こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ジャンパーを着てアイツはやって来る「特捜ロボ ジャンパーソン」

「特捜ロボ ジャンパーソン」は、1993年1月から1994年1月まで放送された全50話の特撮テレビドラマ。

 

 その昔、私のお兄ちゃんがジャンパーソンの愛車ダークジェイカーのおもちゃで遊んでいたことを思い出す。なので存在は知っている。しかし私は本編を見たことが無かったので今更見ることにした。昨今は無性に古い特撮が楽しみたいという定期的に来る例の周期に入っている。

 

 気合の入った一昔前の特撮には、マジに火を起こす演出がよく見られる。ジャンパーソンでも攻撃を受けたり入れたりすれば火花が上がるし、車を豪快に燃やすシーンもあった。最近はパソコンで火を出せるから、マジの火をしっかり見るのも今だと逆に新鮮に思える。

 

 ジャンパーソンといえば、皆大好き「嵐」のメンバー二宮くんもチビの時に見ていたというのが一部では有名な話。かなり前の「VS嵐」で小さい頃に見ていた。しかもスーパー戦隊と勘違いしていたと語っていた。二宮担からジャンパーソン担にまで降りた殊勝なアラシックも幾人かいたとか、はたまたまったくいなかったとか。

 ジャンパーソンは、あの二宮くんを育てたコンテンツの一つでもあるのだ。その実績は本作が良い作品であることへの裏付けにもなるだろう。そう、ジャンパーソンはとても格好良くてとても良い作品。

 

 前作エクシードラフトが終わり、それまで三作続いたレスキューポリスものも完結を迎えた。ここからメタルヒーローシリーズは、また新たな分野に挑戦することが必須となる。

 仮面ライダーウルトラマンなどとは一線を画する面白い挑戦的要素が濃く見えるのがメタルヒーローシリーズの良さ。今作でもよその特撮と差別化を計るための色々な面白い点が見えた。

 

 大変面白く格好良い文句無き作品だった。50話+劇場版もあったのに4日で見てしまった。

 

 てなわけでジャンパーソン、または帯刀総裁風にポップに呼ぶとジャンピーの戦いの歴史を見た感想を殴り書いていくぜ!

 

特捜ロボ ジャンパーソン

 

ジャンパーソン

 ジャンパーソンはとにかく格好良い。

 今回のヒーローのジャンパーソンは、過去作のジバンよりももっとロボコップ感が強い。

 ジバンの中身は人間だったけど、こちらのジャンパーソンは、タイトルにもある通り純粋にロボであり、人間が変身しているのではない。変身ヒーローではないマジのロボが主役という点では、メタルヒーローシリーズの中でも異質なポジションを取ったといえるだろう。

 

 主役ヒーローのカラーリングが紫という点もなんだか珍しい。これは挑戦的なデザイン性だったかも知れない。

 中盤から登場するガンギブソン、後半から参戦のビルゴルディの方がメインを張るデザインやカラーにも思える。私はガンギブソン派かな。

 

 ジャンパーソンを初めて見た感想はシンプルに綺麗だということ。そして相棒のガンギブソンはイケメンだなぁ~と思った。

 

 ジャンパーソンは悪者共が出てくれば退治する正義のヒーローロボット。そこは一貫して描かれている。だがこの作品も放送スタートから色々と魅せ方の調整をして正解を模索していた感が見える。

 

 序盤だと二人組の刑事、女性記者が固定メンバーで登場。加えてなにかしらの悪事に巻き込まれる人間達がゲストで登場する。序盤だとむしろこちらの人間達の物語を各話の中心として描き、各話中盤か後半らへんになるとどこからともなくやって来たジャンパーソンが悪者をぶっ飛ばす感じの展開が見られた。

 二人組の刑事の内、「桜田門バットマン」の異名を取ることでコウモリと呼び間違われがちな小森さんは面白いキャラで好きだったのに。でも、ここらへんの序盤固定キャラは割と早期に一掃され、レギュラーの顔ぶれが変わってくる。

 

 どこからともなく来てまた帰って行くジャンパーソンの謎については、2クール目から明らかになる。それまでは急に来るさすらいのヒーローだった。どこでどうやって作られたロボなのかをここまで長いこと教えないという展開も印象的だった。

 序盤のジャンパーソンの持つ謎めいたヒーロー性にはそそられるものがあったかもしれない。

 

 ジャンパーソンは、全身緑色の戦闘ロボとして生まれた。有能ではあるが、初期だと善悪の判断が怪しい状態で、とにかくターゲットを無慈悲に狩るヤバさがあった。後に科学者のヒロインかおるのサポートによって紫色の心優しき戦士になる。

 

