こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

楽しい原始人のファミリー劇「はじめ人間ギャートルズ」

はじめ人間ギャートルズ」は、1974年10月から1975年3月まで放送した全77話のテレビアニメ。

 

 個人的には、これのもっと後の時代に出た「PC原人」というゲームが、原始人に触れた最初のコンテンツとなった。ギャートルズに登場するゴンを見れば、PC原人を思い出す。今回ギャートルズを見た最初の感想がコレである。かなり見た目を寄せていると思う。「PC原人」のキャラデザを行う時には、やはり原始人モノの先輩であるギャートルズを少しは意識したのかな、とかいう事を令和に入ってから思う今日このごろである。

 

 今回、縁あってギャートルズを全話視聴したところ大変楽しかったので、その感想を書きなぐって行こうと思う。再放送でちょこっとしか見たことがなかったけど、今回は集中して全話見れてよかった。

 それにしても、先日全話集中して見たアニメが「未来少年コナン」だったので、同じ70年代放送アニメでもこんなに「世界観違う?」とはどうしても思ってしまう。コナンのことは置いといて今回はギャートルズを振り返ろう。

 

はじめ人間ギャートルズ

 

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 ギャートルズ平原で元気に暮らす「はじめ人間」こと原始人達のワイワイした日常生活を追う内容になっている。

 

 主人公の原始人少年のゴン、その相棒の人語を理解するゴリラのドテチン、ゴンの勇ましい父ちゃんとその他の家族や仲間達とで展開するコミカルな原始時代コメディーが楽しい。

 

 キャプテン翼石崎了役で耳馴染みの丸山裕子がゴンを演じている。石崎君もゴンもなんか猿っぽいのでどちらを演じてもハマる声だった。そして懐かしい。

 声優好きの観点から言えば、ドテチン役の立壁和也、ゴンの父役の肝付兼太の両名の声が懐かしい。二人はドラえもんではジャイアンスネ夫コンビで共演している。二人のコンビが久しぶりに見れて良かった。

 ドテチンはゴリラ、ジャイアンもゴリラ的キャラなので、両キャラクターを演じた立壁和也ボイスが映える。

 

 アニメは完全に子供向けの作りだけど、ある程度生きた状態でこの古の名作に触れるとジーンとくるものがあったりなかったりする。

 

「ゴンゴンゴンゴン」「ギャーオ」と言った後には、登場キャラクター名も出す楽しいOPに始まり、往年の名曲となってしまったしっとり静かめに聴かせるED曲「やつらの足音のバラード」を聴くまで大変緩くて楽しい内容だった。音楽を担当したかまやつひろしが良い仕事をしている。

 

 主人公少年ゴンは、一話の段階では狩りがまともに出来ないガキとして描かれるが、その内にはちょこっとだけ狩人としての腕が上がる。

 原子の時代だから、人間のやることは基本的には今日、または明日何を食うかを左右する狩りを行うこと。加工技術や市場の発展により今日日の日本人で「狩り」をする者は少なくなったが、それでも原子時代と現代の両方で人間が一生懸命頑張ることは「飯を食うこと」である。これをしないと死んでしまう。

 こういうことを一生懸命伝える作りではないと思うけど、ゴンの父ちゃんが「狩りが出来ない者は立派な原子人になれない」と言って叱るのを聴けば、やはり広くひっくるめて自分のことを自分で行う「自立」の概念はどの世の中にも共通して重要視されるのだと改めて思った。

 そして、昔はその日の晩飯を用意するのも命がけでマジで大変だったのだと分かった。冷蔵庫を開ければ何か食い物がある、冷蔵庫になければコンビニに行けばきっと何かある、これで慣れたザ・現代人の私から見ると、やはりゴン達の世界はとんでもないところだと思った。

 

 ゴン達の狩りの対象となるのは、原始時代の生き物の代表とも言えるマンモスである。マンモスといっても、人間達のキャラ同様どこか間の抜けた感じがして可愛らしい。ギャートルズといえば、もはや心象風景となっているマンモスの輪切り肉が何度となく登場する。何度見てもあれは美味そう。

 この世界のお金がお札や硬貨ではなく、丸くてデカイ石というのも特徴的な設定だった。

 

 アナログに原子時代の生活を追うのかと思えば、そうでもない展開も用意されている。

 ゴンの家族達の他にも、後半では天の邪鬼のガキがレギュラーキャラになり、その他にはゲストキャラで死神、天狗、カッパ、なにかしらの神様などなど、コミカルにしてファンタジーなキャラがわんさか出てくる。

 死神は調子が良ければ2週連続で来ることもあるくらいの準レギュラーキャラで、増岡弘が間抜けな声で演じるのが合っていた。

 

 ゴンのお父さんの大好物のサル酒というアイテムも印象的だった。サルに果実を噛ませ、それを吐き出したものが最高に美味いらしい。この説明だとかなりエグい珍味に思えるかもしれないが、名作アニメ映画「君の名は。」では、美少女が米を噛んで吐いた汁が美味という口噛み酒が登場したので、ものすごく不思議なものでもなかったかもしれない。ちなみには私は下戸。

 

 どうしても気になるのがゴンの母ちゃん。原始時代にはこの体型が多かったのか、出てくる女性キャラは巨乳が多い。ゴンの母ちゃんもご多分に漏れず大きなものを持っている。普通に片乳がはみ乳しているゴンの母ちゃんの出で立ちは、本日放送するならちょっとアウトなのかもしれない。この絵柄ならギリセーフかもしれないけど、とりあえず片方がもろに出ている母ちゃんを見て笑ってしまった。

 旦那を「あんたぁ~」と呼ぶ強気な肝っ玉お母ちゃんなところも良く、なかなか良いキャラ設定のお母ちゃんだった。実は戦闘力が高く、旦那に頼らずとも狩りが出来るハンターの血も入った強烈な母ちゃんでもある。

 ゴンの母ちゃんにツッコミを入れたくなるのが、物理法則を無視して縦一列に赤ちゃんを4人もおんぶしていること。「どんだけ力持ちなの?」と思ったし、よく見ると内一匹はタヌキというのも面白い。このタヌキは棒の先にくくりつけて尻尾でゴミを集めるという箒の目的で使われていた。ナイスアイデアと言える一方で、動物虐待とも取れる(かもしれない)。とにかくゴンのお母ちゃんが面白くて注目してしまう。

 

 色々あった末の最終回がやはり最後ということで印象的だった。

 最終回にはブンメイというよそ者がギャートルズ平原にやって来る。「皆のもの」として扱うことで、個人の領地の概念がなかったギャートルズ平原の皆々に土地を治めること、そして狩りではなく、大地に食物を植えて食料を確保する収穫の文明を運んだ人物だった。こうして狩り一択の世が終わって麦や米を育てるようになるのか、という時代における文明の変遷を辿れる内容になっていた。

 

 はじめ人間達も一時は狩りを止め、収穫に向けて畑で働く時期を迎える。でも最後は「やつらの足音がきこえる」と言い、はじめ人間達は石斧を担ぐと魂を燃やして荒野に駆け出す。「やつらの足音」の正体は皆大好きマンモスの群れで、結局最後ははじめ人間の血がたぎって収穫よりも狩りに走る。本当の人間の歴史はこうではないだろうけど、はじめ人間達はこれで正解なのだと納得の良き最終回だった。長老が「はじめ人間にマンモスを怖がる者はいない」と息巻くシーンで胸が熱くなったぜ。

 マンモスをしとめながらバックで「やつらの足音のバラード」を流すのはエモかった。

 

 最終的な感想が「肉が食いたくなる」のアニメだった。

 

 

 

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