こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

国民的お菓子のパッケージにいるアイツのアニメ「キョロちゃん」

キョロちゃん」は、1999年7月から2001年3月まで放送された全91話のテレビアニメ。

 

 お家が割りと厳しかったことから、これまでの人生で大衆が楽しむジャンキーなあれこれをたくさん食べて来なかった。貧乏ではない。ただ我が家の大人達の教育方針でそういった物と距離を置いた幼少期を過ごすことになったのだ。スーパーのお菓子売り場にある大衆向けのお菓子もその対象となり、あまりたくさん食べて来なかった。

 そんなお菓子達の中でもメジャーかつ良質な物と認められたことで、チョコボールは保育園のおやつ、子供会で配るブツとして出回ることが多かった。だから私が口にする機会も多かった。

 同時代に生まれた子供達の中で圧倒的にチョコボールを食った回数が少ないであろう私にとって、チョコボールは菓子の中で一番親しみのある物だった。

 

 そんな私はキョロちゃんという多分鳥みたいなアイツがとても好き。可愛い。お友達になりたいと思っていた。その夢にちょっと近づくプロジェクトが商品キャラのキョロちゃんを主役にしたアニメである。

 パッケージに張り付いて動かず物言わぬヤツが動いて喋る。これは当時の子ども達にとって結構感動的なことだったのではなかろうか。お菓子パッケージのキャラがアニメ化して広く公共電波で顔を売るなんて大出世だな。今思えばすごい事だ。それだけ多くの人間に愛された鳥がキョロちゃんなのだ。

 

 チョコボールって何年と食べていないけど今でも売っているのかな。また食べてみたい。

 これってあるあるだと思うけど、歯の発達がまだってことからか、チビの内には柔らかいキャラメルタイプが良い。でも大きくなるとサクサクのピーナッツの方が良い。そういう風に好みが変わって来がち。

 このお菓子は当たり付きで、当たりが出ればおもちゃの缶詰がもらえた。これなのだが、私の親も兄弟も少ない購入数の割にはラッキーなことに当ててしまっている。実は我が家で私だけ缶詰を当てたことがない。一体何が入っているのだろう。ちょっと憧れの世界。

 

 このアニメだが、人気だったらしく2年も放送している。しかも世紀末から新世紀を跨いだ旧時代最後期にして新時代最初期のヒット作にもなった。そんな記念碑的作品を令和時代も熟してきた今(←個人の勝手な見解)になってしっかり見る。放送時期を知ればなんとなく緊張感を持って集中して見てしまう。よく分かっていない世紀末という概念に得体の知れない憧れ、恐れ、そして二つ合わせたワクワクを感じる。なんでだろう?

 改めて古いよな~。古さを知る参考までに、同年スタートの他のアニメには今もなお続くワンピースがあったということを記しておこう。ルフィとキョロちゃんはだいたい同期。

 

 ここで軽めに自分語りをしておこう。

 この私は両親にしっかり愛されて今日まで大きくなってきた。だから育児放棄はなかった。でもね、どうしても「育児」が邪魔なシーズンがある。大人には大人のそういう都合がある。

 我が家の大人達は揃って小金持ちの商人をしていた。商人っていうのにはジャンルがさまざまある。そのどれもが時期の前後はあれど書き入れ時という波乱を迎えることになる。

 そんなクソ忙しい書き入れ時にチビが傍にいるとうるさい。マジでうるさくて商売に集中できない。書き入れ時に子を手元に置いているとシンプルに邪魔なのだ。

 というわけで、客足が途絶えるまでの割りと長めの期間、私は親戚の家に預けられた。そこでたっぷり見せられたビデオが何を隠そうこの「キョロちゃん」アニメだった。

 親戚の家の子供は私よりもうんと先輩だが、そいつがまだチビの時に見ていた物が残っていた。だから私はそれを見ることが叶った。

 これがなんだかとっても楽しかったんだな。とにかくキョロちゃんが可愛い。仲間の鳥達も可愛いし、皆でワイワイして楽しい。

 

 そんな昔の記憶がふと蘇ったのがこの9月のこと。

 丁度その親戚が梨の良いのが入ったから取りに来いと連絡をよこしてきた。めっちゃ食いたいので誘われるがままにホイホイと親戚の家まで出向いた。

 梨をもらったらついでに「キョロちゃんのビデオもおくれよ」と頼んでみた。待つこと7、8分でビデオが出てきた。

 当時はテレビ放送をVHSに録画したのを見せられていたのかと思っていたが、まさかの全話収録DVDだった。ここの子供が相当好きだったらしいので、全話入りBOXを買ったという。

 これを借りて帰る。そして梨を食いながら久しぶりにキョロちゃんを見た。

 

 すごい可愛いし、結構元気に絵が動くな~。そんな事を思いながら梨を齧る日々が続いた。 

 91話あるのを2週間かかるかかからないかで完走した。結構ハイスピードで見てしまったな。梨を食うペースも上がる上がる。

 

