こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

コロナ時代の今だからこそ刺さる「アウトブレイク」

アウトブレイク」は、1995年に公開されたアメリカ映画。

 

 がっつり実写映画を見るのがマジで久しぶり。昨今はアニメのBDやゲームを楽しんでいたので、映画鑑賞はしばらくお休みだったな。だがそこはシネマの申し子ということで、どうしても定期的に何か見たくなる。この事情が分かる人間も地球に700人くらいはいることだろう。

 

 本日は祝日だし、ゆっくり映画でも見るかと思ってBSをつけると、この秀作を放送していた。良き出会い。

 

 2時間と10分程の作品だが、最初から最後までドキドキの展開で、中だるみなくすぐに見終えた感覚になるものだった。面白い。この中途半端に古い時代の作品感もなんだか愛しい。

 

 タイトルのアウトブレイクとは、爆発的に感染が広まることを意味する。

 本作は危険度マックスなウイルスが、驚異的スピードでアメリカを覆うという恐怖を描き、その中で深い人間ドラマも展開する内容になっている。

 

 当時見ていたとしたら、ちょっとばかし怖い架空の話くらいの軽い気持ちで見れただろう。しかし、コロナ時代の今だからこそ、本作に登場する架空のウイルス「モターバ・ウイルス」がやけにリアルに感じられて怖くもなる。

 

 面白い作品ではあったが、敬老の日に楽しむには全く向かない一作だった。

 

アウトブレイク [DVD]

 

 まず物語のとっかかりとして、遡ること30年前に起きたアフリカのザイール村での感染症問題が描かれる。とんでもない場所にある村だなとビックリ。すごい田舎。

 調査員が調査に向かった結果、コレはヤバいから村ごと消滅させて全部隠蔽しようという流れになる。

 作中では「村に物資を送らないと」という表向きには全部伏せた会話のやりとりがなされたことが印象的。この物資ってのは何なのだろうと思って見ていたら、すぐに正体が判明する。それは爆弾のことで、じきに村に爆弾が落とされ、感染者ごとウイルスはふっとばされて事件は解決。怖い。

 

 それから30年後、また恐怖の事件の掘り起こしが起きる。同じ場所で謎の感染症が流行るのだ。

 主人公の軍医サムは、現地調査に出て問題解決に尽力する。

 ここからはウイルスとの戦いの中で、サムと元嫁ロビーの愛の揉め事、ウイルスの大元となる猿の確保、保身からウイルス関連の情報を隠蔽し、また感染者を皆殺しにしようとする悪い権力者を黙らせるなどなどの熱いヒューマンドラマも展開する。見どころは割とたっぷり。

 

 サルの輸入を皮切りに、まずはウイルスがプチ流行。ほとんど間を置かず近場からどんどん感染し、大事になる。最初は可愛く見えたサルだが、中盤からは見ると怖くなってくる。作中事件の始まりから終わりまでを含めて鍵となる要素だったサルの存在も目立つものとなっていた。合間合間にサルのカットが登場するのが印象的。

 

 とある街丸ごとが感染者となり、軍隊を出して完全に街を封鎖して皆を押し込めるシーンは怖い。

 住民たちは当然パニックを起こし、ストレスから街の脱出を計る。がしかし、勝手に脱走したら軍隊に攻撃される。外出禁止命令が出ていて、これを無視すれば逮捕される。ここまで厳しく隔離するのか、怖いと思える。

 コロナで湧く日本でもさすがにここまでの事はしないと思うが、これを見て不要不急過ぎる油断多き外出者は諸々弁えて欲しいものだとも思ってしまう。

 未曾有の事態だからこそ、慎重に冷静にしっかり気を引き締める事が大事的なことも伝えている。住民のパニックの様子にも怖いものがあった。

 

 名も無き家庭のお母さんが、感染したために娘、夫と涙ながらに別れるシーンは可愛そう。感染者は難民キャンプ的なテントだらけの施設に強制的に押し込められる。

 増えすぎた死体を一箇所に集めて一気に燃やすシーンにも生々しい恐怖を感じる。こういった場合には、死体処理の仕事にも効率性を強く求めるものだってことを昔読んだ「ペスト」という本で学んだ。

 

 作中の謎のウイルスは、途中で進化してしつこく生き延びるからこれもコロナ的要素があって怖い。

 

