忙しいニセ学生の青春「桜通信」

　「桜通信」は1997年に発売したOVA。1話がだいたい20分で全12話もある。OVAだが、放送1クール分作られている。なかなか力を入れて作ってやがる。

　大学受験をテーマにした話である。

　そういえば合格すれば桜咲くって言うし、逆に不合格なら桜散ると言ったり、受験の決着を表現する時は桜が用いられる。それから成績表のことを通信簿なんて言ってた時期もあったから受験をイメージ出来るタイトルであるとわかる。

　調べたらなんとセガサターンでゲームが出ているではないか。数々のキャラゲーが存在するセガサターンの中にコレも入っていたとは･･････

　セガサターン大好きっ子でソフトもたくさん持っている私であるが、コレは持っていない。ちょっと欲しいかもしれない。

　と言っても私の記憶を辿るとサターンのキャラゲーってまあまあクソゲーが多かったような気が･･････

　とにかくこのアニメは面白かった。

　本作は温泉旅館の息子である主人公因幡冬馬が受験に落ちまくった末、一つ年下の従姉妹春日麗（うらら）のお家にやっかいになりながら予備校に通う話である。麗は一人暮らしをしているので可愛い女子とのドキドキ生活がスタートする。

　主人公の冬馬にとにかくイライラする展開が続く。コイツがなかなか図太く大胆にして女好きな優柔不断野郎である。冬馬の顔を見てスラムダンクの「要チェックや！」のセリフで有名な彦一に似ているなと思った。

　慶應義塾大学の受験に失敗したが、受験の時に出会った美女の四葉美咲子（みえこ）に一目惚れして、美咲子に会いたいがために自分が落ちたことを隠して新学期から大学に通いニセ学生ライフを送っているという面白い設定であった。新入生コンパに講義も何度か出ている。

　こう考えると大学って割りと自由に出入りできるし、講義の席が決まっていな上に一人ずつ決を採ったりしないのでユルユルだなって思う。

　しかし、ニセ学生ライフってのも刺激的でちょっと面白そうと思った。

　予備校生とニセ大学生の忙しい二重生活を送る中で、従姉妹の麗からラブラブアタックを受け、美咲子とも付き合いを続ける三角関係が始まる。

　浪人生のくせに女のケツを追いかけて勉学に集中しないし、冬馬大好きな麗があんなに尽くしてくれているのにそれを裏切って傷つける冬馬のクソ野郎ぷりが目立つ。

　主人公がこんなのだが、ヒロインの麗が可愛くて優しいすごい良い子である。

　最初は受験で緊張している冬馬を元気つけようと思って、少々エッチなサービスを仕掛けてくる。これに対して冬馬が麗のことを「ブルセラ高校生」と言った。これはアニメのサブタイトルにもなっている言葉だが、ブルセラって何だって思った。この作品で初めて知った言葉だった。調べてみるとその意味は女子学生の着用するあれこれのアイテムを意味し、それを提供する商売のことも指すらしい。いかがわしいぜよ･･････

　これをうけて教育現場からブルマが消滅したのは人類の明るい未来のためにはきっと良いことだったのだと私は思った。

　冬馬は童貞のままでは今後付き合う女にナメられるからと、近場の麗を襲って男子の階段をワンステップ上ろうとするクソっぷりを発揮するが失敗に終わる。これで愛も冷めるだろうと思うところだが、一途な麗は許してしまうんだよな。良い子だけど男を甘やかしすぎだと思う。しかし良い女ってのは海のごとく広い心を持っているのも確かな話である。

　自己犠牲を行っても好きな男に尽くす健気な姿が好きになるヒロイン麗であった。私が色んなアニメやゲームでお世話になった声優氷上恭子が演じている。この人って何か猫っぽい声で好きなんだよね。

　麗の高校の友人香美もツインテで可愛かった。

　冬馬の予備校の仲間で三浪している薬局の息子秋本浩司が、三浪しているだけに豊富な人生経験からたまにためになる深いことを言ってくれる良いキャラだった。

　合格祈願のジンクスでカップル同士の「下のヘアー」をセットにして紙にくるんで定期入れに入れると良いってネタが本編にあって、冬馬は自分と麗の下のヘアーを定期入れに閉まっている。藁にもすがりたい受験生の行動がコレかと驚愕した。確かアニメ「Kiss×sis」でもこのジンクスネタが出たな。コレはどうかしてるぜ。

　時代が時代なので懐かしいポケベルが登場する。冬馬と麗がポケベルで連絡を取り合う場面も見られた。公衆電話から数字を送るアレは懐かしい。携帯機器による連絡手段の主流がスマホの今となっては、昔はよくあんな暗号みたいなものでやり取りしてたなと思った。

　浪人生の経験もないし、予備校なんて場所に入ったこともないので珍しい景色がアニメを通して見られた。

　アニメは冬馬が麗と二人暮らしはアレなので家を出るってなった所で終わっているので続きが気になる。暇が出来たら原作漫画を漁ろう。