 ジャンパーソンは自らの生い立ちについてトラウマ的な想いを抱いている。戦闘用ロボの性から、中盤ではかつての好戦的な自分の声が頭に響いて自己のコントロールが上手く出来なくなる。この点にはギルの笛に抵抗することで苦悩するキカイダー的要素が見えて良いではないか。

 過去に傷を持つ影のあるヒーロー性にも痺れるものがあった。

 孤高のヒーローならではが心に宿す孤独が見えるドラマ性にも良さがあった。

 

 同じく戦闘ロボだったエンジェルが登場する第15話は泣ける回で大好きだった。

 ここでジャンパーソンが、自分と似た生い立ちを持つエンジェルに向けて「どう生まれたかよりその後どう生きるかが重要」と言ったシーンにはグッと来るものがあった。

 ロボながらも愛と正義を持つジャンパーソンには惚れ惚れする。

 

 中盤からは敵側出身の2丁拳銃が格好良い相棒のガンギブソンが仲間入りする。ここからはバディものにも見えて良い。

 理知的で冷静なジャンパーソンとは対照的に、実直で熱血で感情的に動くガンギブソンがいる。この対比も面白い。ガンギブソンのアクションの方がより人間臭く、ケツの青いガキのようにも見える点が愛しい。

 パワーよりも性格的な問題からガンギブソンの方が負傷、被弾することが多いイメージがある。追い込まれて内部メカから火花が上がり、ボディからは煙も上がるガンギブソン負傷シーンには萌えと燃えの両方がある。

 以前、特撮好きお姉さんとして有名なしょこたんが、ヒーローが追い込まれてメットが割れる現象が好きだとテレビで話したことがあった。あれの感じで、私も各部が破損して追い詰められたジャンパーソンやガンギブソンを見るとなんだか興奮する。

 

 ジャンパーソンの愛車ダークジェイカーの黒と紫が混ざった歪にして美しいカラーリングは素晴らしく良い。

 

 後半では見なくなったが、前半だとジャンパーソンはジャンパーを着て車を運転して来る。そしてアクションモードになると勇ましく脱ぎ捨てるのだ。名前の由来ってジャンパーを着ているからなのか。服を着て来るロボも珍しい。

 

 

嫌いではない悪者共

 ジャンパーソン、ガンギブソンの戦いがメインの見所だが、この作品においては敵対する悪者共の動向も絶対に気になるもので目が離せない。

 

 まず最初にはギルドというロボットを使って悪さをするロボット帝国が登場する。謎のビジュアル系お兄さんのベン藤波がボス。

 人間そっくりのロボがいて、そいつが他の人間といつの間にかすり替わって人間社会で生きている。これをあちこちで行い、社会の内側から静かにロボが人間に成り代わって世界を回すという恐ろしい作戦を展開するのだ。知らない内に知っているあの人がロボと入れ替わっているなんて考えるとぞっとするお話だ。

 

 ジャンパーソンは相手がロボはじめ化け物ならその場でスナイプして消してしまう。人間なら手加減もしてやり口は工夫する。

 そんなジャンパーソンだから、サクッとベン藤波の放ったロボ共も消してしまう。

 第一話でジャンパーソンに一度邪魔されただけでめちゃくちゃ怒っているベン藤波の元気な切れっぷりが懐かしい。

 ビックリなスピード展開だが、あのベン藤波率いるギルドは第二話でジャンパーソンによって壊滅させられてしまう。これから一年間付き合う据え置きの悪者じゃなかったのかよとツッコんでしまった。

 

 ここからがまた面白い。

 まずはベン藤波の兄のジョージ真壁がボスの「ネオギルド」が次なる悪として産声をあげる。兄弟なのに名字違うのかよ。しかも似てないしと色々気になる。腹違いだから名前違いにもなっているらしい。

 この手の作品は一つ倒したらまた次の組織が出てくるものだが、本作はそうはいかない。

 ネオギルドと同時期に、綾小路麗子率いるスーパーサイエンスネットワーク、通称「SSーN」、やり手の社長帯刀がボスの「帯刀コンツェルン」が登場する。

 

 ロボットを使った侵略で国家転覆を狙うネオギルド、科学と悪がコラボした新進気鋭の悪者軍団SS-N、とにかく悪い帯刀コンツェルン。こんなヤバい軍団が一度に3つも登場するのだ。これでワクワクしないわけがない。

 正義のジャンパーソンがいて、他に3つの敵組織が社会の表でも裏でも同時に蠢く。勢力が4つもある状態で展開する独特の物語が楽しめる。

 

 各組織の作戦の物語、そしてそれぞれのボス達にも愛着が湧くのだ。

 ジョージ真壁は実は人間であり、人間社会に復讐してロボット側に着くだけのキツイ生い立ちを持っていることが後に言及される。ドラマがあるよな~。

 