 早くに謎の解明に近づいていたサムの意見を聞き入れ、国が柔軟な対応を取らないから後手後手で最悪の事態になる。この点にはストレス。

 やっぱり未知なるウイルスに対しては大人達もまごまごするわな。日本だってそうだし。

 

 ウイルスに関する不祥事をなんとか隠したい国の権力者達の汚いまでの保身が浮き彫りになる点には、政治的アンチなメッセージ性がある。

 大人が嘘をつくからこんな事態になったと言える。30年前のウイルスのこともそうだし、サルの密輸もそう。

 

 モーガン・フリーマン演じるビリーの正義の心が復活するまでの過程にも熱いドラマがあって良い。

 序盤は自己保身に走り、上に迎合して隠蔽工作に加担するが、後半では友人サムの熱に当てられ正義の人として行動する。自己保身か、人道を重んじて人命救助か、多くの人物がこの二つを天秤にかけて動くわけなのである。

 

 権力者側の黒い言動が結構目立つ。

 感染速度が速すぎるから、他に移る前に感染者が死んでしまうのが幸い。2600人が住む街を爆弾でふっ飛ばさないと、いずれは2億6000万人に感染する。など、怖い発言もしばしば見られた。割とスムーズに爆弾使用までの手順が進むのね、とも思えた。

 

 権力者が裏で暗躍するアレは怖い。我が国の大人も何か大きな嘘をついてはいないだろうなとかもちょっと思ったりする。

 

 街への爆弾投下をやめさせるため、爆撃機パイロットを必至に説得するサムの言葉の力には聞き惚れるものがあった。情熱的説得シーンは良かった。サム役のダスティン・ホフマンの顔の演技が良いな。

 説得されたパイロットが、「乱気流で狙いが外れた」と優しき嘘をこいて街ではなく海に爆弾を落とすシーンにグッと来るものがあった。おしゃれに優しき方便である。

 

 ヘリでやり合う、爆弾の爆発シーンなど、アクションにも力が入っていたと思う。パソコンに頼りまくりの今どきの作品とは異なる、地味ながらもしっかり作り込んだ感が良い。

 

 心に滲みたシーンは、初めてウイルス感染者を見てパニックになったソルトに向けてサムが言葉を贈るシーン。

 怖くてパニックになったソルトの反応に対し、恐怖することは感情として当然のこと、平気なやつとならそれこそ恐ろしいからチームを組みたくない、と言うサムの言葉が良い。内容としては当たり前のことだが、異常時にこそ自然な考えと感情を崩さす持つことが大切とも思えた。

 

 

 スリルとヒューマンドラマで魅せるパニックもので面白かった。

 こんなコロナ時代だからこそ響くものがあった。多くの一般人、国の責任者達にも今一度見て欲しい作品だ。

 

 スポンサードリンク

 

キスマイ10周年よくやった&ありがとう

 デビュー10周年記念を受けて、キスマイのことをあれこれと語りたい。殴り書きたい。そう思わずにはいられないマイハートの都合がある。

 

             ↓

  

 8月にキスマイがデビュー10年目を迎えた。めでたい!

 それを記念して発売した10年間の想い込めまくりのベスト盤が発売。ここ半月はそれをずっと聞いている。

 

「俺たちが10年やって来た集大成、聴いてよ」と言わんばかりにドカンと発売してくれやがった。だったら聴くしかないじゃないか。それ以外に選択肢なんてないだろ。

 という過程を踏んで脳が「これは聴くべし」と判断した結果、聞きまくりの日々を送っている。

 

 デビューから新曲を出す度にちゃんと聴いて来たので、収録曲は単体では知っている。しかしこうして並べるとこんなのもあった、あんなのもあったと新鮮な想いにもなる。ジャンルの異なる色んな楽曲をやって来た面白いグループになったものだと思う。

 

 こうして改めて歴史を振り返ると、キスマイってグループとして存続する中でなかなかのドラマを持っているし、なによりも楽曲がなかなかに良い。

            

 3.11の打撃を受け、エンタメ界にも沈み具合が強く見えたとにかく景気の悪い2011年夏。世間の暗さもぶっ飛ばす景気の良い曲「Everybody Go」で華々しくデビュー。あんな時期だったからこそ目立つ良さがあったのかもしれない。

 未曾有の被害を受け、当時は時代の先導者不在とも言える状態だった。歌詞の「この時代はチャンピオンを待っているのさ」は、そんな世相を反映した内容に思えなくもない。とか言っても、国のリーダーっていうのは名目上ではいつだって存在するのだが、機能の有無はその時代によって様々である。

