こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ダンジョンを求めるのは風来人の性「風来のシレン」

 梅雨を迎えつつある6月上旬、私はふと思った「そうだ、ダンジョンに潜ろう!」

 

 というわけでダンジョンものと言えば有名な「風来のシレン」をやることにした。

 

 萌えや華も欲しいという訳で、外伝の女剣士アスカをやろうと思ったが、ドリキャスを出すのが面倒だし、起動時のピー音が愛しくもやはりうるさい。すぐに出せるし色々と面倒がなくて良いという個人の都合により、思いっきり古いシリーズ一作目のスーパーファミコンのやつを引っ張り出した。

 

 これがなかなかに面白くて奥深い一作になっていた。気づいたら私の人生の大事な時間をかなり持っていかれていた。こんな楽しいゲームになら命の時間を吸われてもよかろうと思えるくらいの名作だった。マジでハマるからやりすぎ注意かもしれない。

 

 ちなみに気になったのでヤフオクで調べたところ、ドリキャスのアスカのやつが5000円越えくらいで出ていた。スーファミの一作目は全然珍しくないみたいだが、アスカって高いんだ。大事に保存しておこう。

  

 6月中は長いことダンジョンの中だったぜ。どうやら漫遊人の私には、似たような風来人の生き様が合っているようだ。第二の肩書は風来人で決まりだ。

 

不思議のダンジョン2 風来のシレン

 

ゲーム概要

 このゲームの発売はなんと1995年である。古ッ!発売当時の子供達は余すことなくおっさんになっているではないか。

 この手のダンジョンRPGシリーズの元祖といえばシレンって感じがするけど、実はこれより前にドラクエ4よりスピンオフ作品として生まれたトルネコのダンジョンゲームが発売されている。伝説の太っちょ商人のヤツの方が意外にもシレンの先輩なんだよな。 

 トルネコで冒険に出てもよかったが、私はヤツと違って商人でもなければ、摂生がとれた健康ボディのために太っちょでもない。よってトルネコのことは愛しているがいまいち感情移入が出来ない。そんな訳で容姿、生き様共に私寄りのシレンをプレイすることにした。たまの暇に遊ぶゲーム一本選ぶのにも色々な思考が働くものである。それが風来人の私。

 

 もちろん過去にプレイ済みのゲームだが、その記憶は遥か古のものであるため、内容はかなり忘れていた。初見まで記憶が巻き戻ることはないが、いい感じに忘れていたので新鮮な気持ちでプレイ出来た。

 

 もうすっかりレトロゲームの部類に入るソフトだが、まずは映像が思ったよりも綺麗。そして耳に気持ち良い和風テイストなBGM、壮大なマップデータ、面白いおまけキャラなど、親しみを持てる要素も様々な良質な作りのゲームだった。

 

 旅をしないと仕方ない風来人の主人公シレンが、こばみ谷を出て伝説として人々の間で語られる「黄金のコンドル」を求める旅が描かれる。

 我々プレイヤーはシレンを操り、難解なダンジョンを踏破して深層に住まう黄金のコンドルを求める。

 なかなか心踊る設定だ。姿を拝めば絶対にありがたいであろう存在が旅の目的になっている。

 

 初プレイ当時には、長旅ものなのに死ねば一発でスタートに巻き戻るのが特徴的だと思った。キャラの成長を記録し、再スタート出来るアクションゲームやRPGが多い中、このゲームでは細かい巻き戻しが出来ない。死んだらマジで一番最初の街からやり直し。例えラスボスで死んでも一面からまたやり直しなのだ。はっきり言って厳しい。 

 

 何度も死んで我々プレイヤーの腕は冴えて来るのだが、ゲーム内のシレンはというと、せっかくレベル20にしても一回倒れたらすぐにレベル1からリスタートとなる。しかも集めたアイテムも基本的には全部無くなる。

 いつでもリセットして死んだ直前から再スタートすることに慣れた人間達からすると度肝を抜くドS設定だったかもしれない。今の子供達ならこのシステムをどう想うのだろう。しかし人生というのはシレンの旅のようなもので、しっかり積んだものが一つのミスで更地に戻ることも多々ある。人生の厳しさを教え、不屈の闘志を育てる、それがシレンの旅から得られた教訓かもしれない。たかがゲームの中にも人生観を求めるのが意識高い系オタクの特性であり生きがいでもある。

 

 まじで何度だって死んできた。「キャッチコピーは1000回遊べるRPG」だった。その通りで、何回でもイケるゲームだった。シレンが挑戦するダンジョンは一回死んでからまた帰ってくると地形が変わっていて、落ちているアイテム、敵の配置まで新しいものになっている。覚えてクリアする単純タイプではないのがキツイのだが、これがなかなかどうして悪くない。そう厳しく迫られるとこちらも立ち向かい甲斐がある。なんだろう、意識しないままにマゾ的思考を埋めつけられているのだろうか。そんな訳で人の精神に少なからず働きかけるものが秘められているのがシレンの魅力だ。

