こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

人生をまっすぐ歩む素敵なヒロイン「ジェイン・エア」

 

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 シャーロット・ブロンテ作の長編小説「ジェイン・エア」を読んだ。上下2巻に分かれた長い話だった。

 

 

内容

 ジェインの子供時代から十代後半までの人生を、ジェイン自らが語る一人称視点の物語である。

 物語冒頭では幼い頃に両親を亡くしたジェインは伯母のリード夫人に引き取られて生活している。この引き取られ先がかなり劣悪な家庭環境、幼きジェインはそこの1人の馬鹿息子と2人のバカ娘に虐められ、伯母からも愛されず、メイドにも悪口を言われてすごく可哀想な目に会っている。本音しか喋らないジェインに対して皆が嘘つきのレッテルを貼って言われもないお仕置きを受ける場面は可哀想で、伯母はマジでクソババアと想った。

 伯母の家で迷惑者扱いをされていたし、ジェイン本人もこの環境から抜け出したかったことからジェインが養育学校に預けら得ることに決定した。

 養育学校では、心優し友人ヘレンと真実の人であるテンプル先生と出会う。それまでクソ人間とか関わってこなかったジェインがやっとまともな人間と関わって周囲から良き刺激を受け始める。養育学校の責任者が食費代をケチって、子供達に量も質も下の下な食事を与えたことは許せないと想った。

 生徒として学校に通ったジェインは、次は教師となってずっと学校に留まった。尊敬するテンプル先生が寿退職したのをきっかけに自分の次のステージに行かなければと想い「家庭教師どうですか?」の広告を出して次の就職先を探す。

 ロチェスターの屋敷に家庭教師と雇われたジェインは、屋敷の主ロチェスターと恋に落ち、結婚寸前まで行く。しかし実はロチェスターには心を病んだ狂人の妻がいて、そいつは生きたまま屋敷で軟禁されていた。愛人になりたくないジェインは早々に屋敷を飛び出す。

 あてもなく飛び出して、金もなければ食う物もないジェインは飢えと疲労で死にかける。それを宣教師のセント・ジョンに助けられ、それからはその地でまた教師として働く。

 ある日叔父が死んでジェインは遺産として大金を手に入れる。叔父の死巡ってわかったことだが、セント・ジョンとその二人の妹は実はジェインの従兄妹だったとわかった。

 セント・ジョンは結婚してインドに渡り、宗教関係の仕事を手伝ってくれとジェインに迫る。この迫り方がちょっと怖い。

 考えた末にジェインは結婚を断り、真実の愛を求めてロチェスターの下に帰る。ロチェスター家は大火事に合い、狂人の妻はその騒ぎで死に、ロチェスターは視力を落とし、腕を失っていた。

 ジェインはロチェスターと結婚し、生涯彼を支える人生を選んだ。そして無事ハッピーエンドである。

 

 

感想 

 ひたむきに真っ直ぐ生きる主人公ジェインはとても魅力的で、読んでいてとても好感が持てた。人物像としてはとにかく高潔であると言える。こうゆう芯のしっかりした強い女性はいつの世もモテるだろうなと思えた。

 

 激動の人生を送る苦労人のジェインは、人を見るすぐれた観察眼を持ち、自ら考え行動する力を持つ自立した女性である。真実の人ジェインの自分の信じた正義を貫く強い生き方には共感した。他人の意見をさも自分の意見のようにして適当に生きる人がたくさんいる中で、この生き方を確立することは大変望ましいことだと言えよう。

 

 一人称の語りを行うのはジェイン自身。作者の人生も反映させたストーリーなので、ジェインを通じて作中の正しくない行いをする大人、下卑た貴族などをもっとコテンパンンに非難したいであろうところを、ジェインはあくまで激することなくただ真実を淡々と語っていく。このスタイルを見て、物語が混乱しないように筆者がある程度感情を抑えて書いているのだなと思えた。

 

 それにしても激動の人生であったと思う。

 

 重要人物のロチェスターがかなり面倒臭いおじさんで、変人なのだが、ウィットに富んだおしゃべりが面白い人物であるとも言える。

 ジェインの従兄妹のメアリとダイアナは、ジェインとロチェスターが蜜月を終えたら家に遊びに行くと言った。それに対してロチェスターは、そんなに待たないほうがいい、蜜月は一生続くのでどちらかが墓に入るまで訪問を見送らないといけないといった内容のおしゃれな返しをした。この返しは愉快であった。

 途中までは絶対他所の貴族の娘と結婚する流れを作っておきながら、おしゃれなサプライズを仕掛けてジェインにプロポーズしたりするのも粋であった。

 

 宣教師の仕事を行うパートナーとしてジェインを妻に迎える気でいたセント・ジョンの説教を交えたプロポーズが長ったらしくて、狂気めいた物も見え隠れして怖かった。 

 真実の愛による結婚ではないと想ったジェインは、それまで冷静で正しき人として尊敬していたセント・ジョンでも考えを間違う不完全な人間だと気づく。この時ジェインは、自分が正しいと思ったら抵抗しても良いと悟り、セント・ジョンとの対等な議論に出る。男女平等が確立しない時代での女性の自我の芽生えを描いている印象的なシーンだった。

 

 あたり前だけど他人に流されることなく真っ直ぐ自分の人生を歩むことはとても大事なことだ。ジェインは伯母の家を出た後の進路は全て自分で決めている。自分で考えて行動して後腐れなく人生を謳歌する。それこそ人生のあるべき形だ。ジェインから学び取れることは多かった。これは良い本だった。

 

ジェイン・エア 上巻 (岩波文庫 赤 232-1)

ジェイン・エア 上巻 (岩波文庫 赤 232-1)

 
ジェイン・エア 下巻 (岩波文庫 赤 232-2)

ジェイン・エア 下巻 (岩波文庫 赤 232-2)