こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

イヌネコ達の愉快な日常「3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?」

「3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?」は、1994年4月から9月まで放送した全26話のテレビアニメ。

 こちらの放送前には、全9話放送のシリーズ一期があり、26話あるのは二期にあたる。

 

 3丁目に暮らすイヌネコ達の愉快な日常を描いたもので、子供向けな安心できる一作だった。やはりタマたちをはじめとした登場キャラは可愛い。

 

 タマ達可愛いキャラクターがまさかの擬人化で帰って来た新作アニメ「うちタマ⁈ ~うちのタマ知りませんか?~」が今年1月から3月まで放送された。これを見ていると、全部獣で映す原作も見たくなってチェックした。

 

 擬人化の方は世の中でどんな反応を受けたのか知らないが、私としては好きだった。花澤香菜が演じた萌え萌えで来る擬人化モモはすごく可愛かった。私はオリジナルでも擬人化でもモモ推しである。重ねて言うがどちらもすごく可愛い。

 

 そんなわけで、コロナ自粛を盛り上げるために可愛さと楽しさ一杯の本作を視聴した。ゴールデンウィークに楽しんだ想い出の一作である。

 

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 メインの登場キャラはネコが6匹、犬が4匹、合わせて10匹のイヌネコ達の可愛い日常が楽しめる。

 

 一話で物語が完結するので、どこから見ても安心して楽しめる。まったりのんびりしたイヌネコの日常を追う子供向け作品ではあるが、たまにテンションを大きく変えた大人でもドキリとするエピソードもあった。

 

 擬人化した新作の方でもこれをオマージュしたエピソードがあったが、それがノラの野良猫ではなかった時代を映した「まつりばやし」という回。

 祭ばやしを聴きながら、昔自分を飼っていたお姉さんが死んだことをノラが回想し、その後ノラが見つけた捨て猫が死ぬという重いお話だった。

 この回はそれまでの明るいテンションとは大きくかけ離れた「命」の期限について触れた重い回で、子供が見ると少し怖いかもしれない作りだった。

 

 その昔ノラを飼っていた病弱なお姉さんが死んで冷たくなってしまう描写のリアルさは、ただただ怖くて寂しくなるものだった。ノラがお姉さんの唇に爪を立てて出血しても死体となったお姉さんは反応を示さない。幼いノラが死に直面したことが分かる回想が描かれる。

 

 この回の後半で、ノラやタマ達は赤ちゃん捨て猫を発見してなんとか助けようとするが、努力虚しく捨て猫は死んでしまう。楽しい夏祭りの裏で失われる命があることが虚しい。過去でも現代でも、命ある者は死から逃れられないということをノラの目を通して描いた印象深い回だった。

 

 他には、廃墟で白骨化した主人をなおも愛し続けるオランウータンの悲しいエピソードが記憶に残る。映画「サイコ」の白骨化した母を思い出すなかなりハードはエピソードだった。主の死体がある家から離れられないが、寂しさから仲間が欲しくてが猫をさらってくるオランウータンの物語が可愛そうだった。

 

 戦争を扱った悲しくて怖い物語もあった。空襲で死んだ女の子の霊が、爆撃で死体も残らなかったペットの犬を追い求める重すぎる話だった。犬の首輪のみが現世に残り、それが呪いのアイテムになるという「学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!」ぽい展開だった。

 

 幼児向けコンテンツではあるが、その中でファンタジーの外の現実世界にある大事なことにも目を向けるように仕組んだ作風が良かった。

 

 オス犬のタマを笠原弘子が美声で演じたのが良かった。彼女の男の子声が聴けるのはレアではなかろうか。すごく好きな声である。

 私の推しのモモちゃんを演じた椎名へきるの声も可愛くて良かった。

 ここ二人は声優好きとして通って行かないといけない道である。歌姫声優としても有名所だし、二人が共演した「D・N・A²」「レイアース」なども楽しんでいたので大変お世話になった声優達である。

 

 もう一匹のヒロイン猫のコマを演じた荒木香恵の声も良かった。

 90年代前半を盛り上げた名優達の若い頃の演技が楽しめるのがとても楽しい。

 

 タマたちの飼い主のたけし君達人間キャラは「あずきちゃん」の絵ぽい。なんにせよ平成初期の古臭い感じが愛しいアニメ絵なのが良い。

 

