こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

安息地の地を目指して「聖戦士ダンバイン」その2

キャラが良い

 この作品のキャラが好き。見れば思わず語りたくなる魅力的なキャラがわんさかいるではないか。

 主人公のショウ・ザマももちろん良いが、仲間のニーやマーベル、敵側のトッドやバーンも人間性として良い味を出している。敵キャラも含めて好きになるキャラが多い。

 

 マーベル・フローズンがメインヒロインポジを持っていったが、これが美しいアメリカ人でとても良い。18歳の設定らしいが、そうとは思えないくらいに落ち着いていて、絶妙にエロい。アメリカ人だが、禅で精神統一を行うという弁えた戦士の心得を持っている。私もちょっくら真似してみよう。演じた土井美加の色っぽい声はすごく好き。声に特徴があるよな。

 

 私としては女性ならマーベル推しで、男性ならニー・ギブンが推しかもしれない。女子だとシーラ様やガラリア、ミュージィもイケるので選考の段階から楽しい。

 主人公のショウも悪くないが、イケメン度はそこまで高くない。顎を怪我して縫ったような痕があるのが特徴的なキャラだった。大人しそうに見えて意外にもバイク乗りのあんちゃんで空手の使い手でもあるショウは、日本では結構やんちゃだったのかな。だから顎に傷があるのかもしれない。

 最初は戦士として未熟な点もありなショウだったが、戦いの中で迷って悩んで強く成長していく等身大な進化も見えることで好感の持てるキャラだった。日本に一度帰還して両親と袂を分かつ時には、悲しみの中でも最大限両親のその後を配慮した良き言動に出た。この点は大人である。

 ぎゅっと濃縮した人生観が詰まったことで完成されたショウの人間性は主役にふさわしいものだった。最近はこういうのが無いんだよな。ファンタジーでもゆとり世代ということで、シナリオにおいて敢えて成長の場数を踏まない人間が増えたから薄い人間ばかりになっている。そこへくるとショウは、しっかり生きた若き命であると言い切れる。やはり同じように視聴するなら熱い人間性が楽しめる方が印象深くなってくる。だからダンバインのキャラは良い。

 とかなんとか言っていると、現代アンチのイカレ野郎認定を受けそうだが、現代ならではのノリだって愛せる部分はある。だってこの私が現代っ子なのだから。

 

 バーン、トッド、ニーが上位イケメンキャラだった。

 主役はショウだったが、ニーも冒頭からラストまで通して登場する戦士だった。割とゼロに近い所からスタートし、最後には戦士として大成するニーのサクセスストーリーとしても楽しめた。ニーもまた主人公だったと言えよう。

 最初はまだまだ青臭いキャプテンだったことから、失敗を重ねることもあった。加えてリムルを助けたい一心から空回りを起こして皆に非難を浴びることもあった。

 ショウ以上に異世界主人公向けスキルの「モテ男」の要素を持っていることから、マーベル、ニー、チャム、リムルにも好かれていた。コイツも主人公キャラでイケる出来だった。ていうかニーのようなピンク髪の男キャラっていうのも珍しいな。

 戦力、火力面共にドレイク軍と比較して不利だったのに、最終的にニーは予てからの本懐だったドレイク討伐を果たす。ショウでもマーベルでもなく、そこはきっちりニーにやらせたのが良かった。

 最終戦の前には、敵の激しい攻撃を受け、愛機であり自分たちの家でもあったゼラーナが太平洋に沈められることになる。この時に思わず泣いてしまうニーだが、すぐに海にもぐって涙を流して立ち直ったのは男らしかった。

 

 ニー特有の物語ルートがリムルとの恋にあった。敵国のボスのドレイクの娘がリムルである。まるでロミジュリのようでラブロマンスに拍車がかかる。敵国のお姫様とのラブの要素はいつの時代もウケが良い。

 このリムルをなかなか助け出せないのにハラハラドキドキし、同時にストレスも感じた。リムルを城から連れ出すのに数度失敗し、リムルの方から脱走しても兵隊に連れ戻される。一度はゼラーナと合流するもまた連れ戻される。リムルもかなり冒険しているお姫様だった。

 ニーとリムルのラブな話も作品の注目点だった。

 