 

 とにかくクリアに求められるのが慎重さと有利に進める策略なのだが、本当に思わぬ落とし穴をいくつも用意しているゲームなので、時には運ゲーにもなりうる。

 マップにはイラつく罠(これはガチ)がなかなかの数隠されていて、変なボタンを踏んだら地雷が作動してHPが1になったり、急にモンスターが四方に現れて1ターンでボコボコにされて死ぬこともある。これまでの慎重な作戦が一気に水泡に帰すことがある。何度突然のアクシデントで死んで嘆いたことか。

 

 死の危険性が大いに上がるが、冒険者としてはそこを切り抜けるスリルが心地よいからたまらないのがシレン名物の「モンスターハウス」である。ちょっと前に見たアニメ「SAO」でも登場した冒険者殺しの突然現象だが、これを見つけた時にはちょっと心踊るものがある。大方ボコボコにされて殺されるのだが、稀に良い武器、アイテムが揃っていて向こうを皆殺しに出来ることもある。その時にはものすごくしてやった感があって良い。

 

 このゲームは面白くて好きなのだが、プレイヤーの慎重さを無に変える様々な死に方が用意されている点で非常に意地悪だと思える。

 ずっとレベル上げをしたいからあえて次に進まずダンジョンをぶらついてレベルアップを狙うことがあったのだが、その時にはHPと別に存在する腹減りメーターが減少し、メシを食わずにぶらつくとやがては死ぬ。おにぎりなどのアイテムがなくなっても死ぬのでアイテムの選別にも要注意だ。高い戦略性が求められるのも難しいけど面白い要素だ。

 

 こんなに古く、パッと見て単純なゲームに思えるのに、やってみると本当に作り込みがすごくて感心する。

 

好きになる仲間達

 旅を盛り上げる個性的な仲間の存在も想い出深いので振り返ろう。

 シレンと共に旅に出て戦ってくれる仲間には、目潰しのお竜、座頭ケチ、そして謎の弟ペケジがいる。こいつら3人それぞれがなかなかに楽しかったりツッコミどころがあるので好きだった。

 

 まずはお竜。通り名の「目潰し」の通り、相手を盲目状態にする特殊能力を持っている。最初はシレンの敵、というかお邪魔キャラとして出てくる。こちらに色仕掛けを仕掛てくるので、そのまま流れに乗っかると盲目状態にされる。二度目に遭遇した時には「あれは自分の双子の姉妹だから」という嘘をこいて責任逃れをし、結局また目潰しを食らわせてくる。ここには笑った。

 そうして男を騙してばかりだから街のチンピラに逆襲を受け、そこを助けるとちゃんとこちらの仲間になる。女だが攻撃力が高くて頼もしい姉さんだった。

 

 座頭ケチは普通に座頭市をヒントにしたキャラで、盲目の剣士という設定で出てくる。そして特殊能力は身体機能を良好にするツボ押しである。これは結構な確率で失敗し、HPが少ない時だとシレンに止めを刺すことがある。腹が立つ。

 最初こそ盲目の渋いおっさんの感じで出てきたのに、本当は設定オンリーであり、しっかり目が見える健常者であることが後々バラされる。目が見えないのを良いことに女風呂を覗くとかの悪さをしていたという。まじでケチな了見なおっさんだった。

 

 そして私が本作で最も愛すべきキャラだとおすすめしたいのが謎の弟ペケジである。 

 旅開始早々にシレンが訪れる「竹林の村」のアイテム屋でバイトしている間抜け面の大男として登場する。鈍臭くて使えない店員として働いているモブと思いきや、こいつが急にシレンの弟を自称して来る。何をどう見ても似ていないのだが、母からシレンの弟だと聞いていると言って弟を自称することを譲らない。人からは特徴的な頭を指して「ぞうり頭」と呼ばれているとか。シレンに対してもぞうり頭仲間の意識を持ってくるが、我らがシレンはぞうり頭ではない。

 仕事ができないし、女に騙されて大金を溶かすし、旅に連れていけば間違えてシレンを攻撃してくるしで迷惑な野郎だが可愛いので憎めない。アイテム屋の奥さんも、店員としては使えないけど根は良いやつだからということでペケジの人間性を買っている。

 腹が減ったら動けなくなって戦闘から離脱するなど、最初こそマジで使えないが、再会する度に強くなり、その内には心強い弟になる。ペケジ三日会わざれば刮目して見よというわけである。

 で、こいつが本当に弟なのかどうか、色々な方面で調べをかけたのだが、結果よく分からない。間違いなら即納得だが、本当に本当の兄弟なら遺伝子の反乱と見る。

 

 時に迷惑をかけてくるペケジや座頭ケチと違ってお竜がいかに優秀かが分かる。

 

 戦闘に参加する仲間ではないが、壺職人のガイバラ先生もかなりイっちゃってるジジイで好きだった。壺を壁にぶつけて割ることで我々プレイヤーにインパクトを与えたコミカル要員だった。

