こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

キリコの驚異の生存力を見よ「レッドショルダードキュメント 野望のルーツ」

「レッドショルダードキュメント 野望のルーツ」は、1988年3月19日に発売したOVA

 

 先にレッドショルダーのラストを描いたOVAを出してしまっているが、こちらはそっちと比べるとファーストといった感じ。時間はかなり巻き戻って、これまでのテレビシリーズ、OVAを含めて最も古い時間軸の物語が描かれる。

 時間軸の古い話なだけに、未来でお亡くなりになる方々がまだ元気。レッドショルダー部隊が現役の頃なので、怖いペールゼンはもちろん、グレゴルー、ムーザ、バイマンの3人の仲間達も生きている。「ザ・ラストレッドショルダー」でキリコと小隊を組んだ盟友の3人がOPから登場する点には感激。4人で並んでいるのが格好良かったぜ。

 

装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ

 

 レッドショルダー部隊は、テレビシリーズ開幕時だと既に解散した恐怖の伝説となっている。恐ろしいその名は本編の各所で聞くことが出来るが、視聴者的にはまだまだしっかりと全貌が見えないまだ謎の残る組織だった。その点に踏み込んでしっかり見せてくれる内容は興味深い。

 在りし日のレッドショルダー部隊の活動容を辿ることが出来ることから、まさにこれぞドキュメントと呼べる作りだと言えよう。

 

 新入りの適性テストの段階でマジで酷い事をやってのける部隊だなと思う。レッドショルダーに入る段階でも、死物狂いの戦いを越えて行かなければならない。改めて酷い所だな。

 

 屈強なる戦士のみで構成された最強部隊を仕上げる。冷徹なまでにその信念を貫くペールゼンのおっさんが怖い。悪者ボスの声といえばで思いつく声優 大塚周夫の芝居のためにもっと怖い。これが上司なら近づきたくない。

 

「ザ・ラストレッドショルダー」だと、やんわりとしたファミリー感も見えたキリコ、グレゴルー、ムーザ、バイマンの4人の関係性が見えた。しかしこちらでは、客員の角が取れて丸くなる前の世界が描かれるため、本作の段階ではキリコは皆に全然馴染んでいないと分かる。

 むしろなんだか怪しいヤツとして3人から警戒された末、キリコはボッコボコにされている。3人が銃や手投弾持ってキリコを追いかけ回す展開もあるし、下手をすればキリコを殺している。後にチームを組んでペールゼンに挑むことになる4人だが、若い時にはかなり揉めていたと分かる。すったもんだの末に育まれるチームワークもあると分かったぜ。

 

 ペールゼンの方では、この段階から既にキリコは異能力者なのでは?と疑っていた。

 リアルロボット枠の中でもよりリアル性の強いボトムズで扱うにしてはファンタジックな要素が、キリコの持つ異能生存体という設定。キリコの生存率は異常なまでに高く、負傷しても回復が早い。生に愛され死に忌避されるキリコは、なんだかんだあってもとにかく死なずに帰ってくる。死神でも自分の命は取れないとロロノア・ゾロが言ったことがあったが、キリコもそれに同じだろう。

 

 このOVAの中だけでもキリコは何回か死んでいてもおかしくはないのだが、ことごとく神に味方されて生き残る。不屈のソルジャーたるキリコのスタート地点が分かる。マジでどんだけ死なないの?と思ってしまう。

 

 キリコって兵隊になる前にはどこで何をしていたの?と思うユーザーは多いはず。そこの謎もペールゼン調べの情報で見えてくる。謎の人物であるキリコの深堀りを行う展開は興味深い。

 自分の過去を恐れ、記憶に蓋をするキリコの焦りが見えるのも印象的。

 本作においては敵だらけのキリコに一人味方する今回のみの相棒カースンの存在も記憶に残る。自分の過去を知るようキリコに水を向けた人物だった。

 

 テレビシリーズのサンサ編で語られたレッドショルダー舞台による殺戮作戦の内容についても迫っている。サンサ編でキリコを執拗に狙ったゾフィーの旦那と子供が殺された事件がコレだったのかと分かる。テレビシリーズで触れた事件内容の補完にもなっていた。

 

 とにかく死なないキリコの血みどろの青春が見える良作ドキュメントだったぜ。

 

 

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