「ゆるゆり、」は、ゆる~くゆりゆりするのが一生愛しいあのマンガの連載10周年を記念して制作されたOVA。2019年に発売された。
タイトルの「、」には、10周年を意味する「ten」をおしゃれ&ユニークに表記したい意図があるという。なんか可愛いアイデア。
10周年というめでたい節目を受け、あの名作を再び映像化したいというプロジェクトが動き出したのが2018年のこと。テレビ放送ではなく、クラウドファンディングで金集めをしてOVAを出す流れになったのだが、これがびっくり。予てからの目標額など余裕で突破してのものすごい金が集まったという。
すごいなぁ、おめでたいなぁ。この作品になら惜しみなくドカンと投資出来るという人間が五万と、あるいは十万といた証拠だからな。そんなわけで、長年シリーズが組まれたゆるゆりというコンテツが、いかにオタク心を掴む強いものであるのかがよく分かった。
私はこのクラウドファンディングに一円も金を落としていないが、あかりんやちなつちゃんに会える素敵な季節がまた巡ってくるのなら、財布の紐も緩くなると納得は出来る。
そんなわけで、多くの人に愛された結果生まれたのが「ゆるゆり、」である。需要、供給がマッチした上で出来た無駄要素無き愛しい一作であると言い切れる。
最近では、見て損したから歴史が巻き戻るのなら作らないで欲しかったという酷い感想がすぐに浮かぶような困った作品も少なくない数上がってくるので、それを思えばゆるゆりはなんて綺麗な作品なんだと思える。
このプロジェクトへの感動はここらへんにしておいて、肝心な中身を振り返ろう。
久しぶりに見て、「そうだそうだ。こんな感じの特になにも起きないまったりさがこの作品らしさだった」と思い返すことが出来た。
相変わらずあかりんは可愛く、ちなつちゃんの腹黒さは一周回って面白く、きょうこはうるさい。こいつらの暴れた個性を整理するゆいちゃんは大変だ。
10周年だ!ということは登場キャラクター達にも周知のことであり、いつものメンバーで祝の席を儲けてダラダラやるという、テレビシリーズと同じテンションが楽しめるOVAになっていた。
これで良いのだ。ごらく部とか生徒会を含めた彼女らに、いつもと違う特別なんて求めない。ただ、ゆる~くゆりゆりしてダラダラしていて欲しい。それを眺めるのが至高というコンテンツなのだから。
それにしてもごらく部ってなんだよ。意外性ありすぎるだろうが。令和に入った今でも馴染みの無い変な部活が10年も継続したわけか。
あと、絶対に可愛いんだけど、こいつらの着ている学校の制服は久しぶりに見ても何か変。
ごらく部が原始人のノリでごっこ遊びをするアホ展開、モザイク無しには事が進まないちなつちゃんのポイズンクッキング、生徒会メンバーも迎えてのワイワイ騒ぎを順に見せていく。
何人でじゃんけんをしても絶対に一発で負けれるあかりんの残念ヒロイン要素がもろに出る展開には笑ってしまった。負ける度に変なテンションにギアが入って壊れていくあかりんも面白くて可愛い。
ゆるいを脱したガチゆりのあかりんのお姉ちゃんも後半にちょっと出て来て良かった。基本は安全な作りの中に、このようなデンジャラスな人物も実は混ざっているという点は、ピリリと美味しいスパイスになっていて良い。堀江由衣がやんわりと危険人物を演じる点もレアいくて好き。
京子と彩乃ペアも良いが、作中一位のカップリングはやはり櫻子と向日葵だな。この二人が仲良く喧嘩するのがまた見れて良かった。それまでベストなゆりカップリングといえば、セーラームーンの海王みちる、天王はるかペアが長らくトップを取っていたが、あれ以来すごいのが来たなと推せるのが櫻子と向日葵(全部個人の心の中のランキング事情である)。
やはりこのシリーズは良い。素人でもなんとかイケるきつくない範囲のユリ、そしてギャグ、あとは向日葵のおっぱい、各要素が相まって諸々丁度良い作りになっている。
今後もまたテレビシリーズをすれば良いと思う。令和時代でも元気に鼻血を飛ばす千歳の姿がまた見たい。
ゆりも立派なおたく文化になったものだ。ゆり文化をポップなものへと昇華させることに一役買ったこの作品の功績はとにかく小さくはない。いや、むしろデカい。
コレ用に新しくごらく部で歌も歌う豪華な作りだし、総合的に楽しいOVAだった。
ありがとう、ごらく部。
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