こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

美少女がブタに変身したっていいだろう「愛と勇気のピッグガール とんでぶーりん」

「愛と勇気のピッグガール とんでぶーりん」は、1994年9月から1995年8月まで放送された全51話のテレビアニメ。

 

 

 現在2023年に入った。

 ご存知の人も多いだろうが、今年の1月スタートアニメのラインナップが色々ヤバい。

 ジャパニメーションは死にかけているのか。そんな嘆きが出てくるターンも多め。面白いのもいくつかあるが、一方で駄目な物も少なくない数確認されている。

 新時代に希望を見出すなら今は避けた方が良い時期なのかもしれない。恐らく今期は不作だ。

 

 そんな不作な時期でも、豊かな実りがあった季節を振り返ることが出来る。その歴史は動かない。

 どっぷり懐古主義ともなれば、気分から年寄りの仲間入りして良くない。でも少しくらいなら現行活動中のプロジェクトから離れた懐かしの時代に突っ込んで行っても良いだろう。

 今は過去を振り返って問題無い時期だ。ジャパニメーションが元気だった時代を齧りに行こう。

 

 てなわけでAmazonサイトを開いて「何かいい感じのアニメ」はないかと検索検索~。

 

 で、辿り着いたややクセありなアニメがコレ 

  ↓

 

放送開始20周年記念企画 愛と勇気のピッグガール とんでぶーりんDVD-BOX デジタルリマスター版 Part1【想い出のアニメライブラリー 第37集】  放送開始20周年記念企画 愛と勇気のピッグガール とんでぶーりんDVD-BOX デジタルリマスター版 Part2【想い出のアニメライブラリー 第37集】

 

 ふむ、なかなかのインパクト。

 

 何にもしなくても美少女な主人公が、わざわざ美を下げるブタの姿に変身して戦う。そんな異質な変身ヒロインアニメが「愛と勇気のピッグガール とんでぶーりん」である。愛と勇気がなければ突っ込んで行けない世界がそこにある。

 

 なんか名前だけは聞いたことがあったけど、中身はまるでノータッチだった。

 今のアニメが冬眠している最中に(←元気に放送中ではあるが、個々の元気が少なくて半分寝ているとも思えるから。もちろん個人の意見)、古い時代にフル稼働していた懐かしブタアニメを見よう。これがこの1月のホットな過ごし方ぁ!

 

内容

 可愛く元気でおせっかいでノリが良い。そんな現代的中学生少女の国分果林(こくぶ かりん)は、登校中にひっくり返っているブタを発見し助ける。

 このブタの正体は、ブタの宇宙人が住まう謎の惑星「ブーリンゴ星」の王子トンラリアーノ3世(縮めてトンちゃん)だった。

 

 トンちゃんが地球に来た目的は、王位継承のための武者修行にあった。その中で適任者であるギャルを見つけて戦士ぶーりんにすることも彼の役目だった。

 助けられた縁でトンちゃんは果林をぶーりんに指名する。そしてぶーりんとなって街の人助けをしてくれと言うのだ。

 

 果林はノリの良さでホイホイと話の流れに乗り、気づけば太ったピンク色のブタ ぶーりんに変身することになった。

 以来、果林はブーリンとなり街のあちこちを飛び回って人助けを行うことになる。

 

 人助けとなる良いことを行えば、ご褒美に真珠が手に入る。これを108つ獲得すれば、果林は自分の夢見る素敵なレディへと進化を遂げられるのだ。一方で、ぶーりんの正体がバレたら一生人間の姿に戻れなくなるリスクも背負うことになる。

 

 正義のヒロインをやりながら、果林は恋に友情にその他もろもろを詰め込んだ忙しい青春を送ることになる。

 

感想

 まずは諸々斬新。

 普通の変身ヒロインアニメなら、可愛い子がもっと可愛くなる事で変身が完了する。本作だとそこが逆なんだなぁ。

 

 セーラームーンの方が先発作品になっているから、そっちで変身ヒロインものを好きになったお友達は、ブタになる女子アニメを見て何を思ったのだろう。

 可愛くて強い変身ヒロインで売るのが定石のところに、このようなイレギュラー要素を投下ともなれば、当時の企画会議はどんな感じになったのだろう。よくGOが出たなとも思う。

 

