こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

遠い星からの素敵な贈り物「ジャンボーグA」その2

ジャンボーグA MUSIC COLLECTION

 

PAT(パット)

 PATは、Pro-tective Attack Teamの略称である。

 街で怪獣が暴れ回ると戦闘機で駆けつけて迎撃する正義の部隊として登場し、ナオキとも関わりが深い。

 PATの隊員服はデザイン性が良くとても格良い。一着欲しいくらいだ。

  

 こちらの組織のメンバーも作品を盛り上げる良き仲間達となった。メンバーの入れ替わりが結構激しく、ギリギリの少ない人数で回していた印象がある。

 

 敵のグロース星人はバカで間抜けな侵略者ではなく、すごく悪くて強い。その都合は、多くの殉職者を出した事からも理解出来る。PATは誇り高き戦士が集まる一流部隊だが、その仕事現場は油断すればすぐに死ねる危険なものである。怖いことだが、激戦の中で散って行く戦士達が出てくることに何も不思議はないのだ。

 

 まずはナオキの兄の信也が第一話で亡くなる。隊長が亡くなれば繰り上がりで当時のチーフが隊長になる。

 次には岸隊員が隊長になるが、これも中盤で敵の凶弾に倒れる。

 次には浜田隊員が隊長になる。彼は死亡はしていないが、外国支部行きになったことで日本チームを離れることになる。

 

 新人の風間一平隊員は、任務に失敗した処分として首都から北海道に更迭され途中から姿を消す。更迭処分ってリアルだな。子供には分かりづらい退場の仕方だったろうに。

 風間隊員とナオキは一応航空会社の元同僚の仲であり、喧嘩仲間でもあった。ジャンセスナのメインパイロットの座をかけて殴り合いをしたこともあった。こういう昭和のあんちゃんらしい物理に物を言わせてのボディコミュニケーションが見られるヒーロモノだったのもジャンボーグの特徴。この私もその昔にはよくやったものだ。大きくなってやったら警察に捕まるので自然と卒業したけどね。生命力溢れる風間隊員が好きだった。

 

 風間と同期入隊になったのが大羽 健次。字が全然違うけどJAC大葉健二と読みが同じ名前だ。というわけでスッと頭に入る名前。 

 大羽は全50話ある物語の内、42話目で敵に討たれて逝ってしまう。あとちょっとだったのに、生き残って欲しかったと思ってしまう。

 他の殉職者は、被弾した戦闘機が墜落しての爆死だったが、大羽は等身大状態の敵の攻撃を食らって徐々に弱って死んでいった。戦闘機墜落だと死体も残らず一瞬で終わるが、大羽の死はそうではなかったので印象に残る。

 ピンチになったナオキとかずやを守り、最後のガッツを振り絞って敵に銃弾を食らわせ、その後ゆっくりと死んでいった。大羽の死に際のシーンにはちょっとウルっと来たな。敵基地で亡くなった大羽の遺体を、残ったメンバーが担架で運び出す最後のシーンはリアルで悲しかった。

 

 初回から最後まで生き残って登場したのは、初期メンバーの熊井、野村の二名のみだった。怖い世界だな~。

 熊井隊員は地球パトロール隊員にしては太りすぎでは?と想える巨漢。コメディリリーフの役どころで隊のマスコットだったな。マスコットなので最後まで外せないメンバーだったのだと思う。

 野村隊員は紅一点のヒロインなのでこれも消せない。例えば、科特隊からフジ隊員が消えたら、子供、お父さんを含めた男性視聴者はムサくて見ていられないだろう。ウルトラ警備隊からアンヌ隊員が抜けたと仮定した場合も同じ。やはり野郎ばかりの所に女性を置くことで清涼感を消さない事はテレビ的に大事。

 

 珍しい仕掛けが、円谷プロの前作品「ミラーマン」とコラボしていること。 

 岸隊員の弟役でミラーマンの中の人が友情出演している。登場時にはナオキと一戦交えて「脇が甘い」と弱点を見抜いて指摘している。戦闘において脇が甘い事で共通していることから、ジャンボーグAの操縦をしているのはナオキだと見抜いたすごい観察眼を持つキャラとして描かれていた。前作品のヒーローキャラをやっていただけに扱いが美味しい。

 

 次にはそのまんまミラーマンのキャラの村田隊員、安田隊員が駆けつけることになる。こちらはまんまのキャラなので、ニ作の世界線が交わったクロスオーバーになっている。これは熱い。村田は浜田隊員の後に隊長に就任した。

