こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

消すな!オタク魂「ぱすてるメモリーズ」 

「ぱすてるメモリーズ」は、2019年1月から3月にかけて放送された全12話のテレビアニメ。

 

 昨今よくあるスマホ原作アニメで、放送スタート同年内にサービスが終了したという。当時も今もガラケー派の私には関係のないお話。

 

 現在地球は群雄割拠のアニメ時代を迎えたわけだが、その中でも一定の勢力数を誇るのがスマホから参戦して来るアニメ。今の時代は漫画、小説のみでなく、色んな所から原作を引っ張って来て映像化に漕ぎ着ける時代になっている。

 

 その中でも、なんだかんだあってスマホアニメは弱い。どういうことかと言うと、ゲームでは一定の評価を受けたとしても、アニメにすると言っちゃ悪いが事実としてク○アニメな出来になるものが少なくない。

 

 で、このスマホアニメだが、放送した年にゲームサービスが終わるというあたり、一般的に考えて普通に失敗のプロジェクトっぽい。現在波に乗っているウマ娘とは全く逆の道を行っているので、お世辞にも大成したプロジェクトとは言えない。

 

 しかしだ。それでもこれが良いという人間もやはり一定数いるのだ。私個人としては、総合的なことを言えばこの作品はアリで好きだった。

 

 昨今では、本放送を一度見たらもう翌年には忘却の彼方というマジで一期一会となるク○アニメも珍しくない。でもこの作品は、放送から2年経っても覚えている。まぁそれは作風などとは別に、本作が世に対してちょっとした物議を醸す事件を起こしたことにも関係するのだが……。

 

 タイトルに「メモリーズ」とあるように、記憶に纏わる物語を扱っている。いやしくも記憶を尊ぶ作品であれば、視聴者の記憶にも長く残っていてもらいたいものだ。

 

 前置き長っ!

 

 そんなこんなあった「ぱすてるメモリーズ」のBDを先日視聴したので、その感想と、あとは何も関係無いけど思いついた事とかも殴り書いて行く。

 

 

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 物語の舞台は地球の聖地「秋葉原」。更に絞ると、その秋葉原にある喫茶店「うさぎ小屋本舗」。ここにとっかえひっかえで12人の可愛い子ちゃんが出社して来る。

 彼女達の表向きのお仕事は喫茶店勤務。そしてもう一つ持つ顔は、謎のウイルス退治を行う変身ヒロイン戦士なのだ。

 

 あの秋葉原が舞台ながら、この作品ではオタク文化が衰退した世界が描かれる。

 かつての街の賑わいは死に、秋葉原なのに電気店、ゲームショップ、ゲーセン、その他オタク関連のお店がすっかり減った状態になっている。シャッターの降りた建物が目立つ寂しい秋葉原の街並みが描かれる。

 

 そんな中で更にオタク文化殺しに拍車をかけるのが謎のウイルスの存在。人々の記憶からゲーム、漫画、アニメなどのオタク作品の記憶を消してしまう効果を持っている。こうしてかつての名作の存在が消されてしまうという、とんでもないない現象を抑えるため、ヒロイン達は立ち上がる。

 これはオタク達が残したオタク文化を守って継承する魂の聖戦である。

 

 先日「人類は衰退しました」のBDを見たが、比べるとぱすてるメモリーズの方がある意味「人類は衰退しました」になっている。

 オタク文化が死にかけた地球の話だなんて、これぞ真のディストピア、または世界の終末を描いた作品だと思う。オタク文化を欠いた日本に、いや地球に、一体どれ程の価値が残るのだろう。まぁいくらかは残るだろうが、数えて少ないものになるだろう。

 そんなことまで考えるようなダークでヘビーな内容ではないが、改めて作品設定を知れば、こんな感じで深く考えてしまう。

 

 本作のこの世界感設定は面白く興味深く、そして最後には恐ろしいと思えた。

 信じたくはないが、一度栄えた文化、文明は、やはり創生と破壊というあるべくして訪れる二つのリズムの中に捕らわれるものだ。であれば、遠くなるとは思うが、オタク文化が衰退して死を迎える世界もきっと来るのだろう。深い考察が出来る萌え萌えオタクアニメだと言えよう。

 

 作品の注目ポイントとしてまず言えることは、変身ヒロインが全部で12人も出ること。これは華やかで良い。

 しかし、とにかく数が多くて全12話では覚えられず、推しが定まらない内に本放送が終了したと記憶している。そして、今回久しぶりにBDで見てもそこは一緒だった。

 

 彼女達は変身すると、ウイルスが忍び込んだ数多の作品世界に入り込んでウイルス退治を行う。これによって作品の存在を守ることが出来る。彼女達のやっているミッションだけを見れば、昨年放送していたアニメ「文豪とアルケミスト」と同じっぽい。

 

 喫茶店の制服も良いが、それぞれの戦闘服も良い。

 皆可愛らしく、全体的におっぱいのデカい子が多い。

 基本的にはスリーマンセルで動くので、各話選抜されたヒロイン3名がお当番を張ることになっている。

 割とゴツい武器をぶん回して戦うアクションもあり。武装ヒロイン萌えにも助かる要素。

 

 敵側のヒロインの摩耶も結構好きだった。多分アラサーくらいのおセクシーお姉さん。主人公達より見た目でもずっとお姉さん。演じているのは、たかはし智秋。彼女はこの手のヒロインをやらせるとよく映える。

 