 3丁目のまったりとした町並みを感じる曲調ではあるものの、歌詞をよくよく読むとアニメの作風とは全然あっていない気がするOP曲「元気だしてよ」は記憶に残る。失恋したけど女同士で騒いで元気だそうよ、みたいなことを言ってる曲で、森高千里の「気分爽快」的な内容だった。絶対良い曲で好きなんだけど、タマの曲として聴くといろいろ気になる。

 

 ED曲の「みつあみ引っ張って」も良曲。

 OP、ED曲共に郷愁をそそるものがあった。どちらの曲も命のある内に一度は視聴することをお勧めする。

 

 

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コルレオーネファミリー、魂の系譜「ゴッドファーザー PART Ⅱ」

ゴッドファーザー PART Ⅱ」は、1974年に公開されたアメリカ映画。

 

 前作に引き続き上映時間は約3時間半と長め。「風と共に去りぬ」などの古くて尺が長い映画にたまに見られる「INTERMISSION」の時間もあった。これを一息で見るのはかなりきついと想う。コロナ自粛というこんな暇な時期でもないとチャレンジする気にならないシリーズ作品だったろう。

 

 今作は確かに面白くて退屈しないが、内容が複雑でちょっと難しい。ただでさえ作品時間の長さで脳味噌が疲れるというのに、その状態でこの複雑さだといつの間にか話の内容に置いていかれそうになる。私は長めの休憩を取り、二分割して見た。

 

ゴッド・ファーザーPART2(吹替版)

 

 激動の運命の中でコルレオーネファミリー二代目ボスに就任したマイケルのその後、そして今は亡き初代ボスのヴィトー・コルレオーネの若き日々、この2つの物語が描かれる。二人の主役の物語が交互に描かれるのが印象的な演出となっている。

 

 順調にボスまで上り詰めたマイケルのその後だが、これがなかなか波乱なもので上手く行かない。

 

 マフィアの仲間内でも担当する領分の線引があり、そこで揉める連中がいる。どの派閥がニューヨークのここからここまでを占めるかということで抗争が起き、マイケルもその面倒事に巻き込まれ、夫婦の寝室を狙撃されて危ない目にあう。

 

 自分を襲った裏切り者を追うため、一時ファミリーを離れて捜査を進めるマイケルだが、その先で兄フレドからの裏切りにあったり、旅先で妻の流産を知ったりしてトラブルは続く。

 ファミリー統制が上手く行かず、冷酷な仕事ぶりについて行けないということで妻にも愛想をつかされで、マイケルのストレスもかなりのものになっていると想う。

 

 心根は良いヤツだが心が弱いとマイケルから評される兄フレドの心情が吐露されるシーンは印象的だった。

 自分よりも有能な弟のマイケルに嫉妬心があったことをあらわにするフレドの言葉にはリアル性があった。

 

 兄弟の生き残りには妹もコニーもいるが、マイケルはコイツとも揉める。コニーが安定してうざい。

 前作でDV夫のカルロがマイケルによって消されたが、コニーは性懲りもなくわけの分からない男を連れてきて結婚しようとする。カルロみたいなワルを消してもらったことはむしろマイケルに感謝した方が良いのではとも想うが、コニーはそのことを恨んでいて、当てつけのようにして次の男を連れて来て金をせびる。ちょっとバカ女ぶりが目立って苛立つキャラである。

 

 冷酷なマフィアとなったマイケルの息子を産みたくなかったために、ケイが堕胎の道を取ったことはショッキングだった。ケイの流産の真相がなかなかに重いものだった。子供たちはマイケルの手元に置き、ケイとは離婚することになる。マフィアの仕事と離れた家庭での夫、または父としてのポジションを確立出来ないマイケルの葛藤も見えた。

 

 母の下を訪ね、家族を失うことについて語るマイケルに少しの弱さを見た。家族を重んじ、家族を守るために戦っているはずなのに、結果を見れば家族を失うことになっていることに嘆くボスの孤独が見えた。

 

 今回では兄弟との不和、嫁とのいざこざなど、マイケルの複雑な家庭問題を扱っているのが特徴的だった。とにかく組織のボスってのは苦労が耐えないと分かる。

 

 後半では特別委員会の開く裁判でマイケルが質問攻めにされるシーンが描かれ、これも印象的なシーンだった。表向きはクリーンな仕事をしているというポーズをとるマフィアの都合も分かる。

 

 同じマフィアの間でも戦争が起きることと結びつく要素として、キューバでの内戦が扱われていることが印象的だった。マフィアの世界もそうだが、戦争をする国の事情を見ても恐ろしい時代だと分かる。

 

