こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

萌え擬人化スポ根アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」

ウマ娘 プリティーダービー」は、2018年4月から6月にかけて放送された全13話のテレビアニメ。その他BDにはOVAが3話収録されている。

 

 現在アニメ2期が絶好調放送中、そしてもひとつオマケにやっとリリースしたスマホゲームの方もとんでもない勢いでヒットしている。これを受けて、今一度「ウマ娘」をおさらいしようと思い、アニメ一期をここ2日で視聴した。これが大変楽しいので困る。

 2018年のアニメ一期本放送時から私はこの作品の良さを知っていた。もっと上に来るべきコンテンツと思っていたが、あれから3年して新アニメとゲームがめっちゃ勢いに乗っていて嬉しい。というかもう3年も前のアニメなんだな。アニメとゲームが無い間もVチューバーとしてコンテンツを腐らすことなく盛り上げたゴルシの活躍には拍手を送りたい。

 

ウマ娘」とは、実在する競走馬を萌え萌え美少女に擬人化したまさかのプロジェクトなのだが、何でも擬人化したがる日本人の中でもコレに目をつけるヤツがいるとは意外だった。

 人生での稼ぎは着実且つ堅実に、というのが我が家の家訓である。一攫千金を狙えはするものの、出方をミスれば即廃人と化す可能性もある危険な金儲け、それが競馬である。我が家の家訓とは遠いものであるゆえ、競馬とはほぼ無縁で大きくなって来た私は、競走馬の名前も全然知らなかった。

 人生の中で競馬に触れたことといえば、ファミコン版の「ダービースタリオン」をちょっと遊んだこと、ウイニングイレブンと間違えて買ったのが競馬ゲーム「ウイニングポスト」だったこと、そして「鋼の錬金術師」にハマった関係から「馬券錬金術」というスーファミゲームを買ったことがあるが全く遊んだことがないことくらいしか想い出がない。ちなみに、ゲームソフトにおいてパチンコゲームと競馬ゲームはだいたいゴミというのが私のお兄ちゃんの持論である。

 

 そんな感じで、馬の元ネタは何も知らずに一期の本放送を見ていた。

 美少女にケモミミと尻尾を生やしてキモオタを釣るだけの安易な擬人化コンテンツだろうと、最初は完全に舐めてかかっていた。競馬レースシーンを見れば、普通に女子が走っている陸上競技じゃないかと思ってシュールな画に笑いもした。初回を見た時には、P.A.WORKSも変なアニメを作るようになったなと思ったものである。だが、この作品は尻上がりにどんどん化けていった。

 昭和、平成、令和、その他どこの時代で産まれた人間も共通して心を熱くするのが「燃える青春」である。この作品にはそれがたっぷりと含まれている。「巨人の星」とか「あしたのジョー」がイケる口ならコレもイケると思う。

 

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 とにかく出てくるウマ娘達は見た目が可愛く、個性的で魅力がたっぷりである。

 なんかいっぱい出てくるけど皆可愛いから推しが決まらない。推し決めに苦労させる楽しきコンテンツであり、この私の優柔不断さを加速させるものでもあった。

 

 北海道からの刺客スペシャルウィークを中心としたウマ娘達のレースにかける青春物語が炸裂する大変良質な作品になっている。

 二人のお母ちゃんの愛に支えられてすくすくと成長したスペちゃんが、日本一のウマ娘を目指して東京に上京して一旗上げる。その展開を涙あり、笑いもありで描く大変楽しいものになっていた。スペちゃんの人間のお母ちゃんがイケメンで美しい。

 

 トレセン学園というウマ娘の学校に入り、ウマ娘がちゃんと勉強しているのも面白い。座学もやり、レースに出るための特訓も行う。学校の授業では史実や実際の競馬ルールなんかにも触れているので勉強になる。

 

 ただの擬人化アニメには終わらず、実際の競走馬が持つエピソードをアニメにも落とし込んでいる点には、マニア的職人芸が出ていると思う。元々私は競走馬のことなんてまるで知らないので、史実をネタにされても元ネタが分からない。最近はリアル競馬のこともちょっと勉強している。元ネタが分かった上で、盛り込まれたマニアな馬ネタを見ると、これはスゴイこだわりとフィーチャーがあると分かる。馬に詳しい、またはしっかり好きな人間たちが作り込んでいる点が評価出来る。アニメでも何でも、のめり込んで作品をしっかり磨きあげる行為は素晴らしいものとして光る。

 

 誰が速いかを決めるだけの単純な競技であるからこそ、その結果が残酷に響くこともある。勝った負けたの結果が客員に重くのしかかるこそ、胸が熱くなるドラマが展開するのが良い。勝負の世界は厳しく残酷、だからこそ面白いとも分かる。勝利したい気持ちに待ったをかけられない走る命達のきらめきがとにかく美しいアニメなのだ。レースに負けて悔し泣きするスペちゃんやエルちゃんを見ると、こちらも泣きそうになったものだ。

 

 海外戦に挑戦したエルちゃんが、フランスのウマ娘ブロワイエに敗退し、その後スペちゃんに電話した時に電話越しで泣いているのが分かるシーンは本放送で見た時にも泣けた。ベテラン声優の池澤春菜がせっかく演じているのに、ブロワイエのセリフは全部フランス語で彼女の日本語の芝居が見れないのがやや残念。ブロワイエはほとんどオスカルみたいな感じのウマ娘だったな。