 果林のヒロイン性はといえば、おっちょこちょいで間抜け、学校に行けば遅刻で怒られ、学業もスポーツもいまいち。ステータスとしてはポンコツである。

 でも元気で明るくて男子にもウケるであろうノリの良さがある。なんだかんだで愛嬌のある良い子。

 セーラームーンでいえば、キャラ性はうさぎちゃん、ビジュはまこちゃんって感じ。くるっと巻き毛があるポニテはすごく良い。

 学校の制服も可愛いが、その他のシーンでいくつか見せた果林の私服もセンスが良い。何気にスタイルも良し。

 総括すれば、果林は普通に美少女なのだ。果林は何もしなくても十分に美少女だということを忘れてはいけない。かなり好みな見た目。

 

 なんだかんだで美少女なのに、人間の姿とは似ても似つかない太ったブタに変身してビジュアルレベルがグッと下がる。これはリスキーな設定とも取れる。実際果林も最初はデブでダサいから嫌がっていた。得た能力としてはある意味ハズレで、ある意味イジメな仕打ちとも言える。トンちゃんもエグいことを仕掛けて来る。

 

 ブタにだって変身バンクはもちろんある。

 これも途中までは美少女の変身シーンでちゃんと美しい。中盤まではセイントテールみたいなのに、後半は超技術で一気にすっ飛ばしてサクッとブタになる。今見れば斬新なシステム、斬新な変身バンクだといえよう。

 

 人間からぶーりんに変身すれば、とりあえず太っているというのがネックになる。ぶーりんは太り過ぎの戦士だから、活動前の最初にやることは体重調整となる。このクソ面倒臭い設定は笑える。

 まずは宇宙空間から地球に向け、今で言うリングフィット的な装置を掴んでフラフープ飛びみたいにしてぶーりんが走ってくる。このダイエットマシンは何だ?

 その過程でいい感じに痩せて動きやすくなるのだ。毎話変身ごとにダイエットをしているヒロインとかヤバいな。笑える。

 

 ぶーりんのトレードマークは、お腹に大きく書かれた「ぶ」の文字。シュールなスーツ設計だ。

 パワー残量が危なくなると「ぶ」の字が点滅する。ここはウルトラマンみたいな設定だな。

 母星のブーリンゴ星もリンゴのような色と形の惑星に「ぶ」って書いてある冗談みたいな設定で笑った。

 

 ぶーりんはとりあえず強いから悪漢とかもワンパンで始末出来る。その他ブーリンゴ星のお役立ちアイテムも使用して何でも解決に持っていく。 

 街でやることは、悪者をぶっ飛ばしたり、ピンチなお友達を救ったりなど、スケールの狭いご近所問題の解決ばかり。他作品のように怪物退治がメインな危険性はない。良いこのお友達にも安全。

 

 でも終盤だけは展開を膨らませ、異次元ゲートの発見、そこから一部の怪物が地上にもなだれ込んでくるというスリル要素を敷くことになった。

 

 ぶーりんがミッションコンプした時に得られるのが、ご褒美の真珠。これは「豚に真珠」から来ている要素なのだろう。

 108つ集めれば、素敵なレディになりたいという果林の願いが叶う。その目的もあって果林はきついぶーりんのお仕事を頑張る。一皮むけてもっと素敵な自分に、このくらいの乙女ならそう願って不思議無いだろう。

 

 真珠集めは随分ゆっくりで、時には獲得した物が没収されて減るパターンもあった。結局108つ獲得は叶わない。というか後半からは真珠集めどころではなかったし。

 後半は化け物に街がひっくり返されるかもしれない中で、学校や仲間を守る必死の戦いが展開される。真珠なんて数えている場合ではない。

 

 愛と勇気の名の下に、正体をバラしてでも仲間を救う決断をした果林の勇姿が見れる終盤にはちょこっと感動した。

 

 全体的にポップで見やすい。果林もぶーりんも可愛い。良い作品だ。

 そして忘れていけないのは学校の仲間達だ。だいたいお決まりの愉快なメンバーが揃ってのユニークな日常ドラマにほっこりするものがある。変身要素よりも楽しいキャラが集まっての掛け合い部分に面白みがあった。

 固定キャラで登場する面々は個性的な粒揃いで良い。キャラも声優も好ましい。

 

