「王立宇宙軍 オネアミスの翼」は1987月3月14日に公開された長編アニメ映画。
チョコをたくさんもらって食った一月後に、その楽しんだツケが回ってくる嫌な日が公開日となった。この日は一部の男性諸君が懐を痛める日であったが、二月を楽しまなかった者には何でもない日である。
そんな大衆の間では毎年恒例のイベントが行われる日に公開となったこの映画なのだが、視聴してみるとなかなか良い出来であった。
制作は「新世紀エヴァンゲリオン」や「ふしぎの海のナディア」で御馴染みのガイナックスである。もうすっかり歴史の古い会社になったものだ。
今ではすっかり有名となった貞本義行、庵野秀明も関わった作品である。
音楽監督は坂本龍一が行っている。今のところ彼がアニメの音楽監督をした唯一の作品とのことである。
内容は架空の惑星オネアミス王国の王立宇宙軍に所属する主人公シロツグが、ロケットに乗って宇宙を目指すというお話である。
シロツグを演じたのは「機関車トーマス」で御馴染みの森本レオだったのが印象的だった。
この映画はとにかくおっさんばかりが出てくる。王立宇宙軍もそう、ロケットを作るのもジジイばかりであった。美少女萌えが蔓延した現代日本で育った若者だったら耐えられない作品だと思う。
王立宇宙軍の面々はいずれもダラダラした奴ばかりで、結構後半の方までダラダラのテンションが続く。主人公のシロツグもボゥ~とした奴で、序盤では平気で葬式に遅れて来るし、ださいからと言って礼服を着て来ない締まりのない奴に描かれている。
布教活動を行うヒロインが出てくるのだが、信仰心の厚い超然とした女に描かれていた。シロツグから宇宙飛行士になると告げられて「争いの外の世界に行くんですね、すばらしい」的な返しをしたのが印象的だった。達観した物事のとらえ方をするクセのあるヒロインだった。
シロツグがヒロインに肉体関係を迫った時、ヒロインはシロツグの頭部に燭台を喰らわせて気絶させてしまう。宗教に染まりすぎたちょっと変わった女性なので、私なら「背徳感を抱いて抱けない」と思うところである。
ロケット発射に向けてストーリーは淡々と展開していく。これが結構地味である。
しかしストーリーの地味さを補うのは張り切った作画のクオリティにある。
街並みや空などの描写はタッチが細かい。電線なども丁寧に描いてある。きっと仕上げるのが面倒だったろうなと思わせる。シロツグが乗るちょいダサメなバイクの絵とか結構好きだった。シートに腹ばいに寝て運転するという、仮面ライダーもやってたあの乗り方もしていた。
シロツグが婆さんに変装した暗殺者に襲われるシーンでは、暗殺者が大型マシンに乗って追いかけてくる。あのマシンが走る場面は迫力があった。
もう30年も前の作品なので画面からは古臭さを感じるが、当時作品を手掛けた監督やスタッフの平均年齢は24歳だったということから、若い作り手の情熱を感じた作品でもあった。
地味だが生命力を感じる一作だった。
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