 あれから10年か。時が経つのは本当に早い。

 

 ベスト盤のCDジャケの構図が時を越えてエモい。

 デビューシングルと同じ構図で10年越しに新撮影を行い、それがベスト盤ジャケ写になっている。同じポーズの7人だが、もちろんしっかり成長している。コレ、すごく良い。

 

 彼らが10年やって来た中でファンに見せられる基本にして最大限恩返し出来る点は、グループデビュー時から同じ形を保って来たこと。どういうことかって言うと、脱退者がゼロなこと。これって結構難しいこと。先輩グループの多くは10年経つと体制が変わり、メンバーが減っている。他のグループを非難する訳ではないが、やはり同じメンツで10年後にまた出会えているってのは、ファンにとってとても嬉しいことである。数が減れば悲しくて当然。だからこそ誰も抜けなかったキスマイは偉い、凄い。みっくん格好良い。

 

 そしてただいるだけな訳はなく、7人個々がアイドルとして力を増しているのも喜ばしい点。グループ全体としてもパワーアップしていることが分かる点も良い。これが叶っていれば、ファンへのパフォーマンスとして及第点。

 

 私はずっとみっくん推しなので、彼が綺麗でいてくれることは嬉しい。そして最近ではラブライバー宮田が絶妙に小綺麗になって来ていると思う。ここ一年くらいは宮っちも良い!

 

 キスマイは前3人がくるくる入れ替わってセンター交代制なっているが、私は真のセンターはみっくんだと思っている。ガヤもタマももちろん良い。悪いわけがない。しかし、やはりみっくんが真ん中にすっぽり収まっているのが落ち着く。賛同者は挙手をお願いしたい。

  

 この軍団って売り方が明らかにおかしくて、同じグループなのに、前3人、後4人できっちりと推し出しプランが別れていた。

 前足、舞祭組で二つの軍団に分けて売る。後の4人の冷遇酷くない?と思わないヤツが不思議なくらいだ。千賀はもっと前に出せやとずっと思っていた。

 

 複数人いるグループであれば、誰か一人を先行させて世に売出し、その一人をきっかけにグループ全体を知ってもらって、グループファンを増やしていく。そんな戦法が取られるのは不思議ではない。しかしキスマイはやり方が露骨すぎた。

 グループ内格差を生むのはマネージメントの怠惰と取ることも出来るし、あえての作戦として盛り込むなら結構危険だと言える。キスマイの場合は、どういう思惑があったかは知らないけど、意図的にやったのだろう。今でこそ、あそこでああしたから売れたと成功談として話せるが、かなり危険な賭けであったのも確か。

 

 そこに攻め入って疑問を投げかける先輩の中居くんはさすがである。誰が見ても3人と4人の差は分かることだが、ツッコんでいいのか悪いのか、周囲の空気を見て慎重に行かなければ、というイジりポイントが世にはあるもの。これがまさにそうだろう。そこに突っ込んで行くのは、勇気がいるかもしれない。

 先日の金スマのキスマイ特集は大変良かった。そこでも中居くんの勇敢な気づきをテレビで流したことで、結果的には4人がパワーアップし、7人グループとしての質も底上げされたと語られていた。

 舞祭組デビューの立役者となった中居くんは、キスマイ大成に繋がる大いなる仕掛け人だった。

 

 スマスマでもコラボして歌ったのも懐かしい。キスマイは若手時代に中居くんに、またはSMAPの下についてバラエティを学べるチャンスがあって良かったと思う。あとは芸人の濱口優にも育てられている。これらの経験はキスマイが成長する上で大きなアシストになっているとしか思えない。

 

 スマスマでは、イケてる男の吾郎ちゃんが舞祭組に混ざって歌うことがあった。そんな吾郎ちゃんが何やら不満を持っているようだと気づいた中居くんが、またそこについて突っ込んでいく。すると吾郎ちゃんが「ブサイクだよ!俺が最も嫌いな言葉だよ!」と返したのがマジに笑えた。もちろんこれはガチ怒りでなく、吾郎ちゃんの愛を込めた悪態だった。

 

 ネット検索でキスマイと入力すれば、次に「ブサイク」と出てくるような、アイドルとしてはちょっとどうなのかっていうイメージが世間に広まっていた。そんなグループが、金スマで2時間も特集してもらえるだけ皆に愛されたグループになった。その事が嬉しいよな。

