「怪獣8号」は、2024年4月から6月まで放送された全12話のアニメ。
2025年3月28日には総集編映画が公開された。総集編と同時上映でショートエピソード「保科の休日」も公開された。
1年の間にヤバい数のアニメを見ているから、このアニメを見たのがいつだったかパッと思い出せない状態だった。もっと前の気もしたが、だいたい1年前のことだったのね。去年の春にはこれの1期を見て楽しんでいたのか。
この7月からめでたく第2期をやることになった。放送はちょっと遅めで7月後半から。しかしこの7月からスタートのアニメはマジで数が多いなぁ。もう生活の自由時間は全部アニメ視聴にあてるくらいの勢いで臨まないと全部を追えない。なるたけ全部を追いたい人なんだよね。ホント、人ってのはいつだって欲張りさんの煩悩さんなんだから。
2期の前にサクッと1期のことが確認出来る総集編映画があるというので、じゃあ見るかとなり、軽い気持ちで見てきたのであった。ではその感想とかを書くか。私は怪獣が好きな特撮マニアのアニメ好きです。
主人公 日比野カフカは32歳のおっさん。怪獣退治チームの隊員になりたかったけど、まぁそこは簡単じゃないから。というわけで、隊員さんがぶっ倒した怪獣の後始末を行う会社に所属して日々頑張っている。
まずは「主人公がヒーローじゃないんかい!」とアニメ本放送を見ても思ったよね。それから主人公が若者でなくおっさんというところになんとも人生の悲哀が見えてなんだかな~となったものだ。
最近はおっさん主役の作品が増えたな~。そもそもおっさんを対象にした作品創りが商業的に一つの流行りになっているっぽい。まぁあの日アニメを見ていたガキも何れはおっさんになるから。じゃあおっさん向けアニメが増えても不思議はない。どこもかしこも高齢化ですな。そんな中でも心だけでは若くありたいものだ。というたかがアニメで何だそれ?な人生考察もちょっと捗る素敵時間。
あと主人公のカフカという変わった名前は、作家のカフカから取ったのかな。あの作家の描く世界観は謎にして理不尽ゆえとにかく異質なんだけど、一周してそれが悪くないという不思議な魅力があったね。そういえばカフカの本にも「変身」というものがあった。あっちもこっちも変身してらぁ。
カフカの物語を見ていれば、人生は簡単ではないが逃げることも出来ないゆえ向き合っていくしかないというメタいリアルが見えて来る。夢破れた本当のおっさんが視聴すれば、更に共感が生まれて物語に入って行けるのではなかろうか。そんなこんなまずは初手の段階からちょっと切ない。
加えて妙にリアルな感じがするといえば、デカい怪獣を倒してしまった後に死体の処理をする仕事人が出てくること。これは特撮ものならスルーするところだな。ウルトラマンなどをはじめとした巨大ヒーローならビームとかで爆散させて終わりにするところだが、この世界では原型をかなり残した状態で怪獣がそこらに転がってる。
怪獣のデカい死体は細かくバラして処分するしかない。死骸の撤退まで1週間以上かかる見込みで動いているから気が遠くなる。ウルトラマンだったらもう次の放送が始まっちまうじゃないか。次の週に次の回をやってまだ先週倒した怪人が街に転がっているなんてことが特撮番組であったらすごく変な感じになるよな。
冒頭ではカフカ達処理班が怪獣の後始末をやっているシーンが結構リアルに描かれている。怪獣の中身はこうなっているのかと分かる後始末シーンから描くのは面白い。
