こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

我を空にして煩悩を断つ「超獣機神ダンクーガ」

超獣機神ダンクーガ」は、1985年4月から1985年12月まで放送された全38話のテレビアニメ。他にもOVAシリーズが展開している。

 

 この作品だが、本来なら4クールやるところを3クールで打ち切った形で終了している。

 面白いし決して駄作ではない。そんな本作の打ち切りの理由は、アメリカに超合金を流しすぎたために日本でグッズをしっかり売り出すことが出来なかったからだという。町外れのオタクには「は?」な事情があったようだ。

 とにかくアニメとグッズ、双方のヒットは作品を盛り上げる上では大きな要素となる。大人の事情がそこにはたっぷり詰まっているのだ。世知辛い世の中である。

 

 

 ダンクーガと言えば、かつて夢中で遊んだスーファミソフト「第4次スーパーロボット大戦」で鍛えまくったことを思い出す。断空剣、断空砲を使いまくって敵を蹴散らしたことは良き想い出。

 そんなダンクーガだが、そういえばアニメを見たことがないし、そもそもどんな話だったのかも良く知らない。

 獣を模したメインの4体のロボット、そしてそれが合体して出来るダンクーガがとんでもなく格好良いこと。主役キャラである獣戦機隊の4人は皆ビジュが良くて好き。それくらいしか想い出がない。

 

 結構前にBD-BOXが出ていたと知り、夏と秋の微妙な間を行くこんな時期のお供として楽しく拝見した。

 

 内容は知らないままにずっと心に残る想い出のダンクーガがしっかり見れて良かった。

 退屈せずに見れる面白いアニメだったと思う。

 

 そんなわけで感想を殴り書く!

 

超獣機神ダンクーガ Blu-ray Disc BOX 1

 

 宇宙より地球侵略を企むムゲ帝国に対抗して立ち上がった獣戦機隊の戦いの物語が綴られる。

 

 敵勢力は強大なものであり、第一話の段階で地球はかなり攻め込まれている。

 一話で忍や沙羅達の所属する基地が敵の襲撃に合う。その騒ぎで基地はもうまともに可動出来なくなり閉鎖となる。そこから各員は残存部隊にそれぞれ配属となる。

 結構過酷な状態からの皮切りとなった一話だった。

 

 敵も普通に兵器で攻め込んでくるが、中盤では人の精神に感応することで同士討ちに持ち込むなどのスピリチュアルにしてセコい手も打ってきた。怖い。

 

 メインの4人のビジュは今見ても良い。獣戦機隊は美男美女構成なんだよな。この時代の絵も良い感じに古臭くて好き。

 

「やあぁぁってやるぜ!」のセリフで有名な藤原忍は目つき鋭きイケメン。もっと荒くれ者なイメージもあったけど、意外と弁えたお兄さんである。

 演じる矢尾一樹の暑苦しい男気を出した芝居が好き。ワンピースのフランキーを演じた時にも「やあぁぁってやるぜ!」を言ったことがあったので、その時には上がったな。

 

 ヒロインの結城沙羅は可愛い。この時代だと攻めたドピンクヘアーのヤンキー系お姉さんである。スケバンとかの時代だったのかな。可愛いヒロインだが、そんな感じで尖った要素もあり。ガールズバンドの「SHOW-YA」あたりにでもいそうなルックス。

 

 実はお坊ちゃまの式部雅人はややショタ枠。

 お姉さんをナンパして遊んでいたことで獣戦機隊への合流が遅れたというエピソードは軍人にあるまじきフザけっぷりでウケる。

 基本はチャラいガキって感じだが、正義心を持ってお坊ちゃまを脱して軍人になったガッツがある。父の反対も押し切ってよくやったと思う。

 アントニオ猪木を思い出す赤いタオルを首にかけている。おしゃれさんだな。

 

 私の推し機ビッグモスに乗り込むのが司馬 亮。

 あんな見た目で隊に合流するのに遅れた理由が武者修行というのが意外。座禅を組んで精神統一をしたり、若い割には悟りきった冷めた言動も見せていろいろと意外。

 今は亡き名優 塩沢兼人のムカつく程のキザ男の演技はお耳に心地良い。本当にこの手の喋りを行うキャラがはまっているなと思う。

 