 綾小路礼子も深いドラマを持つキャラで忘れられない。

 特撮界だとセクシー&ダークヒロイン枠で有名な高畑淳子が演じている。この人ってずっと妖艶な感じで年齢不詳感があるんだよな。

 

 地球を壊す人間こそが悪であり、そんな人間を植物の肥料に変えて地球の環境を再生させるというのが礼子の野望だった。礼子のエピソードの中に見える地球を愛する者の真意には、シリアスな環境破壊問題も見えて考えさせられる。

 涙を流しながら8ミリテープの映像を見て「私の地球が泣いている!」と叫んで絶命したラストは名シーンだった。このシーンでの高畑淳子の熱演ぶりは良い。

 

 それから礼子の手下にエンケンこと遠藤憲一演じる小悪党がいたのも記憶に残る。平成初期の特撮にちょこちょこ顔を出す人だよな。

 

 クセのある悪者だったのが帯刀。

 社会の表ではやり手の社長として成功を収めている。表の征服だけで満足しておけば良いものを、どうせなら裏でものし上がってやろうと思い影でも悪さを働く。

 悪者なのだが、時より見せる無邪気な感じがなんだか愛せてしまう社長だった。そこを好いてついてくる部下も多い。

 毎度高そうなペロペロキャンディを舐めて無邪気にはしゃぐ姿は印象的。そんな無邪気さを含む悪事の成し方に、狂気性とカリスマ性を感じるのだ。これは良いキャラ。あと声がイケボである。 

 

 当時現役だったスーファミで帯刀が遊んでいるシーンは、スーファミ好きとして印象に残る。帯刀の遊んでいるタイトルは「龍騎兵団ダンザルブ」。微妙にマイナー作品である。

 中古屋で割と見るもので、なんとなく買って押入れに放り込んだままにしている。とりあえず買っているので、今度私もこのゲームを遊んでみようかなとか思う。

 

 他にオタク的に反応するのは、過去シリーズ作のメタルダー、ジライヤにもあったコンバトラーVのアニメを見ているシーン。

 かおるの弟がコンバトラーVを見ているシーンがある。コンバトラーのアニメの中に、見た者が攻撃的になるよう仕掛るための映像が巧みに挟まれる。これはアニメ本編とはまったく関係のないものである。これにより、いわゆるサブリミナル効果を引き起こすことで、視聴者を凶暴化させるという恐ろしい電波作戦が展開されるエピソードがあった。この事件にも帯刀が一枚噛んでいる。

 実際の話をすれば、いつぞやはシティハンターでも例のヤバい教祖が一瞬だけ映るというサブリミナルというか、唯のおふざけがあったというので、こういう事は意外と効果的に人をその気にさせる戦術になるのかもしれない。いや、やっぱり無いか。

 

 このシリーズに出てきがちな悪の方に回る出来るOL達がここでも登場。帯刀は複数人の美人秘書を従えている。この美人秘書達は作品に華を添えるだけの存在ではなく戦闘にもめっちゃ参加して来る。これが強い強い。剣をぶん回す戦闘秘書のマヤは、最終回まで暴れ回る恐ろしい美人秘書だった。中盤で召されたセーラもイケてる美女だった。

 

 帯刀の一番の注目所は、後半からビルゴルディに変身するようになること。まさか彼がこのような戦士になるとは思わなかった。

 悪の魔王ビルゴルディもジャンパーソン、ガンギブソンに劣らず超絶格好良いのだ。

 ビルゴルディになるための改造を受けてからは、帯刀の人間的な部分がなくなり、マジに心の冷たい悪のカリスマになってしまう。この変化はリアルだが寂しい。ペロペロキャンディを舐めないし、スーファミも遊ばなくなってしまった。

 

 序盤こそフザケた飴男だった帯刀だが、なんだかんだで悪の3大組織の中では最後まで生き残り、作品のラスボスになった。

 最終回の予告で「ジャンパーソン、ビルゴルディ」を何度も繰り返して叫ぶナレーションには燃えた。

 大雨の中で各員が大立ち回りする最終回の最終決戦は激しいもので記憶に残る。

 

 

 

 

 そんな訳でジャンパーソンはとても面白かった。

 人間とロボットが相互に理解し合い、良いバランスで社会共存する。そんな理想の世界がテーマに見える世界感は、現代向きなものかもしれない。当時だとロボットとの共存なんて強めのファンタジーだったろうに。本編に出てくるパソコンとか携帯電話とかめっちゃ古いし。

 途中でキャストを一新したり、同時期に活動する敵組織を複数出したりと、斬新な挑戦も見れた。こうしてあれこれ模索して答えを導き出す挑戦の精神が見える感じは良かった。

 

 そろそろジャンパーを押入れから取り出すくらいの時期だ。そんな時にジャンパーを着た紫の素敵なアイツに会えて良かった。ありがとうジャンパーソン。

 

 

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