こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

三度目の正直「劇場版 エースをねらえ! 」

「劇場版 エースをねらえ! 」は1979年9月8日に公開された劇場版アニメ。

 今から40年前の映画である。

 

劇場版 エースをねらえ! [Blu-ray]

  

 アニメ二作目の「新・エースをねらえ!」では一作目と絵柄を少し変えてきていたが、こちらでは一作目のスタッフが戻ってきたこともあって絵柄がアニメ一作目に近いものになっている。

 

 内容は岡ひろみがテニス部に入部してから宗方コーチが亡くなるまでを描いている。

 アニメ二作目の最後までを大体一時間半で振り返るものだが、絵は新規作成されたもので内容もちょいちょい違う。岡ひろみの物語を辿るのもこれで三度目になるが、新作なのでまた新たな思いで楽しむことが出来る良き作品であった。

 テレビアニメ一作、二作、そして劇場版のどれを見ても、ひろみと宗方の出会いが違っていた。

 

 部活のロッカールームシーンでの、ロッカーの中主観で描く角度や、登場キャラが万華鏡のように分身して見える演出など、画の見せ方に凝っていたと想う。

 

 テレビアニメ一作目で印象的だったひろみのモノローグがここでもまた印象的だった。冒頭シーンでは「雨の日にはゴエモン蹴飛ばす」とか言ってペットの猫ゴエモンを蹴っていた。もちろん信頼関係のある主従での戯れだが、現在はこの手の発言と表現をすると、行き過ぎた動物愛護精神持ちからバッシングを受けるかもしれない。

 

 テレビアニメ二作目でも宗方が自身の母の思い出を語る場面があったが、劇場版ではそれとはまた違った角度で母への深い想いを語っていた。

 

 劇場版のみで語られる、宗方がひろみをレギュラーに選んだ理由がやはり印象的。

 荒削りでも確かにひろみにはテニスプレイヤーの才能があるというのが大きな理由だが、それに加えて「母に似ていたから」と付け加える。宗方の人生を辿るにおいて母の存在は避けては通れない。宗方の生い立ちはかなり暗いものだが、これがまたドラマ性を持たせて良い。

 この映画は以前にもBSか何かで見たことがあるのだが、その時から宗方がひろみと母が似ていると言ったのが印象的だった。私も母親っ子なのでこれを見ると色々想う所がある。

 

 ひろみとマキが部活をサボってコンビナート付近で雑談していると、お蘭がバイクをぶっ飛ばして乱入してくるシーンがある。お蘭の男性的見た目とアグレッシブな感じからバイクを乗り回すことに違和感は無かったが、テレビシリーズ二作品ではこの設定はなかったので「免許持ってたんだ~」てなった。というか、爽やか青春アニメに薄暗いバックの色でコンビナートを写すというのがミスマッチなようで面白い挑戦だと想った。「エースをねらえ!」とコンビナート、かけ離れた世界な気がして印象的だった。

 短い総集編映画にしてはお蘭の出番も多かった。

 

 短い時間ながら存在感を出したのがひろみの親友のマキ。これまでアニメ二作品も見てきたが、劇場版でのマキが一番面白い。

 ひろみよりも図太くて行動力があるマキは、「はいからさんが通る」の紅緒みたいなじゃじゃ馬キャラで、これはこれでスポーツのジャンルではない他の少女作品なら主人公ポジを取れそうだ。

 目上のお蘭や宗方コーチにも食って掛かるし、ひろみがテニス部をサボる時も、復帰を望む時もコミカルに背中を押してやっているところが本当に面倒見の良い娘だと想える。ひろみも良いがマキも面白いヒロインだった。

 

 三度目のアニメ化となったが、結局の所は原作第一部でストップしている。

 

 この先はOVAが二作品展開されてラストまであるっぽいのだが、OVAはまだBD化されていない。そしてOVAシリーズのDVDボックスはAmazonでプレミア値がついているため購入が困難な状態にある。頼むから来年中くらいには最後までBD化して欲しい。たまにあるのが、シリーズ物のBD化を途中までで止めるっていう困った例。オタク心としては同じタイルがついたシリーズ物は一気に最後まで見たい。シリーズ作品によっては販売や製作で会社が変わるからそれは無理ってなるのかもしれないが、そこの所は何とかして欲しいものだ。

 

 そんな訳で、テレビアニメ二作品と劇場版を楽しんだ「エースをねらえ!」はとても面白いスポ根アニメだった。

 

 

 

 スポンサードリンク