン、ゲスト含め、出演者によその特撮もので見る面々が実に多くいた。
レギュラーで出てくるドリちゃんの同級生男子の大ちゃんはガンバロンに出ているし、その祖母のパワフルばあちゃんは特撮といえばこの人な曽我町子が演じていた。
白川さんちのパワフルばあちゃんも曲者キャラで印象的だった。曽我町子のばあさん役は強烈だった。毎度のOP映像で単車をかっ飛ばしているシーンが見れるのにもなんか笑う。
ばあちゃんが厄介客レベルでドリちゃんパパのファンなのも印象的。別に用がなくても病院に来るのはウケる。パパさんのことが好きすぎる可愛いばあちゃんだな。
偶然にも配信時期が被っている「デンジマン」にはヘドリアン女王役で、「仮面ライダーストロンガー」ではドクターケイトの声で参戦している。そんなわけでこの夏は曽我町子と共に行くクソ暑い季節となった。こうして振り返ると特撮女王だな。
白川のばあさんがめっちゃ好きだったわ。昭和のパワフルばあちゃんの姿がコレかぁ。
学校に行けばモモレンジャーの中の人が担任教師だし。あれは良い。格好良い先生だな。
ゴメンけどゴレンジャーを見ていた時からペギー松山はちょっと色気がありすぎてエロくない?と思っていた。今回の格好良い女教師の一面を見てもそれはそれでもっとエロが強化されて見えたわけで。とか思っている私は不純なあんちくしょうなのかもしれない。
ゴレンジャーならミドレンジャー、キレンジャーの中の人も出ていた。
かなり好きだったのが、ドリちゃんの同級生のクソ悪ガキのボスという男子。その名の通り悪ガキの中のボスで「ドラえもん」でいうところのジャイアンポジキャラ。
随分ガタイが良い子で顔からして悪ガキっぽい。彼に見るリアルな悪ガキ感と親近感が良い。ボスは推せる。
ドリちゃんと揉めるばかりだけど、ボスのお当番回では良い子な一面も見せていた。父親がいないことからドリちゃんパパにキュンと来ちゃうボスは可愛いヤツだな。その後の物語だと普通に悪ガキに戻っていたけどね。今日は良い子でも明日にはすっかり悪い子、まぁガキなんてそんなものだからね。それの繰り返しで大人を目指します。
扱うネタはご近所の人間関係のことなど規模が狭く、ゆえにちょっとリアルで親しみがある。
興味深いエピソードは、ドリちゃん達子供のコミュニティで開催される誕生会関係の話。昔のアニメや漫画で聞くワードだけど、昭和の子供社会ではこういうのは普通だったみたい。これもちょっとくらい裕福でないと出来ないイベントだな。
誕生会で出た料理をちょっとしか食っていないから、その分参加費を返せという揉め事が起きる。それに親も絡んできてもっと揉める内容になるのが微妙にリアル性があった。
当時の子供コミュニティについても見えるところに面白みがある。
時代を知るってことならドリちゃんの家やその他家屋のシーンに出てくるアイテムが古いのも印象的。ドリちゃんの家の中のシーンが結構多いのだが、そこに見える家電が昭和仕様で今なら見ないような機種が多くある。こういう昭和家電を見るのも結構面白いよなぁ。これが昭和レトロの良さか。
最終回では本物のゼリアン王女が発見され、ドリちゃんがあっちの国の娘にされる心配は解消された。それでもカンバス大王がワンチャン狙いで心の娘としてやっぱり一緒にどう?と最後まで娘勧誘してくるのにちょっと笑った。あのおっさんは最終回まで青山家に迷惑をかけていたな。全然怒らないお嫁さんが甘いんだと思う。
大王や妖精ともさよならするちょっと寂しい最終回だったが、大変爽やかなラストで後味良し。これは名作でした。今やっている変なアニメを見ているよりも大昔のこういうやつの方が楽しめる。
基本的にドタバタして賑やかで面白い。その中にほっこりや感動もあり。そんなとても良い内容だった。親戚のちびっこにもオススメしてやりたいぜ。
東映さんは良き子供向け番組を多く作っているのだな。良い会社だ。これからも東映特撮と共に人生を楽しくやって行こう。
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