 こうなるとミラーマンもその内全話視聴しないとな。ミラーマンは田舎のレンタルビデオ屋で3話だけ入ったVHSを借りて見たのみである。ミラーマンも格好良いな。

 

登場メカ

 メインで登場するメカはナオキが操るジャンセスナ、ジャンカーZだが、他のメカニック関連を見ても良い。

 

 気に入ったのがかなり後半で登場するPATの新形戦闘機のハンターQ。戦闘機二機がくっついて飛行可能で、分離して戦うことも出来る。カラーリングもいいな。これのおもちゃを出したのなら、当時の子供に受けたのではなかろうか。

 

 ハンターQと合わせて追加となった車のバモスⅠ世・Ⅱ世も良い。

 ナオキの車もホンダの物だったが、このバモスもホンダの「バモス」という車種を改造したものである。

 バモスと聞いて、そんなのあったな~、ていうか親戚が昔乗っていたと思い出した。調べるとそのバモスであっていた。しかし私の知っているバモスは四角いもので本作に出てくるのとは全然違う。もっと調べると、私が見たことがあるバモスは二代目モデルであり、ジャンボーグに出てくるのは初代だという。ぶっちゃけ初代と二代目で全然見た目が違う。まぁ父と私だって遺伝子がバグったのか?ってくらいに見た目が違うので、よその初代と二代目の見た目が全然違っていても大きく不思議はない。 

 で、この初代バモスを改造したものが何だか可愛い。初代バモスは結構ファンタジーな見た目のデザインで今日日見ないものだと思う。令和になって敢えてコレに乗っている人がいたらセンスが良い。ジャンカーも良いが改造したバモスもイケる。

 

 バモスⅠ世はプロペラがついていて空を飛べる。Ⅱ世は水中を行くことが出来る。ホンダの改造車は高性能で羨ましい。このバモス軍団が格好良いし可愛いし乗りたいしでとても好きだった。

 こうしてバモス批評をすれば、ホンダって会社も長いことあるのだなと感心する。

 というわけでバモスは良い車でホンダは良い会社だと褒めておこう。

 

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OP曲とOP映像

 OP曲が格好良い。イントロから熱いな。運動会の開会式の行進の時にかけたい。

 演奏にサボり無く、ちびっ子向けではあってもチープさは無し。むしろ豪華な演奏で格好良く仕上げている。

 

 OP曲を歌うのは谷あきら。その名義ではあるが、ボーカルを聞けば3秒、いや2秒で子門真人先生じゃないかと分かってしまう。という訳で子門真人が別名義で歌っている。

 

「ジャン ジャン ジャンボーグ!」のフレーズは子供達がすぐに覚えて歌いやすい。今もこの曲を聴きながら書き殴っている。

 歌詞の「叫べナオキ」の部分が好き。ヒーローの名前も主人公の名前も入っているのは珍しい。当時の視聴者の中にいたナオキくんは、この歌詞にさぞ興奮したことだろう。毎週自分の名前を名シンガーに歌ってもらえるとか湧く。残念なことに私の名前はナオキではないので、その感動が如何ほどのものかを想像することしか出来ない。

 

 OP映像の作りが硬派で、この部分は他のヒーロー番組と全然違っている。

 作品のナビゲートとなるOP映像には主要人物を出し、ハイライトとなる熱いシーンを盛り込むのが定石だが、この作品と来たらセスナで空を行く映像をお届けするのみだった。ナオキもジャンボーグも映らない第一話のOP映像をリアタイで見た者は、マジで何だか分からない番組として序盤を見ていたことになる。番組の看板のヒーローをOPに出さないとは硬派だな。

 ウルトラマンだとシルエットだけど怪人やウルトラマンの情報を出したOPだったが、こちらはセスナの飛行シーンだから、どこかの教材ビデオでも見ているような感覚になる。というか今日日の日本の空にセスナを見ることってあるのだろうか。考えてみればセスナって生で見たことがない。

 


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グロース星人

 遠くにあるグロース星からわざわざ地球を侵略しにきた悪者共もまた作品を盛り上げる主役である。

 

 司令官の元で開発された怪獣が街で暴れ回る展開が続く。その歴代司令官は全部で4人。最初にアンチゴーネ、次にマッドゴーネ、サタンゴーネ、デモンゴーネとワルの系譜が紡がれていく。

 