 

 熱いレースを展開した後には、勝者がスポットを当てられるウイニングライブが描かれる。これはアイマスやん、とツッコんでしまうものだった。オタクを引き込むコンテンツだけに、この要素はあって然るべきとも思える。露骨に萌えて可愛い。最初こそ、このアイマス要素はいらんだろと想いもしたが、見ていくとこの二面性が楽しい作品なのだと思えるようになる。楽曲はやはり妥協なくしっかり作り込んできている。

 ルドルフ会長が言うには、ウイニングライブを疎かにするヤツは学園の恥ということなので、ウマ娘達はただ走るだけでなく、歌って踊るアイドルの素養も必須となるのだ。それにしても会長、美しい。

 序盤ではサイレンススズカ以外のスピカメンバーのステージパフォーマンス力がゴミ過ぎて、その道に長けるトウカイテイオーの指南を受けることになる。チビでポニテのテイオーもめっちゃ可愛い。カラオケ屋でライブの練習もする展開があるとは面白い。ゲームのウイニングライブでは皆達者にパフォーマンスしているのに、シリーズ初期だとこんなにダメダメだったんだと笑える。

 

 主にスペシャルウィークサイレンススズカあたりをメインに描き、彼女らが所属するチームスピカの動きもしっかり描いて行く。スピカの面々が皆可愛いし、ゴルシのような曲者もいてキャラ性としても面白い。

 やはり注目せずにはいられないのがゴルシことゴールドシップの存在。ざっとメンツを見ても、このゴルシとオグリキャップはネタキャラが過ぎると思う。

 基本的に不真面目であり、皆が特訓している間もテーブルゲームを楽しんだり、高橋名人の必殺技の連打でスイカを割るヤツとかを楽しんでいるゴルシが面白すぎる。メジロマックイーンにやたらと絡んだ結果、目に痛いダメージを追うというゴルシの笑えるお家芸も作品の魅力になっている。OPアニメでも目にマスタードを食らっているし。

 

 笑えてしょうがないネタキャラがオグリキャップだった。コイツがまともに走って歌うシーンが記憶出来ない程に、登場シーンではめっちゃ飯を食ってる。いつ見ても飯を食っていて、学校に何しに来ているんだって思う。調べてみると、リアルでもオグリキャップはアホみたく食う大食い馬だったという。

 本編に深く関わってこない割には、画面の端っこに頻繁に登場する隠れキャラ的な楽しみがある。毎話オグリキャップはどこにいるのかと探してしまうのも楽しみだった。

 

 アニメ一期を通して一番笑えたのは、オグリキャップがドーナツの大食い大会に挑戦するエピソード。スーパークリークからの派手なズルを受けてもなお全部食って優勝する凄まじい暴食ぶりを見せているのが面白い。美少女なのに、食ってデブになって腹が出てヘソも覗くというギャグマンガみたいな描写も可愛い。こいつ程ではないものの、スペちゃんも冗談みたいな大盛り飯を食うので、腹がデブになってヘソが見える時期がある。

 そんな訳で、本作はオグリキャップフードファイターの道を極める物語でもあった。

 スポ根要素が多々あるアニメだが、出来る限りの範囲でちょこちょこふざけてくる要素が好きだった。

 

 速そうと思って最初だけスペちゃんも警戒していたハルウララが実は笑える程遅かったのも笑えた。後にどんどん高知県に染まっていく姿も面白い。

 

 本名はずっと出ないトレーナーさんもある意味主役キャラ。本作は、名だたるウマ娘達をスピカにスカウトして一流選手に育成するという彼の物語でもあった。

 基本的にウマ娘達に舐められていて、激しいボディコミュニケーションを受けたりしているトレーナーさんの青春もかなり楽しそう。トレーナーも含め、スピカの面々が仲良しで、ファミリー感を出しているのがほっこり出来て良い。あくまで仲良くの範囲で喧嘩しまくりのダイワスカーレットウォッカのコンビも可愛い。ダイワスカーレットの可愛さにもだいぶハマる。

 トレーナーと言えば、チームリギルにはおハナさんというエロ格好良いお姉さんがいる。私ならリギルに入りたい。おハナさんも美しいヒロインで良かった。トレーナーさんとおハナさんって絶対出来てるよなと思ってしまう。

 

 ウマ娘達が電話するシーンでは、馬の耳に合わせるために受話器が不自然なまで縦に長いという点にクスリと笑える。最初は作画ミスかと思えてしまった電話シーンが愛らしい。

 

 仲間だけどライバルでもあることから、ウマ娘同士がガチでぶつかり合う展開には胸を熱くし涙した。レースシーンは迫力もあってすごく楽しめた。

 最終回のドリームマッチからの「Special Record!」披露、そして「うまぴょい伝説」へと入っていく流れは大変良かった。名曲も多くて胸アツだったな。

 通常ED曲の「 グロウアップ・シャイン!」 もとても良い。

 

 BD特典の「ウマ旅」では、元ネタとなる馬の解説がしっかりされていて、アニメ視聴後だとこちらも大変楽しく拝見することが出来た。アニメに落とし込まれた馬ネタの数々を関係者から聞くことが出来て勉強になる。

 このアニメを見ない限りは、絶対に興味を持たなかったであろう競馬業界のあれこれの話を聞くと、私が知らなかっただけで、これまで地球でこんなことが起きていたのだなと思えた。