 

 先日の金スマ放送を見て後半ではちょっとウルリと来るものもあった。

 

 奇しくもデビュー年、10周年、共に世間様はえらい騒ぎにぶつかっている状態。そんなキスマイの奇跡を見て、彼らはキツイ時代を乗り越えるための人生のお供として輝いているのではないか、とかいう素敵な事を思えたりもする。思い込みなのかもしれない。だが良いではないか。鬱屈としたコロナ時代もキスマイの元気ソングで乗り越えよう。

 ありがとうキスマイ。頑張れ横尾!

 

 スポンサードリンク

 

人それぞれ夢に続くルーツがある「星空☆ぷらねっと」

星空☆ぷらねっと」は、2000年に発売された美少女PCゲーム。

 

 株式会社ディーオー創立10周年を記念して発売されたメモリアルな一作。10年の想いを込めて作っただけに、駄作には遠いなかなか良い出来の楽しい作品になっていた。

 

 世紀末に発売したものを今更起動出来るわけがなく、今回は2011年に発売されたPSP移植版をプレイ。PSPの存在には時を越えて助けられる。本体○ボタンが死にかけているのだが、本作は十字キーでもメッセージを送ることが出来るので助かる。

 

 先日「加奈 〜いもうと〜」というとんでもなく素晴らしいゲームをプレイし、シナリオを担当した山田一氏の存在が気になり始めた。もっとこの人間の作品を楽しみたい。    

 そんな想いから、加奈に次いで山田一氏がシナリオを担当したこちらも手に取った。

 

星空☆ぷらねっと one small step for…(限定版:ボーカル曲集,特製ブックレット同梱) - PSP

 

内容

 主人公の正樹少年は、その昔宇宙飛行士の夢を持っていたが、幼い頃に起きた悲しい事件をきっかけに夢の扉を閉ざすことになる。

 事件をきっかけに一度は田舎に戻り、高校生になってまた幼い頃過ごした地に帰って学園生活をスタートさせる。そこには大きくなったかつての幼馴染達がいる。

 学園の人間達と関わることで、正樹は夢へのルーツを再確認し、過去を乗り越えて強く人生を歩む。

 

感想

 加奈とは大きくテンションの異なる楽しい学園もののこちらは攻略ヒロインが6人もいる。シナリオもボリューミーで全クリまでは25時間くらいかかった。

 

 テーマに「夢」、そこへ続く「ルーツ」というものを掲げている。基本的にはコミカル要素がよく見える楽しい学園ライフ。その中で深く人間心理を掘り下げ、各員の悩み、そこから抜けての成長が描かれる爽やかな内容になっている。時にシリアス、そして教養もありな良きシナリオだった。文章は大変読みやすい。

 

 どのヒロインのシナリオも楽しい。だが個別ルートに入るまでの選択肢の判定は割とシビア。正解を選ばないと個別ルート無しの共通エンドになる。この点ではやや難易度高めかもしれない。しかしそこは先人たちの知恵袋を頼れば突破できる。ネットに攻略情報がたくさん落ちているので、名も知らぬかつてのオタク達からアシストを受けることが可能。

 

 ちょっとびっくりなのが、パケのイメージと中身のキャラの立ち絵のギャップ。起動してみると、思った絵とちょっと違う。この焦りは多くのユーザーが感じたことだろう。

 しかしコレも慣れである。慣れると味わい深い。良くも悪くも時代柄の哀愁漂うタッチの絵が印象的。

 師走の翁氏が手掛ける原画には魅力がある。このどうしようもなく一昔前感が出ている感じが愛しい。好きな絵柄である。

 

 ヒロイン達の学校の制服を見て思うのが、胸元がきつそう。圧迫感ある服だな。

 ヒロイン6人中、相馬さんと佳多奈を除いた他4人は爆乳すぎておっぱいがキツそう。笑えるくらいのセクシーさがある。

 

 ヒロインはバランス良く学校の同級生、先輩、後輩がいる。そして各員の萌え属性は様々。良い具合に年齢と属性をバラけさせたヒロイン軍団の質は高い。

 外国人のサーシャを除くと、他は皆幼馴染ヒロインとなる。幼馴染萌え要素を満たす点でも優秀。

 

 では各ヒロインルートを攻略順に振り返ろう。

 

