「銀色の髪のアギト」は2006年1月に公開した劇場版アニメ。
めでたくこの年の正月に上映された作品である。今から13年前の正月、私はどこで何をやっていたか、思い出せない。
この映画はセールス的にはいまいちだったらしいが、私の身の回りでは結構話題になっていたので存在だけは知っていた。私の好きな「仮面ライダーアギト」と同じ名前だから意識していたということもある。公開から13年間経ってもまだ見ていなかったので、先日思い出したように初視聴を決め込んだ。
日本のアニメ映画では初めて中国でも公開された作品で、国際的コミュニケーションツールの役も担う想いの詰まった一作であった。
それを見た感想をつらつらと書いていくぜ。
内容
300年後の未来の地球は、遺伝子操作研究の失敗によって森が意志を持つようになり、その森が人々や街々を攻撃するという恐ろしい事態に陥っている。
そんな中でも森と仲良く暮らす中立都市があり、主人公少年アギトはそこで元気に暮らしている。
友人と遊んでいる最中、アギトは偶然にもコールドスリープ状態の少女トゥーラを目覚めさせてしまう。彼女は300年前の過去の世界から来た人物で、今の地球を過去の普通の地球に戻す使命を背負っていた。交流の末アギトはトゥーラを好きになるが、トゥーラは使命のためにシュナック率いる軍と行動を共にする。
おかしくなった地球を元に戻すためには、地球の表面を焼け野原にして厄介な森を始末するしかない。シュナックは地上の面倒をリセットする恐ろしい科学兵器を作動させようとする。
トゥーラ同様、アギトはアギトで森を守る使命があり、それはトゥーラとは全く逆の内容のものとなる。アギトは森の力を得て銀髪の強化戦士となり、トゥーラを軍から助け出し、シュナックの計画から地球を守るために戦う。
アギトとトゥーラ、異なる使命を持つ二人の物語が展開する。
感想
落ち着いて頭の中を整理するとこういう話だったと分かるけれども、初見様にはパッとみて話の内容が分かりにくい点もないとは言えない気もする。申し訳ないが最初はながらみ見をしてしまい、途中で話が分からなくなった。なので、ちょっと巻き戻してまた見た。ちゃんと集中しないと理解が追いつかない。
いかにもGONZOって感じのキャラ絵は良い。
ヒロインのトゥーラが登場してすぐに水攻めにあい、そこから無事に陸に上がった時は水もしたたる良い女に描かれていて良かった。濡れたトゥーラは可愛いし何かエロかった。それに見惚れるアギトの気持ちも分かる。トゥーラの服の丈が短めで、そこから覗く足が良かった。
特典ディスクのスタッフトークを聞くと、構想から公開まで7年くらいかかっているという。それだけ気合を入れて作ったというだけあってアニメーションがすごい。2006年という一昔前の世界にしては作画がかなり良い。
初っ端に登場する植物で出来た緑の龍がウネウネと舞う様はすごい。背景の描写も細かい。印象的なのは登場するメカが綺麗なCGなこと。メカはもちろんメカなのだが、動物のように四足のものもあり、それが動く時には機械ながらも生物的な動きをしている。そんな訳で「キャベツ事件」や「伝説の100秒事件」が起きたのと近い時期に公開された作品とは思えない作画クオリティだった。
冒頭でアギトとカインが水汲みに行くまで競争するシーンがある。このシーンが個人的に気に入った。ボロバケツをリフトにしているあのアイデアは良い。監督はこの競争シーンでドタバタした「トムとジェリー」感を出したかったと言っていた。
アギト達の住処は「ラストエグザイル」感があった。
現実世界では人のエゴが森を殺すという問題があるが、この作品では増えたら増えたで人を困らせる植物の問題が描かれている。アギトのお父さんの体が木になっていて、マジの意味で植物状態になっているのが衝撃的だった。
人々の脅威となっているのが森であるが、そんな森こそがアギトを強くする力を持っている点は面白い。森というか自然は、人を生かしもすれば殺しもすると言ってるようだ。強化後のアギトが大型兵器を手刀で割るくらいにめっちゃ強くなっているのも印象的だった。
立場が逆になり、植物が人の生活を脅かすようになったらどうしよう。ならばやはりアギト達のように森とは友好的に接しよう。視聴後にそんな感想が浮かぶことから、エコロジー的訴えかけもある作品だった想う。良い心がけ。
劇場アニメにたまにあるプロ声優でなく舞台役者をメインに配置するタイプの作品で、アギトは勝地涼、トゥーラは宮崎あおいが演じている。イベント映像の勝地涼を見たが、この時分には本当に若いな。宮崎あおいは出役でヒットする前にハートフルアニメ「魔法遣いに大切なこと」で主演を張ったことでオタクには良く知られた女優である。声優としても慣れたものな演技を見せていた。
最近はバラエティ番組に出て面白いエンケンさん(遠藤憲一)が敵ボスのシュナック役をしていた。
森と寄り添って生きる。それが私だ。
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