 個性にばらつきのある4人チームなので、揉めたり仲良しだったり状態にムラはある。イゴールのオヤジと葉月博士は連中の統制に苦労するのである。

 

 

 視聴者が最も熱中する要素はやはり登場ロボットの存在にある。

 イーグルファイター、ランドクーガー、ランドライガー、ビッグモスのメイン4機は何れも格好良い。

 

 普段は飛行機、戦車など乗り物の形状をしているが、戦闘となれば人型、そして搭乗者の野生のボルテージが上がれば獣の姿にも変形が可能。可変型戦闘機である点には燃えるものがある。

 スパロボでも気力値がたまらないと獣の状態になれないので、そこは原作とマッチしていたのか。

 

 

 ランドクーガー、ランドライガーのデザインには、忍者戦士飛影の黒獅子やゴライオンのライオンマシンの感じもあって格好良い。

 

 イーグルファイターのアグレッシブモード時の光の突進は、スパロボでも格好良くてたくさん使った能力だ。アニメでもツッコんではズバズバ敵を切断して気持ち良いくらいに活躍していた。

 

 ビッグモスはマンモスを模したロボで他と比べて圧倒的にデカい。そして超格好良い。4機の中なら一番いいな。

 ダンクーガに合体したらほとんどがビッグモスと人々から言われるくらいにダンクーガの面積を広く持っていく重要な機体だ。

 ライガーとクーガーで両足の先だけ、イーグルも小さいから頭部のみ。あとはビッグモスだからな。役割が均等ではない。この要素がビッグモス界隈でのちょっとしたいじられネタなんだよな。

 

 肝心のタイトル機のダンクーガだが、なんと1クール待ってもまだ登場しない。獣戦機隊が初合体を成功させたのは第16話でのことだった。そういえばスパロボでもなかなか合体まで行けなかったと思い出す。

 獣戦機隊自体が若い軍団であり、ダンクーガのプロジェクトもしっかり完成を迎えないままの立ち上げとなっているから、各員のレベルアップや解析をゆっくり行わないと合体まで漕ぎ着けないという事情は分かる。それでもこんなにメインのロボットの登場を焦らす作品もそうそうないだろう。

鉄人28号」の漫画を読んだ時に、27号の話はするのに28号はいつ出てくんねん!となったのを思い出す。鉄人もなかなかの視聴者焦らしロボットだったな。

 

 しかし、待ちに待った末に合体して誕生したダンクーガは最強に格好良い。黒いボディが映える。
 初期だと空を飛べず、敵からは弱点としてそこを突かれるようになる。そうなると飛行ユニットを取り付けての応戦となった。

 マジンガーZの時もそうだったが、飛行ユニットを装着して初めて空を飛んだ時には興奮するものがあった。空を飛ぶダンクーガも超格好良い!

 

 途中で合流するアランの乗り込むロボットのブラックウイングも格好良い。アランもイケメンだった。

 イゴールのオヤジとアランの間で揉める親子関係にもドラマ性がある。ローラを守って絶命したイゴールは格好良かった。

 

 沙羅と肩を並べての二枚看板となったもう一人のヒロインのローラのことも忘れられない。特殊な立ち位置のキャラで、結局このキャラの役割はなんだったのかとしっかりはっきりと分かりづら点もある。でもとにかく可愛かったので良い。

 攻めたギャル性のある沙羅と違い、ローラは清楚で可憐な落ち着いた金髪ヒロイン。そしてロリ枠。

 イゴールは、守るべき最も若き命としてローラをどこまでも守った。そして地球の未来を繋ぐ希望だとも言っている。可愛いローラから「おじいちゃん」と呼ばれたことで、イゴールのオヤジもキュンと来たはずと予想する。

 ローラには、正義の部隊が守るべきものの象徴という意味合いがあったのではと考察出来る。あとは痛ましい戦争から出た戦災孤児でもあることで、事の悲惨さも伝えたかったのではとも思う。とかなんとか言った後にもう一度言うが、可愛かったのでいる理由はそれだけで良い。

