「テラーズ2」は、2000年に発売されたワンダースワンソフト。
ワンダースワンってなんですのん?
もう世間的にはそんな風に言われてしまう古びた発明になってしまった。
素敵なゲーム機だったが、20年もあれば時代と人間、そして文明が変わる。こうしてあの日のフロントラインも下がりに下がって古のロストテクノロジーになって行く。そんな時代の切なさを感じつつ、22年前のゲームを遊んだこの秋。
だいたい1年くらい前に「1」の方を遊んだ。それからは、なんだかんだとやらなければいけない事、別にやらんでも良いけどこちらでどうしてもやりたい事に追われ「2」を放置状態だった。
1をやった勢いで2もやろうと思い、押し入れの比較的手前に出したのは良いが、そこからまた熟したな。こうして積みゲーで大山が出来るわけだ。ホント助けて欲しい。
せっかくなので1、2共に箱説付きで揃えている。不気味感を演出した両作ジャケットを見て、ホラーが苦手な私のお兄ちゃんは「どっちもきしょい」と言っていた。
秋の夜長にはちょっと読み物を楽しもう。それも微妙に怖いのが良い。そう思ってやっとテラーズ2をプレイした。
意外にも当時のユーザーにウケたんだな。シリーズ化して2が出るだなんてちょっと凄い。
で、やってみるとちょっとパワーアップしている。
ゲームボーイもそうだったように、ワンダースワンも白黒を脱してカラフルな時代に入っていくことになる。こちらはワンダースワンカラー対応ということで、前作の白黒写真とは違って色がついている。といっても、やはり画像出力を行うには機器のスペックがゴミすぎてせっかくのカラーなのにガビガビだな。
前回プロジェクトから継続して、恐怖シナリオの中でアイドルを輝かせるということをやっている。こちらにもやはり当時の若手有望株が顔出ししている。でも上述の通り画質が荒くてアイドルを写すには見栄えが悪い。今思えばこの機器で売り出すなんて、せっかくのアイドルに悪いだろう。
ソフトの初回特典として、出演するアイドル達が写ったカードが入っていた。
ほぅ、誰だか分からない人もいるが、その昔にはこういうアイドルがいたのかと勉強になる。今でいうところのめるるとかみちょぱみたいな人達かな。
アイドル出演者の中で知っている名前といえば、眞鍋かをり、平井理央。あとは村田あゆみという名前があるが、声優と歌手をやっていたあの人のことなのか。ゲストで安岡力也も出ていた。有名人が結構出ていたんだな。
眞鍋かをりはこの仕事をやったことを覚えているのかな。このすぐ後くらいにはウォーターボーイズに出演したはず。
色があるだけのことで画質が悪いし、音も悪い。でもそれがデジタル極まる今の時代だと逆に不気味で、奇跡的に良い演出になっているとも言える。単調で音質の悪いBGMも、恐怖演出として結構良いアシストになっていた。
いざプレイしてすぐの気付きが、選択できるエピソードが少ないこと。1は5本あったシナリオが今回は3本に減っている。しかし、その分物語のボリュームがアップしている。内容としても結構楽しくて退屈なく読めた。一話を2時間くらいで読めたと思う。3つの物語をクリア後にはおまけで4本目のシナリオが登場する。
ではさっとそれぞれの物語をまとめていこう。
怨霊郷
男女2人ずつ、計4人の大学生グループが、すごい田舎に旅行に行ったら恐ろしい事件に巻き込また。そんなお話。
50年前に田舎でとある事件が起きた。その犠牲者の怨霊が現代に生きる者達に復讐を仕掛ける。事件関係者が順に謎の死を遂げる中、主人公は複雑な事件の謎を解いて行く。
黒い影
3人組アイドルのメンバーに襲いかかるストーカーの影がある。ストーカーから隠し撮り写真を送られたり、家に盗聴器を仕掛けられたりと、結構行き過ぎたキモいストーカー被害にあうことになる。
まずは身近に確かにある狂人による恐怖が描かれる。加えて謎の男Xの怨霊、その昔自殺したアイドルの2つの都市伝説めいた噂が絡み、事件は意外にもオカルティックな方向へ向かっていく。