娯楽作品なら無視すれば良いであろうそこの都合を敢えて設定として盛り込んで深堀りして行く要素は面白い。基本設定として特撮要素があるのに、そこだけ見れば特撮的にアンチテーゼな感じもしなくはない。それは主人公が格好良いヒーローでなくおぞましい怪獣に変身するところを見てもそう。ちょっとダークな路線から突っ込んでいくものだが、特撮好き的にはそういうのもアリとなって楽しめた。
カフカがゴツくて格好悪いおっさんで、他のキャラも美形ではない。ヒロインのミナやキコルも萌え系ではなく、はっきり言って人間キャラの絵は上手くない。むしろ下手な領域に突っ込んでいる。
でも怪獣を描くのが本番だから。怪獣のおどろおどろしさ、それが動き回るアクションの描き込みは良い。バトルシーンは迫力があってアニメーションとして楽しめるものだった。
まぁ絵なんて下手でも引き込む面白い要素があって、総合的に見れる見世物になっていれば良しだから。全体的にこの作品のことは好きです。
顔も格好良くないし、当初の夢も叶えることが出来ずどこかくすぶっているおっさんの主人公を描く設定は印象的。カフカの相棒のレノくんが18歳という若さなので、カフカと並べると眩しい可能性の塊すぎる。
従来少年漫画としてのウケを狙うならレノの方を主人公に置きそうなものだが、今回はおじさんの胸に響くよう主人公の年齢を高く設定しているのね。これって結構賭けな設定だったのかも。大衆性があることで共感を集めるならしみったれたおっさんで行けるが、そうなると華を失うからな。華のない主人公だった。
それからレノは「ワンパンマン」のジェノスっぽいポジだなと当初から思っていた。
おっさんが良い年をこいて夢を見ているなんて~と自覚がある上でも当初の夢を諦めずまた挑戦するカフカの戦いが描かれる。これについては素直に応援したくなる。
おっさんの自分が良い年をこいて夢を見ているなんてと自嘲気味に言うカフカだが、それを見る気力もなくなったくたびれた命をやっているよりは元気で良いんじゃないかな。夢も見れなくなったおっさんなんてただの臭いおっさんだ。見れる内が華だな。なのでカフカの生き様な間違っちゃいない。ありですな。
若手に混ざって防衛隊の入隊試験を受けるも、寄る年波にどうしても体が叫びを上げることになる。ここにも結構リアルなおっさん都合が見える。
中年ならではの体の叫びが聞こえる事情は印象的。これを見たら「宇宙兄弟」を思い出したな。あちらの作品でもおっさんが若手に混ざって宇宙飛行士の試験を受ける困難の日々が描かれていた。老いってのは何をやる上でもハンデになるわけよ。
やはり頑張るならお兄さんの時分にやる方が楽であり話が早い。おっさんになってから頑張っても若手の元気さに対抗することは難しいよね。18歳と32歳が一緒に試験を受けたら、そりゃ32歳の体にかかる負担がキツくてやばいよな。
私もいつかはずっと年下の者に遅れをとってなんか寂しい気分になることがあるのかなと思うと結構嫌だな。でもそれも仕方ないこと。
カフカにとっては同僚も上司も年下になるのがなんだか不思議。昨今のおっさん社会ではこういうのも普通なのだろうか。こういうのも高齢化と経済の落ち込みが関係してのことかな。というやや渋い物の見方をしちゃう私。
防衛隊入隊試験の参加者年齢が少子化のために引き上げられたと説明されるシーンでもなんか考えてしまうものがあったな。本来なら後方に下げて休ませておくような疲れたおっさんでも前線に引っ張り出さないと社会が回らんのだよ。というリアルな日本社会の構造にも通ずるちょっと社会的な感想が出てくる私ってば真面目かっ!