 スペシャルウィークの母キャンペンガールは、実際でもスペシャルウィークを産んですぐに死んでしまい、その後スペシャルウィークの面倒を見たのは、日本で働く外国人スタッフだったという。スペちゃんのお母ちゃんは、その方をモデルにしているのだそうだ。この話を聞くと泣ける。

 リアルのスペシャルウィークは、アニメ一期本放送期間だった2018年4月に亡くなったという。時期的になんだか運命めいたものを感じもする。

 

OVA「BNWの誓い」

 ビワハヤヒデナリタタイシンウイニングチケットのBNWの三人を主役にした全3話のOVAもかなり面白かった。BD購入特典となるが、これは放送しないのが勿体ない良い出来だった。このエピソードがかなり楽しくて感動も出来るので2回見てしまった。

 大会レースではなく、トレセン学園で開かれるファン感謝祭の駅伝がメインとして描かれる。今回のウマ娘は、襷をつけて公道を走る。本編とは変わった面白みがある。

 

 親友同士だったBNWの三人の友情に亀裂が生じ、それを徐々に回復していく熱い展開に泣ける。引退を決意したナリタタイシンを残りの二人が友情で引き止め、再びトリオで走る美しい物語を見ることが出来た。ナリタタイシンはイケメン。

 タイシンのために、雨の中風邪を引いてまで幸福の四葉のクローバーを探すビワハヤヒデの愛に泣ける。風邪で倒れた姉のピンチヒッターとして駅伝を走るナリタブライアンの姿も美しくて格好良かった。ビワハヤヒデとブライアンの姉妹愛も美しい。

 

 美しい友情と姉妹愛が大きなテーマとして描かれるが、あとはいつものウマ娘らしくだいぶおふざけに走っていて笑える箇所もありすぎる。

 まずBNWの駅伝計画を記したポスターの絵が下手くそ過ぎて笑えた。脈絡から考えるに、あの絵を描いたのはルドルフ会長かナリタブライアンのどちらかだと思う。二人共クールで美しいのに、あんなに死んだ画力を持っていたとしたらウケる。

 

 駅伝の裏でもうひとつ展開する大きな戦いが、オグリキャップのわんこそば千杯食いチャレンジである。ここでも走らずに食ってばかりでマジウケる。

 ウォーミングアップで食ってきたと言って既に腹が出た状態でわんこそば大会に出るオグリキャップの言動が狂人めいていて面白い。たくさん食った後だから当然わんこそばを食う途中でも苦しくなり「何がいけなかったのか」と反省しているのがアホ過ぎる。OVAでもとにかくオグリキャップに笑わされた。

 

 テレビシリーズからの既出キャラ、ここでお初の新キャラも含めたキャラ総出のお祭り企画になっていた。現在アニメ2期でかなり美味しいところを持って行っているミホノブルボンライスシャワーもここで初登場になっている。

 クイーンベレー、サンバイザー、ブロワイエらオリジナルウマ娘も皆再登場する。サンバイザーは、失踪したナリタタイシンの影武者としてギャグパート要員を務めている。釘宮理恵の無駄使いとも思えるサンバイザーの活躍にも笑える。

 

 ゴールドシップにまつわる伝説的事故に、よーいどんの合図後もスタートをしなかったというものがある。この時馬券を買っていた客は悲鳴をあげたらしい。このネタが後半に盛り込まれているのが見どころ。

 この業界ではアイドルである細江純子が、走らないゴルシを目にして「きゃー」の声を上げた史実が見事アニメ化されている。ちゃんと本人がアフレコしているので、これは元ネタを知るファンにはウケただろう。エアシャカールと喧嘩してゲートが上がっても走らないゴルシには笑える。

 出走前パフォーマンスでは、グラサンをかけて立ったままずっと動かないゴルシが描かれている。これはライブが始まってからずっと動かないマイケル・ジャクソンを真似たものっぽい。ちゃんとおふざけしてくるウマ娘の作り込み用がやはり面白かった。

 

 

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ほたるを越えて行け「Memories Off 2nd」

Memories Off 2nd」は、2001年に発売したプレイステーションソフト、またはドリームキャストソフトである。

 発売時期からするに、新世紀が明けて最初期くらいのギャルゲーヒット作になったのではないかと思える。

 

 2機種に対応したソフトが同時発売し、どちらでもジャケットを飾ったのはメインヒロインの白河ほたるだった。同じキャラが写ったものだが、ジャケ写は異なっている。そういった点から、とりあえず我が家ではどちらも確保している。

 2008年にはPSPに移植された。こちらも確保済みであり、今回はそちらで遊んでみた。

 

 初代と比べ、シナリオがかなりボリュームアップしている。前作はPSだとディスク1枚での発売だったが、今作は2枚組だった。ざっと二倍の時間楽しめた。PSP版で全ルート攻略まで約35時間もかかった。だいぶ長いし目が疲れたが、楽しかったので苦痛はない。

 

Memories Off 2nd サウンドコレクション

 

全体のざっくりした感想

 今作も前作同様、大きな壁を乗り越えたその先にある恋だの愛だのが描かれる。やはり恋愛において勝利を掴むのは難しい。障害はあって当然だと言えよう。

 前作では、死んだ恋人の過去を受け入れて新たな恋に向かう物語が描かれた。今回も別れから物語が本番を迎えるのだが、新章ということで方向性をややいじっている。

 