 ラストでは父が生きていて、ソニーやカルロもいる中でパーティーをするマイケルの回想シーンに入る。どんどん孤独になっていくマイケルの人生を見れば、この時期が平和で良かったと思える。マイケルが海軍に志願して戦う相手が日本軍だったのも印象的だった。日本もその昔には戦争をしていたという史実を改めて認識してしまう。

 

 

 マイケルがある種の人生の落ち目を辿るなら、もう一方で展開する父ヴィトーの若き日の物語は活気あるものだった。

 

 ヴィトーの家族はドン・チッチオ率いるマフィアに殺され、まだガキの時分に国を出て旅をすることになる。優しかったヴィトーの母がショットガンでぶっ飛ばされるシーンは怖かった。一家皆殺しにすると言ったからには情け容赦なくガキであっても必ず消しにかかるマフィアの残忍さが出ていた。

 

 前作の老け込んで貫禄抜群だったヴィトーとは打って変わって、若き日のヴィトーは家庭を支える良き青年に見える。若き日のヴィトーをロバート・デ・ニーロが演じたのは印象的だった。

 

 堅気からも尊敬され、人々から頼られていた人格者のマフィアだったヴィトーと違い、ヴィトーの過去の物語に出てくる他のマフィア達は荒くれ者でとても悪い。自分の占める街の業者からみかじめ料を取って回るファヌッチはクソ野郎だった。

 

 アパートで犬を飼ったのが問題となって追い出しをくらったおばさんから、なんとか大家に口利きをしてくれなんて依頼が来てもちゃんと聴いてやるヴィトーは人が良い。

 

 前作でも登場した「嫌とは言えない申し出」のセリフがヴィトーの口から出るのが熱い。

 

 ヴィトーが発砲音を殺すため、銃を持った手に布を巻きつけてロックマンのバスターみたいにしてファヌッチを殺るところが格好良かった。発砲後、火薬が布に引火して燃える演出はリアル性があって良かった。ヴィトーの殺しの手口も鮮やかであった。

 

 最後には大きくなったヴィトーがドン・チッチオにしっかり復讐を果たす展開は痛快であった。

 

 2つの時間軸で親子二人の物語を追い、コルレオーネ魂の系譜を描いた大河ドラマに感動した。

 

 こうなると続く「PART Ⅲ」 を見ない訳には行かない。

 

 

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これがマフィアだ「ゴッドファーザー」

ゴッドファーザー」は、1972年に公開されたアメリカ映画。

 

 ゴッドファーザーといえば一番に来るイメージが上映時間が長いこと。これと並んで「アマデウス」「十戒」「風と共に去りぬ」あたりも、確かDVDが二枚組だったり両面だったりして、視聴するにはかなり手強い相手だった。

 名作映画を見るのはもちろん楽しい。しかし、長時間の確保、確保したところでその間集中して戦うことが出来るか、という点でちょっとした苦労もあったりする。こうなると本当に趣味を楽しめているのかどうか怪しいものだが、動画を趣味にする者はいつだって時間のことであれこれ悩みがちなのだ。

 

 そんな時間の不都合がやや緩和するのが、幸か不幸かコロナ問題にあった。コロナ自粛期間を有効活用し、私はこの長い映画「ゴッドファーザー」にチャレンジした。

 

 父がDVDをレンタルしてきたり、ビデオも持っていたし、これまでテレビで何度も放送しているので見るチャンスはいくらでもあたのだが、ちゃんと見たのは今回が初めてのこと。まさか令和に入って初視聴になるとは思わなかった。

 

 映画を見て、タイトルの「ゴッドファーザー」は、「名付け親」という意味だと分かった。

 

ゴッド・ファーザー (字幕版)

 

 1945年の世界を舞台にマフィア組織「コルレオーネ・ファミリー」の活躍を描いた作品となっている。

 

 マフィアもビジネスという価値観は強い印象として残った。

 マフィアにも領分があり、作中では5大マフィアによって業界のパワーバランスが保たれている。「NARUTO」でいう五影怪談のようにして5大勢力ボスが顔を突き合わす会議のシーンには緊張が走っていた。なるほど、見ていれば政治や何かの委員会の会合の場のように見えないこともない。無秩序に拳銃をぶっ放して暴れるアホ連中ではなく、業界の調和を保つために各勢力が緊張感ある駆け引きを行っているのが分かる。武力オンリーで行くのではなく、政治的駆け引きが出来る頭もないとマフィアは出来ない。ビジネス的な一面も確かにあるというもの。

 