 ローラが度々歌う「ハーモニーラブ」の歌は心に滲みる。

 

 

 メインの見所は忍達4人が乗り込むロボットのアクションシーンにあるが、もう一つある濃い要素は第一話でこちらを裏切ってムゲ帝国につくシャピロの存在。

 ヒロインの沙羅とシャピロは恋人同士の関係であり、一緒に軍を抜けて敵に寝返ろうとする。しかし戦闘の騒ぎの中、沙羅の機体は被弾して共に脱走は出来なくなる。沙羅は軍に残って獣戦機隊に配属となり、シャピロはムゲ帝国に入って順調に幹部の座へと上っていく。

 恋人の二人が敵と味方に別れ、愛憎の末に撃ち合うことになる。こんな大人なドラマ性も見える。

 まず最初に気になる要素としてコレをぶっ込んだ導入部展開は意外な出来になっていた。

 

 非情にも愛を捨て、神の座に着こうと我道を突き進むシャピロはちょっと怖いけど、メインどころを持っていく存在感の強い適役として悪くない味を出していた。

 ムゲ帝国に入ってからは、ビジュアル系バンドの人みたいな攻めたファッションになっているシャピロの進化にも注目できる。

 

 ムゲ帝国に行けば、女幹部のルーナとちょっといい感じにもなる。ルーナのことを振ったために後半では逆襲にあってしまうのは色男の罪だった。

 愛だ恋だで女供を振り回したシャピロが、まずはルーナにダメージをもらい、沙羅にとどめを刺されるという末路を辿ったのは因果なのかもしれない。

 複雑で七面倒臭い大人のラブの展開は、当時これを見ていた子供達にとって難しいものだったかもしれない。だが、私としては結構好きな愛憎劇だった。

 あと後期ED映像だとシャピロが主役になっていた。

 

 

 ドラマ性重視で大人が見ても楽しめる作風にもなっていると思う。主人公たち4人それぞれの視点で見せる人間ドラマには、群像劇のテイストが取られている。

 

 ゲストキャラが頻繁に死ぬことで、激戦であることがよく伝わった。

 大人が逃げ出した後の軍事基地を居残った少年兵だけで守るエピソードでは、少年兵が殉職する悲惨な落ちが用意されている。

 忍達4人が卒業した士官学校が攻撃にあい、指導官だった爺さんが殺されるエピソードも重めだった。

 

 一番悲しくも心が震えたのは、忍達にとって兄貴分だったゲラールの兄貴の死を描くエピソード。敵に特攻して勇敢に散っていくのだ。

 最後の出陣にお供させてくれと名乗り出た後輩軍人に対し「ただでさえ金の無い軍に勲章を二つも作らせる気か!」と言って同行を拒否した言動には男らしさと愛を感じてグッと来た。玄田哲章の太い兄貴声にも燃えるものがあった。

 

 

 頼もしい戦力だったアランを失いつつも進む後半の激戦は、38話ではまとまらず、敵幹部とボスのムゲも残して終わっている。

 これっきりだったらマジで無念の未完作品に仲間入りだったが、そこはOVAでの補完となっている。OVA発売がなかったからファンはやりきれない想いに浸ったことだろう。ファンからの願いの声も受けてのOVA展開になったという。

 打ち切ったことから、せっかく作った後期OP、EDの楽曲と映像はわずか5回しかされていない。こんなこともあるんだ。

 

 最終話の39話にあたるOVAでやっと決着が着く。

 ボスを討つために異次元に旅立った忍達はどうなったのかというところから始まる。

 スパロボなら連発していた断空剣がここで初登場。これでボスを貫いてエンドとなる。

 断空剣ってテレビでは遂に未登場だったのか。初めて知った。もっと初っ端からズバズバいくのだと思っていた。

 

 

 そんな訳で色々あった末にちゃんと終わって安心できたダンクーガの思い出を終わろう。

 

 これの更に続きを描いたOVAも面白い。ダンクーガは奥の深い格好良いロボットアニメなのだ。

 

 

 

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