 ダンバインは女性が強い。そこが良い。

 Zガンダムの時にも思ったが、ここでもまたタイプは様々でもそれぞれが強く魅力的といえる女性キャラが光っていた。

 屈強な男共を率いるカリスマ性を持つシーラ・ラパーナ、エレ・ハンムは強いお姫様で良かった。これにリムルも並べると、それぞれ違ったお姫様像を楽しめた。

 シーラ・ラパーナの達観した女王感は格好良い。高潔で清潔でめっちゃ可愛い。一番萌え度の高いヒロインだったかもしれない。

 若いのにしっかりしていることで兵士もよくついてくる。最終戦前には、自分は良き兵に恵まれたと女王様冥利に尽きる感動を味わって涙するシーラの姿を見ることが出来る。これがまた美しく、そしてこちらも泣けて来た。

 

 エレ様は最初こそ割りとお転婆娘だったが、親や祖父の死を越えて着実に良きリーダーへと成長していった。エレが後半にあれだけ重要な役回りになるとは思わなかった。

 左右にチョココロネをくっつけたような唯一無二のヘアスタイルは、当時の女子達に新鮮な刺激を与えたのではなかろうか。この髪型にもまたファンタジー要素があるなぁ。コスプレとかでこの髪型は実現可能なのか。重力とかなり戦っている。

 頭上のチョココロネの効果もあってか、エレのオーラ力はバーンのハイパー化を抑えこむくらいにすごかった。

 思わずチョココロネが食いたくなるヒロイン性を持つのがエレ・ハンムだった。

 

 悪者だったけどガラリアやジェリルもとにかく強く、弱くない女子だったことでグッとくる。

 ガラリアは「第4次スーパーロボット大戦」なら仲間に出来た。バストールはマックス改造してラストステージまでお世話になった。そんな訳で思い出深い。

 アニメだと主要キャラの中では随分序盤で退場してしまうことにショックを受けたぜ。

 

 ジェリルは女性ながらも作中で初めてハイパー化しためっちゃ強い戦士だった。スパロボでもデカいレプラカーンが強いし、攻撃が当たらないしでめっちゃムカついた。マーベルに突っ込んで行って、ヒロインは自分一人で良いと強気に言っちゃうところが好きだった。

 マシンに乗って故郷のダブリンに帰ったジェリルが、現代のジャンヌ扱いですごい人気者になっているのが印象的だった。ショウだったら全くウェルカム体勢を取られず銃を向けられたのに対し、ジェリルは民衆の人気を集めるやり手だった。

 ジェリルの醸し出すどうしようもなく危険なお姉さま感が良かった。たまには危ない道を行きたいという命知らずに受けるヒロイン性があった。

 

 ショウとはずっとライバル関係にあったバーン、トッドとの関係性も良い。

 トッドとは一緒に召喚され、命がけの友達として長い付き合いになった。トッドがエル・フィノに言ったショウは「命がけの友達」はパワーワードであり、彼の名言でもある。

 トッドがショウの事をジャップと呼ぶのが印象的。ジャップという言葉はこのアニメを見てトッドから初めて学ぶことになった。

 

 序盤だとショウはドレイク軍にいて、バーンの下についていた。ごく序盤だと二人が木陰で仲良く喋って飯を食っているシーンもあった。こんな二人が色々あって最終回まで戦い抜く関係になるとは、当初だと予想出来なかった。

 バーンはエリートの感じを見せながらもかなり撃墜されていて、マシンを幾度も乗り換えることになる。相当悔しい思いをしてきた戦士で、作中では一人悔し泣きをしているシーンもある。こういう弱さを魅せることで女子はグッとくるのかもしれない。

 後半からはガンダムにありがちな覆面キャラの黒騎士として登場するが、めっちゃバーンですぐに正体が分かる。その点はキャストもオーディコメンタリーで突っ込んでいた。

 バーンを演じたのは若き日の速水奨。こんなに古い作品なのに、この時点で既に完成されたイケボでしっかり演じている。とにかく声が良すぎる。ガキの頃からこんなにいい声だったのかな。

 

 本編でのターンは短めだが、スパロボでは地味に強くて割りと濃い目に存在感を出したのが、ガラミティ、ダー、ニェットからなるユニット「赤い三騎士」だった。こいつら好きなんだけど、誰か分かるヤツいないのかな。

 ガンダムの「黒い三連星」をめっちゃ感じさせるオマージュポジションキャラだった。赤いビアレスで組むコンビネーション技のトリプラーが格好良い。

 

オーラバトラーという芸術品

 昆虫を象ったオーラバトラー各機のデザインはガチで秀逸だと思う。巨大ロボットにしてはコンパクトで、ボトムズみたくデカすぎないリアル思考ロボだった。

 メカメカしくもムシムシ感があるオーラバトラーを見れば、ムシキングメダロットを愛した世代が反応しそう。メダロットってオーラバトラーからちょこっとくらいはヒントを得ているのかな。

