こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

次なる朝日になれ「ウルトラマンレオ」その 1

ウルトラマンレオ」は、1974年4月から1975年3月まで放送された全51話の特撮テレビドラマ。

 

 先日ウルトラマンタロウを見た流れに乗っかって次なるシリーズのレオも視聴した。 

 ライトでポップに楽しめるタロウから結構テイストを変えてお届けするニューウルトラマンとしてこちらもしっかりと楽しめた。

 

 より大人向けなドラマ性が楽しめるレオの物語は大変私好みだった。当時のタロウユーザーならテイストの違いにやや困惑したかもしれない。だがこっちはこっちでしっかり良い。やはりウルトラ熱は終わらない。

 

 そんなこんなで、獅子の瞳を輝かせながら全51話をだいたい1週間で楽しんだ。その感想とかその他関係のない話とかを書き殴っていこう。

 

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内容

 地球防衛を担当していたウルトラセブンは、レッドギラス、ブラックギラスの双子怪獣、加えてマグマ星人の攻撃に倒れる。

 戦いの傷は深く、モロボシ・ダンは変身能力を失い、右足を負傷し杖での生活を余儀なくされた。

 

 地球には、おゝとりゲンが変身する次なる戦士ウルトラマンレオが登場する。

 

 地球防衛チームMACの隊長であるモロボシ・ダンは、ゲンをチームに入れ、ゲンことウルトラマンレオを特訓する。

 

 セブンが育てた戦士レオが、怪獣から地球を守るため大いなる戦いの物語を展開させる。

 

感想

 今回の主役戦士レオは、それまでのウルトラマンとは地元が異なり、獅子座L77星出身者である。

 そんなわけでレオという物語の作風や設定はそれまでのシリーズと結構変わっている。

 

 レオの母星はマグマ星人に滅ぼされている。その生き残りのレオは、地球人おゝとりゲンとしてスポーツクラブのコーチを行いながら生活している。後にダンの激推し枠としてMAC隊員にも加入する。

 スポーツクラブのコーチ、地球防衛隊の隊員、そしてウルトラマンまで行うことになる。履く草鞋が3足なので激忙しい。

 

 それまでのシリーズの中で一番武闘派作品となったレオの主役のおゝとりゲンという男にはインパクトがあった。前作タロウの主人公が都会的で爽やかなイケメンだったのに対し、こちらはギラついた目をした野性味のある男前だった。

 スポーツクラブのコーチでやり手の格闘家でもあるゲンが道着姿で修行するシーンは記憶に残る。山籠りをしてのガチ修行にも出る。仮面ライダーでいうとスーパー1の路線が見える。この武術家スタイルは好きだった。どことなくブルース・リーぽくも見える。

 

 一話目冒頭では、大荒れの天気の中セブンが強敵に倒される衝撃シーンが流れる。皆のセブン、またはダンが倒れる始まりから既に強めのトラウマが植え付けられる。

 怪獣の怪力で足を持っていかれるセブンを見た当時のちびっこ達は「地球、オワタ」と思ったことだろう。私もセブンは親の勧めで3周見たので、彼がまた見れたのは嬉しいが激しい攻撃に倒れるのはショックだった。

 

 ダンのウルトラアイが燃えてしまい変身不可能になる。そして杖をついての生活となる点は痛々しい。最初から悲壮感が漂う。

 そんな中迎えた新戦士のレオの戦いも序盤だとかなり危うい。このシリーズは敵が強い。というか序盤だとまだまだ戦い慣れていないことでレオが弱かったのかもしれない。

 このレオだが、なんと最初から負けてしまう。こちらは一人なのに対し、向こうは双子怪獣と星人の3人がかりだからせこくはある。でも一話目でレオが敗退して終わる不穏な幕開けなのはかなり気になる。セブン、レオを下す敵の進撃ぶりがやばい。

 