 果林を演じる白鳥由里は、儚げで清楚なお嬢様キャラをやるイメージがあったけど、ここではアクティブなギャグ要員にもなる女子を演じている。白鳥由里のこういう演技って珍しいかも。間抜けな感じで果林が喋る所は、矢島晶子バージョンのしんちゃんみたいにも聴こえる。こんなのっぺりした感じの声も出るんだ。

 

 メインの果林も可愛いが、こちらの方が正統派ヒロインといえる日高薫もめっちゃ可愛い。ピンク髪の真面目な委員長キャラで、男子にはこういう方が人気かも。

 赤髪とピンク髪の美少女ヒロインが揃っているとかラインナップが優秀。この時代の萌えな絵には、今とはちょっと違った美があって良い。キャラ絵も好きだった。

 

 可愛いけどうざい変人ヒロインの黒羽競子も好きだった。こいつがかなり強烈なキャラで笑える。松本梨香が豪快なお嬢様キャラを演じているのがなんだかレア。テンションの高い演技も良い。

 暴走してクラスの輪を乱すようで、全体の盛り上げ役にもなるというレアな人材だった。結果的に好かれる人材だと思う。後には学校の生徒会長にもなるのはスゴイ。

 

 少女漫画なので恋愛要素もちゃんと置いている。果林はクラスメイトの水野光一くんに恋している。この水野くんにも注目だ。

 

 水野くんは、最初こそ爽やかでイケメンなサッカー少年に描かれていたが、これも段々おかしいと気づけるようになる。彼も安全なようで一筋縄では行かない変人キャラだった。

 とにかくぶーりん一筋。ぶーりんが絡むとキャラが暴走する感じがおかしい。ぶーりん愛で段々壊れていく水野くんのイケメン像にもユニークさがある。王子様キャラの崩し方が良い。

 ぶーりんの事になれば暴走して周囲の人間も割りと容赦なく巻き込む。こいつも要注意人物だったな。

 水野くん一筋の果林も、時より「本当にこの人の事を好きでい続けていいのか?」と自問することがあった。そんな感じでちょっとおかしい男子。

 

 水野くんの言動で極めつけな物といえば、果林でなく変身した後のぶーりんにマジ恋して告白する展開。これは読めない。それまで激推ししていたのは誰の目にも分かるが、まさかガチだったとは。

 これは果林ちゃんとしては複雑な想いになるだろう。ブタに恋する王子様ってどうよ?

 最近ならメスゴリラを愛した男を描いた「進化の実」というネタアニメがあったが、こちらはブタだ。どこにも種族を越えた真のラブがある。

 ここの水野くんの真っ直ぐな言動にはビックリした。果林ちゃんがあんなに可愛いんだからそっちをしっかり見ろや。

 どこかすっ惚け感のある水野くんを爽やかに演じた石田彰の芝居にも注目。こんなに昔から仕事をしていたのか。

 

 果林の王子様は水野くんだけど、水野くんは全然振り向いてくれない。その代わり黒羽競子の意中の相手のこれまた変人といえる武者小路琢磨からはめっちゃ気に入られている。琢磨先輩の猛追をかわし、恋敵として競子にウザ絡みもされる。そんな果林の愉快な恋模様は面白い。

 競子と琢磨先輩は事態を面白おかしく、そして面倒に持ち込む強烈な盛り上げキャラとなっていて良かった。ここに果林を挟んだ不毛な三角関係に笑える。

 

 ギャグ展開ももりだくさんで楽しかった。

 この手の変身ヒーローものでネタになる事といえば、ヒーロー登場時に主人公がその場にいないこと。これはウルトラマンの時からもあるあるだ。

 ジミー松本という一発モブキャラかと思ったらその後ちゃっかりレギュラー昇格したキャラに、その点を指摘されたことがある。果林とぶーりんは同時に登場出来ない事は松本だって気づくよな。そこにツッコミを入れる展開は納得だった。

 この回では松本が連絡手段にポケベルを使っているのが時代だなぁ~と思える要素で印象的だった。今の子供が見れば「なんやそれ?」ってなるはず。

 

 そんな感じで時代もたっぷり感じるが、これはこれで普通に楽しくて面白かった。なによりもヒロインが可愛いのでワクワクして見れた。果林はビジュも中身も好ましい元気ヒロインでナイス。

 

 たまにはブタをフューチャーするのも良いだろう。だって私達の健康な体を構築するのに一役買ってくれているのだぜ。私はブタが大好きです。そして愛と勇気は得て損の無い人生の美徳である。

 

 

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