 当時としてはなかなか斬新な設定だったかもしれないが、本作ではゲームスタート時から主人公に彼女がいるのだ。それがメインヒロインの白河ほたるである。各攻略ヒロインルートに攻め込むためには、まずほたるをなんとかしなければならない。どういうことかと言うと、振るのだ。ルートによると、フラフラした主人公をほたるの方が捨てる形に見えるものもある。

 

 主人公伊波健は、サッカー部を引退した高3の男子である。古いアパート朝凪荘で一人暮らしをしている。部活が終わった後の夏休みから物語はスタートする。

 サッカーを失ってからは、学校生活での目標がなくなり、受験生ではあるものの、これといって進路へのモチベーションも上がらない。そんな感じで何かに情熱を燃やすことがなくなった健は、暇な学生になってしまう。そこへ前作から続投で登場する愛すべき脇キャラの稲穂信が、ファミレスのバイト話を持ってくる。信も朝凪荘に住んでいて、なんと前作で通っていた澄空高校を退学している。こいつはビックリだ。

 今回でもまた、信の役どころは、迷える主人公を良き方向に導くというものだった。基本はおバカのノリだが、学生を辞めて一応社会人をやっているだけあって、たまに良いことも言ってくれる。

 

 何かを始めなきゃということで、健は信と共にバイトを始めるのだ。

 バイトをし、夏期講習にもちょこちょこ出てを繰り返す日々の中で、健はほたる以外の気になる女子達とお近づきになるチャンスをゲットする。

 ほたるはピアノコンクールに向けての特訓があり、その間は彼女の目がお留守になる。その条件も手伝って、健にはよその女と時間を共にすることが増え、結果彼女以外の女達を好きになっていく。

 ほたるを過去の女にして次の未来を目指すのである。

 

 まず初手で最初の出会いにバイバイして次の恋、または次の女に行くという展開が必須となる。攻略ヒロインには、バイト仲間、同級生、元カノの友人、姉、教師までいて、どのルートに入っても大体は揉める。 

 どのルートを選んでも必ずキーパーソンとして絡んで来るほたるは、前作の彩花同様ボス的立ち位置のキャラだった。ほたるを乗り越えていかないと掴めない恋がある。

 大きな壁を乗り越えた先の恋であるという点においては、前作とテーマ性が合致するが、こちらの方は生きている彼女とお別れするのでかなり生々しい。三角関係、やや浮気もの感もあり、その手のややドロついた恋愛模様が好みなユーザーにはウケる内容になっている。この私も「金妻」や「マクロス」が大好物なので、この設定も好みだった。

 ゼロからでなく、ほたるをものにしたという栄光を手にした段階からスタートする点には素直に興味が湧くし、斬新で面白い。

 

 この基本設定を見れば、まずほたるが可哀想、そして健のしたことは最低だと考えることも出来る。だがしかし、そこに人間の、または恋心の真実性があるのも事実である。出会った順番の前後があっただけで、健の恋する想いに嘘は無いのだ。ほたるのことは大事だが、また別に大事な人が出来たという訳である。健を擁護しまくることは出来ないが、彼の言動の全てを否定することも出来ない。ここが恋愛の難しいところである。心に従って真実の愛を求めれば、その過程で誰かを不幸にすることは避けて通れないのだ。そんなリアル性あるシリアスなラブドラマを描いたこの作品は、高品質なギャルゲーだと言えよう。

 

 もちろんグランドフィナーレを迎えるためには、最後までほたるを選び抜くルートを進めることになる。ほたる一択で攻め込むルートもちゃんとあるのでそこは安心だ。

 何度もほたるを振って泣かせてを繰り返し、最後にはとびきりの幸せを掴むオチに持っていく。その時には感動も一入であった。

 このゲームの落とし所は、迷って悩んでの恋の末に、ほたるこそをハッピーにするというものなのだ。ほたるはマジで可愛い。 

 

 主人公の健やほたるは、前作の主な舞台となった澄空高校の近所の学校である浜咲高校に通っている。本作に登場する各キャラが、澄空高校に通う前作の登場人物と実は繋がりがあったとされる描写が複数見られる。顔や声での出演はないものの、前作キャラの存在が見え隠れすることから、オールドファンに良いサービスが見える点も良かった。

 

ヒロイン

 美少女ゲームをプレイしてヒロインの品定めをしないなんてことはない。なのでヒロインをじっくり振り返ろう。

  

 ヒロイン攻略順(私の趣味)

 飛世 巴 → 白河 静流 → 相摩 希 →寿々奈 鷹乃 → 南 つばめ → 白河 ほたる

 

 攻略ルートとしては、6人ヒロインをメインにした6ルート。でもヒロインはルートによってプラスαで登場することもある。

 

飛世 巴(とびせ ともえ)

 劇団バスケットに所属する女優の卵。よく公園で稽古している。思わずドラマ「愛していると言ってくれ」で常盤貴子が演じたヒロインを思い出してしまう。

 健のバイト先のファミレス「ルサック」に飯を食いに来て、それが縁でだんだん仲良くなる。

 劇団の仲間内では男っぽい感じがするため女子扱いされないという。だが、そうして一見男前な少女の中に、秘めたる女子の部分を見つけて萌え萌えさせるのが、このヒロインの真髄である。めっちゃ可愛い。