 作品の目玉となる要素は、毎話ヒロイン達が入り込んでいく作品世界が、数多ある実在するオタク作品のパロディであること。作中作に見えて、しっかりどこかで見たことがあるあれこれの作品が毎話ぶっ込まれる。

 懐かしいのから新しいものまで、幅広くオタク小ネタが散りばめられている点が楽しい。私は登場したパロディの元ネタを全て知っていたので、その点は楽しめた。

 

 で、これが物議を醸す元にもなっていた。

 行き過ぎたパロディ、オマージュ、パクリ、いじり、フューチャーなどは、お叱りの対象になる。そんな事情が見られたのが第2話。これは当時も話題になった。

 第2話では、誰がどう見ても「ご注文はうさぎですか」くりそつの世界が描かれた。その際のパロり方に問題があったため、第2話のみは暗い蔵の中へと入る運命を辿ることとなった。可哀想。

 

 ココアちゃんではなくカカオちゃん、うさぎではなくうなぎがメインの世界感など、程よくふざけた回だったのだが、これはBDには収録されていない。1話の次は話が飛んで3話になっている。完全なる欠番となった。

 これは後の世に禍根を残す痛い結果となった。今後生まれてくる子供達は、一生ぱすメモ2話を見れないなんて気の毒過ぎる。

 

 放送開始早々にこんなことになったので、これは後にお宝にはならずとも珍しい映像になるだろうと思った私は、本作本放送を録画している。欠番の第2話は手元にあるので、今回BDと合わせて視聴した。まぁそんなに大した物でもないが、大事に残しておこう。

 

 パロディを行う上でのマナーってのはもちろんあるわけだが、こういうのは持ちつ持たれつってことにして、ごちうさの会社は見逃してくれなかったのかな、とも思う。

 

 他には「ロウきゅーぶ!」「りゅうおうのおしごと!」の何れも男の師が、ロリ娘を才能的な意味で育成する作品のパロネタが二週連続で放送された。

 ヒロインズ達も、男の人が小学生を~的ないやらしい作風と勘違いする場面があった。いや、勘違でもないのか?

 

 ロリ繋がりでは、ゴスロリアンティーク人形が登場する「ローゼンメイデン」のパロ回もあり。この作品世界では、ウイルスのせいで人形達がゴスロリでなく皆ジャージを着ているという考え抜かれたシュールギャグネタが盛り込まれていた。水銀燈の「乳酸菌とってるぅ?」のセリフは未だに覚えている。

 

ミスター味っ子」「美味しんぼ」のテンションで言うと静と動が真逆のグルメ作品をごっちゃにしたパロ回もあった。

 ここで登場する美味しんぼ山岡士郎をパロった岡山には笑った。

 

 他には「聖闘士星矢」「とっとこハム太郎」「ときめきメモリアル」「魔界村」「新世紀エヴァンゲリオン」などの作品をパロった作品世界が登場。魔界村パロでは、レッドアリーマーはとにかくムカツクという事を伝えていた。

 

 最終回では、世紀末のオタク界の一つのシンボルマスコットともなった「デ・ジ・キャラット」のでじこがほとんどそのまんまの形で出てくる。そしてちゃんと真田アサミの声で「目からビーム」の例のセリフも言ってくれる。これは時を超えたの大いなるコラボだったと思う。

 

 毎度ごとの作品世界に登場するゲストキャラを演じるゲスト声優がレジェンド級の人気者ばかりな点も目玉要素と言える。しょーもない世界でちょっとの出演だが、すごく豪華な顔ぶれが揃うから声優好きには嬉しい。

 

 オタク文化ってのは、忘れず消さず22世紀にだって残して行きたいものだ。その価値があると思っている。そういうことを叶えるために戦う美少女達の物語であり、その中で多くのオタク作品を思い出せるパロディが仕掛けられる。こういったプロジェクトのやり口は好ましく、テンションとしても好きだった。

 それだけに第2話でのやらかしは悔やまれる。有名作品をネタにしてゲストに有名人を呼ぶ。こんなことをしているのだから、手抜きプロジェクトではなく、そこそこに力を入れて臨んでいたはず。にしては残念なことになった。

 

 映像に問題があったため、元々単巻売りする予定だったBD発売がストップし、それからやや時を置いてBOXの形での発売になった。これについては、そっちの方が安くついて良いと思える。

 

 オタクネタ満載だし、豪華ゲストもいたからこそ、BDではその辺のことについて、キャストにオーディオコメンタリーで語って欲しいと思っていた。しかし、ちょっとした問題作だったこともあってか、その手のおまけ要素は無かった。

 

 OP曲は、今井麻美が担当。この曲は爽やかで結構好きな曲。

 当時、音楽活動10周年記念として歌い上げた曲なのに、タイアップ作品がこんなことになって彼女は何を思うのだろう。ちなみに彼女もゲストでとある回に出演している。

 

 当時からちょっと話題になったのが、本編では味わえなかった水着回の補完となるEDアニメ。

 あれ?錯覚なのか?と思ってしまうくらい本編以上に肉付きが増した水着のヒロインズが登場する。むちむちのヒロインズを楽しめる目の保養になること必至のEDアニメだった。

 

 というわけで、色々問題はあったが、それでもぱすてるメモリーズは良いアニメだと思う。

 この作品の内容としては「皆の好き」を消さずに残して綺麗なものにしましょうや的なことが謳われている。メッセージ性としてはとても素敵なものが詰められた作品だ。

 

 オタク達よ、オタク魂を消すな。絶えずその胸に灯し続けよ! 

 

 

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