こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

可愛く萌える独眼竜剣士「十兵衛ちゃん -ラブリー眼帯の秘密-」

十兵衛ちゃん -ラブリー眼帯の秘密-」は、1999年4月~6月にかけて放送された全13話のテレビアニメ。

 

 放送時期を見れば「だいぶ世紀末だな~」と思える古い年代の作品だと分かる。

 

 タイトルに「十兵衛」「眼帯」とあるあたりから、視聴前からでも柳生十兵衛をモチーフにした面白い話だとは予想出来た。しかし、思った以上にラブリーな感じになっていて、これは意外性抜群の十兵衛アニメだった。それにしても、親の前で見るには恥ずかしくてバカっぽいタイトルだな~と思う。だが、内容は本日見ても結構楽しめるものだった。 

 

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 その昔、柳生一門と竜乗寺一門との間で激しい対立があり、それが現代の日本まで持ち込まれて大きな騒ぎになる、といった内容が描かれる。

 遥か古から現代にまで続く勢力抗争が見える導入部分こそややシリアスに思えたが、話を追っていくと、だんだんふざけた感じになっていくのが分かる。

 死に際に柳生十兵衛は、二代目柳生十兵衛を見つけてくれと部下の鯉之介に頼む。その時に取り出すのが、本作のキーアイテムにして恥ずかしいネーミングの「ラブリー眼帯」である。真面目なシーンと思いきや、ハートの形をした見るからにラブリーな眼帯を出すから笑えた。

 ラブリー眼帯を手にするにふさわしい二代目を継ぐ者の条件は「ぽちゃぽちゃのぷりんぷりんのぼんぼーん」という擬音オンリーで謎のものだった。そんな謎のヒントを残して柳生十兵衛は死んでしまう。

 それから300年もの間、二代目を探して鯉之助は生き延び、やっと見つけたのが「ぽちゃぽちゃのぷりんぷりんのぼんぼーん」の条件をクリアした菜ノ花自由、通称十兵衛である。

「ぽちゃぽちゃのぷりんぷりんのぼんぼーん」ってそういうことか。十兵衛ちゃんこと自由のプロポーションがまさにそうなのである。今見ても可愛いヒロインだった。

 

 なんだかんだでラブリー眼帯をつけ、自由は二代目柳生十兵衛に変身して戦うことになる。この点には変身ヒロイン要素もあるんだな。

 変身すると普段の萌えな感じから一変して格好良い女剣士になる。変身後の格好良く、美しい十兵衛ちゃんも推せる。

 

 柳生家の面倒事を背負うのなんて嫌、というのが女子学生としては当然の反応。二代目を探した鯉之助からすると、ラブリー眼帯を所持する権利を得たことは誉れ高きことらしいのだが、十兵衛ちゃんからしたら迷惑でしかない。てなわけで、序盤ではラブリー眼帯を敵にあげようとしたり、捨てようとすることもあった。

 こんな訳の分からないアイテムの所有者に選ばれたことに対して十兵衛ちゃんが「重い生理がきたみたい」とコメントしたことは忘れられない。かなり憂鬱だったっぽい。

 

 敵も味方も多くの者が一目惚れして十兵衛ちゃんを好きになる展開も印象的。スタイルが良くて可愛いんだな。

 OPにもEDにも自由が自転車で学校に登校するシーンが映っている。健康的にチャリンコを飛ばすヒロイン性も良いよなと思える。

 

 テロップを見てかなり気になるのが「キャラクター原案 むっちりむうにい」という表記。なるほど、むっちりなヒロインではあったと納得出来る。ふざけた芸名だなと思えてウケる。

 

 ラブリー眼帯なんて恥ずかしいものを狙って竜乗寺一門の刺客が毎度送られて来る。刺客がだいたい学校の先生で、そいつを倒すと次の回では新任教師が来て、そいつもやっぱり竜乗寺の刺客というパターンを数回繰り返す。この定番の間抜けな展開にも笑える。

 キャラもおバカな奴や変な奴が多め。上田祐司演じるおバカな番長キャラ、齋藤彩夏演じる謎のお嬢様キャラとかがそう。齋藤彩夏はこの時代なら子役だったはず。古い作品を見て、出演者が今でも現役で活躍していると分かると、芸歴長く続けるのもスゴイことだって思える。

 大地丙太郎作品に見られがちな、謎にしてコミカルなテンションの物語運びもやはり見られた。

 

 300年も続く勢力争いという壮大なテーマを敷いて起きながらも、基本はふざけているアニメなのでリラックスして見れた。ただ十兵衛ちゃんを愛でる感じで見れるものだった。

 

 柳生と竜乗寺の戦いの合間に描かれる菜ノ花家の家族関係を描くエピソードはちょっと真面目で印象に残るものだった。

 菜ノ花家は、お母さんを亡くした娘とお父さんの二人家族として描かれる。

 東京からとんでもない田舎に引っ越してきた後に、柳生のいざこざの物語が展開する。田舎風景に癒やしをもらうというのも作品の良さだった。現在放送作品でいうところの「のんのんびより」三期的なヒーリング効果がある。

 父の職業がゴーストライター専門の物書きという点は変わっている。その昔、家庭を顧みずにゴーストライター業に専念しすぎたあまり、体調不良の娘が危篤状態になるまで助けることが出来なかったことから心に傷を追っているお父さんとして描かれる点はシリアスだった。医者の誤診で妻を亡くしたことから、医者嫌いになっているという点も印象的だ。仕事にかまけて家族を失いかけたトラウマがあることから、普段はコミカルな物言いが多いお父さんも、娘を愛すことには一生懸命である。親子の絆を描く物語性は美しいもので良かった。

 

 十兵衛ちゃんを狙ってくる刺客のくノいちが、亡き妻とそっくりということから、お父さんの恋の物語が始まる展開にもちょっぴりドラマ性を感じた。こんな感じで主人公のお父さんの活躍もなかなか印象に残るものだった。

 菜ノ花家のお父さんを演じたのが、お父さん声優といえばこの人と言える藤原啓治だったのも印象的だ。亡くなってしまった役者だが、やはり良いお父さんといえば野原家のお父さんも演じていた彼の声だな。亡くなってもなお次の時代にその人の仕事が残っていくっていうこの感じ、なんだか胸にグッと来るものがあって良いよな。

 

 そんなこんなで、全体的に緩くてバカっぽい、そして時にホロリと来る要素もちょっとありの楽しい作品だった。

 なんと第二作目もあるというので、そちらも近い内にチェックだ!

 

 

「ラブリー眼帯」ってまあまあのパワーワードだよね。

 

 

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