 異性にも気安く接するコミュ力高きギャルって感じで、親和性高きヒロインだった。結構おっぱいがある点にも注目。二の腕の防御無きノースリーブで登場することが多めで、その点も良い。

 

 初っ端から一番ヘビーなルートだったと思う。なんとこの巴、ほたるの親友だったのだ。思わぬ暗黒を呼ぶ縁があった。これは曲者ゲームだなと思わずにはいられない。この展開は読めなかった。

 二人が友人だったことは、巴ルートに入ってしばらくしないと分からないのだが、結果として彼女の友人に手を出したという典型的浮気者ルート感がして罪悪感も少々湧く。

 双方が良く知る人物であるほたるに悪いとは想いつつも、互いに惹かれ合うことに待ったをかけられない男女の愛に残酷な真実性を見るルートだった。濃いなぁ。

 ほたると巴が激しく口論して揉める展開も用意されていて、これは胃が痛む。だが楽しい。

 

 健と同様サッカー好きだった弟を亡くした悲しい過去を持つため、巴はサッカーにトラウマをもっている。過去に傷持つ女であることから守ってあげたくなる。

 

 健から見れば他校の澄空高校に通っているため、巴の澄空の制服姿を拝むことも出来る。これも可愛い。

 

 魂込めて巴を可愛く演じた仲西環は、約一年前に他界している。彼女の死後にもこうして彼女の残した演技を楽しんでいる私がいる。役者の仕事は長く世に残る。

 

白河 静流(しらかわ しずる)

 彼女の姉というこれまた禁断のポジションにいる女子大生。静流とつばめ先生はお姉さん枠なので、ぐっと惹きつけられるものがある。めっちゃ可愛い。

 ほたると二人並ぶと、実に美しい姉妹だと分かる。大変仲良しな美しい姉妹の美しき姉妹愛に亀裂が生じるのが静流ルートである。

 前作ヒロインの小夜美さんとは大学の同級生で親友同士である。静流と小夜美の高校時代の写真で若き日の二人が見れるのが良かった。

 お姉ちゃんヒロインだけあって、落ち着いたお姉さんの色気がある。パティシェを目指していることから色んなお菓子を作って来てくれる点もスペックが高い。普段はおっとり系お姉さんに見えるが、実はプロレス好き女子であり、プロレスが絡むと熱血お姉さんになる点も愛しい。

 海ドライブで白河姉妹の水着姿が拝めるシーンも大変良かった。

 

 このルートでは、まず健のアパートの隣の部屋に住むつばめ先生との仲をほたるに疑われることから面倒が始まる。誤解を解いて健とほたるを仲直りさせるために静流が仲裁に入るのだが、それが危ない恋の入り口になってしまう。妹が可愛いために、その彼氏にも目をかけていたら、その内双方が惹かれ合って泥沼的展開に入っていくのだ。

 結果として、大好きなお姉ちゃんに大好きな健ちゃんを取られることになるほたるのショックは計り知れないものがある。彼女の姉とくっ付くという一番イケないことをやっているルートな気がする。この禁断性が美味しいのである。

 ほたるのことを思えば、巴の時とはまた違った胃の痛みを味わうことになる。だが、それゆえに面白いとも思える展開だった。

 

 相摩 希(そうま めぐみ)

 希と書いて「めぐみ」とは、読みがトリッキーである。

 健と共にファミレスルサックでバイトする仲間。一番ちんちくりんなヒロインである。

 演じている南里侑香は、役者よりも歌手のイメージが強いというのが個人的認識である。今一度彼女の声優としての芝居に触れられるという点から、このルートは興味深いものになった。

 

 序盤の方では、結構気弱でドジな点もある普通な女子って感じに思えてちょっと退屈にも思った。だが彼女のルートの中盤あたりから色々おかしい点が浮き彫りになる。

 会う日によって言動に差異が見られる点から、もしかするとこいつは二重人格なのでは?というシリアスな流れになっていく。彼女に対して理解を深めたい健が、本屋に通い詰めて心理学についてあれこれ勉強するシーンが印象に残る。

 精神的に危うい状態にあるのかもしれない。であれば希を放っておけない。健のそんな想いを恋人のほたるが気にかけないはずがなく、なんだかんだで揉める。私だけを見てよ!的な想いがほたるの中で膨らむのである。分かる。

 他のヒロインルート同様、まずはほたるを振り切る。そして希と仲を深めにかかるのだが、ここからまたややこしい展開になる。実は希には望(のぞみ)という双子の姉妹があると分かり、二人が交互にバイトに出ていたと分かる。こうなると、自分が好きになったのは二人の内どっちなのだと健は混乱するのである。ややこしい。

 ほたると別れてまで選んだ道の先で、希と望のどちらを選ぶかという分岐がまだ用意されている。これは面倒臭い青春だ。最低かもしれないが、こんなことになるならほたるに戻りたいと思ってしまう自分がいた。

 このルートにはオチが3つ用意されている。選択肢によって、双子のどちらかが死んで、生き残った方とエンドとなるものがあり、もう一つはどちらも死なないものが用意されている。希望エンドと呼ばれる最後のルートのオチは、考察を重ねないとなかなか理解出来ない謎に満ちたものになっている。

 希と望の二人がいたのではなく、希望という名前で元から一人の少女だったという、簡単に言うとそんなオチが用意されている。では健のこれまで見てきた世界はなんだったのか、という点をどうしても深く考えてしまうものだった。深い。

 