 他の人間が作品に寄せる感想が気になってAmazonの商品レビューをちょっとだけ見てみた。そこでレビューより前に表示される商品価格を見てびっくり。昔の商品だから当然当時の価格で買える新品在庫はない。在庫がなさずぎてレアなのか、30万円近い額で出ている。マジかよ。確かに良い商品だとは思うが、その額を払ってまで誰が欲しいんだ。今の子供にも良いものだと思うからBDで出してやれよ。

 

 親戚からは「壊れて見れなかったらごめんね」と言われたが、特典映像も含めて普通に全部再生出来た。ということは、これは問題ない商品として30万で売っても問題ないなぁ。

「壊れてたぞ」と嘘をこいてこっちで引き取って金に換えることは容易だが、そこまで金に困っていないし、なによりも育ちが良いことからそれを行う自分に嫌悪感を抱いてしまう。自分の嫌いな自分にはなりたくないってのが人類共通のアンサーだろう。だから今はちゃんと親戚の家に返しました。という汚れの少ない人間であるアピールをしておきたかった。

 

 というわけで梨を食いながら見たチョコボールキャラアニメの感想とかを書いていこう。

 

テレビアニメーション キョロちゃん DVD BOX

 

内容

 冒険家のマツゲール博士は、エンゼルアイランドの遺跡調査に乗り出した。そこでゲッツした謎の卵から、これまた謎の鳥が生まれた。それが我らがキョロちゃん

 

 それからキョロちゃんは親でもあるマツゲール博士にくっついて数年間世界を冒険する。そしてその後、生まれた場所のエンゼルアイランドに帰ってくることになった。

 

 エンゼルアイランド到着前に嵐にあい、キョロちゃんと博士が乗った船は難破してしまう。海に流されたキョロちゃんはなんとかエンゼルアイランドにたどり着いた。だが博士は行方不明である。

 キョロちゃんは単身エンゼルアイランドに乗り込み、そこで自分と同じ用な鳥の仲間達と出会う。

 

 博士の行方が分かるまで、キョロちゃんは愉快な仲間達と一緒にエンゼルアイランドでの暮らしを楽しむのだ。

 

感想

 まずOPアニメからご機嫌だ。コレを見るだけで楽しい。

 本編には登場しない素麺の束のようなキャラが3体出てきて、そいつらとキョロちゃんが楽しく踊っている。なんか全部可愛い。

 

 一期OP曲は、キョロちゃん感がまるでゼロなご機嫌ナンバーをココナッツ娘。が担当。そしてED曲担当はWhiteberry

 どちらも当時の人気者達で名前を聞くだけで懐かしい。どちらもアニソン担当の経歴があったのかと初めて知った。

 二期のOP、ED曲は「キョロちゃん」というワードがバッチリ入ったこれ用に作ったアニソンが使用された。

 人気が出て専用曲を作る余裕が出たからこの変更なのかなと今なら思うことが出来る。

 

 キョロちゃんがやっぱり可愛い。お菓子パッケージの絵だとどんな性格か想像出来なかったが、かなり元気で活発でとっても気の良いヤツ。

 演じた伊東みやこのなんとも言えない謎の鳥声が最高にマッチしている。この声がクセになる。

 キョロちゃんの嘴は実質武器みたいなものでものすごく固く、破壊力もすごい。そんな体質も知れる。嘴で地面を掘り進み、岩をも砕く。穏やかな性格をしているからすぐに忘れることだけど、何気に戦闘力が高い鳥なんだな。

 

 監督に「本郷みつる」の名がある。早々にこれに気づいた。この名前はしんちゃんを見ていれば目にして覚えるもの。そんなわけでしんちゃんのノリに似たものを感じるアニメだった。

 キョロちゃんが変に勘が良く、それによって周りの大人達が振り回されて結果ちょっと不幸なことになるパターンが何度かあった。大人から見たややウザいお子様な描き方もあり。しんちゃんでも同じようパターンがあり、この重なる点に安心する。

 

 作風は実にバラエティに富んでいて、子供はもちろん、時には大人が見てもジワる内容もあり。キョロちゃんが仲間達と現実で楽しく日常を過ごすもの、謎のアイテムでファンタジー展開に入るもの、ちょっと突っ込んだブラックユーモア、シニカルに風刺がかったやや大人なエピソードなどが順繰りに連続する。

 島には一応政治家がいて、それらが選挙を行い、その中で賄賂を送るとかの汚職を扱う内容があった。あくまでもやんわりとしたギャグテイストだが、子供よりも大人に分かるこんな感じのネタがいくつかあった。

 

 多く登場する作品キャラの掘り下げ展開もあり、全話見れば全員の良さが分かって好きになる。キャラがユニークで可愛くて本当に好きだった。

 キャラの名前はざっくり「目」周りのフレーズが使われたもので覚えやすい。主役のキョロちゃんの名前は目が「キョロキョロ」していることから来ている。その関係からマツゲール、マスカーラ、パチクリ、ミッケン(眉間)、クリン、マナジリ、ジロリ、マクモーなどなど、目の周辺範囲に絞った思いつきのような名前が並んで楽しい。