 コルレオーネ・ファミリー初代ボスのヴィトー・コルレオーネは、麻薬商売はやらないなどのマフィアの矜持を持っている。政治方面にもコネクションを持っている。こう見ると、マフィアも広く社会を見て理解しないと出来ない商売だと分かる。ヴィトーは一端の流儀を持つだけに、堅気連中からも信頼を集めている。ヴィトーの貫禄がすごい。

 

 マフィアなのでやはり荒いことだって問題なくやってのける。脳天に穴を開けるをはじめとした鉄砲のドンパチシーンは迫力があってショッキングでもある。

 

 オープニングシーンから既に引き込まれる興味深いものになっていた。娘が強姦にあった復讐を依頼するため、中年男がドン・コルレオーネに凄惨な事件のいきさつを語るところから始まる。OPからこの話題はヘビーだった。こういう闇の依頼も受けるのがマフィア稼業。

 自分を芝居に使わない監督に不満をもつ男もまたドン・コルレオーネになんとかしてくれと依頼する。こういう時には荒い脅しをかける。

 

 警察にもやはり悪いヤツは潜んでいて、中盤ではボスの息子のマイケルが敵もろとも悪い警察を撃ち殺す。

 殺人を犯した後、マイケルは田舎の村に潜伏して事が落ち着くのを待つ。ファミリーの本部がある街はかなりの都会なのに、こちらは打って変わって田舎風景が広がるので舞台の移り変わりにギャップがあった。

 現地の美人娘のアポロニアと結婚してマイケルの生活も安寧なものになるかと想いきや、仲間の裏切りでアポロニアは車ごとぶっ飛ばされて死ぬ。えぐいシーンだった。

シチリアの女は銃より怖い」というシチリアンジョークなのか?とも思えるセリフは印象的。

 

 アポロニアが死んだら、さっと前の女とよりを戻して結婚するマイケルのフットワークの軽さも印象的だった。

 

 マフィア達は狡猾にお得な相手と手を結び、その過程でよそへの裏切りも行う。結んで切っての関係が渦巻くマフィア世界の深み見ると恐ろしくもなる。

 

 ファミリーの長男ソニーがハチの巣にされて殺されるシーンは衝撃的だった。そんなに打ち込む必要ある?とツッコミたくもなる。

 冷静沈着な親父とは違い、ソニーはかなり頭に血が登りやすいタイプである。妹のコニーが旦那から暴力を受けていると知れば、夫のカルロをボコりまくる。二度目のカルロボコりに向かう途中で殺し屋数人にマシンガンで打たれて死ぬ。

 嫁に暴力を振るうカルロは許せないくそ男だと思った。最後にはマイケルがこいつを粛清してくれたので良かった。

 

 敵から弾丸を喰らっても死ななかったヴィトーが、孫と楽しく遊んでいる最中にあの世に行くという最後は印象的だった。良いおじいちゃんとして生涯を閉じたのだから、良い形の最後だったのではなかろうか。

 

 ここからのマイケルの巻き返しがすごい。

 

 マフィア一家の中で、家業に関わらず堅気として生きたマイケルは、戦争で軍隊の英雄にまでなった。そんな彼がボスである父と次期候補だった兄も亡くした後には、怒涛の運命に飲まれ、マフィア界でのし上がり、最終的には二代目ボスにまでなる。鬼のように冷徹に事をこなす彼の眼力がすごい。

 激動の運命を強くマイケルの活躍から目が離せない作品だった。

 

 マイケルを演じたアル・パチーノは「狼たちの午後」で「アッティカアッティカ」と吠えるケチな強盗をやっていたのに、ここでは全く違う感じで来るのでビックリだ。

 

 マイケル指揮の下で同時展開する自分以外の5大勢力ボスとおまけに裏切り者共も一気に殺るという一大プロジェクトは終盤の見せ所となっていた。

 妹の息子の洗礼式に出るマイケル、各地で同時に殺しを実行する仲間達、2つの場面を交互に映しながらエンドに持っていく演出にはドキリとするものがあった。ぶっちゃけここまで休みなく見ると、そろそろ眠くもなって来るところだったが、衝撃の作戦が展開するココでハッと目が覚めた。プロだけあって殺しの手口も鮮やかで仕事が早い。

 

 陰謀渦巻くマフィア社会には、この世のどの業界にも見ない厳しさがある。恐ろしい世界だが、ここで見られる大河ドラマには目を奪われた。約3時間もある長い作品だが退屈せずに見れた。

 

 続編もチェックしよう。 

 

 

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