 希も澄空高校に通う生徒であり、絵画を嗜んでいる。美術室に置かれた作品に感動したというのだが、どうやらのその作品は前作ヒロインみなもの遺作だと推測できる。私を泣かせてくれた推しヒロインのみなもちゃんの話が聞けて良かった。

 

寿々奈 鷹乃(すずな たかの)

 優秀な水泳選手でクール系美少女。千葉紗子の声が懐かしい。

 縛ったポニテの先が二つに別れているという珍しい髪型になっている。ある意味ツインテも兼ねているのか?という謎めいたヘアスタイルも良さになっていた。めっちゃ可愛い。

 スラッとした細身の女子に見えるが、水泳には体力が必要でカロリーもめっちゃ消費するということから、ありえない量を食う大食い女子でもある。彼女の大食いっぷりには逞しいものがある。

 

 とある事情から男嫌い性質になり、その事情は彼女のルートを進めると徐々に見えてくる。男嫌いのため、序盤は健に対しても剣のある態度を出してくる。

 男を虫に例えて中傷する穏やかではない鷹乃の喋りは記憶に残る。「トンボ並の知能」とか言ってくる。この口の悪さは、ブスが発したのならクロスチョップお見舞案件になるところだが、可愛い鷹乃なら「まぁ許そう」ってなる。

 

 男嫌いだが、代わりに女子に優しく、美しく格好良いということもあって同性からモテている。

 鷹乃ルートに入って行くと、鷹乃が所属する水泳部の後輩女子舞方香菜の出番も増える。おっとり系メガネ美少女ということで、攻略ヒロインではないものの、香菜も多くの紳士諸君の需要に答えた良き要素があった。舞方香菜を演じるのは、亡き松来未祐であり、彼女の芝居がまた見れたのが嬉しい。

 

 住んでいる家が本屋を営んでいる関係から、本好きな前作ヒロイン詩音と鷹乃は友人同士ということが分かる。詩音もめっちゃ良かったよな。

 

南 つばめ(みなみ つばめ)

 とにかくミステリアスな美人教師である。何を考えているのか謎な点が魅力的。

 健の隣の部屋に引っ越して来て、最初に会った時には「風を見ている」と言って風と戯れている。やばい、かなり不思議と思わずにいられない。入りこそちょっと変な女なのかなと思ってしまうが、教師なんて職業をするあたり物事の道理が色々分かっている。彼女の個別ルートに入る入らないにかかわらず、それとなく健の心理に働きかける深い言葉を送ってくれるキーパーソンにもなっている。やっぱり人生の先輩なのだと納得出来る。

 先生なので物をいっぱい知っている。晴れを祈願して飾るてるてる坊主の由来について先生が語ってくれるシーンは勉強になる。このてるてる坊主関連の話は、ほたるルートにも深く関わることになる。

 レモンが好きで携帯している。この点もミステリアスで印象に残る。つばめ先生といえば「レモンの女」というイメージ。レモンの香りは人を滾らせるとつばめ先生が言っているのだが、それは分かる。なにせこの私も、唐揚げの横のレモンは絶対食う派のレモン好きなのだ。レモンは私を滾らせる。

 もみあげ部分だけやたら長くて後ろ髪はバッサリいってるこの変化球な髪型も謎で好きだった。

 

 演じたのは我が想い出の女優である池澤春菜である。ハム太郎の飼い主のロコちゃんの声とかがめっちゃ可愛かったと記憶している。「ケロロ軍曹」「だぁ!だぁ!だぁ!」では、共に金持ちの二重人格お嬢様という他作品であっても被り肉そうなキャラを見事被せて演じていた。「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」では、まさかの元気な男子の役もしていたことから、パワフルな役を演じるイメージが強い。そこへ来て、ボリュームを絞ってしっとり喋るつばめ先生の芝居は意外なものがあった。池澤春菜のボソボソしゃべるクールな芝居もかなり良いと思えた。

 

 つばめ先生のルートを進めると、幼少期からお父さんに家庭内虐待を受けていたことが明らかになる。結構イッちゃってるこのお父さんが怖い。

 つばめ先生ルートでは、健のサッカー部の仲間にして親友でもある中森翔太が濃く物語に絡んでくる。翔太は絶対にほたるが好きだとこちらに思わせておいて、実はそれはフェイク。翔太が好きだったのはつばめ先生と分かる点は意外。

 まずはほたると別れることで三角関係になるが、その後はスムーズに先生と仲良くとは行かず、次には翔太が介入して新たな三角形が見えるようになる。この複雑に揉める恋愛模様にはワクワクする。

 皆まで描くことはしないが、このルートでは選択肢によって翔太とつばめ先生が自殺したであろうバッド・エンドが用意されている。これは悲しい未来なので避けて通る努力が必要だ。

 翔太を演じていたのが若き日の福山潤だったことにも注目出来る。

 教師と生徒の禁断の愛が描かれるルートだが、禁断こそ蜜の味なのでドキドキして楽しんだ。海辺にある小屋で先生とキスするシーンは美しいので見どころだ。

 

白河 ほたる(しらかわ ほたる)

 最後に本腰を入れて臨むのは、本作のボスキャラであるこの人だ。

 

 まずほたるがめっちゃ可愛い。健ちゃん大好きで、健ちゃんのためなら何でもするってくらい献身的な彼女である。他のヒロインも確かに良いのだが、こんなに良い子が彼女なのにお前は何に不満があって他の女のことを見るのさ、と健にツッコミたくもなる。

