「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は2017年8月に公開された劇場アニメである。
タイトルなげぇ……
聞いたことのないだらだらとした長いタイトルを見て「コイツも流行のラノベ原作かよ」と思ったら違った。
1993年に実写ドラマが放映していたと分かった。実写がとっくの前で、アニメ化が後の作品であった。原作が古い作品なんだな。実写ドラマのことなんてまるで知らなかった。考えてみると、劇中でなずなが聖子ちゃんの「瑠璃色の地球」を歌っているし、最後の灯台で男の子達が各々好きな女の名を叫ぶシーンで、梶君の演じたキャラは「観月ありさ」の名前を叫んでいたので一昔前感があったな。今の子なら聖子ちゃんは知らないだろう。作中時間はアイドル3Mの流れが来ていた頃か、懐かしいぜよ。あれ、でも漫画「ワンピース」が出てきたから最近の話かな。よく分からない。
ばっちり綺麗に写るBDで本作を視聴して見た。
主人公典道(のりみち)が手にした不思議な玉を投げたら、これまた不思議なことに時間を遡って過去をやり直せる。やり直しの能力を使ってヒロインなずなとの関係を進めるという感じの摩訶不思議な一夏の青春物語であった。考えるとギャルゲーはこれの繰り返し。
この時を飛んじゃう設定は某時をかける少女の物語を思い出さずにはいられない。後は夏ということで、同じく夏を何ども繰り返して視聴者にしつこいと言わせた「エンドレスエイト」の事件(知らない人はググってね)も思い出した。
過去への執着から「もし、やり直せたら」を考えるのは、もはや悔い多き我が国の国民性である。日本人はこれをテーマにした作品が好きだよね。私もこういうの好みです。
まずは、映像が綺麗。冒頭の空や海、物語のキーとなる打ち上げ花火も実に綺麗に描かれている。
最後の海の中から花火を見るシーンを見て、これは新たな花火見物の仕方なのではと関心を抱いた。これで水中撮影をすればインスタ映えする一枚が出来上がりそう。
シャフトアニメなので安心して見られる。この会社特有のアニメ技法が冴え渡っていた。何でもないと思える場面を印象的に写すこと、特に女子キャラを写す時に無駄にエロく見せる技術は良い。
ヒロインは、どこか戦場ヶ原さんを思わす美少女なずな。「化物語」を見たことがある多くの人がこう思ったことであろう。私のお兄ちゃんもCMを見て「がはらさんやん」と彼女を愛称で呼んで私が感じたのと同じことを言っていた。
戦場ヶ原さんと言えば、脳内リンクする場面が「螺旋階段」であるが、本作の学校でも螺旋階段があった。その点が印象的であった。
なずなはとても好きなヒロインなのだが、なずなよりも先に魅力を振りまいていた女性キャラが主人公達のクラス担任の三浦先生。出番が少ないから良かったけど、メインのなずなと同じ尺出ていたら、もしかするとメインヒロインを食ってしまったかもしれない。個人的に萌えな先生だった。すごいおっぱいが揺れていた。男の子相手に怪しからんおっぱいの先生が授業しても色々困る。三浦先生の声が花澤香奈ちゃんという点も良い。というか同じシャフトアニメの「化物語」に出演していた声優が結構出ていた。戦場ヶ原さんを演じた斉藤千和もちょっとだけ出ていた。
先生のことも褒めたが、やはりヒロインなずなが可愛い。
親の離婚、再婚のために家庭生活が円満に行ってないという悩める少女だが、2人の男子の泳ぎが速い方をかけ落ちの相棒に選ぼうという勝手な賭けを行ったのはよろしくないと思った。私なら選ばれてもびびって逃げる。
言動がミステリアスで、仕草がいちいちエロいという魅力ある要素を含んだキャラだった。学校の制服スカートの腰の所にリボンがついているデザインが可愛かった。
なずながお母さんに捕まって家に連れ戻される時に「いや~」「離して」「典道くん助けて」と悲痛な叫びをあげるシーンがマジ可哀想って想った。
打ち上げ花火を横から見たら丸いのか平らなのかという議論を男子達が繰り広げるのを見て、面白い角度で物を見るなと思った。考えるということに距離を置いた現代の子供の内の何人がコレに気づくであろうかと思った。この花火の見え方を巡っての議論はそのまま夏休みの自由研究に使えそう。
最後がちょっとよく分からないという間に終わった感もあったが、全体として楽しめた作品だった。
DAOKOと米津が歌うエンディング曲「打上花火」がしっとり聴かせる良曲だった。去年の楽曲配信ランキングでずっと上位にいたと思い出した。
ちなみに私は横から見る派です。
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