 第一話でアンチゴーネが地球に襲来する。その時に乗っている宇宙船が鉄アレイみたいな形をしているのが印象的。ファミコンハットリくんを思い出す。

 一話目のナビゲートとして、第一の刺客であるアンチゴーネがグロース星人とはどれだけヤバいのかを視聴者に教えてくれる。

 まずは視聴者に向けて地球侵略宣言をしてくる。その時に語るグロース星の侵略活動における合言葉が非常に印象的。その内容とは「殺せ!奪え!焼き尽くせ!」というもので、他所様の惑星に来てやってはいけない事ベスト3を並べたものだった。

「怖っ!クソか!」「道徳観念は死んだのか?」という感想が待った無しで出てくるからびっくり。宇宙規模でジャイアンの発展形みたいな事をやる連中で怖い。道徳心皆無のヤバい種族であることがすぐに確認出来た。

 

 グロース星人は子供にも容赦がない。印象的なシーンは、序盤回で怪獣に子供を襲わせたもの。その時には、地球人の子供はバカだが、大きくなれば皆が脅威の対象になる恐れがある、故にチビの段階からでも手抜かりなく殺るという意志を示す。冷静に悪をやっていると分かる。そして建物を破壊し、子供をその下敷きにして殺そうとするのだった。怖っ!

 

 高度な技術と高い知能を持っていて、それを悪事にフル活用するマジの悪者がやってきた。頭が良くて心が悪いヤツというのは、人間に置き換えても一番怖く、厄介で始末に負えない。

 グロース星人を見て得た気づきがソレだった。こんな子供向け特撮でこのような無駄にディープな気づきを得る私は、見る角度がちょっと変わっているのだろう。

 

 グロース星人がやり手なのか、それともPAT警備がザルなのかは分からないが、とにかくグロース星勢力がPAT本部に潜入してくる展開が結構多く見られた。PAT基地内でカフェをしているナオキの兄の嫁とその息子のかずやも度々襲われることになるのだ。

 後半回では、あまりにも酷い目に合うことから、兄嫁が「夫を奪っただけでもまだ物足りないのか」「どうしてそこまで自分達を苦しめるのか」と悲痛の叫びを上げる。この点はシリアス。

 分かりやすい暴力のみならず、精神的にも関係者をジワジワ追い詰めるグロース星人の怖さが見えてくる。

 

 グロース星人が送り込んでくる怪獣のデザインは秀逸である。工夫が見られるなかなか美しい造形だ。

 送り込まれる怪獣には「キング」の名を冠する物が多く、それだけに皆キング級に悪かったり強かったりするのだ。ウルトラマンシリーズならたまにレッドキング、ブラックキングが来るくらいでキングがレアだが、こちらでは名前にキングの入ったのがゴロゴロ出てくるのでキングの称号のありがたみも薄れてくる。

 

 最後の敵となったデモンゴーネの最後の作戦は、月から地球を攻撃するという規模の広いものだった。月から熱線を放つことで、東京の冬を真夏に変えてしまうというとんでもない作戦だった。

 最終戦に繰り出したジャンボーグ9がデモンゴーネを倒した止めの一撃が、普段の派手な必殺技ではなく、地球を狙う光線兵器のレンズのかけらを拾ってぶっ刺したものだったのは印象的。最後は鋭利なレンズの破片で敵を貫くというリアルな人殺し術だったのはショッキング。デモンゴーネは傷口から、次には口からも大量に緑の血液を流して絶命する。

 ちょっとグロい倒し方かもしれないが、格好良くビームで決めよう!みたいな手段を選んでいられないくらい追い詰められた戦いだったのだ。この最後になるのは仕方ない。

 

 やっと敵のボスを倒して地球に帰ったナオキとPAT隊員は楽しく餅をついてお正月を過ごす。この平和は画をラストカットにすれば良いものを、次には不気味な風景が映る。

 死んで行ったグロース星人の墓を打ち立てたグロース星の風景が映し出され、まだいた生き残りが、いつか地球を必ず侵略してやると意気込む声が聴こえる中で物語は終幕を迎える。

 怖いなぁもう~。しっかり倒されとけや。まだ母星には次に地球配属となる仲間がいたと分かるラストは子供達が見ていて後味が悪いだろうが。

 最終回から約50年が経過したが、今のところ後続部隊は地球に来ていない。がしかし、人類よ安心しきってはいけない。ワルのカリスマのグロース星人は、虎視眈々と半世紀もかけてのセカンドアタックを狙っているのかもしれない。

 

 地球は皆に狙われている。皆に狙われるくらいに良い星なのだ。故に守ろう地球を。ジャンボーグと共に。          

                                おわり

 

 

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