 

 新人の頃の奈々様(水樹奈々)が演じている。とにかく奈々様の芝居が可愛い。可愛い声だな~。今ならもうこの芝居は出来ないのではないだろうか。若さゆえの勢いもある演技だったなと勝手に思っている。シンフォギアの時とは全然違う芝居ではないか。奈々様のこの感じの芝居はレアかもしれない。

 

 基本的にはボケボケギャルであり、緩いテンションでオヤジギャグを吐くのはとんでもなく可愛い。こんな感じなのに天才ピアニストであるという点がすごい。有名曲の「悲愴」「愛の夢」を演奏し、BGMでも流れる。「悲愴」はタイトルと違って悲壮感がなく、むしろ心温まると語るほたるの音楽的感性が愛しい。クラシック音楽に心癒されるのもゲームの良さだった。「愛の夢」をバックにほたると夜の動物園でデートするシーンはとても良かった。

 

 ほたるには打ち込むことがあり、しかも天才レベルである。健はサッカー大会で負けて目標がなくなってしまう。そのことから、彼女でありながらも非凡なほたるに対して劣等感があり、それもきっかけで二人の間に距離感が生まれる。自分は本当にほたるが好きなのか、相応しいのか、ということを健は改めて思うのである。これだから男女関係は複雑で疲れる。

 

 ゲーム進行を行う上で、何度もほたるを悲しませることになる。様々なルートで悲しませるのだが、その時に「健ちゃん、ひどいよ」とほたるが言うところで一番傷つく。ほたるを傷つけたことで傷ついた私は、その日眠れなくなるのである。奈々様の声で「ひどいよ」を言われるとすごく悪いことをした気分になる。

 

 ピアノコンクールで優勝したほたるは、音楽の都に留学することになるが、健ちゃんを愛する一心で帰ってくる。最後はライン引きを使って校庭にでっかく健ちゃんへのラブレターを書く。この恥ずかしい青春の告白のノリが個人的に好みである。何度も泣かせた看板ヒロインのとびきりの笑顔を引き出してオチとなるこのルートには感動できるものがあった。

 

 ほたるルートクリア後に流れる奈々様の歌「オルゴールとピアノと」が超絶良い。改めて奈々様の歌声が素晴らしい。芝居と歌で声が違いすぎる。ほたるのために、健が一生懸命オルゴールを作る流れがあるので、オルゴールもキーアイテムになっていた。

 

 

 

 

 

 そんなこんなでだいぶ楽しかったシリーズ二作目だった。

 作品キャッチコピー「かけがえのない想いと引き換えに……」の通り、大きなものと引き換えに、また大きなものを選択するという青春の駆け引きが描かれるリアル性も多々ある物語が楽しめた。

 やはりメモオフは心を揺さぶるものがあるぜ。

 

 楽しかったので、またメモオフシリーズで遊ぼうと思う。

 

 

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なぜ私はギャルゲーをやるのか

 最近知ったのだが、ニンテンドースイッチでもギャルゲーソフトが出ているという。SONYさんは携帯ゲーム機作りに力を入れないようになったみたいで、現在では携帯ゲーム機なら任天堂の一人勝ちになっているようだ。ギャルゲーが携帯出来るという点からギャルゲープレイヤーには神器となったPSPもとっくに生産が終わったもんな。後継機のVitaは未だゲットならずだし。

 しかし任天堂機器でギャルゲーがどんどんリリースされるとか、なんかスゴイよな。ここに来てゲーム業界の大きな変化がコレではないだろうか。

 近々メモオフの過去作をまとめたものがスイッチで出るというし、それはかなり欲しくなる。スイッチはまだ買っていないけど、従来の任天堂らしい作品に加え、ギャルゲーも充実するのであれば、もしかすると最強機器になるのではなかろうか。

 そんなこんなで未来に明るい希望を抱いている。

 

  私はなかなかの年月に渡り、細々とゲームコレクターとして活動している。これまでを振り返って集めたものを眺めてみると、意外にもギャルゲーが多いことに気づく。集めたものの多分2割くらいはギャル共が埋め尽くしている。もちろんコンシューマーゲーム対応ソフトのみなので、人前でプレイしても全然大丈夫なものばかりだ。

 

 人はなぜギャルゲーをやるのか、それは知らん。私は私以外の人の内情など知らないし、知ろうとも思わない。

 だが、私の中にはギャルゲーを楽しむ明確なる理由がある。今日はそれを書き記して行こう。

 

 ギャルゲーというコンテンツも歴史を重ねて随分と根っこを広げ、今となっては腐る程の作品がリリースされている。多くあるそれらに共通するテーマが「恋愛」である。私はこの恋愛が好きなのだ。

 元来から人間は、日本人は、もっと絞れば霊長類は愛を語らうことが好きな命である。なぜ好きかというと、恋愛はとにかく面白いからだ。面白いことが嫌いなんていう本能がねじ曲がった者なんてそうはいない。

 揉めることもあり、手を取り合うこともある。すったもんだのドラマの末に男と女が愛で深く結ばる。それは見て美しいものであり、胸がスッとするものでもある。

 情動に激しくアクションが起きないままには進行しないスリルある人生のイベントが恋愛なのだ。そんなイベントなら、奥深き趣があって然りである。恋愛に退屈はない。とっても楽しいのだ。

 