 レオの強さはどうなのだろうか。M78の出ではないので、他のウルトラマンとは基本スペックに差があるのかもしれない。加えて地球に来て間もないので未熟ぶりも目立った。

 通常ウルトラマンの変身タイムリミットは3分だが、レオは2分40秒というもっと短い世界で戦うことになる。レオの戦える時間が短い分、このシリーズでは人間態でのドラマを濃くしていたように思える。

 

 初戦敗退となった景気の悪い出だし。そして皆の街が大洪水に沈む。絶望度強めな世紀末感がすごい。ヒロインの出身地となった島は完全に沈んでしまった。一話目から可哀想だし、なんかすごいことになっている。この水攻め展開はトラウマになるだろうが。

 世紀末感を出すのに注視した作りは、当時流行りの終末思想を取り入れてのことだったという。

 近い時期に「ノストラダムスの大予言」「日本沈没」というどうあがいても絶望な映画が流行った。そんな世間での流行りも作風変更に関係しているという。偶然にもこれら2作は先に視聴済み。どちらも面白くて好きな作品だが、内容としては洒落にならない程酷い未来を描いたSFだった。

 

 そんな絶望をぶっ飛ばすにはレオに立ち上がってもらうしかない。こうなったらダン隊長は鬼コーチと化し、ゲンをめっちゃ鍛えるのだ。

 二人が師弟関係を結ぶ夕日のシーンは名場面で毎話のOP映像にも登場するようになる。この時ダンが言う「あそこに沈む夕日が私なら、明日の朝日はウルトラマンレオ、お前だ!」のセリフはマジで名セリフだと思う。セブンの最後でも明けの明星がうんたらという空に絡めた名言を言っているので、その要素からもダンという男が熱い。

 

 最初2クールくらいはゲンとダンの師弟関係をみっちり描いている。弱かったレオがどんどん強くなって強敵を下す。その過程で血を吐く程のキツイ特訓を受ける。そんな流れが大変印象的。

 こういった鬼コーチレッスンの要素から「エースをねらえ」「巨人の星」などのスポ根要素を強く感じる。まぁこの要素も昭和から令和までなんだかんだオタクに受けるからな。

 

 この特訓におけるダンのやり口なのだが、とにかくめちゃくちゃシゴきにかかるので怖い。ゲンも一発くらいやり返して良いのでは?というレベルでシゴカれている。

 杖をついた鬼コーチだから「トップをねらえ!」要素も見えてくる。オタクなら気づく。ダンをヒントにあのアニメのコーチは誕生したのかな。ダンの杖が実は仕込み杖で強力な武器になる点も地味に格好良くて好きだった。

 

 ダンの特訓メニューは常軌を逸したものと評価して問題ないと思う。

 堅いブーメランを投げつける、ゲンをロープで縛りジープに繋いで引きずり回す、滝を切れという考え方によっては新時代のパワハラを仕掛けてくるなど、各種とても印象的だった。

 

 最も一番記憶に残るのは、対カネドラス戦用にダンが用意した特訓マシン。デカい刃が上から下に落ちてくる装置である。ココ意外だと全く類を見ないマシンだった。これの開発から設置までの費用っていくらかかったのだろう。MACの決済が気になる。

 

 このマシンを用いた特訓の最後に、大村さんがまさかの真剣白刃取りを伝授してくれたのも記憶に残る。元剣道選手だった大村さんが、実践で一度も成功したことのなかった真剣白刃取りを人生で初めて決めたシーンだった。あそこで刃を受け止められなかったら死んでいる。

 大村さんといえば、怪獣襲来の避難警報が出てもパチンコ玉を拾い集めて街から逃げ遅れたエピソードがおバカでウケル。結構好きなおじさんだったのに、大村さんは後半から出て来なくなる。詳しいことは言っていないが、多分円盤生物に殺られたんだと思う。

 

