こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

個人的に2017年一位だったアニメ「月がきれい」

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 去年の4月~6月にかけて全12話を放送したアニメ「月がきれい」をBDで再び視聴した。本放送の時点で毎週続きが気になって仕方ない作品であった。

 本放送を見終わった段階でも、この作品に対して思ったことをとにかくブログに殴り書きしたのだが、二回目を見て新しい気づきがあり、また感動したのでやっぱりまた書きたくなった。良いものは何度見ても良いものだ。

 

 

 アニメが好きでたくさん数を見ていると、その積んだ知識量から「ああ、またコレね」「どうせこうなるんでしょ」みたいな先入観を持ち、それが邪魔をして手放しで楽しめなくなるという悲しい性がついて回るようになる。趣味であり日課であり、もはや使命感の元に日々アニメを見続けている身の私にとって心から楽しめる、感動できるというアニメは少なくなっていった。そんな中でこの作品はマジで面白かった。すばらしい。個人的には2017年で一番好きだった作品だ。

 

 下手をするとマジコケするので、挑戦するのも結構勇気がいると思われるオリジナル作品で勝負してきたのをまず評価したい。既に原作が世間に受けている物を映像化すればリスクも少ないだろうが、なんたってアニメなのだから小説や漫画よりも表現の幅は広いはず。

 最初から映像ありきの企画を行う。アニメだろうがドラマだろうがテレビの仕事をする者ならここで勝負して成功を掴んでこそ達成感があるというものだろう。と勝手なことを考えてスタッフ達を褒めちぎっている。

 今ならアニメ「刀使ノ巫女」なんかがオリジナルアニメだが、日本アニメはもっとオリジナルで攻めてほしいよね。

 

 BDで二周目に入ったわけだが、やはりこの作品、どこまでもきれいで良い。

 純文学のようで、全然エロくない。こんなに汚れ知らずな作品は、薄汚れた現代にはそうたくさんはない。

 

 このBDについてだが、昨今割と見られる初っ端から単巻でなくBOX売りするというスタイルが良かった。単巻で買い集めて後でおもいっきり安くしてBOXが出ているを知ったらどうしても悔しいからね。

 日本のBD-BOXといえば、バカ高いイメージしかない。このBOXはこの内容でこの価格なら「まぁ良いでしょう」と思える。それにしてもBD画質はやはり綺麗。

 

 

 放送から一年が経ったが、私はまだLINE未使用者のままである。というかガラケーを使っている。LINEがなければ主人公の安曇君と水野さんはくっついてないと思う。LINEありきの現代ラブストーリーだ。

 運動会の委員会の連絡事項をLINEを介して皆に発信するという現代ならではの連絡方法が作中で用いられていた。これって私のようにスマホを持っていない奴だと自然と仲間はずれになり、下手をしたらイジメや不仲にもなりそうだと思った。連絡事項がLINEでというのが信じられなかったな。

 聞くところによるとLINEで会社の欠席連絡をするとか、退職届けもコレで済ます猛者もいると聞く。

 

 「う~ん時代が変わったな」 

 

 と思わずにはいられない。

 

 

 BDといえば付加価値としてオーディオコメンタリーがついてくるわな~。これをつけないBDって嫌って思うくらい。

 このオーディコメンタリーは聞く価値あるものであった。声優陣はもちろんスタッフの話も聞けて、作品への理解が深まる。スタッフコメンタリーはおっさん達が喋っているばかりだが、これが結構賑やかで聞いていて楽しかった。

 

 作品を作る上で中学生のリアル性を追求することに重きをおき、取材を元にして中学生あるあるを詰め込んだ作品だということである。これは目の付けところが良いではないかと思った。私も義務教育を受けたことはあるが、あまりにも自分本位で周りに目を向けなかったため、自分以外の広く一般の中学生の価値観が分からない。なので「あるある~」と共感できるところばかりではなかったが、「今の子供らはこんなの」というのが分かる作りは興味深いものであった。

 

 運動会では皆ハチマキを巻くわけだが、その巻き方も人それぞれで、注意して見るとキャラクターそれぞれで巻き方が違う。こういう点にこだわりが感じられる。

 そういえば、本作を含み色んな作品で見る運動会競技の「借り物競争」って実際にやったことないんだけど。あれをやっている学校に通ったことがない。

 

 アニメなのに、アニメだからと意識しすぎないリアルな作りで、メインの安曇君と水野さんが必要以上に喋らないというのが印象的だった。実際の人間なら、視聴者を意識しての不自然な説明口調になったりしないだろうからその点は確かにリアルだなと思う。アニメキャラみたいに言葉巧みに饒舌に喋りまくる中学生もそうそういないだろうし。

 神社で月をみながら安曇君が水野さんに告白するシーンなんかは、言葉選びがリアルだったと思う。もちろん私がその辺の情報をたくさん持っているわけではないが、あの緊張して言葉につまり、その場で考えて考えて何とか言葉を搾り出している必死感はウブな中学生っぽいとは思う。あのシーンでが「月きれい」と言ったあとにニカッと笑う水野さんが可愛すぎた。

 

 安曇君と水野さんが付き合い始めたところで、水野さんの友人の千夏も安曇君が好きとか言って来る。これを水野さんが姉に相談すると、冷たくも姉は友人でも好きな人が一緒だったら即絶交し、友人関係を続けるのは無理と言う。

 こういうことは経験がないのだが、実際にこの状況になったら現代人はこうするのかと深く考えて聞いてしまった。広瀬香美の歌でも幸せになりたかったら友情より愛情を取ると言っているのを思い出したので、姉の言うのが正解かもしれない。

 りえしょん(村川梨衣)演じる千夏が結構な仕掛け人で、ストーリーを盛り上げる役を担っている。二回目を見て千夏がもっと好きになった。陸上部の最後の試合で弁当食いながら泣いているシーンなんかを見るといい娘だなと思う。

 

 千夏と比良君が恋の敗れ役だが、この二人も本当に純粋な若者で好感が持てた。比良がすごい好きになったな。

 しかし、比良に告白される水野さんを見て嫉妬した安曇君が、その後水野さんに冷たくあたったのを見た時は、殴り倒してやりたいと思った。安曇君のあの態度はよくない。

 

 本放送を見た時に、メインの二人は「声がなんだか素人っぽいなぁ」と思ったが、監督から「アニメの芝居をしないで」と言われていたとのことであった。メインの二人は他作品でもメインを張ったことがあるが、このアニメと全然声が違っていた。

 水野さんって小原好美が演じていたのかとBDを見て知った。去年放送の「魔法陣グルグル」でククリを演じて、すごいアニメ声を作っている人でないかと思ったのだが、この作品では普通の女子が喋っているみたいだった。素人風に演技するという新技が見られた。

 最近覚えた気になる声優の石見舞菜香もコレに出ていたのかと新たな発見があった。この人も今出ているアニメとは声を変えてきている。

 全体的に声優の演技が良い作品であった。

 

 改めて主題歌、挿入歌を東山奈央ちゃん縛りにしたのは良かったと思えた。

 挿入歌でCHARAの「やさしい気持ち」を東山奈央がカバーしたバージョンが流れるのだが、オリジナルを歌うCHARAの歌い方のクセがすごすぎて、本人以外誰が歌っても別の曲に聞こえる。この曲が流行った時はCHARAの真似をする奴らがたくさん出て来たと思い返す。

 

 という訳で、総括するととっても良いアニメだということである。

 もうたくさん見すぎてアニメではお腹一杯という奴でもきっと楽しめる名作だと思う。

 

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 今晩の月もきっと綺麗。

 

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