 

 小ぶりな部類のロボットだけに動きが良い。スパロボでもオーラバトラーは機動性が高く、避けて攻撃しての成功率が高かった。

 どれもこれも格好良く美しい。格好良いより美しいと強目に思ってしまう。美の要素たっぷりのロボ達が作品の最大の売りだ。

 これを異世界に持ち込んだショット・ウェポンは天才的芸術家だな。それから思うことが、作中にショット、ビショット、ゼットと似た名前の奴らがいて最初は覚え分けが難しい。

 

 主役機のダンバインはもちろん良いが、カミキリムシっぽいダーナ・オシーとかもピカイチだな。ゲームではザコの部類になるてんとう虫感のあるドラムロもしっかり格好良い。ボチューン、バストールのシュッとして細みのロボも美しい。

 ビアレス、ライネック、レプラカーン、ズワァースも格好良かった。スパロボEXだとトッドが簡単に仲間になり、ライネックやビアレスをこちら側でも使えて嬉しかったなと記憶している。

 ロボットを見れば名作揃いだった。全部プラモを揃えて並べたいくらいだ。

 

 Zガンダムの時もそうだったが、ダンバインからビルバインへ主人公機が交代する展開には燃えた。

 Zガンダムでは人型と飛行機型に変形可能なロボがわんさか出たが、こちらでそれが可能なのはビルバインのみだった。飛行機にもなれるのはやっぱり格好良い。てか私ってばZガンダムも大好きだな。

 ラスト数話のみ迷彩カラーになるビルバインのもう一つのカラーリングも渋みがあって良かった。バビル二世のロプロスが赤から金に変わったあのカラーチェンジ感を思い出した。ビルバインは何色に塗ってもイケる。

 

ここにも見える皆殺しの美学

 イデオンZガンダムのように、こちらの作品でも後半でめっちゃ人が死ぬ。特にラスト二話では、一体いくつもの命が太平洋の空に散っていったことか。そのレベルで主要キャラのあの世行きリレーが始まる。

 やはり地上の外から来た異物は、地上から綺麗に消さねばということなのか。

 

 戦士達が戦場に熱き魂を沈めるいくつもの命の幕切れに胸熱くなるドラマを見た。死に際に見る物語の盛り上がりにも注目出来る。

 特にラスト展開に対する想い入れがたっぷりだ。

 

 ラストバトルより一歩早く逝ってしまうトッドの最後は個人的にグッとくるものがあった。

 トッドは長らくショウとライバル関係にあり、終始敵側の人間だった。道徳心に乏しく普通に悪い所もあったが、母親想いだったことでしっかり嫌いになれなかった。

 ハイパー化したライネックが大破する寸前には、「いい夢を見させてもらった」と言い、それに対してショウはこれがいい夢なわけがないと返す。そしてその後、爆発の中でトッドが最後につぶやいたのが「ママ」の一言だった。この最後は良い。

 人生の終わりに走馬灯を見て、それが最新から最古にカウントダウンしていく方式であれば、最古の物語は命の誕生を迎えた母体にある。うむ、こうして思えば、母想いな我々好青年が命の最後に思い出す心の風景は、やはり愛すべき母の姿なのかもしれない。トッドのラストママには説得性があるというもの。

 色々あったけど、バイストン・ウェルでの生活を共にスタートさせた元同僚の死に涙するショウの真心にも泣けるものがあった。

 トッド・ギネスは最後にボストンのママに会いたかっただろうに……とか思ったら眠れない夜を過ごす事になった。

 

 ドレイクを撃って大成したニーだが、その前には相棒のキーンを失い、愛したリムルまで失うことになる。ここも結構衝撃的。

 キーンの命が燃え尽きてオーラーが弾ける時に、ニーの名前を叫ぶのが切ない。キーンはおデコ全出しの髪型が悪かったが、父を失った悲しみを乗り越えて強く生きた良い女だった。高田由美の綺麗な声が好きだった。

 

 リムルがまさか毒親のルーザに討たれるとは、しかも銃弾で脳天を打ち抜く即死確定の処刑だった。

 後になればこの最後のフラグ立てだったのかと思えるシーンが序盤にあった。シルキーを奪い返しにショウがドレイクの城に潜り込んだ時、諦めて帰らないのならリムルを殺すとルーザがリムルを人質に取る怖いシーンがあった。母が子を討てるはずがないとショウもニーも暗黙の内に考えていた。まぁ当たり前だし。