 

山本 ゆかり(やまもと ゆかり)
声:月島理緒

 喫茶店で働く元気女子。巨乳。ブラをしていないのかな?胸をみると内部の突起物の膨らみて見て取れる。

 クラスの端っこにいる根暗オタクにもきっと優しく声をかけそうな明るいギャルの立ち位置にいる。そんな毒気のない爽やかヒロインで良かった。

 

 ゆかりルートでは喫茶店に入り浸りになるので、そこで起きる楽しい日常シーンが魅力。

 主人公と同じく、母無しのシングルファザー家庭の娘さんなので、その点では共感。

 一応年下だが、幼馴染の好で年齢差の溝を感じないライトな絡みをしてくれる点に好感が持てる。

 ゆかりも宇宙飛行士を目指すことで、二人そろってラブラブしながら進路を決めることになる。この点は楽しい。

 有効期限は無しでずっと自分の傍にいること、というキュンとする条件を賭けに持ち込むゆかりの意外と強いデレの要素にやられた。

 

真田 恭子(さなだ きょうこ)
声:一色ヒカル

 年上ヒロインで巨乳。そして剣道が強い武闘派お姉ちゃん。

 兄が3人もいる末っ子のくせにお姉ちゃん気質が強く、主人公のことを最初は弟として公園から拾って来る。弟を持たない幼子ならではが考える言動にクスリと笑えるものがある。

 あと真ん中のお兄ちゃんの弘だけは、世紀末のチンピラって感じがして笑える。他の兄はまとも。

 

 お姉ちゃんをしっかりやりたいと思う反面、どこか抜けた天然さんでもある一面がちらほら見えるのがまた可愛い。

 陸では強いが水中ではカナヅチ、ホラーが駄目な怖がりさんという点もギャップがあって萌えだった。泳げない女って何で萌えるんだろう。昔からここにキュンとするものがあるんだよな。

 

 恭子ルートでは、彼女にお近づきになるため、主人公が剣道部に入ることになる。このルートで出番が多めに周ってくる剣道部の同級生宮本くん、女子剣道部の田中さんも良きキャラだった。田中さんの水着お着替えシーンを覗けるイベントは楽しい。

 

 今も昔も姉として主人公を守りたい恭子の情熱が見える。過去に正樹を守りきれなかった恭子の贖罪の念も見えるちょっとシリアスな一面もあるが、過去の事件と今とを上手く絡めて展開する人間ドラマに魅力があった。

 

 後半では恭子の父に宣言した上で駆け落ちを計る。駆け落ちものも好きだから良かった。

 恭子の昔の男 大介くんと揉める三角関係の要素も少し見えて楽しめた。

 

 恭子を演じた一色ヒカル氏の演技が素晴らしい。

 

相馬 蘭子(そうま らんこ)
声:青山ゆかり

 陸上競技成績で特待生になったスポーツ女子。彼女はスレンダーでおっぱいもやや控え目。

 

 爽やかに汗を流すスポーツ女子らしからぬ影のあるキャラ性が特徴。根暗女とまでは言わないが、明るさにやや欠けたところが気になる。だからそこも魅力。

 ベースがこんなキャラなのに、攻略が進むと恐ろしい変貌を見せる。それがとんでもないデレ。作品きってのツンデレキャラで、デレのターンにはやられる。これはプレイした皆さんがそうだろうと思う。コイツ、こんなにデレるんだとびっくりキュンでした。

 青山ゆかり氏の声が大変綺麗で可愛い。

 一番リアル性のあるヒロインだったかもしれない。一番好きかもしれない。

 

 走ることに対して過去から今日まで葛藤を持つ少女で、そこに主人公との思い出も大いに関わっている点がこのシナリオの魅力だった。

 他の部員とは競技にかける想い、走る経緯も異なるため、部内では孤立している。そうでなくとも、特待生という嫉妬の条件としては最大級の物を持っているため皆から疎まれている。

 このシナリオで胸が痛む要素は、長距離ランナーの孤独ならぬ、短距離ランナーの相馬さんの孤独が浮き彫りになる点、そんな彼女に向けられる周囲の明確なる悪意が濃く見える点にある。本当にこんな人生を歩んでいる人がいそうって妙に納得出来るリアル性も所々に見える。

 

