こしのり漫遊記

どうも 漫遊の民 こしのりです。

幻想と怪奇渦巻く三人の少女の物語「少女地獄」

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 「いっぺん死んで見る?」のセリフで御馴染みの地獄への案内人娘のお話ではありません。

 「少女地獄」は幻想的且つ怪奇な推理物をお得意とする作家である夢野久作の作品である。

 

少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)
 

 

 「少女地獄」は「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三篇からなり、各篇そ

それぞれは独立したストーリーである。 

 「何でも無い」では虚言癖を持つ姫草ユリ子、「殺人リレー」では気に入った女を次々と殺す男を人殺しと知りながら命がけで愛する少女、「火星の女」では命と引き換えにしてまでも男に復讐する少女をそれぞれ主人公としている。

 

 最初の「何でも無い」の姫草ユリ子の嘘をついた先でまた嘘をつき、全てを嘘で塗り固める徹底した虚言癖は強烈な印象がある。一番ページ数が多い物語である。

 「殺人リレー」「火星の女」はどちらも歪な形をとりながらも男を愛する女の話であった。ただの純愛にはほど遠いクセのある恋愛をする女達が描かれる。

 「火星の女」が特に探偵小説の要素があって推理好きにうける一篇となっている。

 

 「日本三大奇書」の一つにも数得られる狂った書物ドグラ・マグラ」を手掛けた作家が紡ぐ話だけあって、「少女地獄」に登場する各篇主人公の少女はどこか偏執的であって狂人めいているように思える。三篇どれについても言えるが後味の悪いストーリーであった。

  

 本文を書簡形式で綴り、一人称視点で物語が展開する試みはおもしろい。「火星の女」の序盤では書簡スタイルでなく起こった事件の新聞記事を読んでいくとう斬新な表現がされていておもしろい。