果たしてアイドル達は無事に芸能活動を続けることが出来るのだろうか。
闇夜
主人公少女の祖父の訃報から物語はスタートする。
祖父が死んだと知った日、主人公は祖父とその友人らの幽霊を見る。幽霊が何を伝えようとしているのかを辿るオカルティックな物語が展開する。
主人公が祖父から聞いた奇病にまつわる昔話と、主人公との今が絡み合って物語は怪しく進行していく。
X・ナイト
クリスマスイブの夜、学校の女子寮に暮らす生徒3人は、寮にまつわる怪談を検証するため寮内をうろつく。
悲鳴が聞こえる部屋、異次元とリンクするエレベーター、自殺者が出がちな屋上の恐怖、選択肢によっていずれかの怪談の検証を行うことになる。
いくつか「黒い影」とリンクする点があり、どうやらあれの前日譚の模様。
↓
各章で恐ろしい人間の犯行、恐怖の霊が起こす事件が描かれる。リアル性あり、オカルト性もありの2層のホラー仕立てで見せていく。
「怨霊郷」では、登場人物が嗜んでいた文通が事件解明の鍵になっていた。文通ってのも今日日聞かないしやっている人もいないだろう。今だったらSNSで遠くの人ともメールで気軽にコミュニケーションが取れるし、その気になれば即日会って何でも話せるものな。
前作ではマンションの騒音問題から殺人事件にまで発展するリアル性強めの内容を扱っていたが、今回だとアイドルのストーカー要素がそれだな。
パソコンが今ほど普及した時代ではないが、ファンサイトへの不正アクセスという要素も出てくる。ストーキング行為も少しずつデジタル化が進んで行ったのだな~とやんわり歴史を見ることが出来る。ストーカーってのは古い時代からも社会問題になっていたのだな。
感染症持ちの家畜の肉を食って奇病を発症させる内容には「狂牛病」の要素が見える。親に聞くと、このくらいの時代に狂牛病の騒ぎがあったとか。当時の旬なネタとしてシナリオに落とし込んだのかな。
4つ目は短いが、最初の3つのエピソードはどれも長めでエンディングが多い。
とにかく人が死なないハッピーなルートに行き着くまでの難易度は高いと思う。最悪の場合、関係者はもちろん、自分も死ぬルートに行き着くことになる。
この作品独特の恐怖感度メーター「テラーズポイント」を気にするのは前回同様のこと。選択肢で正解を当てるのに慎重になるのも当然のことで、ここにキャラクターからの好感度ポイントを稼ぐことも関係してくる。可視化されない恐怖度、好感度によって選択肢が当たっていても望みのルートに入れなことがある。古いゲームでしょぼい作りの割には入り組んでいやがる。フラグ立てが結構きつい。
1の時も同様で困ったが、なにせこのゲームは古いしマイナーということから、ネットにだって情報がたくさんは転がっていない。何をどうすればハッピーな未来に続くのか不明なので、とにかく根気で色んなルートを掘り起こすしかなかった。なんでだよ、ワンダースワンってそんなに嫌われていたのか。
前回からの反省、改善が無くて困ったのが、2周目に挑戦する上でシステムが悪いこと。
既読テキストのスキップはおろかオートも無し。ずっと画面を見てボタンを押さないといけない。時間がかかりすぎる。途中セーブデータは一つしか作れない。
ルート開拓作業を行うにはストレスだなぁ。そこはラジオとかを聴きながら対応した。
時間がかかりすぎてシンドいので全エンド出しはしていないけど、とりあえず各話の謎が解けて人が死なない平和なエンドを出すだけで良しとした。
ストーリーの数を減らした分、各話の質を上げることが叶い、結果的には楽しかった。
システムやスペック面ではクソだったかもしれないが、味があって良いゲームだと言える。レトロなホラーも時には良いものだね。
というわけでホラーノベルのテラーズシリーズ2作は結構推せる。
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