こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

殺しの合図「ダイヤルMを廻せ!」

ダイヤルMを廻せ!」は、1954年に公開されたアメリカ映画。

 ヒッチコック監督作品の上質なサスペンスミステリーである。

 

 このタイトルは格好良くて思わず気になってしまう。ウルトラマンのサブタイトルにでもありそうだな。

 1954年作品といえばゴジラだな。というわけでゴジラと同じ年の映画。

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 という本当に何も関係のない事を考えながら視聴。

 

ダイヤルMを廻せ [DVD]

 

内容

 元テニスプレーヤーのトニーは、推理作家のマークに浮気した妻マーゴをなんとか消して遺産を分捕りたいと考えていた。しかし自分が殺ればすぐに足が着く。

 そこでトニーは、学生時代の同級生スワンの弱みを握り、そのネタで脅してスワンに妻殺しをさせるよう仕向ける。

 トニーの緻密な計画通りにスワンは犯行に及ぶ。スワンに首を締められて抵抗する中、マーゴは近くにあったハサミでスワンを刺し殺してしまう。

 予測出来ないアクシデントにより殺す方と殺される方が入れ替わる不都合が生まれた。これを受けてトニーは混乱するが、とにかく自分の悪事がバレないようあれこれ工作する。

 

感想

 主人公がテニスプレーヤー、他人に代理殺人を依頼する流れには「見知らぬ乗客」の要素を感じ、学生時代の友人から怪しい話が舞い込んで来るというトニーとスワンの関係性には「めまい」の要素を感じた。同じくヒッチコックが監督した他作品を思い出す要素が詰まっていた。そんな点からハイブリットな高品質サスペンスドラマだと言えよう。

 

 これは結局マーゴが悪いのかもしれない。トニーともマークともいちゃついて結構淫らな女なのでは?

 

 スワンを揺するネタ集めを行うトニーの行動力が不気味で怖い。要はストーキングしていたわけだ。その上で淡々とスワンの弱みとなる要素を吐き、断れない提案で追い詰めてくる。スワンに話を持ちかけるトニーの態度にサイコパスめいたものを感じた。そしてスワンも手癖が悪い学生だったんだな。

 スワンの経歴を聞くとドッグランを楽しみすぎだろうって思う。ドッグランってどこでやっているんだ。マジで「ゼルダの伝説」でしか見たことがないんだけど。

 

 マーゴを殺害してからどうなるのかと予想して見ていたら、形としてはマーゴが殺人犯を返り討ちにして展開がまさかの方向に向かう事になる。この意外な方向転換は読めないもので面白みになっていた。

 死ぬはずの者が生き残ってしまっているので、トニーの計画も変更するしかなくなる。計画に失敗したからには、どうやって罪から逃れるかに徹するトニーの悪知恵が見所。

 

 タイトルには「ダイヤル」とあるが、一番重要なキーアイテムはキーのまんまで鍵だった。鍵を使ってのトリックは古典的なのかもしれないが単純ゆえ深みがあって面白い。

 夫婦が持つ部屋の鍵があちこちに行ったり来たりするので、よく見ていないと混乱するかもしれない。後半になると部屋の開閉に関係のないスワンの鍵も絡んでくる。トニーも手癖が悪く、人に分からないよう鍵を取ったり置いたりするシーンが目立っていた。

 これを見抜いたおっさん刑事はやるなぁ。おっさんがジワジワと真実に攻め込んで行くのも印象的。ちょっとイヤミったらしい事情聴取の態度は怖いけど凄腕なんだな。

 

 ほとんどのシーンが殺人現場のアパートの一室というのも印象的。カメラの移動が少なく、ロケ費用も控え目で済む省エネ製作な映画だったのではなかろうか。

 

 ダイヤルMの「M」は「MURDER」の頭文字から取っていると英題を見れば分かる。知らなかったけど、アメリカのダイヤル式電話には番号と共にアルファベットが割り振られていて、6の部分にMが表記されている。とりあえずトニーの部屋電は6から始まる番号だったぽい。

 

 トニーがホテルから自宅へ電話をかける運命のシーンにはゾクゾクした。殺人の合図となる電話をかける緊張のシーン到来の前には、先に電話ボックスに入っていたジイさんがワンテンポの邪魔を仕掛けて来た。ジイさんでワンクッション置いてからトニーがダイヤルを回した時、電話の内部メカが映って通話機能がオンになる。ここのメカを映す所が格好良い。

 ダイヤル式の時代だったからこそこんなに格好良い演出が出来た。プッシュ式ではこうはいかない。電話がダイヤル式という観点から改めて大昔の映画だと気付かされる。

 

 終わりがスッキリだけどやや不気味。

 敏腕刑事の捜査と推理によりトニーの悪事は全部バレる。後は拘束するために応援の警官が来るのを待つだけ。そんな詰みの状態になったトニーが落ち着いて酒を飲み、他の者にも勧める態度が妙に印象に残る。ここで終わりだが、この後は大人しく捕まったのだろう。それにしてもトニーはテニスプレーヤー感の薄い男だったな。テニスをしているシーンも無かったし。

 

 操作が面倒だけどクルクル回す電話もおしゃれで格好良いよね!

 

 

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