こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

そしてまた孤独「装甲騎兵ボトムズ 孤影再び」

装甲騎兵ボトムズ 孤影再び」は、2011年に発売されたOVA

 

装甲騎兵ボトムズ 孤影再び

 

 新生ボトムズ3部作企画のトリを飾るのは、キリコが主役のいつものボトムズ

 

 描く時間軸がこれまた微妙な所で、「赫奕たる異端」と「幻影篇」の間のエピソードとなっている。

「赫奕たる異端」の後日談となっていて、またマーティアルとかの面倒な厄介事が起きている。

 戦士としての道を強く歩むテイタニアの人生の最後までが描かれる。メインのキリコはもちろんだが、こちらではテイタニアの動向にも大変注目出来るものがある。本作だと実質ツイン主役って感じだった。

 

 粛清ということで、テイタニアは組織から命を狙われる危ない身にある。

 ネクスタントの彼女もPSのフィアナのように、やはりキリコに惹かれるらしい。キリコに加勢して戦うテイタニアの姿は勇ましく、痛々しくもある。

 被弾した彼女の体内から流れる血は、ウルトラマン怪獣やピッコロさんのような青色をしていた。せめて赤だったらと呟くテイタニアを見ると、妙にじ~んと来るものがあった。これが人間とおさらばした改造人間の持つ悲哀なのか。

 

 キリコも何かを感じてか、テイタニアの想いに答える。ATでの戦闘中に、キリコがテイタニア機に銃を投げ渡すシーンにそれが見えた。あのシーンは格好良かったな。激戦地に臨む強者ならではの心の交流が見えた。テイタニアは女子だけどイケメンで生き様がクールで良いんだよな。

 

 緑色の出血をしたあたりから、もう彼女は助からないのだろうなと軽く予想も出来たが、最後はやはり逝ってしまう。

 下半身が吹っ飛んで上半身しか残っていない彼女を抱くキリコに、戦場の愛を見た。妙なシンパシーに惹かれて接触したキリコの腕の中で逝けたのだから、テイタニアも成仏したと思う。

 儚く寂しい女戦士の最後だったが、これが美しい散り方にも見えてグッと来るものがあった。

 

「幻影篇」だとテイタニアは声のみの出演になっていた。もっと出てこいやと思っていたが、ここで死んでしまうから出なかったんだ。松岡洋子のクールな声も良かったな。

 

 テイタニア最後の戦場でのバトルシーンも迫力満点で格好良い。

 ローラーで砂地をシュンシュン駆け抜けるAT達のアクションは優雅。あれって砂が詰まって止まったりしないんだろうか。

 

 キリコはやっぱり強くて無双している。ショルダーミサイルを打ち込んで、単機ながらも戦艦を数機落としていた。ショルダーミサイルの発射シーンが格好良い。

 

 黒い稲妻旅団という厄介な連中が登場する。彼らの使用する黒い稲妻専用機は、頭部のアンテナがギザギザして稲妻っぽい形になっている。この仕様はちょっとおしゃれでいいな。

 

「幻影篇」でちょこっとだけ顔見せしたココナ、バニラの子供達が、こちらではもっと長めに映っている。二人の平和な家庭も見えて良いし、子供達も結構しっかりしているのが分かった。

 キリコと久しぶりに会う際、おばさんになってしまったことを気にして恥ずかしがるココナがちょっと可愛い。おばさんになってもおちゃめなココナにも安心。

 ゴウトもおじいちゃん的な感じで家族にしれっと混ざって人生をエンジョイしていて良かった。

 

 フィアナの亡骸が宇宙に放たれる悲しいシーンがある。宙を舞うフィアナのカプセルを地上から見る最後の機会にも、キリコはテイタニアから目を離さない。ここだけはフィアナよりも、死を直前に迎えたテイタニアを優先して行動するキリコに、男の優しさを見た。良いではないか。

 

 キリコはどこまでも例外だから抜きにして、他に登場したPSやネクスタントのような特殊な人間は、皆普通の人間のように長生き出来ずに死んでいるんだよな。基本的に異能者であれば、常人のような穏やかな人生は送れないという儚さが見えるのがボトムズのひとつのポイントだよな。

 テレビ版最終回でコールドカプセルに入ったフィアナとキリコを見送った後、ココナが二人は幸せになれるのかなと言い、それにバニラは幸せになれると答えた。あの最終回から迎えた結果がこのような悲しいものになった事にはちょっと心をやられる。

 また宇宙に流さえることになるフィアナや、テイタニアの最後を見ると、色々と思い耽るものがあるよな。

 

 キリコは異能生存体であることで人よりも孤独を背負うことになるし、その上で皆から30年間置いてけぼりを食らった状態でこれからを生きることになる。これは孤影だよな。こんな変わった人生を送る人間はいないよな。

 

 この作品もかなり楽しめて良かった。キャラの成長や色々あった末の最後も見ることが出来た事に満足だ。

 

 

 これにて、先日発売したボトムズBD-BOXに収録された全シリーズを見終えた。一番長いテレビシリーズを除いても、すごい数が作られている。テレビ以降のなんだかんだをかき集めれば、アニメ1年分くらいボリュームになる。

 すごいな。サンライズには、ガンダム以外にもこれだけ色々とシリーズ展開した作品があったんだな。

 

 映像特典だけでもかなり時間があった。

 何気に面白かったのは、LD-BOXのスペシャルビデオ。こちらでは、スタッフとロッチナが対談する奇跡の実写とアニメの融合が実現されている。

 ロッチナの方で用意したスタッフのパーソナルデータの「前科」の欄に、これまで手掛けたアニメ作品名が表記されていたことに笑えた。

 実際に出演してむさかったからもっとマイルドな作りに出来なかったのか、おっさんばかり出してもっと美男美女で戦えなかったのかなどなど ロッチナなのにふざけた質問をスタッフにぶつけて来るのに笑えた良い作品だった。LDの時代って、改めて古いアニメだなと思える。

 そういえばあのビデオでは、ロッチナも続編が作られるのはガンダムだけではないと 明言していた。

 ロッチナが主役のあのビデオはかなり面白くて好きだった。

 そんなわけで、「孤影再び」には出てこないロッチナも推せる熱いアニメがボトムズだ。

 

 銀河万丈は、ロッチナ役と共に次回予告、PV、CMナレーションも担当している。BDの特典映像にある数々のPVやCMを見ても、彼のナレーションが良い味を出していることが確認出来る。ボトムズ節とでも言うのか、異様な熱が籠もった毎度の印象的な台詞回しがくせになるものだった。そんなわけで、この作品を盛り上げた重要な要素として、銀河万丈のナレーションの存在も記憶に濃く残る。銀河万丈無しでは語れないシリーズ作品だなと気づいた。

 

 ここ10年間は新作が上がっていないので、BD-BOXを出した勢いでそろそろ新作でも作れば良いのにな。もうやらないのかな。

 

 この冬はボトムズで長く楽しめたな。また新作があることを祈ってボトムズの振り返りを終わろう。

 

 

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