 過去回想での慎太郎が悪すぎる。恭子ルートの過去編でも彼の悪ガキぶりが目立つ。高校生になってからは主人公の親友になった慎太郎だが、ガキの頃はかなり荒れたお子様すぎてムカツク。相馬さんをイジメていた過去の慎太郎にはゲンコツを食らわせたい。でも、こういう成長の経緯も結構ありがちで納得できる。この私だってそう。

 

 このシナリオの落とし所は、夢を取るか愛を取るかの選択に揺れる人間心理にある。これがきつい。自分の女として相馬さんを抱き込みたい。しかし愛に溺れることは、イコールして競技者の質を落とす。これはスポ根アニメ「エースをねらえ!」でも宗方コーチの口より言及されている。

 自分の存在は競技者としての彼女には枷になる。だからあえて相馬さんと別れる。主人公は泣く泣くそちらの選択肢を取るのだ。そしてクリスマスデートの後に別れを告げる。偉いよ。

 

 名門校へ進学するため上京する相馬さんに、餞別としてランニングシューズを渡すオチには泣けた。

 先の未来があるから、そこを目指すための素敵な別れが描かれる。まるでT-BOLANの名曲「Bye For Now」のような世界感ではないか。このエンドは良い!

 

 

サーシャ・ノーブルグ
声:有森沙耶

 金髪巨乳。なんか変な髪型だがとにかくロング。留学生ならではの慣れない変な日本語の使い方がユニーク。

 ただの学生にしてはボディガードが複数いたりと明らかに何かある。実は外国のお姫様だと判明。王国の姫様ヒロインなのでこれはハードルの高い恋。

 サーシャを護衛する女ボディガード ディネイのターンも多く周ってくるルートになっている点も良し。

 

 サーシャのみは、高校から出会った主人公の人生における完全なるニューヒロインである。そんな点から新鮮な想いで楽しめる良きヒロイン。

 

 お嬢様なので経済面では不自由がない。しかし自由の世界にいる人間は、その一方で不自由の世界に住む者たち同様に生きられないという矛盾を抱えて生きることになる。身分の高いお嬢様なのに、一般人が楽しむあたり前の生活が出来ない。そのことに苦悩するサーシャならではが持つ人間心理が見えたりする。お嬢様って大変。

 

 ゆかりがサーシャのおっぱいを揉みしだくイベントがある。そこにはちょっとドキドキする。

 

 誰が王女になるか揉める内政も扱い、ちょっと小難しいことにもなる。

 文化祭の裏で暗躍する殺し屋 イワン先生との戦いを描くシーンは緊迫感があって読み応えがあった。搾取する者、される者の都合が分かるイワン先生の語りにも深いものがあった。

 

 オチでは別れた二人が、学生時代に初めて出会った蕎麦屋さんでまさかの再開を果たすシーンが描かれる。素敵なオチやん。

 

 

藤原 佳多奈(ふじわら かたな)
声:野神奈々

 後輩ヒロインのロリ枠。カナタじゃないんだ、カタナなんだって最初に思った。

 主人公のことは「まー兄」と呼んで慕ってくれる。萌える。

 

 属性としては自閉症という特殊なものを持っている。これは実在するものだが、当時から本日に至っても特殊な症状なため、まだまだ一般人には広く浸透していないものだと思う。ことによると、偏見、差別を生むテーマ性にもなる。

 そんな微妙に扱いづらいネタということで、慎重に協議を重ねた結果、皆が遊べるPSP版では自閉症サヴァン症候群といったスマートな表現に回り道を加えた「コミュニケーション能力不足」という実にやんわりした表現に置き換えられている。間違いではないのだろうけど、それだとそこらの引きこもりの人とかにも同じ事がいえるので、実に抽象的。まぁ仕方のない配慮かもしれない。

 

 数奇な運命を辿る彼女のシナリオは、特殊ケースだからこそ、力の入ったものになっていた。難しい題材を用いたこのシナリオの評価は世間的にも高いと聞く。

 

 序盤のカタナはとにかく扱いが難しい。話しかけてもオウム返しに合う、または応用を効かせて逆読みにして返すなどで一方通行の半分の会話に終わる。これはきつい。

 

 概念と行動を結びつけることが脳内で実現されないため、人並みのアクションを取ることが出来ない。そんな不自由さがあるこの症状の難しい真実が説かれる。医療福祉分野のお勉強にもなる。人間の脳内構造の不思議にも焦点が置かれている。

 

