変身にまつわるローマ神話が約250作収められた作品、それが「変身物語」である。
変身ヒーローが好きなので「変身」の言葉に釣られて読んでみた。
短編がたくさん入ってるので寝る前にちょこっと読むのに良い。
この夏はクソ暑くて本を読んでも集中できなかった。9月に入って涼しくなり、やっと落ち着いて本が読めるようになった。読書の秋、すぐそこに迫ってるな。
本作をいざ手にとって読んで見ると、登場人物が虫とか獣とか植物とか鳥とか果てには夜空の星座まで、自然の何かしらに変わるわ変わるで、結果的にこの世にたくさんいる人間以外の生き物も、元をたどるこの人だったのか~となる。
神の力によって人が何かに変えられる理由も様々で、その姿に変えられるのが誉となるパターンや、神の慈悲からそうなった、神から怒りをかったためなどがある。
登場人物が多く、名前も結構ややこしい。
キャラに種別があり、まずユピテルやユノーを始めとする天空に住まわる神々、その他にもいる河や海の神々、それから我らが人間族、妖精、ミノタウロスやケルベロスなどをはじめとする何かしらの化物。住処が別れて当然と思いがちな上記の連中は、なんだかんだで同じ社会に生きている。だから神も化物も妖精も人にとっては割と身近。普通に喋ったり一緒に遊んだりしてるし。
びっくりなのが、神々のスキャンダルの多さ。変身の次には「恋多き物語」であるというのが作品テーマに上げられよう。あっちもこっちも盛ってばかりだったと思う。神様だなんて言うんだから世俗を超越した潔白な者なのかと思うとそうでもない。神々がまず人相手に盛るし、醜い嫉妬心などもしっかり持っていることから天界にいながら俗悪とした性質を備えている。
ユピテルが女を襲って、腹違いの子供を作りがち。それを知った嫁のユノーは神だけに夫の不貞は「まぁ許す」といった寛容さを見せるのだが、ユピテルが襲った方の女に激しく嫉妬し、醜い姿に変身させて人として生きていけなくしてしまう。人間の女は罪がないだろうと思う。可哀想になった。
神様でも劣情を催せばやることやらないとどうにもならないという事例が他にもいくつか出てくる。神ってのが恋多き連中なんだよな。
印象的なエピソードはナルキッソスとエコーの物語。
ナルシシズムという言葉はナルキッソスから生まれたという。自己愛が半端ない彼は鏡に映った自分の顔に恋してしまう。何をかくそう私も自分大好きな人間なので、ナルキッソスには共感する部分があったりなかったりする。
男の神が人間の男の子を気に入ったり、女性同士が愛しあい最後には片方が神の力で男に性転換して結婚するなんて話しもあった。同性愛的な要素もありだぜ。娘が父を想う、妹が兄を想うという禁断ラブエピソードもあった。個人的には趣味からこのあたりが読んで印象的だった。
下巻後半でピタゴラスが家畜を食うのに反対するみたい話しがあり、このエピソードでは彼のスピーチがずっと続く。すごい長くて「コイツいつまで喋ってんだよ」となって途中でイラっとした。
ファンタジックな神話がたくさん入っていて面白かった。
- 作者: オウィディウス,Publius Ovidius Naso,中村善也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1981/09/16
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
スポンサードリンク