試験で一緒になるキコルちゃんがめっちゃ強い。丈夫で元気だな。そして名前が特殊。インパクトがあるので覚えちゃう。年齢は16歳でカフカの半分と来ている。32から見た16なんてもう眩しすぎる光の塊だろ。そんな彼女は印象に残る一人でした。2期でももっと彼女に会いたいかも。
ミナにしろキコルにしろこの世界では女子が強い。ミナの強さもすごいわ。ミナとカフカが幼馴染の設定だから最初はミナも同じ年のアラサー女なのかと思ったが、ちょっと下の27歳だった。年の離れた幼馴染だったのね。20代だったことで安心したような、別にこっちも32歳でも良かったようなという色々ある私の心。主人公もヒロインも結構年齢が高めの作品なんだよね。
先に出世しまくって遠すぎる存在になったヒロインを追いかけて主人公が頑張るという構図も印象的。しかしカフカの立ち位置が下っ端すぎてミナの隣に並び立つには道のりが遠すぎる。
カフカが変身する怪獣8号のフェイスがガイコツデザインになっていることで、近い時期に放送していた「戦隊大失格」の戦闘員Dくんの顔を思い出す。ちょっと似ているよね。
怪獣の機能、習性に詳しいことで、カフカが相手の先手を取って動ける点は優秀だと思えた。前職の経験を活かして今の現場で上手く立ち回れるこの賢さは、我々が普段見ている転生ものにはほとんどない要素だ。前世の経験が転生後に活かされず結局駄目ライフを送るなろう系も多いものね。カフカくんは賢明な頑張り屋だよ。もっと頑張れ。
怪獣になれば皆より強くなって活躍出来るというチート能力があるのだが、それは限界まで出さず入隊試験は人間として頑張り、怪獣の知識はしっかり勉強している。そうしてただのおっさんとしてしっかり頑張るカフカの人生には好感が持てる。最近のおっさんはすぐにサボることを考えるから彼のような真面目さんをもっと見習って欲しい。とか言う私はサボり屋筆頭。
昨今はアニメやマンガを楽しむ層も高齢化を迎えているらしく、おっさんが主人公の作品が多い。それもなろう系に。それらおっさん系アニメの多くでは、人生への倦怠から広く頑張ることを放棄した者が描かれている。そのくせチートで人生は楽々、ギャルにはモテモテで行きたいというスマートに低俗な願いが込められたものが多い。まぁそれはそれで割り切ったネタとして見て楽しんでしまえば良いものだから、私もそのようにして楽しんで見ているんだけどね。昨今のおっさん主役作品はほぼ全部がネタだから。
そこへ来てこちらの作品のカフカおじさんはサボらず向上心を持って日々一生懸命頑張っている。その姿は美しいものとして称賛出来ますな。水分たっぷりの若者だろうが、枯れまくりのくたびれたおっさんだろうが、頑張っている命は光って見える。ゆえに美しい。それが分かりました。
怪獣への変身能力を隠し隠しやって来たが、それも仲間を守るために力を開放して皆にもろバレてしまった。バレると危険な秘密の保持よりも仲間の命を優先したカフカの生き様は熱い。
これが仲間にバレた後で面倒になり、それを越えた先でカフカは更に強くなっていくのだろう。それが見れる続編での展開に期待だ。バレてからが本番だな。
今回の総集編を見ていれば、防衛隊ナンバー2の保科の活躍も濃い目に描かれて目立っていると分かる。怪しげなおかっぱくんだけど強いし戦士としてのソウルは格好良い。
トップ不在の基地を守って反撃に繋げるのが自分の仕事だと覚悟を決めて戦場に立つ姿はイケていた。軽薄そうなチャラ面なのかと思いきや、カフカの頑張りを見て評価し上に上げてくれた。そんな良きアシスト者の一面も持っていた。何気に重要キャラだな。今回のおさらい視聴で結構好きになったキャラ。
その保科のオフ日を描く平和な短編も描かれた。こっちは新規アニメだな。こっちの話では主人公のカフカはお休み状態。その他の皆で保科のオフ日の行動をストーキングして行く内容。彼が主役のこういう単発エピソードが作られるあたり、世間的にも人気キャラなのかな。
このクソ暑い夏から続編スタートなのでしっかり見て行くしかない。
全ての頑張るおっさんは、カフカの物語の新章にチャンネルを合わせよ。テレビを持たぬ配信勢は適当な時間にログインせよ。
それでは皆さん、今日も頑張りましょう。とにかくサボるな。人生は頑張ったヤツが勝つとは言わないものの、サボったヤツは漏れなく負けだから。私は日々頑張るおっさんを応援しています。この地球の端っこからね。
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