 今回のダンは「ウルトラセブン」の時と違って爽やかさと笑顔が少なく、心を鬼にして怖い芝居で来る。ダンのファンが困惑するだろうが。時にやりすぎな事もあった。

 ダンのキャラが変わっていないか?というツッコミがあっても不思議ではないだろう。この役は元々川上隊員というキャラを用意していて、それをダン役の森次晃嗣にオファーしていたのだ。でも森次晃嗣としては同じシリーズに違う役で出るのに抵抗があるとのことで、色々考えた末ダンとして出ることになったという。

 役者のこういう都合を聞くと、アラシ、フルハシという別人役で連投した毒蝮三太夫は器用な役者だったのだと思える。 

 

 ダンの鬼コーチぶりも作品の看板要素だったな。今となれば臨時でジャックかエースあたりを呼べなかったのかとも思う。レオにかかる期待と責任がデカい。

 

 そのダンも変身は出来ずとも残ったパワーでウルトラ念力を発することが出来る。ここれが敵に取って深いなパワーであり、少しの間足止め出来るものである。でも使うとダンが著しく疲弊し、寿命も減るらしい。危ない。多用は禁物なのでたまにしか使わない。発動中の音がうるさいというのも記憶に残る。

 

 中盤ではウルトラマンジャックの郷秀樹がゲストで参戦する。彼が宇宙から持ってきてくれた謎のボールがボール怪獣セブンガーだった。

 ダンといえばカプセル怪獣の使い手として有名。今回はセブンガーを召喚してレオの戦いに加勢する展開があった。ここは好き。

 セブンガーは結構強いけど活動時間はたったの1分しかない。あと10秒あればアシュランを倒せたのに引っ込んでしまう。もう10秒なんとかならんかったのか。

 セブンガーは何か可愛いし、ロボ的にも可愛い。高性能はドラム缶って感じ。

 結構有名なキャラだけどレオだと一話のみしか登場しない。1分の戦いがたったの一回とは何か儚い。せっかく良いデザインなのに勿体ない。もっと出せば良かったのに。

 

 ダン、ゲンの師弟関係には燃える人間ドラマがあって面白かった。

 序盤は割りとシリアス路線で、ゲンの苦悩を扱った内容が印象的。師弟関係の物語もそうだが、救うはずの命を救えなかったことで周囲から批難される、新人なので隊の仲間から信頼を獲得できない、敵の罠で殺人犯扱いされるなど、ちょっときつめの人間ドラマが楽しめた。

 

 オイルショックの煽りを受けて作風変更はどうしても必須のことだったという。大変な時代に大作を作るという大変な仕事現場だったと分かる。

 その関係からタロウと比べて今回のMACのメカニックはやや迫力に欠ける。そこに金を回す都合も考えないといけないものな。

 

 MACはもしかすると歴代で一番弱小な組織だったのかもしれない。

 MACは宇宙基地を持っていて、主人公達は基本宇宙務め。その点は規模が広くてすごいが、ZAT基地みたく見た目が豪勢でもなく、マシンはデザイン、存在感共に薄め。

 序盤はダンとゲンの師弟関係に終始する感があり、他にも数名いる隊員がほぼモブ扱いだった。チームに女性隊員が二人もいたのは良かったが、他の隊員の出番はかなり少なかった。名前も覚えない内にフェードアウトな感じだった。

 話の途中で凶悪な星人の手にかかって貴重な隊員が何人も殺される描写があり、円盤生物のシリーズに入った時には、まさかのゲンを残して後は全滅というとんでもないことになっていた。作品の途中で主人公サイドの組織が壊滅とか他にはないきびしい展開だったな。

 

 金の関係から特撮に頼り切らない硬派な作りに切り替えるしかなかった。そのためレオには目立った光線技が少なく、ウルトラマンでありながら蹴り技の方が目立っていた。レオといえば足が赤く燃える必殺の蹴り技だった。あれはあれで格好良い。

 格闘アクションがとても格好良い。ぐるぐる回るアクロバットに、大外刈りや後ろ蹴りなどの格闘技を取り入れた完成度の高い物が楽しめた。

 レオの武闘派スタイルは大変好ましいものだった。L77星の戦士はここが違う。

 

 

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