 イベントを進めて友好関係にないと、こいつの一番弟子のサルヤマに空手チョップを食らうのがムカつくけど想い出深い瞬間である。

 

それぞれテイストの異なるダンジョンが魅力的

 メインシナリオは黄金のコンドルを発見することだが、長い目で見ればコンドル発見も序章に過ぎなかった。昔プレイした時にはこの大きなコンドルと戦った記憶があったのだが、今回改めてクリアするとコンドルとは仲良く空の旅に出るだけで戦闘はなかった。記憶を整理すると、どうやら「星のカービィ スーパーデラックス」に登場するダイナブレイドと勘違いしていたようだ。これまで戦った大きな鳥一位はダイナブレイドだったな。

 

 黄金のコンドルに乗って生還すれば、それ以降街の人々から褒め称えられて気分が良いぞ。昔プレイした時にはコンドルと会ったらすぐにゲームを止めてしまったが、今回新たなやりこみ要素が発見された。なんとコンドルに出会う旅以外にも、3つのダンジョンが隠されていた。いや、隠していることもないのだが、単純に私が気づかないでゲームを止めていたようだ。

 

 コンドルを求める旅以外には、食神のほこら、掛け軸のダンジョン、フェイの最終問題ダンジョンの3つのシナリオがある。

 これらそれぞれに特性があるのが面白い。最初のコンドルまでのシナリオは条件が自由でビギナーなものだった。

 

 次に挑戦した食神のほこらでは、モンスターを肉に変えるブフーの包丁を片手にモンスターの肉を食いまくるグルメ戦略の旅が始まる。食った肉でモンスターに変身できるので、各モンスターの特性を活かして旅を進めるのが醍醐味となる。このダンジョン独特の仕掛で面白い。随分テイストを変えての旅だが、これがなかなか難しい。かつて旅を共にした流れの料理人ナオトを発見するとクリアとなる。

 ナオトと言えば、金に困った料理屋に出張して店の危機を救うイベントがあったが、そこでやった仕事に対する報酬は絶対に適正額を取るというストイックな点を見せたのは印象的だった。

 

 ガイバラ先生の家の掛け軸の裏に出来た洞窟ダンジョンでは、これまでシレンを苦しめたイラつく罠が全部見え、それまで敵には無効だった罠に敵もかかるようになる。それにしても突然の地雷大ダメージや集めたおにぎりがゴミに変わる罠はマジで理不尽で腹が立った。

 これまでのイラつきが逆転するこのダンジョンのみのストレスフリー要素が面白いが、ここも決して楽ではない。ガイバラ先生を探して帰ってくればクリアになる。 

 

 最も厄介なのが、フェイの最終問題ダンジョンである。地質学者の中では最も有名な部類に入るであろうフェイが掘り当てた「不思議のダンジョン」の中でも不思議を極めた恐ろしいダンジョンである。

 この地質学者フェイの問題がパズル要素のある面白いものなのも良かった。通常の旅とはまたテイストが異なる点で新鮮味がある。すぐに終わるフェイの小ネタ問題集を説いていくと、最後には底が深すぎる謎のダンジョンが掘り当てられる。それが最終問題である。こいつの攻略はフェルマーの最終定理くらい難しい。

 これまで得たゲーム知識とテクニックの全てとこれからの大事な時間をかけて勝負する最後の難関である。ここを99階まで潜ればクリアらしいのだが、いくら頑張っても私は40数階と、半分にも満たない地点が限界だった。これはキツイ。

 ここで登場する杖、草、巻物、壺などのアイテムは最初から全て未識別状態で登場する。実際に使用する、食うなどして試さないと何が何だか分からないという点でも厳しい。せめて最初からアイテム名はオープンにして欲しいぜ。アイテムが拾えなくなる、メシが食えなくなるなどの意地悪なだけで何の得もないアイテムまであったりするので、マジでこのダンジョンは意地悪だ。

 危機回避を行う慎重さ、攻略を有利にすすめる武器やアイテムの調達、そして強い運、これら全てを総動員しないとクリアは難しい。まじで運は大事、モンスターハウスで即死なんかもありえる。

 

総括

 そんなこんなでフェイのダンジョンは完全攻略できなかったが、そこ以外はたっぷり楽しんだ。空いた時間でちょっとのつもりがハマって何時間もやってしまう面白いゲームだった。ニンテンドーDSでもシリーズ展開しているというので、その内にはそちらもチェックしようと想う。

 

 思えば人生なんて不思議のダンジョンみたいなものである。入り口から出口まで予想通りのものはない。困難を作戦で切り抜けることが出来れば、時の運のみで慎重な準備が無駄になることもある。多くの面でシレンの挑戦するダンジョンと通ずるではないか。そんなわけで今日も私はゲーム内外問わずダンジョンに潜る。人生行く人皆風来人なのだから。

 

 

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