1992年~1993年にかけて発売したOVA。全3話の青春ボクシングアニメである。
原作漫画は1986年~1996年までヤングジャンプで連載し、単行本は全48巻の長編作品である。原作は全く読んでいないのでアニメ3話分が連載10年分のどのくらいをストーリー化しているのかはわからないが、とりあえずアニメは切り良く終わっている。
実写映画にもなっている。どうやら役者畑でも注目された作品だったようだ。
本作はDVD化もBD化もしていない。過去にVHSとLDで発売したのみでその後ソフト化はしていない。視聴困難な部類に入る作品である。
古い作品がDVD化されないのには版権の問題があるとか、色々あってお蔵入りとか、はたまた新しくソフト化をすることを誰にも望まれないような困ったクソアニメだからとか様々な理由があるが、今作は私としてはとても楽しめた良い作品であった。
まず、絵が「タッチ」や「陽あたり良好」ポイと思った。それもそのはずでアニメ制作は同じ会社が担当しているからである。主人公の司葉遼太郎は「タッチ」のたっちゃんに似ている。お話の展開としてもちょっと「タッチ」ぽい所がある。
主人公の隣の家に引っ越して来たヒロインとは家が近すぎてお互いの部屋を行き来する関係になるし、ヒロインの家ではタッチに出て来たたデブ犬の「パンチ」みたいな犬を飼っている。ストーリーは最初の方は学園ラブコメ風だが、主人公がボクシングの才能に目覚めてからは部活の大会で優勝したのを皮切りにどんどん大きい舞台に挑戦し最後はオリンピックをかけた試合にまで行き着くガチスポーツ路線に変更する。
この作品はヒロインの江川望が良いんだよね。望が引っ越してきた時最初のシーンのみ髪がロングで次の日にはショートカットになっていた。遼太郎は大人っぽいロングヘアーのお姉さんから男の子みたいに髪が短くなった望を見て同一人物と気づかず、どっちも望であったと知った時に「魔女に化かされたみたいだ」と思い勝手に望みを魔女扱いする。
タイトルの由来は望が思い切ったイメチェンをする最初のシーンから来ていると考えられる。それにしても女の子の名前が入った可愛らしいタイトルなので内容は変身少女物かラブコメかとばかり思っていたが、結構ガチなボクシング作品であったとは驚いた。
可愛いヒロインだが、まさかの一人称が「僕」の僕っ娘であった。これも結構ポイント高い。
望は遼太郎が優れた動体視力を有しているのを一番に見抜き、勝手に入部届けを書いてボクシング部に入部させるというとんでもない行動力を持つ女である。しかし、その後の遼太郎の扱いがうまい。遼太郎が自信を無くした時には必殺のおまじないである「君はその気になれば何でもできる」の一言とハグ&チューを併用して元気づけてあげるのだ。おまじないの言葉を言うシーンは数回あるので印象的。単純なようだが男はこういう慰め方に弱いので男性心理をついた望の行動はグッドである。男をその気にさせるのがうまい。「タッチ」の南ちゃんみたいに姉さん女房感があった。
望役は先ほどから名前を挙げている作品「タッチ」にも登場する鶴ひろみ。この人の声はエロくて良い。
遼太郎は声優デビューして日が浅い頃の神奈延年(この時の芸名は林廷年)である。今と違って声が若い。
スポーツ漫画は好きだが、男だらけで暑苦しいばかりではアレなのでちょっぴり清涼剤の効果として素敵なヒロインがいればなおのこと楽しめる。今作はそこの所がうまいこと行っていたと思う。「タッチ」が好きなのでこういう作品も好きである。
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