 ゲーム画面を通して、擬似的に恋愛を楽しむ。

「それって不毛で無意味で虚しいじゃん。そんな奥行きのない彼女よりも、街に出てモノホンの女を捕まえれば良いじゃん」

 という破滅的でもあり建設的でもある意見を実際に親兄弟からもらったことがある。

 確かにそれも一理ある。

 恋愛は絶対に実地がものを言うものである。ゲームや本の世界に陶酔してそれを味わった気にはなれど、それは似て非なるまた別口の楽しみを得たに過ぎない。つまり、実地の愛とゲームの愛は、かすりもしない別物でもあるといえる。

 私は現実に置き換えてゲームをするわけではない。元々ゲームの世界に用があり、そこだけを見て活動を行っている。これを現実逃避で行っているオタクがいるとすれば、それほど哀れなことはない。

 恋愛を楽しむこの手のゲームをプレイするのは、なにも独り身オンリーではない。恋人があり、家族を持つ者だってギャルゲーはやる。パートナーがいるにもかかわらず、頭にエロがつく本やビデオを見る男だっているだろう。それと同じである。ゲームにはゲームならではの楽しみがある。だからどういった状況の者でもやる時にはしっかりやるだの。

 

 恋愛をテーマにしたゲームをやることで私が一番得たいもの、それはずばり「キュンキュン」である。

 可愛いギャル共と甘酸っぱい青春の物語を楽しむ。そのスタート、過程、オチの全てにキュンキュンが散りばめられている。恋愛とは千歳飴のようなもの、紆余曲折ある過程のどこを切り取っても美味しいのだ。これが最初に上げた恋愛の面白さである。キュンキュンすることは、胸躍る楽しいことなのだ。わざわざ言葉にせずとも、人間をやっていればアホだって分かる情動の基本だろう。

 

 そしてキュンキュンすることには、アンチエイジングの効果があると私は信じている。ときめくことで心が若くいられる。

 私はゲーム世界に入り込んでヒロインにキュンキュンして心を踊らせる。そうして気分がいつでも若くあれるのだ。実際私は、周りからいつだって実年齢よりも若く見られる。

「ギャルゲーでキュンキュンする → 元気になる → 肌ツヤコンディションも良くなる」

 この流れであっているのだと思う。恋にときめいていると人生は楽しいのである。

 

 複数回プレイにより、違う時間軸を追う。その中で、前回プレイとは異なる相手を求めてまたキュンキュンできる。今時ヒロインが一択の作品もそうないだろう。繰り返しプレイすることで、何人とも恋愛関係になれる。この浮気的心情が満たされる点にも良いものがある。

 恋愛における日本人の基本的価値観において、一度に複数人にいくのは良しとされない。コレと決めた人間一択で人生を歩むのが正しく清いこととされる中、ゲームの世界であれば、面倒なそこの事情をぶち壊して可愛い子ちゃんと楽しめる。これだからギャルゲーは良いではないか。恋に多様性を求めることが出来るのだ。

 

 キュンキュンする心理面の話を先にしたが、やはりこの手のゲームは視覚的にも楽しめる点が強い。だって出てくるギャル共は皆可愛いのだから。美少女ゲームと銘打ってわざわざブスを出すこともないだろう。とにかく見た目はもちろん、優秀なゲームなら中身までしっかり可愛く作ってくる。

 結構最低なことを言うかもしれないが、私がゲームに「可愛い」を求めるのは、現実のブスに飽き飽きしたことが関係している。現実の人間は、この私も含め顔に個性が出すぎている。その中には、いわゆるブスも散見するわけであり、そんなブスと比べると美しい顔を見る方が楽しいし気分が良いに決まっている。ギャルゲーには、ブスがゼロの美しき世界を提供することが約束されている。

 ブスはブスで趣があるとは思うが、連発はきつい。たくさんお外で活動してそういった面を見て帰ると、ゲーム内の美しい顔に癒やされるのだ。

 これは断言するが、殊美において、3次元で頂点を極めた者でも、無限の可能性がひしめく二次元を凌駕することは敵わない。三次元だけで生きず、二次元を行き来する目的は、美の癒やしを得ることにある。ギャルゲーの女子はやはり可愛いのだ。

 

 それから、私は普通に読書が好きである。この手の作品は、単純に読み物としても楽しめて良いのだ。 

 

 まぁギャルゲーの楽しめる要素は様々あるが、これを楽しめる人ってのは心が純粋なのだと思う。

 この世のどこにもない画面の中に作られた世界を本気で楽しむこと、心を割り切ってそこにフォーカスする準備が出来るのは、不純物がひしめくハートの持ち主では出来ないことだろう。ギャルゲーは我々を純粋にさせるのだ。

 ある程度はピュアさが残った若い内でないと本気で楽しめないコンテンツなのかもしれないとも思う。私は年寄りになったことがないからはっきりとは言えないが、歳を取るほどに現実とのズレが目立ってゲームに集中できなくなるのではないかと予想する。だからまだ若い内に遊んでおこうと思う。

 

 そんなわけで、私にとってギャルゲーとは、ある種の精神安定剤でもある。

 現実は現実でしっかり楽しく生きる。それを行う上で精神を癒やし、安定させる要素がギャルゲーに、もっと広くいえばゲーム事態にあるのだ。

 

 改めてゲームってのは良いものだ。人生の質の底上げとなる素敵な発明である。

 

 

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