 

 キョロちゃんと一番最初に出会った仲間のパチクリくんはちょっとイケメンでしっかり可愛い。どこまでもいいヤツで元気でちょっぴりおバカな感じ。このキャラ性には、リアルにもいそうな一番近いお友達という親近感を得た。パチクリくんのキャラ性が割りと等身大で好きだった。

 活発な男の子なのに、セクシーなお姉さん役のイメージが強い本田貴子が演じている。彼女が子供でしかも男子を演じているのはレアかもしれない。やっぱり役者ってすごいもので、しっかり男の子声で違和感が無い。

 

 ピンク鳥のクリンちゃんが可愛い。クリリンから一文字引いただけでこの可愛さとは、秀逸な鳥ヒロインだ。そのお姉ちゃんのマスカーラさんも可愛い。女子キャラ達はキュートでとても良い。ブチギレモードが存在するマスカーラさんの二重人格設定も面白かった。

 

 キョロちゃん達仲良しグループの中で一番小さなミッケンくんは声がハム太郎。一番幼いことで雰囲気的には可愛らしい感じを出しているけど、よく見るとすごい顔をしている。ちょっとブス。

 卵の殻を装飾品にしていることから、コイツには最もカリメロ感を抱く。そういえば久しぶりにアニメを視る前からも、小さな鳥キャラアニメとして共通するので本作とカリメロが記憶の中でごっちゃになっていた。カリメロも楽しかったよね。

 

 賢く図太くそしてケチというリアルな主婦感が全面的に出たメトリさんなんかは、ウザイのに愛嬌があって後々好きになってくる。

 逆に金持ちで傲慢なジロリ、その嫁のメメリッチョ、息子のチロリら金持ちファミリーもなんだかんだ愛嬌があって面白い。

 

 たまにキョロちゃんだけが潜り込んで見ることが出来る夢か現実か謎の世界観のエピソードがある。そういった回のゲストキャラは普段の仲間達でなく、特別な面々となっている。

 喋る雪だるまがいたり、田中さんという人しかいない謎の世界の話などの楽しい展開があった。

 その中でも特に印象的なのが、キョロちゃんだけに見える異星人のメンタマルちゃん。メンタマル星からやって来た小さな異星人なのだが、頭が剥げて鼻毛が出たおっさんの見た目なのだ。それでいてお目々は子供のようにくりくり。おやじっちのようなすごく老けたチビのガキって感じ。そしておならをよくするが、それはものすごく甘くて良い香りがするという安全な設定。

 こんな顔で声がものすごく可愛い。で、これは声が若いけどテロップを見る前にあの人だと気づく。そう、若き日の釘宮理恵である。必殺ツンデレ萌えボイスと呼ばれた彼女がその才覚を見出す前のぺーぺーな頃の芝居だ。

 調べたところによると、本作が地上波デビュー作品となったとのこと。あのお声がテレビで聴けた最初の機会か。それってめっちゃレアじゃん。釘宮マニアは絶対に要チェックや。

 このブス可愛いおっさん顔で萌える釘宮ボイスというミスマッチが、見ていく内にはこれぞ正解に思えてくる。脳を騙す釘宮理恵の芝居に注目だ。

 メンタマルちゃんは評判が良かったのか、よその惑星のキャラなのに3度も登場した。最終回にもちゃんと来てきくれたのが嬉しい。

 

 グリグリ警部と怪盗ギロッシュを森田順平が演じている。この警部も結構出番の回ってくる人気キャラだった。そしてマツゲール博士とナレーションは、亡き納谷六朗が演じている。

 森田、納谷のこのコンビが共演とは感慨深い。しんちゃんの新旧園長先生声優という共通点があるからな。

 

 グリグリ警部とは同僚になるニラミ警視がギロッシュ逮捕のため本部から派遣されてくる事もあった。こちらのニラミ警視は、亡き塩沢兼人が演じている。懐かしい。放送途中でお亡くなりになり、途中からは納谷六朗と声優を交代している。

 声優好きならではの見方をすると懐かしい事に感動できる。

 

 物語本編には全く絡まない名物キャラに、メスの棒人間のいさこというキャラがいる。キョロちゃんと同様にこちらも緩くて楽しい本作ならではの看板キャラとなった。

 アニメの最初と最後のみに登場する。最初はテレビから離れて見てねの注意役。最後は次回予告ナレーションで登場する。顔も声も眠そうでなんだか愛嬌がある。なんかこういう謎ポジの名物キャラって妙に記憶に残って好きになる。

 演じたさねよしいさ子は、後期EDソングも担当している。キョロちゃんの絵描き歌はしっかり覚えた。

 

 どこを見ても楽しくて可愛い平和なアニメでとても良かった。親戚の親も楽しんで見ていたと言っていた。それも分かる。

 NHKでやっても良いくらいの安全な名作だった。

 今度久しぶりにチョコボールを買って食べてみようと思う。

 

 

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