こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

新しい可能性を発見しに出る「ボトムズファインダー」

ボトムズファインダー」は、新生ボトムズ3部作の企画で作られた内の一作。2011年発表作品である。

 

 一番「新生」の感じが強く、世界観がこれまでのどの作品とも異なる新鮮なものになっている。

 ファインダーとは発見者という意味があるので、まさに新たな可能性の発見を実現したコンテンツだと言えよう。キリコのやつとは大きく雰囲気が異なるこちらの斬新な作風も個人的には気に入っている。

 

ボトムズファインダー

 

 

 主人公達はすんごい崖の底でジャンク屋をしている。初見だと、まじでココはどこなんだってなる。

 まず崖の底に人間の世界があり、そのずっと上の崖を昇った先の世界にもまた人が住む世界が広がっている。そんな高低差のある人間の分布が見える謎の世界観となっている。不思議だ。

 

 主人公少年のアキは、崖の上の世界に興味を持ち、何かあればボゥ~と空を見上げるのが習慣になっている。そこを幼馴染ヒロインのエイビィにツッコまれるのである。エイビィの健康体から放たれる健全な色気は好ましいものだった。広橋涼の元気な乙女の演技も良い。

 

 崖の上の世界のお偉いさんから、逃げ出したお嬢様の捜索依頼を受け、アキ達は洞窟調査をしてお嬢様と見つける。がしかし、依頼人の方が実は悪者で、お嬢様は悪者共に捕まってしまう。お嬢様の騎士のディアハルトと組んで、アキはお嬢様ヒロイン奪還の旅に出る。という内容を約40分でお届けしている。

 

 この世界だと登場ロボはアルトロと呼ばれている。で、省略表記はAt。

 足裏にローラーが仕込まれていてシュンシュンと移動出来る点を除けば、こロボはこれまでのボトムズロボとはかなり雰囲気が違っている。

 ドラム缶の感じがするズングリな旧作ロボと比べるとかなりスタイリッシュで、アキの乗り込むAtはボトムズというよりもキングゲイナーの感じがする。これはこれでアリな思い切ったイメチェンがロボデザインに見られる。ちょっと可愛い感じもあってむさくないのだ。

 そういえば「装甲騎兵」を冠していないんだよな。装甲騎兵のお硬い感じも弱めなポップな白いマシンが目立つ新手のボトムズシリーズとなっていた。

 

 今回はロボ同士だけでなく、野生でそこらにいる巨大シロアリとのバトルも見所となっている。モンハンのボスみたいなマジの化け物が急にぶっ込まれるから、なんだかファンタジー感も強め。襲いかかるシロアリの迫力はなかなかのもので楽しい。

 

 Atで絶壁を上る途中にシロアリから襲撃を受けるシーンには緊張感があった。というかこの壁昇りシーンはマジで怖い。高所恐怖症の人は見ない方がいいかもしれない。

 上の世界を目指して崖から落下して死んだ人間がこれまでに6人いるという恐ろしい情報も出ている。何でこんな変なところに住んでいるのだろう。

 

 崖の下と上とで世界観が極端に分かれている。文明をあまり感じない寂しい崖の下の世界と比べると、上の世界には行き過ぎたビッグシティが見える。思い切った作りの世界観でこれは面白い。ロボや世界観の作りが面白いものなので、もっと続きがあっても良かったな。

 

 アキを石田彰、ディアハルトを森川智之が演じている。この二人の共演は強い。今だと、どちらも「鬼滅の刃」に出ているな。

 

 ボトムズというワードは作中にも登場する。で、ディアハルト達上界の者からすると、崖底に住む「ボトムズ」という連中はディスりの対象になるらしい。アキが上界の者に握手を求めた時に、その反応が濃く見える。

 最初はアキの握手を拒んだディアハルトだが、共に闘いを越えた末には、グローブをはずした素手でアキと握手するようになる。二人の間に芽生えた友情を確認出来るこの流れが作品のハイライトだったな。

 

 捕まっている時間が長い金髪お嬢様ヒロインのターンが少なめなのはちょっと惜しい。演じた折笠富美子のヒロイン声は好きなので、もうちょっと喋りが聞きたいところだった。

 

 変わった世界観と、戦いの中で芽生える男の友情がサクッと楽しめる一作になっていた。

 

 残念ながらコレ一作でこの世界観の作品は終わっている。決して悪くないものだったので、またこんな感じの斬新な作風に挑戦して欲しいものだ。

 

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