 あるべき物が欠落した一方で冴える別機能があるのもこの症状の特徴だという。物事を瞬時に覚え、それを数学、絵画に応用し、常人以上のパフォーマンスを生むことがカタナには簡単に出来る。実に珍しい症状だと言えよう。

 

 自閉症のハンデがある一方で、学問と芸術においては天才でもあるカタナの二面性のあるキャラ性は印象的。後半では、結局天才の彼女と並ぶには自分は凡人だからと主人公が僻むシーンもある。ステータスの差があれば恋は難しいとも思えた。

 

 主人公の一心な愛で、カタナが徐々に健常者へと近づく点にも注目できる。最初は目の色が死んでいるカタナだが、攻略を進める内に目に色と光が宿るようになる。前半後半で変わる立ち絵にも注目できる。

 

 かなり重いテーマを扱っているので、カタナの人生を見れば胸が痛むこともある。しかし読み応えのある秀逸なシナリオだった。

 

 このルートでは保険医の朝末先生のターンも多い。セクシーでクールな朝末先生も素敵なヒロインだった。

 主人公が朝末先生に催眠術をかけられるシーンに何故かドキドキするものがあった。

 

 カタナのクラスメイトの島崎さんというヒロインも可愛くて良かった。

 

 このルートでは、ストーリーの鍵となる主人公の幼少期に起きたロケット事故のことが詳しく語られる。例の事故で負った心の傷とカタナへの想いが交錯して進むシナリオにはぐっと惹き込まれる魅力があった。

 

 設定上カタナはどうしてもセリフの少ないヒロインとなるので、ボイスも少なめ。主人公のモノローグターンが多くなる。この手のゲームではボイスは飛ばさず全部聞くというのが私の拘り。しかしヒロインのセリフが少ないため、一番早く読み進めることが出来たルートでもあった。

 

星見 瞳(ほしみ ひとみ)
声:大波こなみ

 本作メインヒロイン。メインヒロインらしくピンク髪の可愛い子ちゃん。巨乳。

 幼馴染みヒロインにして主人公とはアパートの部屋がお隣同士。お隣さんなもので、輪をかけて幼馴染み感が出る。

 とにかく元気印な女子。非常に好感が持てる。

 ドジっ子でよくこける。そのくせテストは学年一位の秀才でもある。意外。

 

 瞳ルートでは天文部での活動が濃く描かれる。他ルートでは幽霊部員扱い。

 天文部の友人 慎太郎の良い望遠鏡を見たらハァハァ言ってしまう面白性癖が濃く見える点も魅力。

 北都南氏が演じる天文部の部長 天子の活躍も良く見られるルートになっている。このヒロインも個性的で良かった。

 

 瞳も主人公と同じく宇宙に想いを馳せるヒロイン。瞳との再会を受けて、自分の中にある宇宙への熱が再燃する過程がハイライトとなる。

 後半では元気にしか見えない瞳がまさかの心臓病持ちだったことが分かる。これは読めなかった。

 

 こちらを親しげに「まーくん」呼びしてくる点は愛らしい。怒ると「むーむー」言ってくる点も良き。

 

 笑顔でいることをファーストプライオリティに掲げる清き少女である。その境地に至るまでの人生経験に深いものがある。とても良い子だ。

 

 日焼けした瞳の手の皮が剥けるという現象が起き、その際にはこちらにも試しに剥いてみるか?と良い話を持ちかけてくるシーンがある。なんかそこには妙にドキドキした。

 

 

 

 

 各ルートのオチでは、主人公の正樹が宇宙を目指す希望溢れる未来が描かれる。その点でも胸にジーンとくるものがあった。

 恋と夢を追う若者の清い心が見える爽やかな作品になっていて良かった。とても面白い。

 

 最初は気になったキャラ絵だが、シナリオの中でしっかりヒロインの萌えを見せることで、最終的にはきっちりどの娘にもキュンキュン出来る。だから安心。

 おまけに主人公の妹の朝子も可愛かった。

 

 やはり夢、人生のルーツってのは、個人を構築する重要な要素だ。それをテーマにした説得性もアリな良作だった。

 

 音楽も良く、OP曲、ED曲共に好きだった。

 作中の音楽は元ジャニーズの野村義男が担当している。まさかのよっちゃんが登板した作品になった点も印象に残る。

 

 ヒロイン6人揃い踏みとなったPSP初回版ジャケは至高。

 

 

 スポンサードリンク