 ルーザもその時には人質ははったりで、我が子を銃で撃てるわけがないと言う。しかしラストでは、自分で言ったそれを破って子供を撃ち殺した。前半のやり取りがあったからこそ、真逆の行為に走ったリムルの処刑シーンが邪悪に光って記憶に残る。

 これは先にこのオチを考えておいて上で、前半に母親の子供殺しはありえないのセリフを言わせたのか。だとしたら、諸々を裏切ったリムルの最後に更にゾクリとしてしまう。いずれにせよスパイスの効きまくったルーザとリムルの物語だった。

 

 リムルの死体を前にしたニーが、泣きながらボチューンのオーラバルカンでルーザを蜂の巣にしてしまうシーンも胸が傷んだ。なんだかんだあって遂に結ばれずに終わって行った二人の物語のオチが切ない。

 

 一方で最後に結ばれた感じがあって良かったのがショットとミュージィ・ポーのラスト。空中を舞うミュージィをスプリガンから手を伸ばして掴むショット。ここには戦場のラブロマンスを見た。

 やり手の女戦士として覚醒を迎える前のミュージィの前職が、リムルの音楽家庭教師という考えようによっては色っぽいものだったのは印象的。ピアノの先生からここまで出来る兵士になるとは、初登場からはまるで予想出来なかった。

 どこから見ても死角無く切り揃えられたミュージィの髪型は芸術だった。珍しいけど好きな髪型だったな。

 

 マーベルの最後をショウが知らないという点が切ない。ピンチでもショウを送り出し、切ない独り言を口にして一人逝くマーベルは大人の女性だったな。大丈夫だからという言葉を額面通りに受け取って先に行ってしまうショウはちょっとお子様だな。主人公とヒロインのこのすれ違いは残念な結果になるけど、ドラマとして味があって良い。マーベルは終始良い女だったな。めっちゃ好きだわ。

 

 そして太平洋ラストバトルはショウ、バーンの一騎打ち。

「俺は人は殺さない、その怨念を殺す!」は、ショウ・ザマがその生涯で残した最後の名台詞だった。ここはスパロボFだときっちりボイス入りシーンとして収録されていた。それだけに最後の美味しい所。

 バーンもあれだけ酷い目にあってきた最後にはエリート戦士の意地を見せた。ガラバでビルバインをボロボロに追い込んだ最後のガッツは凄い。

 

 あれだけやりあった結果、皆死んでしまう。シーラの願った通りオーラバトラーと悪しきオーラは一掃され、最後にはチャムのみが生き残る。生き残ったチャムは、軍艦を抜けた後に一体どこでどうやって生きたのか、そんな事を思うと胸がキュッと締め付けられる。なんて切ないエンドなのだろう。

 合間に現実の要素もしっかり挟んだが、最初と最後はきっりちファンジタックに飾った点が良かった。物悲しげではあるが、あの最後は悪い後味の残らない綺麗なものとも言える。

 

 最終回のサブタイトルがショウでもなくバイストン・ウェルでもなく、チャム・ファウだったのはこのためかと最後に分かる。

 序盤から何度と無く読み上げられた若本ボイスのナレーションが、最終回のオチに繋がっていたのだ。最初からオチのフラグがあったと分かるここには鳥肌も立つってものだ。

 

 若本氏はナレーションの他にも聖戦士のアレン、その他いろんなモブでずっと参戦していた。実は影の立役者でもある。

 まだ現在のようにユニークな巻き舌喋りを確立する前の彼は、普通に綺麗な声でナレーションを読んでいた。巻き舌封じの若本ボイスはとても綺麗だとお勉強が出来るアニメでもあった。

 随分人気者のようで、メインキャラとして本編には絡んでいないものの、オーディコメンタリーでは、役者陣が若本氏の名前を上げて彼の思い出話もしていた。愛のある現場で良い。

 

 このオーコメもすごく聴く価値がある。歴戦のやり手役者達が揃って若手だった本作の収録エピソードを聞くと、なんだかウルリと来る。若い時に精一杯やった仕事を、歳を取ってからゆっくり冷静に、それもかつての仲間達と笑い合いながら行うとかとにかく素敵やん。良いよな~この感じ。良い仕事を良い時間だったと振り返って、それを仲間と共有できるなんて素敵すぎて泣ける。

 

聖戦士ダンバイン ビルバイン 1/72スケール プラモデル

 

 というわけでめっちゃ良かった。一回見たのにも拘わらず、二回目視聴の今回の方が燃えたな。それからMIOの歌うOP曲も良すぎ。

 

 ダンバインを見た素敵な日々を覚えている者は幸せだ。ゆえにミ・フェラリオに語って聞かされる必要がないくらい、いつまでも覚えていよう。

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